けんさく。

けんさく。が、いろいろ趣味のことをやるページです。

フィンランド

『カレワラ』を読み始めた

フィンランド叙事詩の『カレワラ』を詠み始めた


フィンランドは住んでいる人は白人だが、その言語はゲルマン系でもスラブ系でもなく、ハンガリーなどと同じくアジア系のウラル語族だ。
その文化もアジアっぽい。フィンランド音楽なんかを聴くとよく分かる。
だから『カレワラ』がいきなりアジアっぽいかといわれるとそんなことないが、まあ名詞がヨーロッパぽくないのは面白い。
フィンランド神話の天空神の名前は「ウッコ」。で「ウッコの」を意味する言葉は「ウコン」。というわけで、ときどきフィンランド人名前には「ウコン」がつく。携帯電話会社ノキアの前日本代表取締役社長の「ウコンマーンアホ」みたいにね。ちなみに「マーン」は「大地の」で、「アホ」は「草地」。「アホ」っていうだけの名前の人もいる。あと、「ネン」が後ろにつくと「人 」って意味になるので、名前に「ネン」がよくつく。「アホネン」とか。『カレワラ』の登場人物にも大概ついてる。主人公の名前はワイナミョイネンだ。しかし、主人公が独身の老人てのもなかなかすげえよな。
北欧神話に出てくる稲妻を起こすトールのハンマー「ミョルニル」のフィンランド神話における対応物は、「ウコンバサラ」。 
漢字で書くと多分「玉金婆娑羅」であろう。嘘だが 

なぜかニコニコ動画で上がっていたので、Leningrad Cowboysの『ジンギスカン』を貼る。

ほんと「なぜ上がったし」という感じ。
そういや、なんかてっきり以前に紹介したつもりでいたんだが、探してもないので。
 
Leningrad Cowboysなどと名乗っていはいるが、もちろんアメリカ人でもソ連人でもなく、フィンランド人。さすがどこかにある国。さらに言えば、歌っているのは、モンゴルの英雄について歌ったドイツの歌。日本語で歌っているのは缶チューハイのCMソングだったからのはず。
ヨーロッパとアジアの狭間で、文化がカオスにハイブリッドしているフィンランドらしい、実にイロモノじみたバンドである。見た目も強烈。
leningrad_cowboys





とさかのような尖ったリーゼントと同じくらい尖った靴。サングラスに赤軍風の軍服。ふざけるのも大概にしろという感じだが、こう見えて大真面目なバンドだったりするのだ。

このバンド、元はといえば、1989年のアキ・カウリスマキ監督の映画『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』に登場した架空のバンド。
しかし、この映画のヒットとともに、バンドに扮していた「Sleepy Sleepers」のメンバーたちは、本当に「Leningrad Cowboys」として活動を始めてしまったのだ。
1994年には続編の『レニングラード・カウボーイズ モーセに会う』も作られている。

 アキ・カウリスマキは兄でやはり映画監督のミカ・カウリスマキの勧めで見た小津安二郎から強い影響を受けたという。
実際、非常に静かな、不思議な雰囲気のコメディ映画になっている(あんな過激な格好をしているにもかかわらず)。
主人公たちがあまりしゃべらず終始無表情なのは、『ブルース・ブラザーズ』と一緒だが、あちらがウルトラアッパー系の作風に対して、こちらはウダウダダウナー系である。
フィンランドの寒村であの格好でポルカの演奏をしているのも相当変だが、彼らが強欲マネージャーにそそのかされて一山当てるためにアメリカを珍道中をするうちに、だんだんいろいろな音楽に影響を受けてだんだんロックになっていくのも面白い。凍ってしまったメンバーもメンバーの一人だと旅に参加させるために、ボロボロのキャデラックのルーフにくくりつけてしまうのも暢気でよろしい。メンバーが乗り切れないので(なにしろこのバンド、ブラスもいるから大所帯なのだ)、トランクを開いてそこに座ったまま走るのも楽しそうだし、演奏で得たお金をマネージャーがあまりといえばあんまりにピンはねして全部ビールに変えてしまっていることにメンバーがなかなか気付かないのも長閑としか言いようがない。
そして、なにより風景がいいのだこの映画。北欧の風景を撮っても、アメリカの風景を撮っても、どれもいい。旅の醍醐味は風景なんだから、ロードムービーの醍醐味も当然風景なのだ。

「We are Rock 'n' Roll band. Can we play here?」
「Fifty-fifty?」
と日本人にも非常に聞き取りやすい下手な英語で交渉するだけで笑える。
演奏後の、サックスでのおひねり徴収シーンも最高。
これで大体この映画のギャグセンスが分かってもらえたかと。

