バイラルメディアに逆行してオリジナルコンテンツを作りまくった結果まとめ
バイラルメディアが流行っている
バイラルメディアというのがとても流行っています。海外だとBuzzfeedさんとかがそうですね。
月間読者1.5億人を抱えるバイラルメディア「BuzzFeed」を徹底解説
簡単にいうと、すごいおもしろい動画とかを紹介して、そしてそのページをシェアしてもらって、Facebookとかからたくさん流入を得るというモデルです。
おもしろいなーと思って、個人でもやってみたんですが、トラフィックを稼ぐ、という意味では、めちゃくちゃ簡単なんですよね。1週間くらいハマってたのですが、バイラルメディアが流行ることで、どのサイトを見ても似たような情報があったり、差別化ができないう状態になっているようです。
コンテンツの盗用問題というのもあるらしいです。
【速報】バイラルメディアのパクリランキングが発表!一番パクっていたのはあのサイトだった | netgeek
正直、このあたりは程度問題という気もしています。明確な基準というか、見た他の人が、どう思うかが重要だったりもしますし。たとえば、新聞社が、他でスクープとられた場合、そのネタをまた取材して追ったりするのはたぶんOKだと思います。文章をまるまるコピーして貼り付けたらダメです。引用元を出して翻訳するのはギリギリOKラインです。
ただし、引用元を出さずに翻訳してたりすると、以下みたいな記事がでちゃいます。
【悲報】旅ラボが海外のバイラルメディアから記事を盗用していることが判明 | netgeek
たとえば、話題のBuzznewsさんのこの記事とかは、イラストは弊社が作ったものだったりします。ネタとしては全く同じなんですが、下のほうに、すごい見えづらく引用リンクを張っていますし、理論的には許されるというラインです。逆にオリジナルぽく見せていることでパクリじゃないか!と怒ってくれる人もいました。
まあ、どのみち、程度問題であり、インターネットのメディアでは、構造的にも、倫理的にも、起こりやすい「性質」のものだと思っているので、いろいろな議論をしたり、むしろ引用盗用OK!にして新しいモデルを考えたりするとか、ちょっと軸を変えていけないんじゃないかなあ、と思っています。
オリジナルコンテンツを作ってみた
という、バイラルメディアの是非とか、コンテンツの盗用とかの是非は個人的には、あまり興味がないのですが、オリジナルで、いい記事を読みたいなーと思ったので、nanapiでいろいろ試してみました。
バイラルメディアが流行っているのにやらないんですか?とか、nanapiって本当に時代に乗れないよね・・・とか言われちゃいがちなんですが、まあいいかなと。
そのハウツーに関して、日本で1番詳しくて役に立つものをつくろう!ということで「すごい記事」プロジェクトみたいな感じでやりました。以下で、すべて紹介したいと思います。
先に数字のまとめ
先に書いた記事の一覧と数字を時系列順に簡単にまとめると、合計18記事書いて、PVが798786、(平均44377)です。収益的にいうと、40万くらいでしょうか。被リンク効果や、今後もSEOで流入が入り続けるとかんがえると、費用対効果は悪くありません。
各記事の解説
というわけで、各記事の解説をしたいと思います。今度は、ジャンルごとにまとめてみました。
写真系
スマホで写真を撮る系のハウツーは来るんじゃないか、と思い、いろいろ作りました。
まずは、時代は自撮りらしい!と思い、DECOPICさんに聞いたところ、はてブも91とそこそこで、38000PVを超えています。
写真加工アプリ「DECOPIC」の中の人に聞く、最強にかわいい自撮りテクニック
猫をスマホで撮る方法は、108はてブで、3万近いPV。猫は鉄板ですね。
ただし、子供はうまくいかず。もしかしたら年齢とかを入れるべきだったか。。1970PV。
【プロ直伝】スマホでもキレイに撮れる!子どもを写真に上手に撮る方法
食事ネタ
食事系も、クックパッドとか超ベンリだよね、と思いつつ、個人的にランキングから探すのも面倒になってしまっているので、知りたいものを集めようと思ってやってみました。
まずアイスコーヒー。はてブが750超え!というわけで、86000PVを超えました。大ヒットです。
基本ネタはいいんじゃねえか!と思って、じゃあお米の炊き方とか完璧なのつくろうぜ!でやったんですが、これはイマイチ。はてブは42と、悪いわけではないですが、4000弱くらいのPVです。
