電子鍵が普及するといろいろなチャンスがありそう
AirBnB的なものの流行
Airbnbという、超絶いけているサービスがアメリカで人気ですね。
簡単にいうと、自分の部屋を貸して、泊まれるようにしちゃうっていうサービスです。
これを、うちの会社では「膨大な空きリソースの活用」といっていたりします。以下みたいな記事を書いたら、めちゃくちゃPVがきました。
Airbnbの次は何が来る?「膨大な空きリソースの活用」70個をまとめ | nanapi TechBlog
ちなみに、スペースマーケットといういけてるサービスも日本ではじまっていたりします。
スペースマーケット(Space Market)
あいているスペースを活用する、という感じですね。
2014年〜2016年くらいは、こういう膨大な空きリソース活用、というのがビジネスの大きな流行になるのではないあkと思っています。e
そんでもって
とある知り合いが、自分のオフィスを、18時とかから?個人の人に貸し出してたりするらしいのですね。
そうすると、たとえば9時〜18時までは自分たちがオフィスで使う、そのあとの、あいている時間は個人の人が3−4人使って、月2万円とかもらっちゃうと、家賃がかなりうくんですよね。
土日や夜のオフィスなんて誰もいないわけで、でも家賃はかかり続けているわけで、シェアしたほうが当然いいわけです。
うちの会社とかでも土日にはあいているので、空いている会議室とかをかせるといいなあ、と思ったりしています。というのもオフィスない人達にとっては、渋谷で会議したり作業したりするのって、場所の確保が大変なんですよね・・・。
ただ、そういうときに面倒なのが、セキュリティなんですよね。鍵を渡すのもアレだし、時間によっては鍵を使えないようにしたいし、今誰が使っているかを把握したいし、と。
同じように、空きリソース系でいうと「自家用車」とか「自転車」とか「傘」とかいろいろ考えられるんですが、どれもセキュリティ&管理の手間がかかりすぎて広まらないというのがあります。
というわけで、やっぱり電子鍵かなと。お金を払うと権限がもらえて、スマホで開け閉めができる。シンプルなこの製品さえあれば、ほとんど解決するかなと。ログも残るし、利用時間もわかる。誰が使っているかがわかるから管理も楽だし、ユーザーもあいているかどうか把握できる。
技術的には簡単だと思うんですが、どっかが爆発的に売れて普及するというのが大変そうだなあ。KickStarterで、イケてるものがでてきて、それがすごい売れて、そっからその電子鍵を活用したサービスがたくさん生まれて、という形なのかな。
というわけで、早くイケてる製品がでないかなーと思っているこの頃です。
ベンチャーは、志は大きく、器は小さいほうがいいのではないか
吉田さんの志の大きさ
IVSという、IT経営者たちが集まる日本最大のイベントに行ってきたのですが、今回も非常に大きなインサイトをいただきました。そのうちから、一つ、感じたことを共有します。
友達に、クラウドワークスの吉田さんという人がいるのですが、話していると、この製品で、どういうふうに世界を変えるのか、という点について、非常に大きな志を持っていて、参考になるのですね。で、今回のイベントでもかなり熱く語っておられました。
たとえば、以下の記事です。
100億円の調達を当たり前にしたい、日本のスタートアップの資金調達事情 | TechCrunch Japan
100億調達を当たり前にしないと!という話をしているのですが、今後、IT業界はグローバル中心で戦わないといけない環境になりつつあるので、アメリカや中国と同規模くらいの資金調達をして、ダイナミックな動きに対応できるようになるというのは大事ですね、ということだと思います。
これは資金調達の話だけですが、クラウドワークスは、クラウドソーシングを使って、働き方自体を変えたいと思っているのですね。誰でも働きたい場所で働けて、いい仕事ができる。発注側も、無駄なコストを抑えてリーズナブルに発注できる、といったような環境を思い描いているのだと思います。
理想としては、働き手はより自分の得意な仕事に注力できてかつ報酬が増える。報酬といっても、金銭報酬だけではなくて、心理的報酬まで増えるようにする。発注する人は、質がいい仕事を日本中のいろいろな人に発注できる、という形なわけで、そこに向かって邁進しているイメージがあります。
クラウドワークスの年間流通額は20億円規模の見込み #IVS - THE BRIDGE
世界的にみても、インターネットを活用した働き方、というのは今後、さらに発展していくので、楽しみなところです。
一方で
そんな感じで、吉田さんは、非常に大きな志を持っているのですが、話してみると、すごく器が小さいんですよね。
たとえば、競合のランサーズさんという会社があるのですが、そこの社長のFacebook投稿に「いいね!」をおしたら
「けんすうさん、なんでランサーズの投稿にいいね!するんですか!私のこと嫌いなんですか。私の2日前の投稿にいいね!しなかったじゃないですか」
