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パンク

Throbbing Gristle Industrial Musicの起源と音楽の起源

人類は今非常に微妙な位置にいる。
人間の理性が作り出した科学技術はすでに動物の限界を大きく超えている。
しかし人間自身は相変わらず自然の非合理性を残したままだ。
その人間が技術の粋であるコンピュータを始め工業製品に囲まれて日々を過ごしている。
中身の分からない物に頼りながら生きる人類は何を思うのか。その心にいかなる変化があるのか。
機械の中には神秘はない。それは全て人の作りしものである。
しかしそれを眺めるのは、森の奥に怪物を見、一つ一つの物音に妖精を聞いたころと、なんら変わらない脳を持つ人類なのだ。
者の中に神秘と美とを見ざるを得ない人類が、神秘も美もかけらもない工業製品にいかにしてそれを見るのか。
そこにいかなる儀式が発生し、いかなる祝祭を開き、いかなる神が宿るのか。

Industrial Music for Inductrial People!
「脈打つ軟骨」ことThrobbing Gristleの登場である。
彼らはもともとはCoum Transmissionという名のパフォーミング・アート集団であり、1975年に結成された。ちなみに名前は「勃起」を意味する隠語なんだとか(メンバーが言ってたらしい。本当かどうかは知らない)。
彼らは電子的に生成された爆音ノイズやサンプリングされた具体音、そして呪詛的なヴォーカルにより、上で引用した彼らの宣言文により始まった「インダストリアル・ミュージック」というジャンルや、「ノイズ・ミュージック」などに強い影響を与えた。
彼らのIndustrial宣言は工業化社会への批判と見る向きもあるが、彼らの意図はともかく、そうは見ない方が面白いと思う。
もし工業化が嫌なら、こんな音楽作らない方がましなのだ。
それよりも彼らの音楽が、工業化時代の新しい美と儀式の姿を現しているようで、ぞくぞくするほど面白い。

初期の彼らの貴重な比較的きれいな映像
Discipiline

電子的呪詛。工業化された宗教儀式。

デレク・ジャーマンによるドキュメンタリー(?)

デレク・ジャーマンはこの頃、パンクやインダストリアルの若いアーティストと交流を持ち、映画などにもよく起用していた。この人の映画は文句なしに面白いから見るべし。

誰がつけたのかよく分からない映像つき

いいねえ。衛星放送とかで映像が乱れてこう言う風になるたびに「格好いいなあ」と思っていたので、他にも同じこと考えていた人がいたことがうれしい。

その他の綺麗じゃない映像
曲名分かんなかった


Something Came Over Me


The World Is A Warfilm



しかしこの荒削りな音の連なりや意味を成さない叫び声の中に、確実にある種の美、そして神秘があるのにお気づきだろうか。それらはまるで先祖がえりのように、非ヨーロッパの今や忘れ去られようとしている芸術に似ていないだろうか。
新しい音楽を作ろうとすることは、かつて人類の先祖たちが叫び声や泣き声、様々なものを叩くなどして、彼らの未熟な言葉では表現できなかった感情を何とか表現するために音楽を作り出す、その過程をもう一度際限することなのだろうか。それがこれらの音楽に纏わりつく原始性の正体なのであろうか。
この過程はこれからも続くのだろうか? それともこれっきり? もしかしたら、人類は今や、自ら動物としての限界を超えて、人類ならざるものになろうとしているのであろうか(臓器移植や様々な人口物質の投与がその先駆けであり、サイボーグ技術、遺伝子改造がそのとどめになる)? そうしたら、この原始性の正体は、もしや我々の文化が見るある種の「走馬灯」、人類が人類であった時代の総決算ではないのか?

20数年後の彼ら。

驚くべき完成度。
彼らは1981年に解散した後、ヴォーカルをしていたジェネシス・P・オリッジを中心にPsychic tvを結成。自らを教祖とする宗教を作って、オカルトと音楽を混ぜた世界観のもと、なかなか普通に聞けるダンスミュージックを作っていたのだが、何を思ったのかジェネシス・P・オリッジは女になってしまった。アレは切っていないらしい。
そしてこれは、2004年に再結成した後の映像。

比べてみよう。
Discipiline 2009 (最初のと同じ曲)

女になっても相変わらずだなあ。

Humburger Lady 2009

やっぱり民族音楽の匂いがする。面白い。

DAFは妖しくていいなあ

DAFってのはなんでも「Deutsch-Amerikanische Freundschaft(独米友好)」の略らしいんだけど、その時点で変なバンドであるということは分かるな。何でも旧東ドイツの独ソ友好条約とドイツ赤軍(RAF)をもじったんだとか。せっかくそういう紹介の仕方をしたんだから、政治的な曲から紹介していきましょう。