アメリカの車旅って感じの風景がすばらしい。
ついでに続編のトレーラーも張っとく。

 
前回、彼らを受け入れてくれて凍ったメンバーも溶かしてくれた土地メキシコにたどり着いて、大ヒットしたのだが、結局元の木阿弥に零落してしまっていた彼らの元に、失踪していた強欲マネージャーが返ってきて、モーセに生まれ変わったからお前らを故郷に返すといい始める、これまた奇妙奇天烈な物語。
一作目も二作目もたいした長さではなく、一緒にDVDにも入ってる。ぜひ見よう。

さて、この映画が元で結成された「Liningrad Cowboys」だが、映画のヒットとともに、一躍フィンランドの国民的バンドに躍り出た。 
格好はふざけているが、演奏技術もマジマジのマジなのだ。
1993年には、なんと本物の赤軍合唱団とジョイントコンサートまでしている。
『天国への階段(Led Zepperinカヴァー)』


『Bad (Michael Jacksonカヴァー)』

007にQueenの『Another One Bites the Dust』と当を得た混ぜ方。
そしてこれを赤軍合唱団が歌うというポスト冷戦的おかしさ。
しかし、この奇妙なサングラスを見ると、どうしてもX星人を思い出す。『勝手な奴ら』に出てきた宇宙人でもいいけど(もっと分かりにくい)。

『Always look on the bright side of the life(Monty Pythonカヴァー)』

この曲はやっぱりみんなで大合唱だよね。沈んでいく空母に乗ったときには、ぜひとも歌いたい一曲。

いろんな映像とともに
『There must be an Angel(Eurythmicsカヴァー)』

『Space Tracter』


レニングラード・カウボーイズの一生

トラクター大好きだなこいつら

Sleepy Sleepers時代の映像
『Nein Nein Nein』

反り返ったタイにその後の活動の片鱗がうかがえる。

ニコニコで、『ジンギスカン』一曲のみはそこそこ有名な主な理由


『Gimme your Sushi』
 
よく分からない何か 

スリップストリーム音楽 Waltari

基本的に僕は混ざったもの、不純なものが好きなんだ。
バフチンにしてみたらそれこそ小説の本質だと言うところだろうけど、
小説の言葉 (平凡社ライブラリー (153))小説の言葉 (平凡社ライブラリー (153))
著者:ミハイル・バフチン
販売元:平凡社
(1996-06)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る
 小説に限らず、ジャンルの混交がもたらす面白さは普遍的に存在する。
例えばAphex Twinみたいな天才は「ジャンルに捕われてたら面白い音楽は作れない」みたいなことを平気で言うけれど、それは彼が天才、つまりそいつが歩いた後にジャンルが出来ていくような人間だから。天才でない人間はむしろジャンルに敏感にならなければいけない。
天才でない人間が面白いものを作るためには積極的にジャンルを使い、ただしジャンルをそのまま使うのではなく、ジャンルを測量のための三角点として使い自らの位置を確かめる必要がある。そうでもしないと迷子になっちゃう。そのためには一つのジャンルだけではダメで、いくつものジャンルを見比べて、どのジャンルからも距離を保ちながら、いろんなジャンルが混じった、一つ一つはどこかで見たことがあるかもしれないけど、全体としては新しい面白さを持ったようなものを作る必要がある。
それこそジャンル混交の面白さだ。メインストリーム(主流)ではないスリップストリーム(傍流)の面白さ。
そのためには逆にジャンルにこだわる思考が必要とされるのだ。

と言うわけでフィンランドの変態メタルバンドWaltariを紹介しよう。
 
軽いキーボードの音に乗ったラップで始まったかと思うと、ツインバスの唸りやギターソロはゴリゴリのメタル、そして最後にポップソングの極みのようなキャッチーなサビ。暴力的な重い音と享楽的な軽い音とを纏め上げる構成力と演奏力に脱帽。見た目の妖しさもよい。


テクノダンスミュージックを基調に民族音楽をサンプリングして、時々メタルが混ざる。どういう風にノればいいのかよくわからなくなるがとにかくかっこいい!

あのBeatlesの名曲『HELP』を彼らがカヴァーするとこうなる。

メタルだなあ。デス声と普通の歌声の切り替えもすごい。

正体不明な彼らの正体はこれだ。場所はフィンランド国立オペラ劇場。さすがメタルミュージックに国民的人気がある変なお国柄、

ちなみに女性ボーカルは元Nightwishのターヤ・トゥルネン 。ガチガチのデスメタルももちろんこなします。あの「デス声」と言うのには民族音楽的な起源があるとか無いとか言う話を聞いたことがあるな。

一方


もはやメタルでもなんでもない、ただのダンスミュージック。
引き出し多いなあ。

ちなみにこの人たちのpvにはお金掛かってない感が滲み出てていいですよ。
一番お金があったころ


お金がなくなってから


同じ頃の別の曲のpv

使い回しじゃねえか!