くらいは言います。すごいです。小さい。
なんでそんなことが言えるかというと、吉田さんは競合の社長が投稿するたびに、誰がいいね!を押しているかを逐一チェックしていたりします。
すげーなと思ってたんですが、最近、こういうところが結構大事な気もしてきているのですよね。
というのも、よく競合が出てきた時にインタビューとかで聞かれた経営者が答える「競合がでてくると市場が大きくなっていい」というのはたしかに非常に正しいと思います。ちなみに僕は「競合よりもユーザーを見るべき。競合の動きはあまり関係ない」と答えたりします。
一方で、ビジネス上では、競合の経営者は誰と仲がいいのか、誰が支援しているのか、どういう行動をするのか、新機能では、どういう反応をユーザーがしているか、というのはめちゃくちゃ大事です。自分の会社の価値をあげるために、できることをすべてするというのは、凄いことじゃないかと。
たぶん、成功できるかどうか不安で不安でしょうがないのでやっちゃうと思うんですが、そういう不安さから来る徹底力は、のちのちすごい結果になると思うんですよね。
楽天の三木谷さんも「0.5%の努力を積み上げることで、のちのちの大きな差になる」的なことをいっていたりします。三木谷曲線ってやつですね。
志の大きさとともに、こういう目の前のことを徹底するというのがとても大事だと思うこの頃です。
というわけで
ベンチャーは「志は大きく、目の前のことは地道に徹底的にやる」というのが大事だなあ、と再認識したこの頃でした。
ちなみに「こんな感じでブログ書いてもいいですか?」と確認したところ
器でかかった。
そんな吉田さんの新刊がでるようです。楽しみ。
スマホ時代のコンテンツは「瞬間」か「没頭」じゃないか
スマホ時代のコンテンツ
QUARTZというメディアがあるのですが、その中に「QUARTZカーブ」というのがあります。メディアを運営していたり、ブログを真面目に書いているような人は知っている人が多いかもしれません。
アメリカの新聞の平均的な記事の長さは、紙面の上から下までの一段の記事で、語数にして700語台である(日本語に訳すと2千数百字になる)。だが、『クオーツ』は、500語よりも短い記事と、800語よりも長い記事に特化している。
この哲学に行き着いたのは、トラフィックを分析したところ、デジタルでよく読まれるのは短い記事か長い記事のどちらかだという分析結果を得たからでもあり、700語台の記事は無駄が多いと考えるからでもある。
アメリカで躍進中のビジネスニュースサイト『クオーツ(QUARTZ)』 その編集方針と経営戦略を聞いた | New York Sophisticated | 現代ビジネス [講談社]
すごく雑に言うと「短い記事と長い記事しか読まれないわね」ってことです。
これは結構感覚値としても似ているのですが、スマホに主戦場がうつってから、よりこの傾向が顕著な感じがしています。
せっかくなので、弊社でやったらどうだったのか、的なものも交えて考えてみたいと思います。
短いものの代表
うちの会社は「nanapi」というハウツーのサービスを運営しているのですが、たとえば、今までは400-700文字くらいだった記事は、一枚の絵にするといいんじゃないかと考えました。
プリンでつくる簡単フレンチトーストをイラストでまとめたよ(。・з・。)φ(http://t.co/hBBEbN4wXDより) pic.twitter.com/gzNlqk9bpO
— nanapi (@nanapi) May 16, 2014
記事は普通のものなんですが、一枚のコンテンツにすると、なんかわかりやすいのかなぁ、と。実際、TwitterやGoogle+で投稿していると評判がいい感じです。だいたい、数十はRTされるようになっていますし、多いものだと2000を超えたりしています。
他にも、バイラルメディアさんとか、近いかもしれないですね。
また、「アンサー」というQ&Aアプリもやっているのですが、これもかなり短文文化です。
Yahoo!知恵袋よりも、さらに短文で、テンポよく、という感じです。
このように、スマホだと、「一瞬で理解できる」という情報が求められているのかもしれません。
ボケてとかはわかりやすいですね。一瞬で見れて一瞬で笑える
若者に人気の「We heart it」とかもそうか。
ピクトリーというアプリもかなりそういう傾向です。
長いもの
一方で、長いコンテンツというものも増えてきています。
たとえば、narrativelyという海外のメディアがあるのですが、かなり重厚な文章量になっています。
Master of the Macabre | Narratively | Human stories, boldly told.
Mediumとかもそういうコンテンツが多くなっているイメージがありますね。
7 Reasons Why You Will Never Do Anything Amazing With Your Life — Life Learning — Medium
日本だと、STORYS.JPとかが重厚なものが増えてきている?
