検索の次に流行るのは何か?
Googleが作られたのが1997年なので、2014年から見ると、17年も前だったりするわけです。
2000年くらいからGoogleが急拡大し、そこからの十数年は検索がインターネットの中心にありました。検索はすでにインフラといっていいレベルまで達しており、おそらくGoogleはこれからも検索という軸の中では、トップクラスを走り続けると思われます。
検索は、周囲のWebビジネスまで大きな影響を及ぼす、メガサービスです。この規模までのサービスは10年に一度出てくるかどうかです。
では、次に来る、検索に並ぶほどの大きな影響力を持つ情報サービスは、何なのでしょうか?
当然、そんなものは「わからない」が答えですが、今の材料を元に、予想してみることはできます。そこで、僕なりの予想をしてみました。こういうものは、いろいろな人の意見が出たほうがおもしろいので、みなさんもどうなるか発信してもらえるといいなあ、と思っています。
去年見たいろいろな記事のURLも貼っておくので、新年のネタ出し用にお使いください。
検索の弱点
膨大なネット空間を検索できる、という能力を人類が手に入れてから、情報流通というのは飛躍的に進化しました。
一方で、検索にも弱点があります。それは「検索ワードが思いつかないものは検索できない」ということです。
たとえば「ゼルダの伝説の神々のトライフォース2の発売日っていつだっけ?」とか「大塚寧々の誕生日っていつだっけ」とか「今流行っているカゲロウデイズって何?」とか「巡音ルカ / 初音ミクの「愛Dee/ Ai Dee」」のPVが見たいとかそういう時には検索は絶大な効果を発揮します。一方で「今日、なんかうまいもの食べたいけど、何にしようかなー」とか「彼氏からこういうLINEが来たけど、どういう意味だろう・・・」とか、自分が興味ありそうなブログ記事を見たい、みたいなものは検索できません。
要は、「探したいものを顕在化させ」→「それを1〜3語程度の単語に変換し」→「検索結果から取捨選択する」というプロセスが必要なため、そのプロセスにマッチしないものは探せないのです。
逆に言うと
「探したいものがあるけど、顕在化していない(潜在的なニーズを発見できる)」
「単語に変換しづらい悩みや知りたいことを教えてくれる」
「何が正しいのか取捨が簡単にできる」
あたりのサービスは、次に来るものとして、筋がいいのではないかと思っています。
次のサービス
というわけで、いくつかピックアップしてみました。
その1:ソーシャル
これはもうすでにインフラレベルまで来ています。Facebookは10億人を突破しています。
そもそもSNSは、人間関係は変化していくのに、ソーシャルグラフを変化できないという弱点があるサービスですが、Facebookはテクノロジーで、それを解決してくれるのではないかと思っています。疎遠になっている人のニュースフィードには出てこないとか、現在アクティブの友達とそうでない人を区別するとか、出てきそうですね。
SNSなんて2004年くらいから流行っていましたし、検索の次になるのではないかと言われているのも、2009年くらいからガンガンと言われてたわけですが、個人的には本当の意味で検索並に影響力を持ち始めてきたのは、最近なんじゃないかと思っています。
Where Did All The Search Traffic Go
http://www.buzzfeed.com/aswini/where-did-all-the-search-traffic-go
以上の図は、BuzzFeedさんが出している「Referrals from Facebook and Google to publishers on the BuzzFeed Network」というものです。BuzzFeed Networkでは、FacebookからのリファラーがGoogleを抜いたというものなのですね。
たとえば、UPWORTHYというサイトでは、とにかくシェアをすることを第一においています。
同サイトは開設後わずか14ヶ月で月間ユニークユーザー数(のべ訪問者数から重複を除いたもの)が3000万人を超え
ともあるように、かなりのユーザーを獲得しています。
UPWORTHYが伝える「シェア」への執念 | THE NEW CLASSIC
http://newclassic.jp/archives/2076
UPWORTHYは日本でも話題になりつつあり、家入一真さんという日本の有名な哲学者の人が同様のサービス「dropout」をリリースしています。
【インタビュー】家入一真が「dropout」をやるべき理由ーー弱者とマイノリティとLivertyと - THE BRIDGE
http://thebridge.jp/2014/01/interview-with-shinpei-takagi-and-kazuma-ieiri-about-dropout
インタビューでは以下のように述べています。
ーー試しに「Upworthyのコピー」やろうよって家入さんに言ったのこのインタビューの時でした。
