このブログで書評なんかをするときは、その本から読みとれる情報を徹底的に詰め込むのが基本方針になっている。
ちょっと詰め込み過ぎか、といつも思うぐらい。
でも、とにかく中身がつまっていれば面白いはずだ、という思いもある。
しかし、それとは全然違う文章作法ももちろんある。
例えば、吉田健一とか内田百閒の随筆は情報量が多いわけではない。読み終わったとき、何が書いてあったかなんて、いまいち思い出せない。
金沢・酒宴 (講談社文芸文庫)
著者:吉田 健一
販売元:講談社
(1990-11-05)
販売元:Amazon.co.jp
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百鬼園先生言行録―内田百けん集成〈7〉 ちくま文庫
著者:内田 百けん
販売元:筑摩書房
(2003-04)
販売元:Amazon.co.jp
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しかし、面白かったことだけは確かに覚えている。
書評や随筆やエッセイなんかを書くにあたって、大した内容はないのに、文体の力でそれを引き延ばして、しかも面白くすることができる人がいるのである。
そう言うスタイルの本場として、イギリスがあるのではなかろうか、と思う(吉田健一も英文学者だ)。
あの国は、上流であることにインテリであることが必要ではない、むしろインテリはアッパーミドルっぽくてダメだ、と思いかねない不思議な国で、だから内容がつまった「頭の良い文章」よりも、内容がなくてもしゃれっ気がある文章の方がたっとばれるような気がする(個人的見解)。
だからこそ、ジェローム・K・ジェロームやイーヴリン・ウォーのようなユーモア作家が生まれるのではなかろうか。
ボートの三人男 (中公文庫)
著者:ジェローム・K. ジェローム
販売元:中央公論新社
(2010-03-25)
販売元:Amazon.co.jp
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大転落 (岩波文庫)
著者:イーヴリン・ウォー
販売元:岩波書店
(1991-06-17)
販売元:Amazon.co.jp
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そういう伝統が、新聞や雑誌にコラムを産みだしたのではなかろうか。
たいした問題じゃないが―イギリス・コラム傑作選 (岩波文庫)
販売元:岩波書店
(2009-04-16)
販売元:Amazon.co.jp
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この本に書いてあるのは、本当に大した問題ではなく、日常のこまごまとした、ちょっとした問題である。しかし、こういうものにこだわることにこそ、なんだか「英国性」という奴が潜んでいるような気がする。
国際問題とかに偉そうに発現するのはイケ好かないアッパーミドルで、本物の上流は、今年の天候が悪いから庭木の成長が悪いこととかを気にする、みたいな感じ。
そう言う、内容は対してないが、面白い英国的文章の使い手が、topgearの司会などで有名な自動車評論家のジェレミー・クラークソンだ。
私は車にそれほど興味はないが、この人の文章は好きなのでときどき読んでいるのだ。
ニコニコに日本語訳を載せてくれる殊勝な人がいるので、それを紹介して、今回は終わりにしよう。
まずは車と関係ないコラム。
辛いもの好きの方々はご存じであろう、Dave'sGourmet社製激辛ソース「insanity」の限定版についてのどうでもいい話だ。
いつの間にか、盛大な話になっているのが笑える。一体どんな辛さなことやら。
ひねくれ加減が良く分かる「スズキ スウィフトスポーツ」のレビュー
イギリス人らしい、自虐と矜持である。
こちらは新型の「スズキ スウィフト」
イギリスと言ったら、クラブ文化である。『バジルの優雅な生活』や『ジーヴスシリーズ』を思い出す。
車のオーナーズクラブもそんなクラブの一つと言える。
ジェレミーの車愛が良く分かるレビュー
涙なしには語れない
「日産 GT-R」のレビュー
進化したその新型のレビュー。
幾つかの保留付きとはいえ、べた褒めに近い
こういうのを読むと、自分のレビューの対象、つまり車とは何か、ということを、彼は真剣に、深く考えていることが分かる。
「ブリストル ブレニム」。ブリストルとは、同名の飛行機メーカーが第二次世界大戦が終わって、余った人員を使うために作った自動車メーカーで、ブレニムはもともとはブリストルの戦闘機の名前。ニコニコ大百科を引用すると、「25年前のようなデザインで、60年代のような内装の車を、2000万円以上の高額で販売するという、日本人には理解できない商売をしている」とのこと。少量生産の高級車であるにもかかわらず別に質は高くないという、いかにもイギリスらしい、気の狂った会社である。数少ない純イギリス資本の車メーカー。
最後にジェレミーの環境問題に関する文章を。
賛同するかどうかはともかく、彼らしい意見で、とてもいい。
いつか、こういうのらりくらりと脱線ばかりで何の話してんのか分からないけど、さりげなくチクリと本質を突くようなスタイルで、書評なんかを書いてみたいものだ。
おまけ
イギリスの、クイズ番組と見せかけてただ単に時事ネタでおしゃべりするだけの馬鹿番組のジェレミーが司会の回。
なにやら日本の恥が映されてますね。お隣の恥と一緒になので我慢しましょう。
ちょっと詰め込み過ぎか、といつも思うぐらい。
でも、とにかく中身がつまっていれば面白いはずだ、という思いもある。
しかし、それとは全然違う文章作法ももちろんある。
例えば、吉田健一とか内田百閒の随筆は情報量が多いわけではない。読み終わったとき、何が書いてあったかなんて、いまいち思い出せない。