STORYS.JPから初の書籍化 学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話
cakesさんもそうですね。
川上量生の胸のうち|川上量生|cakes(ケイクス)
ホリエモンドットコムも、インタビューが重厚。
「コーディネートのお手伝いをしたい」『ZOZOTOWN』『WEAR』で革命を起こした前澤友作が語る、ファッションECの未来とは?その1 | ホリエモンドットコム
もちろん、このあたりというのはPC時代から似たようなものがあったものの、スマホになり、持ち運びできるようなものが増えたからこそ、長い間没頭できる分量を見せるのに適しているのではないかと。PCだと、長いものはちょっとかったるいですものね。
というわけで
これからスマホのメディアやサービスを作る人は、どっちのコンテンツをメインにするか、意識してみるとおもしろいかなあ、と思いました。
なぜメディアはグローバルに挑戦しないといけないのか
グローバルサイト出してみました
英語もできないくせにですが、グローバルのメディアサイトを出してみました。
IGNITION
まだスマートフォン対応だけですが、スマホでみると、写真がちょっと動くのでおもしろいです。
さて、そもそもうちの会社は、nanapiという生活のハウツーメディアみたいなものをやったり、アンサーという、小粋なスマートフォンのQ&Aアプリをやっているのですが、なぜグローバルのメディアを立ち上げたのか、その理由を話してみたいと思います。
そもそものグローバル志向性はなかった
会社としては、いつかはグローバルやらないといけないんだろうなあ、と思ってたんですが、創業者2人とも、からっきし英語ができないんですよね。
一度、チャットで「俺らも公用語を英語にしよう」とやったことがあるんですが、「Oh」とか「yeah」とか、「Funky」とかしか言えなくて、最終的にはお昼の時間に「I am onaka pekoring」って投稿がきて、あ、ダメだと思ってやめた経緯があります。
ちなみに謙遜でもなんでもなくて、テストを受けてみたら二人とも中1〜中2レベル、という結果でした。
そんな中、グローバルやるとか、まだまだ相当あとだよね、そもそも簡単にグローバルとかいっても絶対勝てないし、日本にいるからまず日本で勝つべきだよね、と思っていました。日本で勝つのだって超大変なわけですし。
そんな雰囲気ではあったのですが、去年くらいに、結構ショッキングなことを聞いてしまって。
グローバルとの広告単価の差
nanapiの広告代って、1pv0.4円-0.5円くらいなのですが、海外の同じようなハウツーサイトの場合、1円以上〜2円みたいな感じらしいんですよね。
しかも英語であれば、ユーザー数は、潜在的に僕らの20倍くらいあるわけです。
となったらですよ。下手したら100倍ちかく収益性に差がでてくるわけです。メディアというのは、記事の質がかなり求められると思うんですが、かけられるコストが100倍になるとしたら、相当な差です。
nanapiでは、2010年くらいにクラウドソーシングのサービスを自社でつくって、300円とか500円で記事を投稿してもらうというのを作ってみて、それで成長した経緯があります。感覚的には、CGMでただで書いてもらうのではなくて、CGMのように投稿してもらうけど、ちゃんと対価を払う、的な感じでした。
しかしですね、最近だと、記者やライターさんも時間をかけて価値あるコンテンツを作るというのをやりたくなってきたのですね。CGMで主婦の方とかが書ける、シンプルな「野菜の切り方」みたいなのだといいと思うんですが、そこではかけないような、重厚なものにチャレンジしたいなあ、と。
メデイアはグローバルを目指すべき?
今、インターネット業界だと、ウェブマガジン系の記者さんの単価がすごい下がっています。。それだと、みんなつらい感じになっちゃうので、1記事にかけるお金が、雑誌とかよりも高くなるようにしたいなあ、と思っています。
ただ、それをやるのは、日本だけだと市場的におそらく無理なんですよね。おそらく広告単価はもうちょっとあがっていくと思うんですが、それでもグローバルでやっているメディアのほうがはるかにクオリティが勝る、となる気がしています。
海外のメディアが日本にやってきたときに、日本だけのメディアが負けていく、という形は今後の将来として大いにあるかなと。わからないですけど、ワイヤードとか、クーリエ・ジャポンが人気なのは、その傾向のはじまりなのかもしれません。
ということで、日本のメディアもこれからはグローバルに向けて書く、というのをベースにするくらいじゃないと、どんどんこれから辛くなっていくんじゃないかなあ、と思っています。海外の記事をベースにした良質な記事に駆逐されていっちゃい、日本のメディアはPVが安く稼げる、ゴシップや炎上ネタになっちゃう・・・となると、なんか切ないなと。
さらにいうと、海外でも「日本とかには別に記事出さなくていいや」となる気もしています。そうすると、良質な情報は英語でばっかりある、というふうになってしまうと思うんですよね。というか、すでにそうなりつつあります。
日本が情報で遅れるのもイケていないので、日本発でメディアが世界にいける、風穴でもあけられればいいなあ、と思ってやり始めました。
しかし
いやあ、しかし超大変です。記事を作るのもそうですし、広めるのも・・・。メディアはグローバルにいくべき、というのは別にえらそうに言いたいわけではなくて、もうやらなきゃいけない状態というだけだと思っているのですが、当然やるのはめっちゃ大変でした。
ようやく、最近、日本好きの人とかが紹介してくれたりすることも、少しだけ増えてきたのですが、まだまだ集客という面では厳しいです。もちろん、そう簡単にいくとは思っていないのですが。
日本のメディアが海外にいって成功するというのは、そんなにない事例ですし、成功する確率はかなり低いというのも事実だと思いますが、そこでの知見とかはなるべく共有していきたいと思います。100社くらい挑戦すると、1社くらいは成功するんじゃないかな。
というわけで、知人やお友達に、海外の方がいらっしゃったら、気軽に勧めていただけると幸いです。
よろしくお願いいたします。
IGNITION