SEOはそろそろ終わる?


最近、「SEOってもう終わるよね」と思っています。昔のブログを見たら、2005年にも同じこといってて恥ずかしかったわけですが、そろそろ本当に終わるんじゃないかと思ったので、もう一度まとめてみます。

あ、SEOの定義って何?という話にもなりがちなので、以下にも書いてみました。気になった方はどうぞです。

とても大雑把なSEOの言葉の定義と「SEOは終わる」議論のずれ - ロケスタ社長日記 @kensuu

コンテンツビジネスの背景


まず、Webコンテンツビジネスの背景を説明してみます。

Webでコンテンツを提供している会社のビジネスモデルは、多くが広告料です。広告はいろいろな売り方がありますが、一番多いのが「ページビューの多さに応じて増えていく」というパターンです。ページビューとは、要は「そのページが見られている数」のことです。

広告には、クリック率や、効果(実際に紹介されている商品を買うなど)によっても変動していきます。とはいえ、どの形であれ、基本的には「見る人が増えれば儲かっていく」という形です。

しかし、この広告はテレビや雑誌に比べるとあまり儲かりません。Webの広告費がどんどん増えてきている、という話は聞くのになぜでしょうか。

それは、単純に、ライバルが多いからです。ビジネス的に言うと、参入障壁が低すぎるからです。中学生でも、ブログを用意して、コンテンツをかけば参入できます。

テレビは免許制ですし、雑誌も印刷代とかがかかるので、そんなにライバルは増えません。しかし、Webだと無限といっていいほどライバルがでてきます。作るコストがゼロに近いからです。

Webが普及しようとなんだろうと、全体的なページビューというのはそこまで爆発的には伸びない時代になってきているので、食い合いになってきます。

合理的なSEOコンテンツ生成屋の「DemandMedia」登場


するとどうなるか。

売上があがらないなら利益をあげよう、ということで、コストを下げるという形になります。といっても難しい話ではなくて、「書くのが簡単で、ページビューが増えるのがいいよね」という方向になります。

書くのが簡単で、ページビューが稼げるのはどんなネタは何でしょうか。それは、検索エンジンにひっかかりやすいものです。Webのトラフィックの多くが、検索エンジン経由だったからです。

そこで、出ててきたのが「DemandMedia」です。

DemandMedia社が何をやったかというと、「検索エンジンにひっかかりそうな記事を大量に作って、広告代を稼ぐぜ!」というビジネスです。

これはなかなか賢くて、人がさがしているけどまだコンテンツがないものを探してきて、記事を人が書きます。自動生成などではないので、Googleの上位にでやすくなります。

これを「コンテンツファーム」と呼んだりします。

つまりは、SEOを最も過激に、そして効率的に行ったのです。そして、DemandMedia社は今年のはじめ頃に、アメリカで上場しました。株価もいい感じでつきました。

Googleによるコンテンツファーム対策


しかし、当然「こいつらの作るコンテンツはクソじゃね?」という人が多くいました。

Googleからしてみれば、ダメなコンテンツが検索結果に出るのは、自社の製品の価値を落とすので、なんとか避けたいところです。というわけで、最近、Googleがパンダ・アップデートをいうものを行いました。

これは何かというと、「質の悪いコンテンツとかを載せているサイトはランク落とすよ!人が見ていいものを評価するよ!」というGoogleの施策のひとつです。これによって、多くのコンテンツファームがランクを落としました。DemandMediaも相当なトラフィックを失いました。

下記がよくまとまっています。

Demand MediaがGoogleに撃墜された原因はブランディングの失敗? ≫ SEO Japan

んで、まあ、そんな感じで、ビジネス的にはなかなか難しくなってしまいました。

ソーシャル時代の本当の幕開け


では、これからはどうなるのでしょうか?

まあ、よく言われることといえば「FacebookやTwitterで評価されるものじゃないとPVが増えないよ!」ということです。ソーシャルメディアに対応しようぜ!ということなんでしょうけど、単に「友達がいいっていったものは読みたくなるよね」程度のことで、対して新しい考え方ではありません。

また、最近、アメリカでは「Quora」というサイトが流行っていたりします。これは質の高いQ&Aサイト、という感じで、大好評です。信頼できるいい人がちゃんと答えてくれるサイト、といった感じでしょうか。

以下にQuoraの社長の話がよくまとまっています。

sutebuu survival: Quora創業者の話を聞きながら思ったこと

特に心に残ったのは以下。

ウェブが汚い理由は、現状のサーチがリンクをベースに作られていて、基本的にSEOを考えるなら、物量作戦でとにかく情報をウェブにあげて、自分のコンテンツにリンクさせることが勝ちパターンになっているからだ。

今の世界では、QuantityはQualityに勝っている。

などといっているのが興味深いです。

結論だけいうと「SEOによってダメコンテンツ増えたけど、これからは良いコンテンツじゃないと生き残れないよね」ということです。

nanapiはどうなるの?


僕が代表をやっている会社では「nanapi」というのをやっているのですが、僕らも「検索エンジンにない情報を提供すると、ユーザーのためになるのでは?」と思い、記事数を増やしまくろうとしてた時期がありました。2010年の12月〜2011年3月くらいまでです。

しかしこれはダメだったんですよ。フリーのライターさんとかに頼んでいたんですが、検索エンジン狙いのコンテンツを書いてもらうと、現場感のない記事になってしまう。自分が行動していないものを投稿しちゃうので、なんかしっくりこないコンテンツなのですね。

ページビューを稼ぐ道具としてコンテンツを見ると効率は悪くないんでしょうけど、役に立つコンテンツを生み出さないとやっぱり意味ねーなと思って、4月5月くらいで、一気にコンテンツの改革をしてたのです。

そしたら、PVなども跳ね上がったんすよ。やっぱりいいコンテンツを出すというのが基本だな、と最近立ち返っています。

いいコンテンツとは何か?


で、僕らが考える「nanapiにあって欲しい、いいコンテンツ」とは何か、というのを今まとめています。

今考えているのは、

- [安心] 安心して記事を読める
- [行動] その記事を読んで、行動したくなる
- [共有] その記事を読んで、人に教えたくなる、自分が行動したことを伝えたくなる

を満たしている記事ではないかと考えています。

SEOを元にすると、困っている人に対して答えを出す、ということになりがちです。しかし、だいたいにおいて、答えはあるんですよね。「○○のやり方がわからない」で検索しても、まあ、だいたい出てくる。

しかし、「これをしてみたい」と思うような記事ってあんまりないなー、と思ったりもしています。そういう記事を集めたい、と思っています。

たとえば、最近投稿されたこれ。

簡単!元気がわく塩ライスの作り方 | nanapi [ナナピ]

男のガッツり料理!というものを出したくてやったのですが、男性にオオウケでした。実際にやった、という人もちらほらいてうれしいです。

ベランダ&室内ガーデニングを始めるための基礎 | nanapi [ナナピ]

こういうのもそうですね。

安心して読めて、それを読んで行動したくなって、やってみたことを共有したくなる、みたいなそんなコンテンツを集めて行きまくりたいです。

まだ、ダメなコンテンツがnanapiには多くあるので、そういうものも消していって、質の高い情報だけを残して、それをわかりやすくまとめたりして、いいコンテンツも集めていきたいと思っています。

nanapi