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最近、こんなYahoo!知恵袋のページが話題になっていました。

倒産した会社の社長って、倒産後何をしているもんなのでしょうか? 消息不明にな... - Yahoo!知恵袋

なんかいい話だ、とか話題になっていますが、IT系のベンチャーで投資を受けたりしている身としては、全然別世界の話だなーと思っています。まあ、昔の話も入っているぽいので、今と現状は全然違うだろうけど。

投資を受けるベンチャー企業をやっている人みたいなのは少数派なので、実際はどういう感じなのかの例があると、参考になる人もいるかなーと思うので、この投稿を元に書いてみます。

投資されるとイケイケなの?

まず、いいたいことは、億単位で出資を受けたからといって、イケイケになるには程遠いということです。

先ほどのページから引用します。

私はVC(ベンチャーキャピタル)という奇特な商売を20年もしているので、当然、投資失敗!事業失敗!株主や債権者さん・・・すいません飛びましたという場面にしょっちゅう立会う。

イケイケの「オレIPOしますよ。見ててください!」という、若者が、その後、モデルの彼女と付き合い、カッコイイスポーツカーを運転し、インテリジェントビルににオフィスを構え、プレスで堂々と会見し、日本のザッカーバーグと自分で言っていたベンチャーの社長が、1年後に、オレと一緒に東京地裁の民事20部でパイプ椅子に並んでマイクで呼び出されるのを待つという構図は何度となく見てきた。

業界によってはあるかもしれませんが、基本的に、こういう失敗パターンは最近だとそんなに見ないんじゃないかなーと思いました。

たとえば、ベンチャーキャピタル(以下、VC)から調達をうちは6億くらい総額でしているんですが、なかなかこういう状況にならないと思うんです。

というのも、まず、調達してお金があるからといって、役員報酬をめちゃくちゃあげるというのは現実的ではありません。当たり前ですね。事業のために投資してもらっているわけなので、いきなり役員報酬を年収2000万にしてください、みたいなのはないわけです。正直、前職に比べてちょっと低い、くらいの額の役員報酬になったくらいです。僕の場合は。

うちはグロービス・キャピタル・パートナーズさんが入っているんですが、グロービスさんは取締役を派遣するので、取締役会で通さないといけない役員報酬にそんなに自由度はないです。あと、成功もしていないのに役員報酬を意味なくあげたところで、資金調達したお金がなくなっていくばかりなので、賢い経営者はしません。当然、気持ちよく仕事に集中できる妥当性のある報酬設定は必要ですが、女性や趣味にお金をつぎ込むのであったらダメっすよね。

なので「モデルの彼女と付き合い」は出資とは関係ないかなあ、と。仕事で忙しくて、お金あまりない経営者がモテるかというと、そうでもない気がするので、モデルの彼女と付き合えるような人は、そもそもベンチャー経営者じゃなくてもイケると思います。

「カッコイイスポーツカーを運転し」は、スポーツカーをぽんと買えるほどの報酬はもらえないと思います。たとえば中古のスカイラインを100万で買うとかなら貯金を切り崩したりすれば当然いけるでしょうし、ローンとかで買えるかもしれませんが、それもちょっと大手の企業に勤めている人と大差ないと思います。単に趣味に多めにお金をかけている、的な話かなと。

「インテリジェントビルにオフィスを構え」も、まあ、普通のオフィスを借りるのが普通だと思います。固定費にそんなにお金かけられないでしょうし。そもそも投資契約書には、(もちろんVCによるでしょうが)たとえば1000万以上の支出に関しては合意が必要、だったり、事前承認が必要だったりするケースもあります。投資したお金を馬鹿みたいに使われても困るわけなので。そのあたりの制限がかからずに、1年で倒産するくらいのスピードでお金を使うのはなかなかないのかなと。

