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戸田山和久

ウンベルト・エーコの『記号論』を読んでいるが、

記号論 (1) (同時代ライブラリー (270))記号論 (1) (同時代ライブラリー (270)) [新書]
著者:U.エーコ
出版:岩波書店
(1996-06-14)
記号論 (2) (同時代ライブラリー (271))記号論 (2) (同時代ライブラリー (271)) [新書]
著者:U.エーコ
出版:岩波書店
(1996-07-15)
さすがである。
「記号」などというものは抽象物であり、それほど「実在する」ものではない(実在するかどうかは、程度問題ではあるが)。
それに対して、「記号機能」の方がより「実在する」ものだ、と書いてある。
だから、記号機能を分類するときに重要なのは、「記号機能」が働く現場、つまり記号を作ったり、記号を解釈したりするときに、我々がする「労働」だというのだ。
これはまさに、クワインが哲学にもたらした「自然主義」(「自然科学を世界観の根底においた哲学」という意味なのだが、これはあまりいい用語ではない気がする。「科学正統主義」とでも呼びたい。ここでの「正統」はチェスタートンの意味での言葉である)に則っている方法論と言って良い。
「コードの理論」としての「記号論」もクワインの「全体論」と相似を成している(もちろん、ガダマーらの言う「解釈学」とも深い関係があるが、記号論の方が自然科学との親和性が高く、将来性がある)。
ヨーロッパの大陸哲学と英米経験論哲学との融合は、ここでは全くもって難しいことではないように見える。
邪魔しているものは一体何なんだろう> 彼らの文化の深層に今も根深く残る、キリスト教の残滓が、自然科学的世界観を受け入れまいとしているのだろうか? 

戸田山和久は最近、デネットが「自由意思」を物質や生物の進化と共に発展したものとして描いて「自然化」した手法を応用して、「意味」や「価値」などを自然化しようとしているという。
自由は進化する自由は進化する [単行本]
著者:ダニエル・C・デネット
出版:NTT出版
(2005-05-31)
 それはまさに「記号論」の自然化を含むものになるだろう。
その動きに期待したい。 

間違っていたときはちゃんと謝ろうという話。

そういえば最近「エルニーニョ現象」って聞かなくなったな、と『MMR』を読みながら思った。
数年前までは毎年、諸悪の根源のように言われていたのに。 
多くの物について言えることだが、物事にはいい面と悪い面がある。
雨が増えれば洪水は増えるけど、作物も増えるし、あつくなれば熱中症で死ぬ人が増えるけど、凍死する人は減る。
ビョルン・ロンボルグによると、エルニーニョによる得を計算すると、損よりも多くなってしまうらしい。
だから騒がなくなった訳だ。

それはまあいい。

物事が分かっていくスピードというのはいつだって僕らの期待よりも遅い。
分からないのは不安になるから、騒ぎたくなるし、マスコミからしたら不安をあおって騒がせる方が商売になりやすい。マスコミだって商売なんだからそれに文句を言ったりはしない。

でもこういうのって 、「間違ってました」て話をほとんどやらないよな。
間違ってたら間違ってましたというのは、金儲けがどうのこうのいうのとは違う問題、職業倫理の問題だよな。
八百屋がいい野菜を売ろうとするのと同じで、儲けに直接つながらないからという理由でさぼってもらっては困るはずなんだけどなあ。

世の中の多くの物は実は間違っている。
それは当たり前の話だ。 
僕らは間違えながら前に進むのだ。
だからこそ間違っていた物はうやむやにせず、間違っていました、と言わなければいけない。
「マイナスイオン」ていつの間にか言わなくなって、「プラズマクラスターイオン」だかそんな物に変わってるけど、今までのマイナスイオンが間違ってたって話を企業はちゃんとした?
ダイオキシンとか環境ホルモンとか随分騒いでたけど、あれがたいした話じゃなかったってみんなにちゃんと伝わってる?
それが「説明責任」て物じゃないの?

こういうことを言うと視聴者は「何が本当なんだ」と不安になるかも知れないけど、世の中というのは、「本当ぽいこと」を手探りで探しながら歩くことしか出来ない不安な場所なんだよ。
それでも、「何もかもがちゃんと分かっている 」なんて嘘を信じなくたって、その「本当ぽいもの」をやりくりしながら僕らはちゃんと生きられる。
そういうこと(初歩の科学哲学)って中学生くらいにちゃんと教えておくべきだと思うんだけどな。

そうすれば、変な浄水器を高く売りつけられたりしないで済む人も多くなるかもしれないのに。

科学哲学の冒険―サイエンスの目的と方法をさぐる (NHKブックス)科学哲学の冒険―サイエンスの目的と方法をさぐる (NHKブックス)
著者:戸田山 和久
販売元:日本放送出版協会
(2005-01)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る
科学哲学入門のおすすめの本。
理系文系問わず、非常に手軽に読める。
戸田山先生にはかつて幼稚園の保母さんにもてるための方法を直々に伝授してもらったことがあるので、僕もいわば弟子にあたる(むこうは覚えていないだろうが)。

ちなみにこれが戸田山先生が好きな漫画
あずまんが大王 (1) (Dengeki comics EX)あずまんが大王 (1) (Dengeki comics EX)
著者:あずま きよひこ
販売元:メディアワークス
(2000-02)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る
いろんな国の言葉の『あずまんが大王』を所持していらっしゃる。

できんボーイ―完全版 (1)
著者:田村 信
販売元:ビー・エス・ピー
(2000-05)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る
田村信を無名だと言ったらポカポカ殴られたのもいい思いでだ。
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