うーん、やっぱりレシピがいいのかな?と思って料理研究家の方に頼んでやってもらったのがこのチキンカレーと肉じゃがレシピ。肉じゃがはてブは174といい感じ!なのにPVは2631PVとインパクトとしては低い感じ。チキンカレーにいたっては、全然でした。
これ以外は見なくてもOK!料理研究家による、究極の肉じゃがレシピ
生姜焼きにいたっては、完全にハズしました。1000PVいかない記事になってしまいました。餃子は2000PVを超えましたが、このプロジェクトではあまりいい数字ではありません。
おふくろの味を完全再現!料理研究家による究極に普通の生姜焼きレシピ
このあたりで気づいたのですが、料理レシピは以下みたいになっているかなと整理しました。
ごちそう系の場合は、すぐできる、簡単にできるというものに、日常的なものはとにかくレベルアップみたいな感じの切り口がいいんじゃないかと思っています。
というわけで、難しいイメージがある(nanapi調べ)パエリアでやってみたところ、はてブが159と好調。ただし、PVは3254。なぜか、料理レシピネタは、はてブがついてもPVが伸びない傾向があります。
「難しい」というイメージを捨てよう!3STEPでできるパエリアのレシピ
ビジネスネタ
ビジネスとかマナーネタはどうだろ?でやってみたのが、会席料理のマナー。かなりまとまってていい記事だと思うんですが、全くダメでした。。688PV。イラスト入りでわかりやすいんだけどなーと思ったんですが、たしかに会席料理って僕はほとんどいかないなあ、とも思っちゃいました。
【保存版】プロ直伝!突然の会席料理でも恥をかかない和食マナー
というわけで、もう少し身近なものを。役員の会議があり、お弁当を頼むのですが、持ち回りで弁当を決めるんです。で、いちいち弁当を選ばないといけないんですが、何がいいかわからないので、スターフェスティバルという弁当系の会社さんに取材したのがこの記事です。はてブが380以上つき、スマートニュースにも載り33000view超え。
【保存版】お弁当を頼まれたらチェックしておきたいプロ厳選のオススメ弁当20選
健康ネタ
シャンプーって頭皮に悪いとか、湯シャンがいいとかたまに見ますが、どうやるの?というのがよくわからないので書いてみあmした。はてブは74とまあまあですが、PVは48210viewと、高水準。
白湯って健康によさそうだよねー、というのでよく飲んでいるのですが、正しいやり方が知りたい!というので取材した記事がこちら。
お湯だけでできるデトックス!白湯(さゆ)の効果と正しい作り方
はてブは21と少なめですが、Twitterで女性の間で広まり、スマートニュースに載ることで、38000viewを超えています。
そして、やっぱりみんなが気になるでしょう、と思った睡眠ネタですが思った通りヒット。はてブは200とそこそこですが、12万viewを超えました。また、
恋愛ネタ
お前らはご存知ないかもしれませんが、ハウツーサイト業界では「恋愛ネタは鉄板。特にキスは一番いい」と言われています。
というわけで、キスネタをやってみたら、はてブは31と思ったよりふるいませんでしたが、16万PVを超える大ヒットになりました。Twitterだけではなく、NewsPicksやGunosyからの流入も多かったです。
元取り調べ担当刑事の方に取材して書いた嘘の暴き方も、13万PVをいい感じ。これははてブも400以上つきました。
インターネットと相性がいいナンパ情報系は630はてブつき、10万PV超え!ナンパ記事としてはかなりまとまっているかと。
「イケメンに限る」という逃げはもうやめよう!渋谷のナンパ師によるナンパ術
すごい人へ取材
すごい人に取材をするというのもやりました。まずは、単にすごい人にAndroidのいいところを聞いてみるという、実験的にやったところ、はてブ66、PVは9591と、思ったよりも高かったです。難しいかなと思ったんですが。
グリー荒木英士さんが語る、海外でうなったAndroidのすごいところ
実況ユニットのM.S.S Projectさんにも聞いてみたのですが、これはなかなか難しく。1985PV。
人気ゲーム実況・楽曲制作ユニット「M.S.S Project」に聞いた、ゲーム実況でこだわっていることはなんですか?