Der Mussolini
かっこええなあ。パンクだなあ。
こいつらがパンク出身てのは後で忘れがちになるから覚えておいていい事実。
そしてこいつらの歪んだシンセが後のテクノやハウス、そしてもちろんインダストリアルに強い影響を与える。
あとヴォーカルのガビの独特の動きが大迫力であんな間近で見たら、ぶつかってきそうで怖いだろうな。ていうか、どこでライブ開いてんだよ。
あと、ムッソリーニっていうのが渋くていいね。 

次はもう少し顔の分かる映像を。ガビのダンスが堪能したい人もこちらへ。
Libe Auf Den Ersten Blick
 
いい動きだなあ。闇の中、顔と手だけが浮かびあがって美しくすらある。
この人たちの音楽は「エレクトリック・ボディ・ミュージック」とも言われるけど、この「ボディ」って言う言葉に深い意味を探してしまうほど、なんか露骨に変態の臭いがする。平たく言うと露骨にゲイっぽさを演出している。ちなみにヨーロッパにおける国民性のイメージによると、フランス人が開放的なバカエロ民族なのに対し、ドイツ人は変態のむっつり助平である。覚えておくと、得するかも。
しかし黒ずくめに角刈りのドイツ人を見るとどうしてもナチスを思い出すな。狙ってやってるんだろうけど。
そもそもこれってpvなの? これ見て買いたくなる人ってどんなだ?

というわけで、見えざるリクエストにお応えするために、さらに妖しく、さらにホモっぽいものを。
 
題名の意味は「強盗と王子」。あからさまだなあ。
さっきよりはずっとpvっぽい。需要は不明だけど。でもヤン・シュヴァンクマイエルとかのチェコアニメの匂いがして好きだな、これ。

これのライブ映像を発見。

なにこれ? 日本髪にバナナ刺さってるのは何の冗談だ? ステージ上の誰一人としてやる気が感じられない。そもそもこの曲ライブでやる意味があるのか? 盛り上がりようが無さすぎる。
後ろに提灯ぶら下がってるし。意味わかんねえ。でも好きだ。
こんなすばらしい動画がニコニコでコメント0だなんて許せんな。 

der sheriff
 
「女の子はホモ好きですから、ホモっぽいのが売れますよ」とアドバイスしてくれた女の子が昔いたが、これは売れないだろうなあ。凄まじいまでに日本で売れる要素が無いもの。

映像の無いものを二つほど。
Kebabtraume
アンニュイな感じでいいんじゃないでしょうか。    

tanz mit mir   
 
これぞDAFの真骨頂!
メロディではなくリズムを刻み続ける歪んだ音。そして自分の内部に言葉を吐き捨てるような歌い方。
やっぱこういうパンクっぽさが残っている方が好きだな。

Der Mussoliniに勝手に映像をつけた人がいるのだが、本家よりもよほどpvらしい出来映え。ディズニーの有名な反ナチスプロパガンダアニメその他も登場し、まさに「独米友好」に相応しい作品に。
 
もうこれが公式でいいよ。

パンクの母Nina Hagenは俺の女神

今日街を歩いていたら、前からとてつもない厚化粧の若い女があるいて来て、そのすでにライン(線)ではなくプレイン(面)となってしまっているアイラインはまさに両目の場所に水木しげる描くところのバックベアード
image
を二つ移植した塩梅で、そのあまりの禍々しさに悲鳴をあげてしまいそうになった。貴重なサンプルであったのに写真取らなかったことを後悔している。

というわけで厚化粧と言ったら、俺の女神Nina Hagenである。東ドイツから政治的理由で西ドイツに亡命してきた、伝説的パンク歌姫であり、私生活でもスピリチュアルでコスモポリタンでエキセントリックで要は馬鹿なんだろうなあという魅力にあふれている彼女の独特過ぎるパフォーマンスを見よ!


ナイス眉毛!


ナイスアフロ!

