原題:THE VILLAINESS 製作年:2017年 製作国:韓国 製作会社:アペイダ、ネクスト・エンターテイメント・ワールド 配給:KADOKAWA 上映時間:124分 監督:チョン・ビョンギル 脚本:チョン・ビョンギル、チョン・ビョンシク 製作:チョン・ビョンギル 製作総指揮:キム・ウテク
出演:キム・オクビン、シン・ハギュン、ソンジュン、キム・ソヒョン、キム・ヨヌ、チョ・ウンジ、イ・スンジュ、チョン・ヘギュン、ミン・イェジ、パク・チョルミン、キム・ヘナ
あらすじ
スクヒ(キム・オクビン)は犯罪グループの殺し屋として成長し、やがて育ての親ジュンサン(シン・ハギュン)に好意を抱くようになり結婚する。だが、まもなくジュンサンが対立する組織によって殺され、スクヒは復讐(ふくしゅう)を実行する。その後彼女は国家組織に身柄を拘束され、10年後の自由と引き換えに国家専属の暗殺者となる。
自分は韓国映画が苦手で意識的に避けてるんですけど、本作は結構ちょいちょいタイトルを色んな記事で見かけますんでまぁちょっとたまには観てみようかと。『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー賞を獲りましたしいつまでも無視はできません。特にサスペンスにおいては世界的にも評価が高いですしね。
で、観てみてぶっ飛びました!
とにかく冒頭の15分近くのワンカットでの殴り込みシーンに度肝を抜かれます。今はCG処理により複数カットを繋ぎ合わせて作ることができるので本当のワンカットではないにしてもぶっ通しのアクションなので事前にアクション振り付け、カメラワーク、そのタイミング合わせなどとんでもなく周到な準備が必要なのは言わずもがな。全編FPS的POVワンカットの『ハードコア』が記憶に新しいところですが、本作は銃撃以外に主にドスを使った格闘術であり、しかも途中でPOVから離れてカメラが回り込んで主人公を写してまたPOVに戻るというアクロバティックなカメラワークも披露。アクションも「振り付け」や「寸止め」を感じさせないスピードと体の重心の乗り、勢いがリアルでガチンコ感が半端ありません。
他にもここぞというアクションシーンではワンカットを多用し、バイクでのチェイスシーンも運転しながら日本刀で斬り合ったりするトンデモアクションでしたし、クライマックスではバスの中での死闘で狭い車中を縦横無尽に動き回るカメラワークが凄まじい!
これらのアクションを主人公のスクヒを演じたキク・オクビンがほとんどスタント無しで自らこなしているというんだから更にビックリ!『アトミック・ブロンド』のシャーリーズ・セロンも凄かったけど、ちょっとこれはアクション練度・難度としてはレベルが違います。
スクヒは整形前と後で別の女優が演じてると思ったんですけどクレジットなどを見る限りキク・オクビンが演じ分けているみたいですね。整形前は夏帆にちょっと似た素朴な可愛い少女っぽいのに、整形後はバリバリの美女で髪型とメイク、表情の演技だけでこの違いなんでしょうか?この演じ分けにも驚きを禁じえません。
ストーリーに関しては正直強引さは否めません。敵の黒幕が死んだはずの育ての親であり夫でもあったジュンサンだったとか、可愛がっていた後輩の死など、そこに至るシークエンスや理由付けが相当無理やり。特に自分が韓国映画で一番苦手なのがロマンス描写で、それは本作でもやはり同様。こっ恥ずかしくなるシチュエーションやクサすぎるアプローチがどうにも少女漫画チックでゲンナリしてしまうのです。
ウェディングドレスで狙撃をする見た目のインパクト重視の決めシーンとかもそう。ストーリーや展開上の必然性や整合性を度外視したシチュエーション至上主義なところは韓国映画が受け入れ難い特徴だったりします。
スクヒを凄惨で悲劇の女性として描くために悲劇のための悲劇としか思えない展開や演出が鼻につくのは否めませんが、本作のワンカット・アクションはそれを補ってあまりあるほどの凄さでした。アクション好きは絶対に見逃せない、このアクションのためだけにBlu-rayを買ってもいいかもと思えるくらいです。いやー、凄かった!!
というわけで
ストーリー展開や様式美優先なエモーショナル演出などは強引で独りよがりではあるものの、そんなことはどうでもよくなるほどの画期的かつアドレナリン出まくりなアクション・シーンを評価しまして、個人的評価は100点満点中78点です。
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