SEOの言葉の定義


この前書いたブログが結構いろいろなところで議論になっていて、盛り上がっているようです。

SEOの終わりとソーシャルとnanapiのコンテンツの未来 - ロケスタ社長日記 @kensuu

なんか咬み合わないなーと思ったら、どうやらSEOという言葉の意味が捉える人によって違うぽいので、まとめてみます。たしかにちょっとわかりづらい。

SEOの定義


いろいろな意見があると思うのですが、観測範囲でわかったSEOの言葉の定義を説明しておきます。

おおざっぱに分けて2つほどあります。

- 「機能的な意味でのSEO」
- 「ハック的な意味でのSEO」

機能的な意味でのSEO


機能的な意味でのSEO、とはいわゆるGoogleが出来ていないところを、Web制作側が手助けするという意味でのSEOです。

SEOはあくまで最適化です。Googleが本来の技術で出すべきSERPsが、Webサイト側が原因で適切に処理出来ないのを助けるのがSEOです。そもそも順位の変動は常にありますし。
SEOとは(おさらい編) - かちびと.net

このサイトがよくまとまっていてわかりやすかったです。

で、個人的にはこの範囲でのSEOはそのまま残るとは思うんですが、Googleの進化や、Webの標準化、ツールなどによって相当幅が狭まっているところだとも思っています。

たとえば昔はHTMLやCSSはもっと適当に書かれてたんですが、GoogleがHTMLタグの中身に頼りきらない性能になったり、ブラウザが進化して、標準的に書くことがやりやすくなったり、ブログが普及して意識しないでもまともなHTMLになったり、などでもはやSEOを意識しないでも成り立つ部分になっていたりします。

今でもこのあたりがダメダメな中小企業のサイトなどもあるので、そこを修正するという仕事はあると思うんですが、減少はしていくだろうなあ、と。(まともなWeb制作会社に頼めば、予算範囲内でちゃんと対応してもらえます)

ハック的な意味でのSEO


二つ目が、ハック的な意味でのSEOです。

いろいろなテクニックがありますが、一番ポピュラーなのは、リンクを張ってきて、「うちのサイトはたくさんリンクが貼られているよ!」と検索エンジンに対して見せることで、ランクをあげるというものです。

SEO業者の8割くらいがこれだ、ってSEO業界のえらい人がいっていました。定量的なデータはよくわかりませんが、個人的な体感値としては、たしかに割と多い感じです。

被リンクを購入するのは、単なるGoogleのアルゴニズムの隙をついたハックにすぎないので、ペナルティをくらう可能性があります。ただし、今、割と効果があるのも事実なので、よくビジネスとして使われていたりします。

(余談:被リンク購入は犯罪ではないので効果あると思ったらガンガンやったほうがいいとは思うのですが、中長期的には無意味かつ、リスクも高いので、あくまで短期的なハックだと思って使ったほうがいいようなものです。個人的にはリスク高すぎなので絶対に購入しませんが・・・)

ハック的な意味でのSEOの「進化」


で、ここに新しく出てきたのが「それっぽいコンテンツを大量に用意する」というハックです。もともとは、APIを使って他社からのコンテンツを集めてひとつのサイトにしたり、ワードサラダと呼ばれるようなブログを自動生成したりすることからはじまりました。

ここがGoogleの進化によって効果がなくなってくると起こったのが、コンテンツファームです。コンテンツを大量に人に作ってもらうことで対応するというものです。自動じゃないので、Googleも判別しづらい、と。

で、うまくいってた企業もあるんですが、最近だとそういう企業もダメになってきているよ、というのが2011年の6月くらいの状況じゃないかなあ、と思っています。

というわけで、 「機能的な意味でのSEO」、 「ハック的な意味でのSEO」上の2つの意味でのSEOはもう終わるんじゃないかなーと思っています。

ユーザーのためのサイトを作る=SEOでは?


そこで、よく出てくる議論としては「ユーザーのためのサイトを作るということがSEOではないだろうか」という意見です。で、結構ここを「SEOだ!」という人がいるのですが、僕はここをSEOだとは思っていないのですね。

ユーザーのためのコンテンツを作ったら検索の上位にきた、というのは結果をさして「SEOだ」というのはなんか違うかなあ、と。

逆に検索エンジンのためにいいコンテンツを作ったらユーザーに支持された、というのはどうか?という議論もあります。

個人的にはこれもちょっと違うと思っています。Webのトラフィックのうちの一部でしかない検索エンジンのためにコンテンツをよくする、よりもユーザーのために作って、結果として上位にくるほうが順序としては正しく、また合理的だと思うのですね。

10年前にSEOのえらい人がこういってたそうです。

検索エンジンのために最適化してはいけない…ユーザーのために最適化せよ!

SMX Advanced ロンドンに学ぶ2011年のSEOを成功に導く戦略 ≫ SEO Japan

ユーザーのためにコンテンツ作る=検索エンジンの上位に来る、は「ユーザーが求めてるGoogleの思想からいっても正しいと思うのですが、逆はなんかおかしいなあ、と。

SEOなんて単なるWebデザインの基本にすぎません。
そう。それはデザインであって、Webサイトの設計者が行なうべき仕事です。
まぁ、どんなキーワードが市場で有効かを知りたければ、それは調査担当者にお願いしてもいい。
でも、調査をいくらやったところで、それがサイトに反映されなければ意味はありません。

じゃあ、誰がそれを反映できるかといえば、設計者以外にありません。
それなのに、SEOコンサルタントとかを頼っているからわけわからなくなるわけです。
繰り返しますが、SEOなんて単なる情報デザインのほんの一部でしかないんです。

SEOをマーケティングの一部だと考えるのなんてもうやめたらいいのに:DESIGN IT! w/LOVE


なので、「ユーザーのためを思っていいコンテンツを作るのがSEOだ」という意見には、「それ別に普通のマーケティングじゃね」と思うわけです。

一方で思うこと


と、ここまで書いといて一方で思うこととしては、「Googleが進化する=SEOをやりたい人がユーザー目線でコンテンツをつくらざるを得なくなる=結果としてWeb全体がよくなる」のであればそれはそれでいいので、SEO業者さんはがんばってくれればいいかなあ、という気もしています。

僕個人でいうと、SEOは結構好きです。Googleは、「どういうものが人間にとっていいコンテンツか」というのを科学しようとしているので、おもしろいんですよね。そこを学ぶことで、さらに「人間にとっていいコンテンツとは何か」が深まる気がしているのです。

友達のアイレップの人とかは、SEOがすごい詳しくて、話もおもしろくて、真面目にSEOやっていて話していてとてもエキサイティングですし、SEO情報サイトである「SEO Japan」さんとかは僕のお気に入りサイトベスト5くらいに入っています。

というわけで、SEOが終わる終わらないって割とどうでもよくて、いいコンテンツが全体的に生まれていけばいいんじゃないかな、と思っているこの頃です。

(いいコンテンツって何よ、というのはまた別の議論)