2009年10月12日

「世田谷カフカ」が終わる。

本日12日のマチネで「世田谷カフカ」東京公演が終わる。御来場の方々には改めて、厚く御礼申しあげる。昨日なぞは超満員だった。今日はいよいよ入場をお断りする方が出るのではないかと制作が心配している。だから前半に来てと言ったのに。

今回の公演は東京でしかやらないのだから、東京公演が終わるということは全公演が終わるということで、どんな舞台にも千秋楽はくる。

今回も様々な制約の中、なんとか、やりたいことを概ねやれたのではないか。
制約があるからこそ、やりたいことを見つけられるのかもしれない。

劇団公演は、自由度が高いぶん、プロデュース公演にはないハードさを強いられる。まあ、主に経済的に。経済的にキツイということは、すなわち肉体的精神的にキツくなる。お金を使えば済ませられることを、知恵をしぼり、人脈を駆使し、体を酷使することで、極力お金を使わずに乗り越えてゆかねばならないのだから。

どこぞのプロデューサーに頼まれて公演を行うのではなく、自分達が主体となり自分達発信で公演を行うのであるから、ハードなのは当然と言えば当然ではある。

別の言い方をすれば、
あくまでも世間的な常識の範囲内で創作を行うのがプロデュース公演、
法律に抵触さえしなければ常識なんていくらでも踏み越えられるのが劇団公演。

おのずと、出来上がる作品の強度は後者の方がはるかに高くなる。そりゃそうだろう、何をやってもいいんだから。

「強度?そうでもねえじゃん」
と思える劇団公演が増えているとすれば、それらの集団がもはや形骸化しているか、もしくはよほどのばかものの集まりかだ。

劇団公演は、とてもよい。素敵だ。だが、劇団はモロい。劇団という存在自体が不合理だからだ。
不合理であることを前提に、その不合理を楽しみ続けることができる人間なんて、あまりいない。

一体我々はどこまで楽しみ続けられるのだろうか。それが問題だ。
「耐えている」という気持ちの方が強くなってきたらもう終わりは見えていて、有頂天というバンドがそうだった。

有頂天のことはいい。ナイロン100℃だ。
はてさて、30代後半から40代半ばまでを中心とするメンバーで、あと何年続けられるものなのだろう。
人間、ずっと30代後半から40代半ばでいるのは至難の技だ。十中八九、5年後には40代前半から50過ぎまでを中心とするメンバーになり、10年後には40代後半から50代半ばまでを中心とするメンバーになる。

想像しただけで暗澹たる気持ちになるが、まあ、しばらくは大丈夫なのではないか。大丈夫だと思えてるからこんな話題を書けるのだ。いずれはダメになるだろうが、まだ先のことなら、その時に考えればいい。

次回作であるシアター・コクーンの「東京月光魔曲」のチケットが数十分で完売したそうだ。
実に有り難いが、一方で「世田谷カフカ」の公演前半平日の空席具合を思い返すと複雑な心境だ。

なにを呪うべきか。不況か?カフカか?劇団なんぞに腐心している自分をか?



keralino at 04:00コメント(18) この記事をクリップ!

コメント一覧

1. Posted by 恵   2009年10月12日 08:12
久しぶりに書き込みします。

わたしは「カフカ」を観に」行けなかったので、何も言えない立場ですが…
観たかったけど、行ける日のチケットなくて、当日券も数枚…とかいわれると地方からはなかなかいけんさ。
でも、コクーン公演は、絶対に腐心?しているケラさんではないことは確か!ここから、劇団から離れたら、つまんない。その方が壊れてしまうわ。きっと。
行かない人が悪いのさ。観とけばよかったのにさ。って、お前もだ!って言われそうですが…
地方公演してくれればよかったのに。

年末かどっちか?というと、私はカフカ観たかったけど。年末観にいかないけど…
17日も行けないんだ。。都会に住みたい。
年末、あの人が出て無くてよかった。わたしはチケット取るの凄く苦手なので、だからカフカもダメで…きっと年末もとれなくてがっくりだっただろうから。私事はさておき、
気持のいい秋! ライブもいろいろ…も、楽しんでください。

2. Posted by なこ   2009年10月12日 12:44
不況で時給の人が増えて、
前半の時間はみんな働いているのでは。。。
3. Posted by ショートモカ   2009年10月12日 13:21
「世田谷カフカ」拝見しました。カフカを読まずに観ましたが、わたしはとてもとても楽しくて、3時間を長くは感じませんでした。
映像とダンス、まわる部屋、客席で繰り広げられる芝居、いろんなコトに目が釘付けでした!
靖日さんが最後の最後まで表情を崩さず舞台を去っていったのが印象的でした。