続いてはDavi Bowieの名曲『Ziggy Stardust』のカヴァー

ナイス髪飾り。叩いていいですか?べろべろべろ


ナイスイヤリング。しゃぶりたい。しかし面白いお顔だ。


うひょー、かっこええなあ。


ニナたん七変化!意味分からなすぎて笑える。

この人は年取っても元気です。割と最近の映像として、2003年のApocalypticaとの共演を。

年取ってもこういう格好し続けるのが異様でよい。もとから異様な人だし。

で、オチとして映画版『天地無用!』のエンディングテーマをどうぞ。

イアン・カーティスの痙攣ダンス

ロック界には死の伝統がある。若いうちに死ぬことが伝説になるための条件の一つででもあるかのような空気が確かにある。そういう空気がもしなかったら、死なずに長生きして、胴まわりも声も太くなってしまいファンに飽きられながらも、どうにかスタイルを模索しながら生き残っていたんじゃないかと思うような奴だって何人かいる。私は、おっさんになってフォークギターの弾き語りなんかやっちゃったりするカート・コべインなんかを、結構見たかったなと思ったりするのである。
しかし、やはり何人かは、どう考えてもこいつは死ぬしかなかったんじゃないか、と思える奴らもいるものだ。イアン・カーティスもその一人だ。まず目が違うし、何より動きが変だ。音楽活動をしながら障害者の職業紹介所で働いていた彼は、自身癲癇持ちだったらしいが、一部で「タコ踊り」と呼ばれる彼のダンス(?)はもうほとんど発作と見まごうばかりだ。どう考えてもかっこよくはなく、どちらかというと苦しそうだ。目つきがおかしいのは、癲癇の発作を抑える薬で精神状態がおかしかったからだとも言われる。それだけでなく、自分で自分を追い込んでいく性格だったんじゃないかとも思う。歌詞を見ているとそう思える。J・G・バラードやW・S・バロウズの影響がうかがえる歌詞は、時に難解さを目指しそうになりながらも、自分の絶望や孤独をどうにか歌に乗せようという若さと生真面目さが感じられる。何より歌が下手なのがいい。音源によっては何を歌っているのかよく聞きとれなかったりする。Sex Pistolsの影響を受けてできたパックロックバンドなので、初期(Warsawと名乗ってた辺りか?)はやはり甲高い叫ぶようなvocalスタイルだったと聞くが、イアンの発案でJoy Division(ナチスの将校用慰安所)と名前を変えてからは、どちらかというと地声に近そうな低いこもったような声で歌っている。
ついでに言うと他のメンバーも上手くなくていい。そこそこの技術を持っていそうなのはDrmsのスティーブン・モリスだけで、guitarのバーニーもbassのフッキ―も下手だ。その後フッキ―のスタイルは奇妙な進化を遂げることになるが、それはまた別の話。何だか、こいつらの場合、下手さゆえの一所懸命感が妙な緊張感を出しているし、音としても下手で硬いのが全体の無機質な雰囲気と会っているのだ。その後、テクノサウンドに向かう全長みたいな物も感じられる(この時代からKraftwerkを聞いていたらしいし)。
少し話がずれた。とにもかくにも、下手なくせに、無機質で暗いサウンドと世界観が受けてJoy Divisionは1979年に一躍時代の寵児になる。

Unknown PleasuresUnknown Pleasures
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しかし、イアンは精神状態も家庭状況もどんどん悪くなり、1980年、アメリカツアー出発を翌日に控え自殺(妻との離婚問題が引き金だとも言われる)、80年代という不思議な時代の幕開けとなるとともに、一つの時代の弔辞になってしまう。23歳であった。墓石には彼の代表曲の題名である「Love Will Tear Us Apart(愛が私たちを引き裂く)」が妻の希望により刻まれた。

というわけで映像である。といっても実質一年しかやっていないバンドなんで映像はあんまりない。その中から定番はやっぱりこれ。
『Transmission』

ラジオというのは「ノスタルジー」の象徴としてもつかわれるけど、「孤独」の象徴になることも多い(谷山浩子の『電波塔の少年』を聴くべし)。その中でも、好きな曲だ。イギリスのパンクの多くが体制への怒りを歌っていた中だったのが逆に、内省的な文学パンクが受ける素地になったのであろう。

異形ダンスが一番すごいのは恐らくこれ。
『She's Lost Control』

「狂わんばかりの風車へと変化していくあの様」(スティーブン・モリス)。あまりに変なので、笑っていいのか悪いのか悩むほどだ。ほんとに発作起こしてステージでぶっ倒れたこともあるらしい。歌詞はイアンの務める職業安定所に通っていた少女が癲癇の発作で死んでしまったことについて歌っている。最後の方でイアンの痙攣ダンスをスタッフが冷静に見つめているのが、不思議な違和感を醸し出して不気味である。暗い内容の歌詞といびつなダンスについて家族以外のまわりの人間は今思えば不思議なほど心配していなかったそうである。そういうものかもしれないなぁ。

これはおとなしめ。でもやっぱり意味不明な動きだ。そして演奏も歌も下手だ。

まともなlive映像って本当にこのステージくらいしかないんですよ。

そう言えばイアン・カーティスについての映画『コントロール』でイアンの約をやった役者はこのダンスをほとんど完璧にコピーしていて驚いたなぁ。
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最後にpvを一つ。『Love Will Tear Us Apart』。この曲が収録されたアルバムが発売される前にイアンは死んでしまいました。

Joy Divisionの曲はスタジオ収録の曲の方がより無機質な印象を受ける。またすでにシンセサイザーを曲にとりいれているのが分かる。
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Joy Divisionは結局この二つのアルバムしか残さなかったが、これらはのちに多大な影響を与え、「オルタナティブ」と呼ばれる非商業主義の流れの源流になる。一番最初に上げたカート・コべインなんかもその中にある。

でも、バンドはなくなってもメンバーは残ってしまう。イアン亡きあと、他のメンバーがどうなったのかは次回。
どう考えても、花火のように太く短い命に見えるこのバンドが、名前を変えてまた音楽界に別の一大潮流を作るんだから、不思議な話である。
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