永続する組織の鍵は宗教にある?


どっかのエントリでもかきましたが、GMOインターネットの熊谷社長は組織づくりの際に、宗教を参考にしているそうです。

GMOを創業した熊谷氏が、浮沈の激しいインターネット業界で、「永続する組織の条件」を語っているのが面白かった(「日経ビジネスオンライン」インタビューより)。

熊谷氏は、会社という組織よりもキリスト教や仏教などの宗教(団体)の方が、長く続いていることに気づき、これらの宗教を研究して、5つの共通項を見つけた。

1.同じものを読んだり歌ったりする(お経や賛美歌など)。
2.定期的に一つの場所に集まる(メッカなどの聖地)。
3.同じ形をとる(手を合わせる形など)。
4.同じものを身につける(キリスト教なら十字架、仏教だと数珠など)。
5.みんなが強く信じている「神話」がある(キリストの受難、釈迦の悟りなど)。

熊谷氏は、「この5つを組織に導入したら、組織は自ら語り出して強くなっていくのではないか」と思ったという。

「永続する組織の条件を宗教に学ぶ」−熊谷正寿GMOインターネット会長|経営ラーニングデザイナー 加藤弘道のブログ

このあたりおもしろいなあ、と思っているのですが、Webコミュニティ作りにも役に立つのではないかと思っています。

このブログでも何度か紹介しているQ&Aコミュニティの「アンサー」というものを作っていて、やはりコミュニティは一筋縄ではいかないというか、人間とは何か、というのを考え続けないといけないかなあ、と思って、常にだらだら考えているところです。

2chの例


宗教的な要素があるWebコミュニティは、サービスとして強いです。たとえば、2ちゃんねるというのは、仕組み的にはスレッドフロート式掲示板というもので、同じ仕組を使った掲示板は、当時何百という数であったのですね(僕がやっていたミルクカフェというサービスもそれです)。

スレッドフロート式掲示板とは、掲示板の中に話題(スレッド)がいくつかあり、レスをつけると一番上にあがる、というものですが、この形式は非常に優れていて、うまく使えば強烈に使いやすいのです。なので、この仕組みを使った掲示板郡と呼べるものが多く生まれたわけです。

しかし、今残っているのは、2chを除くと、非常に少ない。そして、残っているものも影響力はほとんどない状態です。同じ仕組みを使っており、一部のサイトは数千万PVなどをたたき出していてユーザーも多かったのに、なぜ廃れてしまったのでしょうか。

そのヒントが「宗教的なもの」だと思うのですね。2chにあって他のサービスになかったのではないかと。

たとえば、「1.同じものを読んだり歌ったりする(お経や賛美歌など)」。もともとは「あめぞう」という掲示板や、その前に流行っていた「あやしいわーるど」といったコミュニティサイトでもよく使われていた、特有の顔文字やアスキーアート、言い回しなどはあったものの、それを吸収した2chは、その後、それらの文化の発信源となっていました。

他のスレッドフロート式掲示板などでは、あまりオリジナルのものが生まれておらず、ほとんどが2ch発という状態でした。

そして、2chでは、日々、オリジナルの顔文字やアスキーアートが生まれ、また、「コピペ」と呼ばれる、コピーして貼りたくなる書き込みも多くありました。コピペは、今でいうとTwitterのReTweetに近いのですが、仕組みはまったく用意されておらず、ユーザーが手動で貼り付けるという形だったのですが、これが「同じものを読んだり歌ったりする」「同じ形をとる(手を合わせる形など)」に近いのかもしれません。

「同じものを身につける(キリスト教なら十字架、仏教だと数珠など)」も強くあります。2chでは、基本的には「名無しさん」という匿名の名前があります。名無しさんといえば2chというイメージが強くある人も多いのではないでしょうか。名無しさんとついており、2ch的な用語を言うと、自分は「2ちゃんねらー」と呼ばれるものになります。不思議と2chぽい振る舞いと性格になります。いわゆる、ごっこ遊びに近い感覚なのですが、同じキャラクターを共有している感覚といえばわかりやすいでしょうか。

今はどうかわかりませんが、2000年代前半は、2ch的な振る舞いを、2chの外でやると「壺に帰れ(※壺とは、2chを指す蔑称)」と言われたものです。逆にいうと、2chというものに所属意識があり、2chユーザーというイメージが強くネットユーザーの中に想起できる状態だったのですね。

これはたとえば「兄ちゃんねるに帰れ」とか「いちごびびえすに帰れ」とかはあまり言われなかったわけです。このあたりの差は大きいのかなあ、と。

「5.みんなが強く信じている「神話」がある(キリストの受難、釈迦の悟りなど)。」は、たとえば、閉鎖危機というものがありました。これはサーバの限界に達して、このままだと2chが停止するよ!という状態のものだったのですが、UNIX板という2chの中の掲示板ユーザーががんばって、なんとか閉鎖を免れたというものです。

これは神話に近いですね。また、電車男なども近いかもしれません。

こういうものがあるから、2chは宗教的な魅力を帯びていて、開設から15年がたとうとしている今でも、インターネットの中で強い影響力を持っているわけです。

他の例


2ch以外でも「定期的に一つの場所に集まる(メッカなどの聖地)」などでは、たとえばニコニコ動画の例があります。時報という、とある時間になったら強制的に一つの場に飛ばされるというものがあるのですが、あれがあるおかげで、一度に大量のユーザーが集まる場になるわけです。

全然違うクラスタの人とか、違う動画を楽しんでた人も交じるので、ちょっと親近感がわくのですね。

ニコニコ動画は、ユーザーが「ニコ厨」と呼ばれたりしますが、そういう名称があるのも魅力の一つなのしょう。

最近、うまいなーと思っているのが、「schoo(スクー)」です。インターネット上で、授業が聞けるサービスなのですが、生放送にこだわっているので、授業を聞いていると聞いている同じユーザーさんと場と時間を共有できるので、非常に一体感があります。授業が終わったあとに、いっせいにFacebookで「おもしろかったー!」みたいに投稿するので、盛り上がっている感も出てきます。

使っている用語も学校をベースにしているので、

schoo(スクー)_WEB-campus

授業がない日は「休校日」と出したり、授業を見る際には「着席する」ボタンを押すなど、世界観が統一されています。

たとえスクーと同じようなものが出てきても、スクーを使いたいと思う気持ちが出てくるのは、このあたりからなのかなあ、と思っています。

「同じものを身につける」でいうと、Appleがやった「iPod、iPhoneのイヤホンを白くする」というのも近いのかもしれません。白いイヤホンをつけていると、Appleユーザーだとわかるわけです。お互いに同じものを身につけているので、Appleファン同士で、ちょっと嬉しくなるような、そんな気持ちがしたのは私だけではないと思います。このあたりも素敵ですね。

というわけで


このあたりは何かのヒントになるんじゃないかと最近ずっと考えています。

ちょっと余談ですが、社会批評というか、Webサービスが社会にどう関わりがあるか、どう影響があるか、というところは日本でももっと論じられてもいいような気がしています。

日本でも数冊、本はでているのですが、とにかく数が少ない気がするのですよね・・・。

何度か紹介していますが、個人的には以下の2冊がオススメです。




2chとかニコニコとかSNSに強いです。

PLANETS vol.8
宇野 常寛
第二次惑星開発委員会
2013-01-04



食べログの研究があったり、チームラボ猪子さんの日本的な想像力とネットについて書いてあったりと、かなり刺激的です。