コクーンのチケットは取れませんでしたが、わたしが呪うのは…不況です。
今年に入ってから、どれだけのお芝居をあきらめたでしょうか。
チラシを見ながら、行きたいなぁ、でも無理だなぁ、とうなだれたコトは一度や二度ではありません。

あ、TSUTAYA行きました。角は曲がりませんでしたけど。

4. Posted by うひゃ   2009年10月12日 14:17
わたしが後半にとるのは、ギリギリまで本が上がらないかもしれない、よくなるのは後半になってからかもしれない、から。
5. Posted by しお   2009年10月12日 16:48
カフカ、超満員の日に行きました。

感想は私のボキャブラリーでは的確なこと書けないので止めておきます。

ひとつだけ言わせていただくならば
このお芝居を観られて良かった。
6. Posted by その辺の大黒   2009年10月12日 18:17
昨日たまたま、とある美術祭のトークイベントを聞いてたのですが、直前になって自治体が予算を大削減し、プロデューサー、アーティスト、事務局がやる気もなくなり分裂しかかって、もんのすごい大変だったという苦労話をされてました。

私が素人目から見ると、お金がないことで様々な人や民間企業の手や知恵をフル回転することになり、地域に根ざした、人に近いイベントになっていたように感じました。また芸術の力で、お客さんや自治体の人の気持ちを動かして、次につなげようというモチベーションにもなったそうです。

今回の過負荷、いやカフカもお金のない公演とは思えないような、ボリュームや創意工夫で、荒削りとはいえ、誠に誠に楽しかったです。

最近思ったのが、「わかりやすさ」が受けるんじゃなくて、「私もこれ、わかる、わかる」という、わかる快感とか、「わかんないとこが残るのがオツやねん」とか共感できる快感がないと、観てて「小難しいだけで、おもんない」って事になるんかなーって思ったりして。

なんか人のブログにブログ書いてるみたいに長くなりましたが、ナイロンは全員大滝秀治さんくらいになっても続けて下さいね。


7. Posted by ちょっとしたガイ   2009年10月12日 20:05
「世田谷カフカ」をもう見れないと思うと急に寂しくなって反対の電車に乗って来ちゃいました…
でも、緊張してしまいました…(とても情けないです)

慣れないことはするべきではないのか、でも審判のKの本当の最期を一生放浪するであろう城のKを鉄道に乗って永遠に去ってしまう彼らを、見送らなくてはいけないような気がしたんです。その気持ちを行動にだせたそれだけでもちょっとした進歩だったのかなって思います。


TSUTAYAの角を曲がりまくる四憲くんの未来だって誰の未来だって考え方と行動一つでいくらでも変えられるんだって今は思います!!


あっここまで書いて気がついたんですがネタバレもう大丈夫ですよね?ダメだったらすぐ消しちゃってください!!

カフカはきっと喜んでいると思います。


8. Posted by おさかな   2009年10月12日 20:32
千秋楽おめでとうございます!
わたしは前半に一回観てから千秋楽を観るのが好きです。微妙に変化しているのがたまりません!
ナイロンは、ケラさんは「絶対に裏切らない!」と自信を持って人に勧めておりますので、これからも期待し続けて参ります。

17日も非常に楽しみです!なぜならケラさんは裏切らないから(^-^)b


9. Posted by 智美   2009年10月12日 20:57
「世田谷カフカ」を観て、本公演を観たあ!と実感しました。
「ナイロン100℃」の存続をずっとずっと願っています!!!
40代後半から50代半ばまでを中心とするメンバーで作る舞台も楽しみです。
その時には、何を作るんだろうと期待しちゃいます。
10. Posted by カラス   2009年10月12日 21:06
5 平日に行けないのは、会社人だから。そして大阪在住というちょっとした壁。
ナイロン大好き、カフカ大好きな私にとっては、見逃せない公演。DVD化されないということなので、そんなちょっとした壁もなんのその、日帰りで下北沢に行きました。

音楽も映像も良かったし、会場全体を駆け回る演出が楽しかった。「柩」の話が出てきたのもうれしかったです。この話も蓋が開く直前で終わるんですよね。そのおかげで、柩の中から何が出て来るのが面白いかを考えました。
世の中には不条理なことなんていっぱいあるし、それは一側面であることも多いんだなぁ。なんてことを考えさせられる作品だったと思います。

