シリコンバレーコピーではないサービス


日本のWeb業界でよく言われるものとして、「これからはグローバルを意識したサービスでないとダメだ」というものがあります。

これは超同意で、やっぱり世界を相手にするのと日本を相手にするのとでは、規模感が違うのです。日本の主な製造業とかも、みんな海外市場で大活躍なのです。

しかし、一時期「シリコンバレー的なものは日本には無理だ」と言われていました。シリコンバレーはGoogleとかFacebookとかTwitterとか出ていてスゴイ!なのに日本のサービスはダメだ!という理論ですね。

しかし考えてみれば、こんなことは当たり前です。シリコンバレーはシリコンバレーに根ざした文化や歴史があるわけで、いきなり「日本もシリコンバレーみたいになろう」といっても、同じものは作れるわけないです。一生懸命がんばって近づけたところでコピーしてもシリコンバレーには勝てないわけで。

僕はすごいスヌーピー好きなんですが、彼がこんなことをいっていました。

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「YOU PLAY WITH THE CARDS YOU'RE DEALT」
(配られたカードで勝負するっきゃないのさ)
「WHATEVER THAT MEANS」
(それがどういう意味であれ)

まさにこの通りで、「自分の強みを生かして戦わないと負けるぜ」ということです。

シリコンバレーに学ぶのはいいんですが、あれを羨んで「なんで日本はシリコンバレーみたいになれないのか」みたいなことをいっている時点でずれているわけです。

輸出できるは文化とコンテンツ


そこで、日本発信で世界で戦えるものは何でしょうか。

2ちゃんねるやニコニコ動画の創始者の西村博之さんは
そんなわけで、残っている資源は人的資源です。
医薬品、化学、青色LEDのような発明の特許、ハリウッドに代表される映像業界、出版、音楽産業、IT産業、ゲーム業界などがあげられます。

幸い、日本は教育レベルの高さや独自の文化圏によるセンスなどで、海外でも競争力があったりします。
戦後と震災とアニメ。 : ひろゆき@オープンSNS

といっています。

まさに今グローバルで活躍できそうな会社を見ているとこの通りです。

事例1:Pixiv



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すでに海外からのアクセスが11%を超えているそうです。Techcrunchによるとトラフィックは「毎月360万のビジターが、29億というすさまじい量のページビュー」しろうとの漫画ふうイラストで日本12位のビッグサイトになったPixiv)なので、10%とはいえ、かなりの量です。

なぜこのサイトが海外でウケるかというと、簡単で「この質と量の二次元イラストを集められる国は日本しかない」のであって、「その日本にしかないコンテンツのファンが世界中にいる」からです。

Pixivは海外展開を積極的にやるそうですが、シリコンバレーには作れない、日本ならでは戦えています。

pixivの使い方 - nanapi Web

事例2:DECOPIC


デコ系のスマホカメラアプリの「DECOPIC」は、いわゆる日本的な「プリクラっぽい写真加工ができるアプリ」なのですが、なんと25日で100万ダウンロードです。半端ない。そして、80%が海外ということです。

decopic_screen_hp


この凄さですが、日本でも大人気のInstagramの初動よりもスピードが早いといえばすごさがわかるでしょうか。

decopic_100


by プレスリリース

すでに7ヶ国語に対応したり、中国の人気SNSと連動したりしていますが、信頼できる情報筋によると、かなり海外からの利用率が相当高いようです。

これも日本人的なプリクラのセンスや加工を輸出していると言えます。シリコンバレーぽい、クールなInstagramとは全く違う、日本が強みを持っているものを作っています。

事例3:iQON


iQONはファッションコーディネートの共有サイトです。

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コーディネート・ソーシャルファッションサイト - iQON - アイコン

利用者がいろいろな服装の画像を使ってコーディネートを作れるのですが、このサイトのFacebookページを見ると37000人以上がいいね!を押しています。そして、いいねをしている人の多くが日本以外のアジア圏の人たちです。

(1) iQON

このいいね!数はちなみに日本だと100位くらいです。(2011/12/14現在)

fbrank.main.jp 日本語 Facebookページ ランキング

日本のファッションは世界的に見ても最先端!とか、アジアの人たちは日本文化へのあこがれが強いと言われたりしますが、そのせいか、日本語しか書いていないサイトでも日本人が作ったファッションコーディネートは興味あるのですね。

iQONもこうやって、アジアを中心にコンテンツを発信していき、そこからECにつなげるのかなあ、と思っています。日本人がコーディネートしないと出来ないコンテンツをためて、グローバルに閲覧させる、ということです。

おわりに


というわけで、ガンガンとグローバルに出ていくネットベンチャーが出てきていて、素晴らしいですね。GREEとかモバゲーさんもプラットフォームの素晴らしさではなくて、ゲームというコンテンツがうまくいっているのだと思いますし、ニコニコ動画も完全に文化を外に輸出しようとしています。

うちの会社でやっている「nanapi」も最近、動画を作りまくってるのですが、これも海外からのアクセスがちょこちょこあります。

nanapiv さんのチャンネル - YouTube

日本は教育が厚くあり、何かを図解や映像で教える文化が結構進んでいるので、このあたり何かないかなあ、と探しているこのごろです。がんばります。