家入:上っ面の希望を語るのではなく、絶望から見える風景というものがあるんじゃないかとは常々思ってて、普段人が目を背けてしまう様な事象や問題にフォーカスしたメディアをやりたいと考えていたんですよね。「ほぼ日刊ぜつぼう新聞」とかどう?なんて冗談半分に話しながら(笑。
そんな中、キゴヤマ(注:筆者のペンネーム)から Upworthyを教えてもらい、「これは家入さんがやるべきだよ」と言われた時に、「これしかない!」と。
というわけで、ソーシャル×バイラルというものにより、メディアの様態が変わりつつあるのがおもしろいなあ、と。
このように、10億人クラスで人と人がつながるようになったことで、周囲のサービスまで大きな影響を持つようになっているのが、ソーシャルです。これはまだ始まりだと考えると、今まで想像できなかったようなサービスが出てくるかもしれません。
少なくても情報収集においては、友達がいいと思っているものは自分もいいと思う可能性は高いはずです(類は友を呼ぶ的な意味で)。
その2:キュレーション
みんなだいすきキュレーションです。キュレーションもなんだかんだいって、2009年くらいから来るぞ来るぞと言われていて、実際に来ているわけですが、
今までキュレーションというと、2chをまとめたり、Twitterをとめたり、などを想像しがちですが、これがさらに発展していくのではないかと。
NAVERまとめは、単にサイトをいい感じにまとめた、と思われがちですが、価値はそれだけではありません。検索の代替として使われつつあります。
というのも、「いい感じの検索結果を見たいけど、どういう検索をしたらいいのかわからない」というのは結構あります。
前述の通り、検索は「探したいものを顕在化させ」→「それを1〜3語程度の単語に変換し」という必要がありますが、キュレーションはそれらを解決してくれます。
たとえば、「今日の昼にパスタ食いたいなあ」と思った時に、パスタで検索しても、おいしいパスタのレシピは出てきません。そもそも、どういうパスタが食べたいか、ペペロンチーノなのかカルボナーラなのかが明確な人でない限り、検索で探すのは大変です。
というときに、キュレーションがめちゃくちゃ便利なのですね。たとえばNAVERまとめだと、以下みたいなページがあります。
パスタ - NAVER まとめ
http://matome.naver.jp/topic/1Luv0
ここを見ると
・簡単なのに激ウマな『がっつり肉系パスタ』レシピ
・一人暮らしの料理!? レトルトパスタソースまとめ
・カルボナーラを極める!簡単カルボナーラのレシピ15選
みたいなまとめが見れます。こうなると、あ、じゃあがっつり肉系パスタのまとめをみてみようかなと判断でき、そこからレシピを選択できます。
潜在的に探しているものを顕在化させて、単語にすることがなく、検索結果に飛べるということです。そういう意味で、NAVERまとめは今までのディレクトリ検索の代替となっているのではないかと。
(余談ですが、Yahoo!くくるという、キュレーションサービスがありましたが、Yahoo!内では、ディレクトリ検索に代わるものとしての立ち位置だったそうです。キュレーションされたまとめページは、人の手による検索結果というイメージに近いのでしょう)。
その3:Push型ニュースサービス
スマホで盛り上がっているところです。
まず、ニュースをどう届けるか?というところが、スマホ時代に非常に多様化しています。
PC時代には、編集部型のYahoo!Newsがあり、ソーシャルブックマークのはてなブックマークがありました。
そして、スマホ時代になり、SmartNewsのような、キャッシュ化や読みやすさをテクノロジーで解決するもの、Gunosy(グノシー)のようなニュースの収集をテクノロジーで個人にあったものにする(パーソナライズ)もの、NewsPicksのような、識者によるピックアップ、など、様々な形で出ています。
個人的にはGunosyが注目です。正直にいうと、最初は「パーソナライズされた情報なんて必要ないんじゃないか?」「ほとんどの人は、みんなと同じものを読みたいのではないか」と思っていました。そして、僕の観測範囲の記事ばかりでてきたので、情報収集をちゃんとしている人には意味がないサービスじゃないかと感じてたのですね。
しかし最近、異常に精度があがっていて、自分が探せていなかった記事がガンガンと出るようになって、かなり重宝するようになりました。逆にはてなブックマークのようなサイトなどを見なくなりつつあります。
自分が意識せずに自分が欲しいと思う情報が毎日2回くるというのは、かなりストレスフリーなのですね。ニュースサイトを読みにいく、という感じでもないので、イケてるなあ、と。
何がいいたいかというと、起動するだけで知りたい情報が手に入る、つまり、個人にあった情報が出てくるため、取捨選択があまりいらない状態になってくる、という未来はあるんじゃないかと。
当然Googleもこのあたりはパーソナライズ機能を入れているのですが、それでも検索単語を入れるという必要があるわけです。
何も考えずにアプリを起動するだけで、読むべき記事を提供してくれるというGunosyみたいなサービスはこれから拡大していくんじゃないかと思っています。
その4:先読みリアルタイム情報提供