反省点としては、こちらの仮説なく、すごい人に聞いても、記事がぼやけてしまい、せっかくのいいところを引き出せないのかも、と思ったので、次に活かしてみたのがこちら。
女子高生起業家・椎木里佳が実践した、Twitterフォロワー数を劇的に増やすテク
写真のインパクト、そして女子高生というインパクトも手伝い、はてブは100止まりにも関わらず、15万を超えるPV!
調子にのった次は、HIKAKIN氏です。HIKAKIN氏がYouTuberのコツを話すとかは異常にすごいことなんですが、はてブ125で、34840PV。いい数字ですが、HIKAKIN氏のことが好きなクラスタに届けることができなかったという説も。
総再生数9億のHIKAKIN氏に聞く!人気YouTuberになるコツ
というわけで
いろいろな失敗はしつつも、オリジナルコンテンツは、総じて数字がよく、インパクトが大きいです。
さらに、オリジナルで作ったコンテンツを、以下のように一枚の絵にしてTwitterで再度拡散したりしています。時間ある人はコンテンツをじっくり読み、時間ない人は1枚の絵ですぐにわかるほうがいいかなと思って作っています。
たった1分で爆睡できちゃう!日中の疲れがとれやすくなるストレッチ法 (http://t.co/trkXtwF6wKより) pic.twitter.com/iX0xGVBftK
— nanapi (@nanapi) June 16, 2014
このケースだとRT数が4800を超え、Favも1万を超えたりし、非常にいい感じの拡散ができています。nanapiのツイッターアカウントもフォロー数が増えるし、いい感じです。
一方で、英語メディアとして、IGNITIONというものも挑戦しています。これは内容が実用的かよりも、モチベーションやインスピレーションをあげたいというので作っているので、また性質が違いますが、少しづつ手応えが出始めています。
そんな感じで、バイラルメディアとは、また違う形での挑戦をしていますが、この方向はこれはこれであるかなーと思っているので、引き続きがんばっていきたいと思います。
IT系ベンチャーに投資してるベンチャーキャピタル(VC)ってこうだよという話
最近話題になってた記事
最近、こんなYahoo!知恵袋のページが話題になっていました。
倒産した会社の社長って、倒産後何をしているもんなのでしょうか? 消息不明にな... - Yahoo!知恵袋
なんかいい話だ、とか話題になっていますが、IT系のベンチャーで投資を受けたりしている身としては、全然別世界の話だなーと思っています。まあ、昔の話も入っているぽいので、今と現状は全然違うだろうけど。
投資を受けるベンチャー企業をやっている人みたいなのは少数派なので、実際はどういう感じなのかの例があると、参考になる人もいるかなーと思うので、この投稿を元に書いてみます。
投資されるとイケイケなの?
