こんなブログが


今日、起きたらこんなブログが話題でした。

20歳で会社をつぶした1年間の記録 |こっぺのぶろぐ

簡単にいうと、1年で会社をつぶした20歳の人のベンチャーについてです。

で、僕はもったいないなあ、と思いました。1年であきらめないで、もっとがんばればいいのに、と。

そして、もう一つのエントリーがあがっていました。

シリコンバレーの歴史、スーパー・エンジェルの誕生、日本企業との懸け橋を目指すNSVについて[後編] | Startup Dating [スタートアップ・デイティング]

ここでは、以下の記述が気になりました。

反対に日本は一度失敗すると、失敗した人というラベルがつき受け皿がなく、そもそも失敗を恐れてチャレンジしにくい環境がある。

そんなことないでしょ、と思ったのです。日本のネットベンチャー界隈で、生産的な失敗をした人が評価が下がって受け皿がないとか聞いたことないのですね。逆に変な失敗をしたらシリコンバレーでも日本でも駄目でしょう、と。

というわけで、このあたりの温度差について違和感を感じてたのですが、pixivの社長の片桐さんに話してみたところ、すっきりくる話をしてもらえました。120円を払えばブログに書いていい、といわれたので許可をとりつつ、共有したいと思います。

日本とシリコンバレーの違い


まず、日本とシリコンバレーの大きな違いが前提としてあります。

シリコンバレーは、ネットベンチャーは、企業単位ではなくてプロジェクト単位という雰囲気で動いています。Twitter社に入るのはTwitterをやるためだし、Facebookに入るのはFacebookをやるため、といった風です。(もちろん大手企業に入るといろいろなプロジェクトがありますが)

一方で、日本は雇用の規制が厳しく、人材の流動性が低いので、プロジェクトを立ち上げるように会社は立ち上がりません。

この時点で、少し背景が違うことを意識したほうがよさそうです。

新規事業について


という前提を持った上で、日本とシリコンバレーでの「新規事業の立ち上げ方」の違いを見てみましょう。

まず、シリコンバレーは、「シリコンバレー」という地域で単位で、人材が流動しており、その中で新規事業プロジェクトが動いているのではないかと思っています。シリコンバレーからは離れないけど、シリコンバレー内で興味あるプロジェクトに移る、というイメージです。

一方で、日本は、自社の中で、新規事業プロジェクトが動いているという感じです。社内でいい新規事業プロジェクトがあったら移るけど、会社の外にはでない感じです。

vision-1


僕が「失敗したら日本では終わりというのは聞いたことない」というのは、いわゆる社内単位の話だったのですね。僕のいたリクルートという会社では、僕は3年で7つくらいのプロジェクト、細かいものだともっと多くのプロジェクトに関わっていました。社内での新規事業の数は多く、がんがん失敗してもいろいろやってみるという雰囲気であり、単にプロジェクトが駄目だったからという理由で評価が下がる人はいませんでした。

さて日本で成功しているネットベンチャーを見てみましょう。

- サイバーエージェント
- GREE
- DeNA
- 楽天

どれも組織を作ってから当たるサービスを作っています。楽天とかもECから始めたとはいえ、EC以外の事業を積極的にやっており、最初から組織指向だったのではないかと思っています。

DeNAとかはまさにそのいい例で、優秀な人を入れて、組織を作る。そしてその組織で新規事業をいくつかやる、という形です。その中の一つがモバゲーだったわけです。

GREEは通常のSNSから、ソーシャルゲームへのpivot、という風に思っている人も多いですが、実は最初から、

田中氏
 そうですね。フレームワークという意味では、グリーをインターネットが好きな人が集まる会社にしたいですね。ライフスタイルもワークスタイルもネットぽくして(笑)。だいたい、いいサービスを思いついても普通の会社では作れないですよ。そのための組織が必要なんです。ソフトを内製してオープンソースで素早く作れる、足回りが強化された新しい会社スタイルがいるんです。

グリー田中社長、「継続してこそ、世の中に影響を与えることができる」

これに限らず、GREEの田中社長のインタビューを見ていると、組織について話していることが多いのです。「インターネットで世の中をよくしよう、おもしろくしよう」という理念の元に、やるサービスはなんでもいい、という形でやっています。

プロジェクト単位ではなくて、会社単位でものを考えているのです。

日本で成功する例


日本のネットベンチャーで成功するにはどうしたらいいか?と考えた時に、雇用の規制などの制限を考えるに、「いい会社を作り、その中に優秀な人材を集め、その上でプロジェクトを動かしていく」という形じゃないかと思っています。

大規模リストラなどが少ないため、人材が流動化しないため、新規でプロジェクト型企業を立ち上げるのはやや難易度が高いのですね。

となると、順序としては

1:まずイケてる組織を作る
2:そこからプロジェクトを成功させる
3:成功しなくてもその組織で新たなプロジェクトを立ち上げる

という流れになるわけです。

じゃあ、なんでその組織に入るのか・・・となると、それはビジョンや理念に共感している人が入ることになります。いわゆる、ビジョナリーカンパニーに近いです。組織のビジョンに共感して、その組織に入りたいと思うことから始まります。

ビジョナリーカンパニーでいうところの、「まずバスの席に優秀な人をつかせて、そこから到達点を決める」という感じです。

シリコンバレーは、日本でいうと一企業に近くて、「シリコンバレー的な思想を持った人がそこに集まって、様々なプロジェクトに参加している」という場所なのかもしれません。「最先端のテクノロジーで世界を変える」というビジョンに共感した人が参加している、と。

冒頭の違和感


冒頭の違和感についてこの考えを基に再考してみると、20歳の彼はベンチャーで成功したいなら、もしかしたら会社をつぶさなかったほうがよかったのかもしれません。

プロジェクトが失敗しても会社を続けて、また新たなプロジェクトをやるほうが、日本にはあっていそうだからです。また新しいプロジェクトをやろうとしても、組織作りからやらないといけないためです。

gumiやはてな、サイバーエージェントのように、組織があれば次のプロジェクトで大成功したりするのです。

日本では一度優秀な組織を作れば新規サービスをがんがんと立ち上げたりできます。昔でいうとリクルート、今でいうとサイバーエージェントやDeNAがそのエコシステムを持った強い組織になっているのではないかと思われます。逆に、そこまでいくのは大変なわけですが、、

ということで


こうみると日本でのベンチャーの立ち上げ方はシリコンバレーとは違いそうです。

受託をやり続けながら会社を持続させて、その中でサービスを作って会社の規模を大きくしているのは、たとえば、pixivやnanapiです。そういう形のほうが日本だと成功しやすいのかもしれないですね。

というわけで、日本でベンチャーを立ち上げて、新規サービスで成功したい人は、こういうことも考えてみるといいかもしれませんです。

ちなみに、ネットサービスやってる人たちってどんな感じで最初食ってるの?という質問があったので、こちらもまとめてみました。興味あればどうぞです。

日本でのネットサービスベンチャーの立ち上げ期はどうやって食っているのか - ロケスタ社長日記 @kensuu