天文学的な額に膨れ上がった日本国債が何故破綻しないのか?この謎に迫った作品。
バブル崩壊以来未曾有の金融緩和を行ってきた日銀。しかし、一向に景気は好転せずデフレ基調のまま失われた20年を過ごしてしまった。この事実は、わが国が従来の金融政策では対処できない状態に陥っていることを示している。即ちわが国ではマネタリーベースを増やしてマネーをジャブジャブにしてもマネーストックは増えないのである。途上国などではベースマネーを増やすと従来通り社会に循環しマネーストックが増大するであろう。これは人々の欲求の度合いにも関連する。ほぼ生活必需品が揃い、ホームレスでもコンビニの消費期限切れの弁当で生きていけるほど豊かになった社会ではいくらベースマネーを増やしてもなかなか社会にいきわたらない。増えたベースマネーは需要が少なくリスクの高い貸出しより安全で確実に利ザヤの稼げる国債購入に向かう。政府が借金(国債)をすればするほど金融機関の債権は増大する。複式簿記の観点から見ればそうなる。しかし、いくら自国内で消化しているからといって債務は債務である。これを返済するとなると国家は徴税権を発動できる。ここが、日本政府の財務内容が異常に悪いのに日本国債が破綻しない理由でもある。しかし、金融機関が間に挟まることによって見えずらくなっているが、日銀券に対する信頼が崩れると取り付け騒ぎになるであろう。
いくらアベノミクスで物価上昇2%といっても人為的にインフレにはできない。これは政府の一種の罠でもある。即ち、2%を達成できないからいつまでも金融緩和できる。このような膨大な債務を抱えた国家は金利を上げられないのである。景気を刺激するための財政出動も国債頼り、全てが国家に依存する社会になってしまう。又、金融緩和は格差増大と親和性がある。全国民に等しく金をばら撒くと皆景気よく金を使う、そうすると必然的にインフレとなる。しかし、一部の富裕層のみに金をばら撒いても一気に消費せず預貯金にまわる。これが、今では企業に富が集中している結果である。企業は借金返済と内部留保に金をまわしている。インフレにしたいが金利は上げられないという二律背反した非常に歪な状態なのである。この問題に対する処方を筆者はもっているらしい。次回作に期待。
バブル崩壊以来未曾有の金融緩和を行ってきた日銀。しかし、一向に景気は好転せずデフレ基調のまま失われた20年を過ごしてしまった。この事実は、わが国が従来の金融政策では対処できない状態に陥っていることを示している。即ちわが国ではマネタリーベースを増やしてマネーをジャブジャブにしてもマネーストックは増えないのである。途上国などではベースマネーを増やすと従来通り社会に循環しマネーストックが増大するであろう。これは人々の欲求の度合いにも関連する。ほぼ生活必需品が揃い、ホームレスでもコンビニの消費期限切れの弁当で生きていけるほど豊かになった社会ではいくらベースマネーを増やしてもなかなか社会にいきわたらない。増えたベースマネーは需要が少なくリスクの高い貸出しより安全で確実に利ザヤの稼げる国債購入に向かう。政府が借金(国債)をすればするほど金融機関の債権は増大する。複式簿記の観点から見ればそうなる。しかし、いくら自国内で消化しているからといって債務は債務である。これを返済するとなると国家は徴税権を発動できる。ここが、日本政府の財務内容が異常に悪いのに日本国債が破綻しない理由でもある。しかし、金融機関が間に挟まることによって見えずらくなっているが、日銀券に対する信頼が崩れると取り付け騒ぎになるであろう。
いくらアベノミクスで物価上昇2%といっても人為的にインフレにはできない。これは政府の一種の罠でもある。即ち、2%を達成できないからいつまでも金融緩和できる。このような膨大な債務を抱えた国家は金利を上げられないのである。景気を刺激するための財政出動も国債頼り、全てが国家に依存する社会になってしまう。又、金融緩和は格差増大と親和性がある。全国民に等しく金をばら撒くと皆景気よく金を使う、そうすると必然的にインフレとなる。しかし、一部の富裕層のみに金をばら撒いても一気に消費せず預貯金にまわる。これが、今では企業に富が集中している結果である。企業は借金返済と内部留保に金をまわしている。インフレにしたいが金利は上げられないという二律背反した非常に歪な状態なのである。この問題に対する処方を筆者はもっているらしい。次回作に期待。
あれだけの複雑な話を非常にコンパクトにまとめた優れた書評ですね。
感嘆します。
本書についてのアマゾンレビューの比ではないですね。
著者の考える処方・・・
本当にあるといいのですが