まず、いいたいことは、億単位で出資を受けたからといって、イケイケになるには程遠いということです。
先ほどのページから引用します。
私はVC(ベンチャーキャピタル)という奇特な商売を20年もしているので、当然、投資失敗!事業失敗!株主や債権者さん・・・すいません飛びましたという場面にしょっちゅう立会う。イケイケの「オレIPOしますよ。見ててください!」という、若者が、その後、モデルの彼女と付き合い、カッコイイスポーツカーを運転し、インテリジェントビルににオフィスを構え、プレスで堂々と会見し、日本のザッカーバーグと自分で言っていたベンチャーの社長が、1年後に、オレと一緒に東京地裁の民事20部でパイプ椅子に並んでマイクで呼び出されるのを待つという構図は何度となく見てきた。
業界によってはあるかもしれませんが、基本的に、こういう失敗パターンは最近だとそんなに見ないんじゃないかなーと思いました。
たとえば、ベンチャーキャピタル(以下、VC)から調達をうちは6億くらい総額でしているんですが、なかなかこういう状況にならないと思うんです。
というのも、まず、調達してお金があるからといって、役員報酬をめちゃくちゃあげるというのは現実的ではありません。当たり前ですね。事業のために投資してもらっているわけなので、いきなり役員報酬を年収2000万にしてください、みたいなのはないわけです。正直、前職に比べてちょっと低い、くらいの額の役員報酬になったくらいです。僕の場合は。
うちはグロービス・キャピタル・パートナーズさんが入っているんですが、グロービスさんは取締役を派遣するので、取締役会で通さないといけない役員報酬にそんなに自由度はないです。あと、成功もしていないのに役員報酬を意味なくあげたところで、資金調達したお金がなくなっていくばかりなので、賢い経営者はしません。当然、気持ちよく仕事に集中できる妥当性のある報酬設定は必要ですが、女性や趣味にお金をつぎ込むのであったらダメっすよね。
なので「モデルの彼女と付き合い」は出資とは関係ないかなあ、と。仕事で忙しくて、お金あまりない経営者がモテるかというと、そうでもない気がするので、モデルの彼女と付き合えるような人は、そもそもベンチャー経営者じゃなくてもイケると思います。
「カッコイイスポーツカーを運転し」は、スポーツカーをぽんと買えるほどの報酬はもらえないと思います。たとえば中古のスカイラインを100万で買うとかなら貯金を切り崩したりすれば当然いけるでしょうし、ローンとかで買えるかもしれませんが、それもちょっと大手の企業に勤めている人と大差ないと思います。単に趣味に多めにお金をかけている、的な話かなと。
「インテリジェントビルにオフィスを構え」も、まあ、普通のオフィスを借りるのが普通だと思います。固定費にそんなにお金かけられないでしょうし。そもそも投資契約書には、(もちろんVCによるでしょうが)たとえば1000万以上の支出に関しては合意が必要、だったり、事前承認が必要だったりするケースもあります。投資したお金を馬鹿みたいに使われても困るわけなので。そのあたりの制限がかからずに、1年で倒産するくらいのスピードでお金を使うのはなかなかないのかなと。
ちなみに余談ですが、日本でザッカーバーグが有名になったのって、おそらく2011年1月15日の映画「ソーシャルネットワーク」だと思うので、その1年前からこういうことを言い出す人がいるとしても、2010年くらいからです。かつプレスを打って俺は日本のザッカーバーグだというくらいの人って、そこそこのITベンチャーを経営する&そこそこ資金調達しそうなんですが、そこあたりで投資された人たちで日本のザッカーバーグと名乗り、1年で破産するみたいなケースを周りで見たことはないです。
1億円以上の資金調達に成功した28社のスタートアップ・ベンチャーにみる億単位のラウンドの共通項 | The Startup
2010年移行とかで、ITベンチャーで1億以上の資金調達をしたリストを見ていても倒産している企業はひとつもなさそうなんですよね。なのでどの業界なんだろうという不思議があります。
なので、このあたりは盛ってるというか、嘘なんじゃないかと思っています。
投資されるとイケイケなの?