Google nowさんですね。そして、Google Glass。
by Google で、できること
スケジュールや、今いる場所や、メールの内容から、今出すべき情報を出すというものです。
Gmailから、Googleカレンダー、そしてAndroidを抑えているGoogleさんが最強ですね・・・。その内容を常にディスプレイするGoogle Glassに搭載するという流れは、まさしく検索の次を見ている感じがして、超かっこいいです。
Googleの究極の目標は検索の変貌, 何もかも究極のパーソナルアシスタントに奉仕する情報へ
http://jp.techcrunch.com/2013/12/26/20131225google-wants-to-build-the-ultimate-personal-assistant/
このあたりの記事を見るとよくわかるんじゃないかと。
その5:モバイルネットならではの動画
動画コンテンツも何年も前から来ていますが、モバイルがで動画を見る、という形になっていくと、今までとちょっと違う感じになるような気はしています。
女性F1層、約3割がスマートフォンのみで動画サービスを利用
http://markezine.jp/article/detail/18608
YouTubeのトラフィックも、すでに40%がモバイルとのことです。
今やYouTubeトラフィックの40%がモバイル。2012年は25%、2011年には6%だった
http://jp.techcrunch.com/2013/10/18/20131017youtube-goes-mobile/
たとえばTwitter社のやっている6秒動画投稿サイトである「Vine」のように、短尺動画やツイキャス」のようなモバイルだけで生中継ができるサービスは、モバイルならでは、という感じがします。
アプリの日本語化で増加が見込まれる”Vine”によるwebプロモーションキャンペーン
http://blogos.com/article/74395/
Vineはユーザー数が4000万人とのこと。
大学生の半数が利用するツイキャスの魅力を開発者に訊く
https://weekly.ascii.jp/elem/000/000/189/189537/
ツイキャスは日本の若者と、(なぜか)ブラジル人に人気。
YouTuberと呼べるような人たちも出てきています。ネットタレントプロダクションみたいなものもあるみたいですね。おもしろい。
uuum – 日本を代表するYOU TUBERのネットタレントプロダクション、uuum OFFICIAL SITE(ウームオフィシャルサイト)
その6:モバイルコミュニティ
コミュニテイ系もこれからですよねー、と思っているのですが、最近、話題になっている、5秒くらいで写真が消える「Snapchat」とかは日本でもはやりそうです。
僕の今年の、あけおめメールも、LINEよりもSnapchatのほうが多く来ました。そういう時代なんだなあ、と。
注目なのが、非言語です。以下みたいな記事も書きました。
投稿サービスを考えるとき、「文字を極力使わない」のが今後の主流になる?
http://blog.livedoor.jp/kensuu/archives/54664340.html
最近、教えてもらったサービスでは、React Messengerというのがおもしろかったです。
自撮り写真つきメッセージが送れるアプリ「React Messenger」登場 絵文字のように顔写真を使用
http://techable.jp/archives/8906
絵文字のかわりに自分の顔を送るというやつですね。
いいね!とただ書いたりするのだと味気ない、でもスタンプとかではみんな一緒、というところで、「いいね!といっている自分の顔を送る」という発想はおもしろいなあ、と。
nanapiでも、「アンサー」という、Q&Aコミュニティのアプリを出していますが、即レスをキーワードにしたところ、悩みをネタに話しまくるサービスになってて、おもしろいです。
(宣伝でした)
その7:広義のウェアラブル
ウェアラブル、というのは身に付けるデバイス的なもので、Google Glassとか、スマートウォッチと呼ばれるものだったりしますが、これらの拡大とともに、広義な意味でのウェアラブルが増えてくるんじゃないかと思っています。
グーグル、ホンダやGMらと提携--「Android」の自動車搭載に向けて - CNET Japan http://japan.cnet.com/news/business/35042151/
車とかもウェアラブルといってもいい感じになってくると思うんですよね。
そして、そのあとは、インプラント系というか、身体にデバイスを埋め込む、という感じになると思うんですが、2014年中にはまだまだなのかなあ、と思っていたりします。
というわけで
適当にだらだらと書いてみましたが、こんな予想とかをはるかに超えるような、意味わからない革新的なものとかが出てくるんだろうなあ、と思うと楽しみで仕方ありません。
こういうときによく読みなおす本が以下なんですが、僕もでていて、いろいろ語っています。おすすめなので、よければ!