リリースジャンキーとは?
最近、個人的に気をつけていることとして「リリースジャンキーにならいようにしよう」ということがあります。
リリースジャンキーとは先ほど僕が勝手に作った単語です。「新機能を追加したり、リニューアルをしまくることにハマってしまう」ということを表現してみました。Webサービス会社ではよくありがちで、僕らもそうなりそうになったことがあるので注意しています。
リリースジャンキーの問題
たとえば、何かサイトに課題があるとします。たとえば会員数が思ったより伸びない、アクセス数がこない、などなど・・・。
そして、「解決策は何か?」と考えた時に、一番出てきやすいのが「会員数を増やすための新機能を開発する」だったりします。
これは危険です。
というのも、機能追加をする、と決まったら、開発に入れちゃって、問題を一瞬忘れることができるのですね。とても楽なモードに入れます。
一発逆転を狙って逃げている、という状態になります。「このリニューアルが成功したらなんとかなる」という、ある意味根拠のない自信だけで、問題をみなくてよくなるので、意思決定者も現場もとても楽です。
「やってみないとわからない」「リーンスタートアップだ!とにかくユーザーの反応を見てから改善しよう」という便利なフレーズも今はあるので、新機能の作成が決定されてしまったりします。
問題を一瞬忘れるために、開発作業に没頭するという状態(リリースジャンキー)になると、モノを作っている感があって、楽しいのですが、問題は解決していないという状態になります。
そして、作った機能もたいして手を入れれずに、次の開発にいく・・・ということが起こりがちです。
リリースで問題が解決されるシーン
経験上、リニューアルや、機能追加のリリースによって劇的に数字が変わるということは稀です。というのも、その機能が使われるどうかわからない状態からスタートするからです。新機能なんて実験にすぎないので、失敗する可能性のほうが基本的には高いのですね。
やってみないとわからない、という点はそのとおりだと思いますし、機能の追加や改善は大事です。しかし、それが楽になるために安易な道に逃げてしまうのはとてもダメなことです。
実は、うまくいっているサイトの機能追加などは、うまくいきやすいです。Facebookが新しい機能つける、などは成功しやすいです。それはユーザーが満足しており、サイトがうまく回っている状態というのもありますし、機能をつけるときの考え方も常にユーザー目線になってるからだと思うのですね。
しかし、うまくいっていない箇所を改善するのに安易に機能追加するのは、逃げの選択肢であり、そんなもので機能が追加されても、ユーザーをさらなる混乱に落とし込めるだけです。
大事なこと
大事なのは、そのサービスのなにが一番のキモであり、それはどうやったら改善するか、なのです。
たとえば、僕達がやっているnanapiは、ハウツーが読めるサイト、というのがキモです。
となると、とにかく「ハウツーコンテンツは多くないといけない」という点はキモです。そして、それを快適に読むことが重要です。
となると集中すべきはハウツーコンテンツを多く集めることと、読みやすくすることです。それ以外は切り捨てるくらいの覚悟が重要だと考えています。
実際のリニューアル
数日前にリリースした、nanapiのver.5.0ですが、ここでの改善ポイントは
- 複数あったページをまとめて減らす
- 基本機能の検索を大幅に強化する
- システム改変、サーバー増強などで、表示スピードをとにかく早く
あたりです。機能追加は基本的にゼロ、というか大幅に減っています。
nanapi [ナナピ] | みんなで作る暮らしのレシピ
機能追加などはせず、本質だけを研ぎ澄ませて、改善していく、ということが意識されています。おかげさまで、非常に好評でほっとしています。
クックパッドなども、基本的にはレシピを載せる、探すの2つだけでした。ここまでうまくいってようやく掲示板機能などがついたのです。そこまでは本当にシンプルでした。本質を見れている好例ですね。
というわけで
新しい機能を作ったり、安易にリニューアルしたり「ピボットだ!」といって新規プロジェクトをはじめちゃいがちになっていないか、ちょっと考えてみるといいかもですね・・・。
といいつつ、シンプルを徹底しようとして間違った道にいくこともあるので、以下に記事を書きました。
「シンプル」という思考停止状態にならないために - nanapi社長日記 @kensuu