で、投資されると、それを返せないといけないの?というのも疑問として多く言われます。
結論からいうと、今のITベンチャーでは、あまりないと思います。昔はあったでしょうし、今もゼロではないと思いますが、VCからの出資はそういう性質のものじゃないので、銀行から借り入れをして運転資金を・・・みたいなドラマとかでよく見るパターンは少ないかなあ、と。
有名な磯崎さんという方もこう述べています。
これバズってますので一言。私はベンチャーに関わりだしたのが98年くらいからで経験が浅いせいか、まだ関わってた会社の社長が自己破産したのを見たことないです。イケてるベンチャーならちゃんとエクイティファイナンスして、社長が個人保証なんてしてないから、会社が潰れても個人破産する必要も無いし。シリコンバレーのベンチャーキャピタリストも、投資先の社長と個人破産で裁判所行ったことある人なんて、多分いないですよね。
少なくても今、IT系ベンチャーで起業して、資金調達するとしたらエクイティファイナンスが一般的だと思います。簡単にいうと、新株の発行を伴う資金調達のことです。デットの場合もあるでしょうけど。詳しくは以下の本がいいです。
上述の磯崎さんの本ですが、この本を読むと、いろいろ理解できるので、超オススメです。
失敗したら株を買い戻せ!というVCさんも昔はいたみたいですが、今だと「うわ、イケてない」と思われがちなので、減っているとか聞きます。実際はどうなんでしょう。うちの場合は契約にそういうのは一切入っていないです。
20年たったが、破産したにも関わらず、いまだに私に月に15万5000円づつ振り込んでくる元社長がいる。離婚もし、子供とも会えない。ゴミのような生活をしている。誰ひとりとして相手にされない生活だ。宅急便で夜バイトしている。そいつの借金は後50年ぐらいあるが、先日オレに事業計画書を持ってきた。オレは投資するつもりだと返答した。
なので、VCから出資を受けているのに、お金を借りたように15万円づつ返し続けるとかはあまりないです。20年間この額払い続けると、3700万くらいになるんですが、返しているんなら融資と一緒じゃんね、と思わないこともないです。
もちろん、これも性質によります。最近読んだこの本がめちゃくちゃおもしろかったのですが、借り入れとかをガンガンして、個人保証でも借りて、という勝負をする人もいます。
大変オススメの本です。
ただ、TechCrunchや、TheBridgeに掲載されるような、小さめのITベンチャーが資金調達した、というケースの場合には、ほぼだいたいがエクイティファイナンスをしてお金を集めて、勝負をして、ダメだったら売却か、解散か、というケースじゃないかなと。
というわけで
以下のように書かれていますが
残念ながら、飛んだあとでも連絡を取れるのは100分の1だが、そんな奴とは何度でも一緒にパイプ椅子に並んで座る覚悟でいるつもりだ。投資家にはぶんなぐられるが、そんな頭がおかしいVCがいてもいいと思っている。
個人的には、この人は頭がおかしいとは思いませんが、今どきなVCさんではないと思うので、日本のザッカーバーグになりたいような人は出資を受けないほうがいいタイプの人だとは思いました。
すごくなりたいなら、とにかく自分の周りの環境を作ったほうがいい
どんな環境でもできる人はできるのか?
よく、政府が起業を支援、とか、そういうことをいうと「どんな環境でもできるやつはできるから無駄」みたいな意見がでてくるのですね。
起業なんて後押しするものではない、起業したい人はすぐにしているはずだ、という論ですね。
まあ、もちろん、起業したい人は起業しちゃうんですが、普通に考えるとこんな感じかなと。
どんな環境でも、できるやつはできる、というのはあるんですが、できるやつっていうのがそもそも特異なんですよね。多くの人は環境に依存すると思っています。
僕とか、周りの影響とか、リクルートの影響がないと絶対起業しないと思うんですよね。人前に立つとか、リーダーになるとか、すごい苦手なタイプでしたし、将来の夢に、サラリーマンと書いてあったし、自分は誰かのサポートをする以外の活躍の道はないと思っていましたし。
つまりは、人の成長とか、能力とかほとんど環境に依存するんじゃないかと思うのですよね。もちろん、人が生まれ持っている性質は大きな方針にはなるとは思うんですが。
結構前ですが、こんな記事がありました。
さらに興味深いデータがある。東京大学が在校生の家庭状況を調査した「2010年学生生活実態調査の結果」(2011年12月発行)によれば、世帯年収950万円以上の家庭が51.8%に上った。ちなみに、厚生労働省発表では世帯平均年収は約550万円。東大生の半分が、日本の平均世帯年収の約2倍、もしくはそれ以上を稼ぐ家庭の子どもということになる。
東大生の親は年収高い人が多いので、子供を塾とか私立にいかせることができるのですね。そういう環境だと子供は勉強ができるようになる、と。
ちなみに、勉強だけでなく、体力にも差がでていると。