著者:吉田 健一
販売元:講談社
(1990-11-05)
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著者:内田 百けん
販売元:筑摩書房
(2003-04)
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しかし、面白かったことだけは確かに覚えている。
書評や随筆やエッセイなんかを書くにあたって、大した内容はないのに、文体の力でそれを引き延ばして、しかも面白くすることができる人がいるのである。
そう言うスタイルの本場として、イギリスがあるのではなかろうか、と思う(吉田健一も英文学者だ)。
あの国は、上流であることにインテリであることが必要ではない、むしろインテリはアッパーミドルっぽくてダメだ、と思いかねない不思議な国で、だから内容がつまった「頭の良い文章」よりも、内容がなくてもしゃれっ気がある文章の方がたっとばれるような気がする(個人的見解)。
だからこそ、ジェローム・K・ジェロームやイーヴリン・ウォーのようなユーモア作家が生まれるのではなかろうか。

著者:ジェローム・K. ジェローム
販売元:中央公論新社
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著者:イーヴリン・ウォー
販売元:岩波書店
(1991-06-17)
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そういう伝統が、新聞や雑誌にコラムを産みだしたのではなかろうか。

販売元:岩波書店
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この本に書いてあるのは、本当に大した問題ではなく、日常のこまごまとした、ちょっとした問題である。しかし、こういうものにこだわることにこそ、なんだか「英国性」という奴が潜んでいるような気がする。
国際問題とかに偉そうに発現するのはイケ好かないアッパーミドルで、本物の上流は、今年の天候が悪いから庭木の成長が悪いこととかを気にする、みたいな感じ。
そう言う、内容は対してないが、面白い英国的文章の使い手が、topgearの司会などで有名な自動車評論家のジェレミー・クラークソンだ。
私は車にそれほど興味はないが、この人の文章は好きなのでときどき読んでいるのだ。
ニコニコに日本語訳を載せてくれる殊勝な人がいるので、それを紹介して、今回は終わりにしよう。
まずは車と関係ないコラム。
辛いもの好きの方々はご存じであろう、Dave'sGourmet社製激辛ソース「insanity」の限定版についてのどうでもいい話だ。
いつの間にか、盛大な話になっているのが笑える。一体どんな辛さなことやら。
ひねくれ加減が良く分かる「スズキ スウィフトスポーツ」のレビュー
イギリス人らしい、自虐と矜持である。
こちらは新型の「スズキ スウィフト」
イギリスと言ったら、クラブ文化である。『バジルの優雅な生活』や『ジーヴスシリーズ』を思い出す。
車のオーナーズクラブもそんなクラブの一つと言える。
ジェレミーの車愛が良く分かるレビュー
涙なしには語れない
「日産 GT-R」のレビュー
進化したその新型のレビュー。
幾つかの保留付きとはいえ、べた褒めに近い
こういうのを読むと、自分のレビューの対象、つまり車とは何か、ということを、彼は真剣に、深く考えていることが分かる。
「ブリストル ブレニム」。ブリストルとは、同名の飛行機メーカーが第二次世界大戦が終わって、余った人員を使うために作った自動車メーカーで、ブレニムはもともとはブリストルの戦闘機の名前。ニコニコ大百科を引用すると、「25年前のようなデザインで、60年代のような内装の車を、2000万円以上の高額で販売するという、日本人には理解できない商売をしている」とのこと。少量生産の高級車であるにもかかわらず別に質は高くないという、いかにもイギリスらしい、気の狂った会社である。数少ない純イギリス資本の車メーカー。
最後にジェレミーの環境問題に関する文章を。
賛同するかどうかはともかく、彼らしい意見で、とてもいい。
いつか、こういうのらりくらりと脱線ばかりで何の話してんのか分からないけど、さりげなくチクリと本質を突くようなスタイルで、書評なんかを書いてみたいものだ。
おまけ
イギリスの、クイズ番組と見せかけてただ単に時事ネタでおしゃべりするだけの馬鹿番組のジェレミーが司会の回。
なにやら日本の恥が映されてますね。お隣の恥と一緒になので我慢しましょう。