ちなみに余談ですが、日本でザッカーバーグが有名になったのって、おそらく2011年1月15日の映画「ソーシャルネットワーク」だと思うので、その1年前からこういうことを言い出す人がいるとしても、2010年くらいからです。かつプレスを打って俺は日本のザッカーバーグだというくらいの人って、そこそこのITベンチャーを経営する&そこそこ資金調達しそうなんですが、そこあたりで投資された人たちで日本のザッカーバーグと名乗り、1年で破産するみたいなケースを周りで見たことはないです。

1億円以上の資金調達に成功した28社のスタートアップ・ベンチャーにみる億単位のラウンドの共通項 | The Startup

2010年移行とかで、ITベンチャーで1億以上の資金調達をしたリストを見ていても倒産している企業はひとつもなさそうなんですよね。なのでどの業界なんだろうという不思議があります。

なので、このあたりは盛ってるというか、嘘なんじゃないかと思っています。

投資されるとイケイケなの?

で、投資されると、それを返せないといけないの?というのも疑問として多く言われます。

結論からいうと、今のITベンチャーでは、あまりないと思います。昔はあったでしょうし、今もゼロではないと思いますが、VCからの出資はそういう性質のものじゃないので、銀行から借り入れをして運転資金を・・・みたいなドラマとかでよく見るパターンは少ないかなあ、と。

有名な磯崎さんという方もこう述べています。

これバズってますので一言。私はベンチャーに関わりだしたのが98年くらいからで経験が浅いせいか、まだ関わってた会社の社長が自己破産したのを見たことないです。イケてるベンチャーならちゃんとエクイティファイナンスして、社長が個人保証なんてしてないから、会社が潰れても個人破産する必要も無いし。

シリコンバレーのベンチャーキャピタリストも、投資先の社長と個人破産で裁判所行ったことある人なんて、多分いないですよね。

磯崎さんのFacebookより

少なくても今、IT系ベンチャーで起業して、資金調達するとしたらエクイティファイナンスが一般的だと思います。簡単にいうと、新株の発行を伴う資金調達のことです。デットの場合もあるでしょうけど。詳しくは以下の本がいいです。


上述の磯崎さんの本ですが、この本を読むと、いろいろ理解できるので、超オススメです。

失敗したら株を買い戻せ!というVCさんも昔はいたみたいですが、今だと「うわ、イケてない」と思われがちなので、減っているとか聞きます。実際はどうなんでしょう。うちの場合は契約にそういうのは一切入っていないです。

20年たったが、破産したにも関わらず、いまだに私に月に15万5000円づつ振り込んでくる元社長がいる。離婚もし、子供とも会えない。ゴミのような生活をしている。誰ひとりとして相手にされない生活だ。宅急便で夜バイトしている。そいつの借金は後50年ぐらいあるが、先日オレに事業計画書を持ってきた。オレは投資するつもりだと返答した。

なので、VCから出資を受けているのに、お金を借りたように15万円づつ返し続けるとかはあまりないです。20年間この額払い続けると、3700万くらいになるんですが、返しているんなら融資と一緒じゃんね、と思わないこともないです。

もちろん、これも性質によります。最近読んだこの本がめちゃくちゃおもしろかったのですが、借り入れとかをガンガンして、個人保証でも借りて、という勝負をする人もいます。


大変オススメの本です。

ただ、TechCrunchや、TheBridgeに掲載されるような、小さめのITベンチャーが資金調達した、というケースの場合には、ほぼだいたいがエクイティファイナンスをしてお金を集めて、勝負をして、ダメだったら売却か、解散か、というケースじゃないかなと。

というわけで

以下のように書かれていますが

残念ながら、飛んだあとでも連絡を取れるのは100分の1だが、そんな奴とは何度でも一緒にパイプ椅子に並んで座る覚悟でいるつもりだ。投資家にはぶんなぐられるが、そんな頭がおかしいVCがいてもいいと思っている。

個人的には、この人は頭がおかしいとは思いませんが、今どきなVCさんではないと思うので、日本のザッカーバーグになりたいような人は出資を受けないほうがいいタイプの人だとは思いました。