最後に普通の曲を。ま、実際には普通の曲の方が多いんですけどね。

誰がドナルドだ。

Blood SampleBlood Sample
アーティスト:Waltari
販売元:Locomotive Spain
(2007-06-26)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る
Space AvenueSpace Avenue
アーティスト:Waltari
販売元:EMI
(2009-03-23)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

架空世界のワールドミュージック Alamaailman Vasarat

ずいぶん前に「Farmers Market」というと言うノルウェーのバンドを紹介したときにこの人たちは架空の民族音楽を作っている、という話を書いたが、同じようなコンセプトの超絶変態演奏技術集団がやはりフィンランドにいて、やはり出所不明の民族音楽を、ヘヴィメタルなのかパンクなのかジャズなのかジャンルのまったく分からない風味づけで作りだし続けている。それが「Alamaailman Vasarat」だ!
彼らもまた自らの音楽を「ヴァサラシア〜ヴァサラット郷」という架空世界のワールドミュージックとしている。北欧にはこういう非ヨーロッパとヨーロッパが融合してしまう、本当の意味での「エキセントリック=脱中心的、辺境的」な何かがあるのだろう。
ホーン・セクションにチェロ2台、ドラム、キーボードという普通のバンドからはかけ離れた構成で、何重もの超展開を見せてくれる彼らの音楽は疲れたとき僕を元気づけてくれる貴重な薬である。

『Astiatehdas』

これぞ「エスニック・ブラス・パンク」! これぞ「ラジカル・トラッド」!

『Vasaraasialainen』

風貌の怪しさまで含めて完璧。なんだよその髭、髪形、帽子。マンガのキャラクターじゃねえんだから。もう、好きすぎておかしくなりそうだ。

『Katkorapu』

そもそもまずホーンセクションの2人組が「ノッポとデブ」だってのが良すぎ。惚れてしまいまうやろ!
荒木飛呂彦に描いてもらうと面白いかも。

『Tujuhuju』

このバンドの音を特徴づけ下支えしているツインチェロの音のかっこよさに全身総毛立つ。キーボードとホーンセクションは民族音楽風なのに、ドラムはかなりロックしている。
糞かっこええ!!!

『Luonto Tuli lähele』

実はこの人たち、今年2011年の5月に来日していたのだが、僕はいけなかった。なんで東京ばっかり優遇されるんや……

KaeaermelautakuntaKaeaermelautakunta
アーティスト:Alamaailman Vasarat
販売元:Nordic Notes
(2008-07-08)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る
名アルバム! 入門に最適。

フーロ・コルッコ~消えた冒険家フーロ・コルッコ~消えた冒険家
アーティスト:アラマーイルマン・ヴァサラット
販売元:Pヴァイン・レコード
(2009-08-05)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る
噂によると最高傑作らしい。まだ持ってない。

公式サイト

メタルチェロ軍団 Apocalypticaを聴こう

世の中にはもっと適した道具があるのに、それをわざわざ適さないもので無理やりやることにより技術を競うというジャンルがある。音楽の場合、とりあえずクラシックの楽器でやってみました、というのが定番の一つだ(楽器じゃないものでやってみました、も多い)。というわけで、フィンランドの変態達、Apocalypticaを紹介しよう。
もともとは超名門シベリウス音楽院に所属していたチェリスト四人組が学内のイベントで彼らの好きなメタルバンドMETALLICAのカヴァーをしたのがきっかけでデビュー。その後、さすがにチェロだけでメタルをやるのはつらかったのかドラムを入れて、メンバーがオーケストラに参加するために一人抜けて今に至る。
というわけで聞いてみよう。まずはデビューのきっかけとなったMETALLICAカヴァーから。


見事な風車ヘドバン


ギターソロまで再現とは


チェロってそういう音を出す楽器でしたっけ?

とまあ、海賊みたいないで立ちでよおやる人たちですよ。でもフィンランドでは相当人気のある人たちなので、公共のイベントにも呼ばれたりします。
それがこれ。

2005年世界陸上ヘルシンキ大会の開会式

フィンランドではメタルが老若男女問わず国民的に人気なので、こういうところに呼ばれるわけだね。子ども向けのメタルまであるわけですから変な国だ。ちなみに日本のテレビ局はここを削って放送しなかったとか。

ではpvを一つ紹介して今回は終わりとします。
Leaves of Words
記事検索
最新コメント
月別アーカイブ
プロフィール

けんさく。

QRコード
QRコード
タグクラウド
  • ライブドアブログ