子どもの学力にせよ体力にせよ、やはり「おカネ」と関連している側面があります。前者は、通塾や参考書購入の費用を賄えるか、落ち着いて勉強できる環境があるか、というような経路です。後者の体力についても、昔に比べて遊び場が減る中、有償のスポーツクラブ等に通える子が有利になっているとも聞きます。
世知辛いなーと思いつつ、恵まれている人たちは、学力でも体力面でも、結果を出せる状況になっているわけです。逆に考えると、どんな人でも、環境さえ整っていれば、いい結果を出せると思うんですよね。
起業家だとどうか
というわけで個人的には「自分の能力がどう伸ばすのか」と同じくらい「自分の能力をあげる環境をどう作るのか」は重要だと思っています。
特に起業とかだと、みんな同じくらいがんばったりするわけですね。そうすると、努力の総量とかの問題じゃなくなってくるわけです。
弊社のエンジェル投資家の小澤さんがこんなことを言っていました。
南 楽天イーグルスの立ち上げでは常軌を逸したような数々の経験があり、小澤さんと一緒にいろいろなことを味わいました。小澤さんは、「楽天イーグルスの創業期は、最初から優秀な仲間が集まっていたのか?それとも経験が僕たちを進化させたのか?」とフェイスブックで問われていましたが、そのあたりについてどうお考えですか。小澤 結論から言うと、僕たちは進化したんだと思います。確率論的に、そんな優秀な人間ばかりが集まるわけはありませんから。人間は誰でもやればできるというのが、僕の持論です。優秀な人でなければものごとを成し遂げられないということはありません。
それには明確な理由があります。僕は、楽天を辞めたあとに旧長州藩と薩摩藩の足跡をたどる旅をしました。それで気づいたのですが、高杉晋作と桂小五郎の家は、50メートルと離れていないんです。大久保利通と西郷隆盛の家は300メートルぐらいの距離で、同じ町内です。これは「ライト・タイム、ライト・プレイス」なんですね。いい時期に居合せれば、人間というのは誰でもなんでもできるんだ、と。
「楽天イーグルス」創業という「劇薬」が、僕らを変えた――仲間を巻き込むコミュニケーションとは?元楽天イーグルス創業メンバー対談【小澤隆生×南壮一郎】(その2)
他のイベントでも話していたと思うのですが、要は「人間に生まれついての差はあまりなくて、環境次第で、誰でも素晴らしい偉業を成し遂げられる」ということです。明治維新みたいな、大きなインパクトのあることでも、同じ時代の同じような地域の人たちによって成し遂げられているわけで、たまたま超優秀な人が時代的にも場所的にも集まるなんてことはないわけで、環境の効果って大きいよね、ということです。
ちなみに小澤さんの投資先で、小澤起業家牧場と通称呼ばれているものに、僕らも入っていて交流しています。これは、起業家を成長させる環境作りとして非常にワークしています。
小澤起業家牧場がなし崩し的に開始。
— Takao Ozawa (@ozarn) October 12, 2010
起業家を育てる実験でがんす。常々ビジネスセンスを尊敬している後輩1名からスタートしました。 RT @itokenv: なんすか?それw RT @ozarn: 小澤起業家牧場がなし崩し的に開始。
— Takao Ozawa (@ozarn) October 12, 2010
これが2010年の投稿なのですが、その後、4年たった結果としては以下のような形です。すべて小澤さんが個人で投資した会社たちです。
■10億円以上調達・スターフェスティバル(グロービス、グリーベンチャーズ、ジャフコ)
・クラウドワークス(CA、DG、電通)
■5億円以上調達
・nanapi(グロービス、KDDI)
■1億円以上調達
・カタリズム(グロービス、ジャフコ)
・キラメックス(グロービス)
・TokyoOtakuMode(ITV、YJC、三菱UFJキャピタル、500Startups他)
■500Startups
・AppGrooves
・(TokyoOtakuMode)
■売却
・クロコス(ヤフーが買収)
・kamado(ミクシィが買収)
おもしろいのが、元々は何モノでもなく、イケてるかどうかわからないような人たちに出資して、牧場で育てて環境を整えることで、みんないい感じに成長しているという点です。
元々すごい人だったわけじゃなくて、いい環境にいたから、すごくなれるんだなあ、と思うわけです。僕がいうのはなんですが、ここの投資先の人たちも7割くらいが、結構ダメな人なので、環境次第では、全然花開かないと思うんですよね・・・。
というわけで
どれだけいい環境にいることができるか、というのが非常に重要だなあ、と思っています。もちろん生まれなどによって制限があったりもしますが、自分でコントロールできる範囲で、環境を最高によくするという努力をするのがいいんじゃないかなと。
NewsPicksに学ぶ!実名でも投稿の質がよくはならない理由
NewsPicksの質が下がっている?