また、ナイロン独特の世界を、できれば大阪で見られる日を楽しみにしています。

11. Posted by まか   2009年10月12日 21:35
見たいお芝居と好きなタイプの男性は似ています。
プロデュース公演的な男性より劇団公演的な男性の方が私は好きです。

世田谷カフカ、不思議で濃密な空間で本当に楽しかったです。
私はナイロン100℃が大好きです。ずっとつきあっていきたいと思っています。

12. Posted by カモカ   2009年10月12日 21:39
遅ればせながらもらった給付金でコクーンと思ったのだが。行こうとする芝居、見ようと思う芝居、売り切れ売り切れ売り切れ。いつまでたってもたどりつけない。とうとう塔のような城のような劇場へたどりついた時には私は繭に包まれていてイジケ虫になっていた。
13. Posted by 温泉マーク   2009年10月12日 21:42
5 世田谷カフカは、3回リピートしました。
面白かった、としか言えない私の表現力ですが、揺るぎない1つの真実があります。
もう1回。もう1回。
また観たいと真に思える舞台でした。
東京月光魔曲も何回か、チケット取れました。
リピートするかどうか、開いてみなければ判らないですけど。
14. Posted by すずきんぐ   2009年10月12日 21:44
5 本日観てきました。
観てから、このブログを読ませていただいたんですが、なるほどあの自由度はナイロンならではですよね。
毎回新しい試みで刺激を与えてくれる。そんなベテランの劇団はナイロンだけではないかと思います。
舞台セットを一人の役者のように扱い、結局一人一人が読んで評価すればいいと言うような、ファンとして究極な形でのカフカの描き方。
自分も戯曲を書いてる身として、本当に勉強させられます。また次回6月も見に行きますね。今度は前半に!
お疲れ様でした。

15. Posted by けいぷ   2009年10月12日 21:55
ちょうど、真ん中あたりに観劇しました。
いや〜〜、面白かったです。かなりたまげました!

ナイロンは、とんでもないクオリティの素敵な劇団。
次回の公演も楽しみにしています。
16. Posted by むりょくむち   2009年10月12日 23:29
初コメントです。
不況になんとか対抗し、なんやかんやあってもナイロンは観たい!の一心で、期間の前半に遠方の田舎から本多劇場へ馳せ参じました。
いや〜、良かったです!
また、こういうの上演してほしいのですが、もうやらないんですよね…。

とにかく、新たな顔ぶれが加わったナイロン100℃の今後も期待しています!
17. Posted by グリプス戦争前偽預言者   2009年10月13日 20:18
まず、カフカさんを教えてくださったケラリーノ
ナゴム王に感謝です。世界大戦前ってすごいよ!ナゴム円卓の騎士がきしくも銀行員の騎士という事をしって、現実はおもしろいです。
えっと、ナイロンダンスパーティーはないですか?世田谷という地名をなぜつけたのだろうか?なぞは深まります。ケラさんなら戦いを
終わらせる。ナンセンス演劇オリンピックを
みるまであたしゃがんばります。


18. Posted by hana   2009年10月13日 23:15
5 実はケラさんの作品はまだ三回目です
どん底、神様とその他の変種
そして世田谷カフカ

今回の世田谷カフカが一番でした
あぁ私の観たかった芝居はこれだったぁ…と涙が出そうだった

心の中の何かに
かちりと音を立ててぴったりとあてはまってしまう・・・
もうどうしたって知る前には戻れない

次のシーンが
思いもよらないようなワクワクして
まるで世界がこの場所だけ
になってしまったような濃密な空気
ハチミツのような甘くとろりとした陶酔感・・・

いくつものストーリーが
同時進行して展開し絡み合っていく手法

楽しくておかしくて
ちょっと悲しかったり残酷だったり
世間を皮肉ってみせたり

映像とダンスと音楽も
すべてが一体化していて俯瞰しているのか
その中に迷いこんでしまったのか
よくわからなくなる

キューブを自在に操ることによって
あらゆる角度から様々な表現がかいまみえる
時空をこえる存在の自由?束縛?

劇団公演のエッセンスを
凝縮してみせてくださったことに
感謝感謝で一杯なのでした


実はオンシアター自由劇場が大好きでした

ケラさんのおっしゃるように劇団の10年先のことはその時に考えればいいのかもしれない

いくつになっても
ひとは新しいことに感動出来るが
いくら時が流れても
最初の感動を忘れることが出来ない

夢中になって何度も何度も貪欲に
その感動を味わっていたかったけど、それはかなわない…

作るひとも演じるひとも
そして観るひとも
時間とともに少しずつ変わっていってしまう
それは仕方ない。人間だから
すきだからいつまでも変わらないでいてほしいのは観るひとのエゴだから

永遠に続くものなんてない。
どんなにすきでも何かが少しずつ変わっていく

だから今が大事
今ここにいてこの芝居が楽しくてすきで愛しい
それが大事。

劇団公演バンザイ!!

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