最近、僕がハマっている「NewsPicks」というアプリがあります。これは、経済ニュースアプリで、竹中平蔵さんや、堀江貴文さん、グロービス堀社長などが実名でコメントしているところが刺激的です。
毎日何回も見ているのですが、コメントをつけるとlikeがついてそれがランキングになったりするので、めっちゃハマっています。これ系では、はてなブックマーク以来かも。NewsPicksとpressoは情報収集の必須アプリになりつつあります。
NewsPicksの特徴は、実名で投稿するのが基本になっているところです。はてなブックマークはID文化なので、この差は大きいです。
しかし、最近では「NewsPicksは質が低下したのでは?」という声をちらほら見るようになりました。
ちょっと前からnewspicksっていうアプリ使ってるんだけど人が増えてコメントの平均的な質がどんどん落ちてきてる
— 今日も一日 (@dionore) April 5, 2014
とはいえ、よく見るとウンコみたいなコメント付いてるんですけどね…。ユーザーが続々と増える前に、コメントコミュニティをしっかりマネジメントする仕組みを取り入れた方がいいと思った。コメントの質はNewsPicksのキモでしょうし。
— イケダハヤト (@IHayato) May 8, 2014
NewsPicks、ホントに馬鹿が増えてきたな...
— Yuhei Umeki (@umekida) August 13, 2014
だったりします。
こんなブログもありました。
実際に数を追っているワケではないので感覚値ですが、ユーザーの数が急増していることは間違いないです。
その結果、「良質」なPickが「薄まっているな」と感じています。
曲がり角を迎えるNewsPicks。「ニュースアプリの日経新聞」に進化するための5つの方法。 | Now or Never
ちなみにNewsPicksさん自体は「殺伐としないコミュニティにするには?」というような質問に対して、以下のように発言しています。
でもやはり、いちばん大きいのは実名かどうかだと思います。実名というのは発言に責任を持つことだと思うので、我々は実名かつ、会社名や役職も入れることを推奨しています。「一橋大学教授」とか「世界銀行コンサルタント」のように、多くの人は入力して頂いています。それが当たり前だ、という世界観をつくったことは大きいんじゃないかと思います。
NewsPicks梅田優祐【第1回】「"ニュースに対して、誰がどんな反応をするか"に価値を置く世界観をつくる」
実名=責任を負うと、殺伐としにくいという仮説のもとにやっているのかな、と思ったのですが、では実名制をキープしつつも、なぜ「質が下がった」という声が聞かれるのでしょうか。
実名・匿名論
コミュニティサイトにおいて、よくある議論として「実名にするか、匿名にするか」というのがあります。
実名制の主流は、いわゆるFacebook的なソーシャル・ネットワーキングがあります。そして、匿名としては、2chのような、オープンなコミュニティがあります。
で、個人的にはどちらにしても、おもしろいものはできますし、雰囲気の違いはあれど、どっちのほうが優れているとかはないと思います。(ちなみにこの実名・匿名論15年以上インターネットで話題になりがちなので、興味ある人は調べてみるといろいろな議論がありおもしろいかもしれません。)
しかし、よくある勘違いとして「実名にすると、投稿数は減るが、変な投稿がなくなる」というのがあります。ここの部分に関しては違う意見を持っていたりするので、それについて書いてみます。
実名制にすると制限される投稿
もちろん、実名制にすると、投稿されるコンテンツはある程度制限されます。たとえば、実名制でのニュースコミュニティサイトがあって、僕が投稿するときに「僕はうんこマン!」みたいな投稿は出来ないわけです。
図にすると以下のような感じです。
しかし、そういう投稿って実はあまり問題にならないのですよね。というのも、実名では書けないような変なことを投稿するには、「悪意」が必要になります。
そして、人間の悪意は長持ちしづらいというのがあります。少なくても「このサイトを困らせてやろう」くらいだと、すぐに飽きてしまいますし、そのサイトの運営者とかに明確な恨みがあったとしても、労力に対してのリターンが少ないので、続きづらい。怒りのエネルギーは大きいのですが、大きいが故に、持続するのが難しいのかもしれません。
というわけで、経験上、そういう人の投稿はすぐやむので、実はそもそも問題になりづらいのですね。
では、どこが問題になるかというと、実名で書けるけど、変な投稿なわけです。
どういうことかというと、
- 書いている本人は、実名でも書いてもいいと思っている
- でも的外れだったりおかしな投稿だったり、不快な投稿だったりする
です。
言葉を全く選ばずに、そういう投稿をする人を分類すると
- 知識がなく、変なことを書いちゃう
- 文脈を理解できず、変なことを書いちゃう
- 本心を書くことが悪いとは思わずに書く
- 悪い人じゃないけど、投稿がとにかくつまらない
みたいな人が多いです。
実名&オープンなコミュニティで問題になるのがこのあたりなのですね。最初は質の高い人が多くても、だんだんと人数が増えるがゆえに、一定の割合でこういう人が投稿するようになる。すると、「つまらなくなった」「ひどい投稿が増えた」と、質が高い人がいなくなってしまい、質が低いところでキープされる・・・そういうことが起こりがちです。
単なる必要な進化か
というわけで、個人的には、このままでは、はてなブックマークとNewsPicksでは、大きな差がでない可能性があるなと思っています。
違うのは、like機能があり、それによってランキング化されるので、ポジティブな意見がlikeがつきやすい=そちらにインセンティブがあり、ポジティブ目の意見が多くなる、というくらいじゃないでしょうか。
方法としては以下が考えられます。
1:バカな投稿にバカと言える仕組みをいれる
→たとえば、×が5件以上ついたら、コメントが見えづらくなる、など。(これは可視化されなくてよくて、多くの人がダメだと思ったものを見づらくすれればいいと思っています。)
2:フォローの他にブロック機能をつける
などなど・・・。
とはいえ、この問題はどのコミュニティでも起こりうるもので、それをアーキテクチャで解決するというだけなので、あまり心配がいらないと思います。単なる次のステージにいくための過渡期かなあ、と。
というわけで、NewsPicksさん、すごい好きなので、がんばってください。
追記
ちなみに、「何をもって質というか」という問題ですが、これは「見る人による」が正解だと思っています。当たり前ですが。
クラスタによって、全然価値感が違うわけですね。最近Twitterで西野カナ系のクラスタを見てたんですが、その中では僕はまったくおもしろい投稿はできずに、価値がない質の悪いものになっちゃったりします。
また、同じ意見でもNewsPicks内ではいいけど、他では評価されない、何いっているんだこいつ的になるというのもあったりします。
その意味では、質のいい悪いは「自分の好きな投稿が8割くらい見れて、同意できないけど不快にはならない情報が2割くらい見れて、不快な投稿はほとんど出なくなる」みたいなアーキテクチャがいいんだろうなあ、と思ったりしますが、それはまた別の話題ではあります。
NewsPicksはフォロー機能で担保しているものの、フォローしていない人の投稿もニュースに紐づくので、そのあたりで、質が悪いと「感じる」瞬間を作ってしまっているので、そこを解決する仕組みを作れればいいのかしら、と思っています。