「 鍵盤図入りでヴォイシングを網羅した本」が存在していた!こんな便利なものがあったとは。

ジャズ・ピアノを弾くための究極のコード・ブック
遠藤尚美 著、自由現代社 刊、2018年

究極って、ちょっと大げさなタイトルじゃないの?と思って中を見たら、おお、これは確かに「究極」と言っても過言ではないかもしれない……




☆ 内容は充実

2音、3音、4音、オープン、クローズド、左手、両手、ルートやテンション有り無し両パターンもあり、全部12キーで、片手ヴォイシングは鍵盤図、両手ヴォイシングは五線譜で表示されています。まるで辞書みたい。圧巻。

ヴォイシングの解説も分かりやすいです。
最初の解説で、「All The Things You Are」の冒頭8小節、クローズドとオープン合計4種類のヴォイシングの実例が出て来て、使う音の違いが一目でわかる。




☆ 辞書みたいな本

「ありそうで、なかった」本です。
実はこれと似たようなもっと簡略なものを、自分用のオリジナル鍵盤図ノート(過去記事参照)や単語帳でゴソゴソと作ってたんです。でもこうやってバーンと本で出ると、さすがにきれいで見やすいですね (もちろん、自作にも色々なメリットがあるけど)。

「究極」のコード・ブックというネーミングは、ヴォイシングのパターンに関しては多分その通りだとは思うけど、この本自体はあくまでもヴォイシングの辞書みたいなもので、コードのことがなんでも分かるという意味での総合的な「究極」の本ではありません。
「12キーでの全てのヴォイシングを、個別の鍵盤図(片手)または五線譜(両手)で、すぐに一覧できる」というのがメインです。

つまり、Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ などの「コード進行」、コードの楽譜上での横方向の動き (時間的な音の流れ。旋律と一緒に動いて行く和音) を中心に扱った本ではないことに注意。
「ヴォイシング」、コードの楽譜上のタテ方向の位置関係 (その時に鳴っている音の重なり方。アルペジオも含む) についての本です。




☆ どのぐらいのレベルから使えるか

あまり超初心者向けではなく、ヴォイシングをある程度学んだ後に役立つ本だと思います。

「Ⅱm7の構成音が分かれば、指をずらしてⅤ-Ⅰ が続けられる」ぐらいの段階なら、ちょうど(ものすごく)役立ちますが、それ以前の超初心者段階だと、すぐには役に立たないかもしれません。でも、いずれ必ず使えるので、買っておいても損はないはず。




☆ 何と併用するか

ヴォイシングの基本は『コード・ヴォイシング・ワークブック』で学び、ある程度分かってきたら、他に「横方向」のコード進行の本、プラスこの「タテ方向」の『究極のコード・ブック』という組み合わせが良いかも。

(コード進行の本については、私が知っている範囲では決定打がありません。出来れば自分に合った本を見つけて、一冊に絞って集中したいんですが)


このブログで何度も出てくる『コード・ヴォイシング・ワークブック』は、私が独学の頃にヴォイシングの基本を学んだ本です。

『ジャズ・ピアニストのためのコード・ヴォイシング・ワークブック』 
フィリップ・メールケ 著、エー・ティー・エヌ 刊、2014年

この本にはホントにお世話になりました。今でも続けて使っています。

特に導入部の基本コードの解説がとても分かりやすい本……ではありますが、エクササイズを12キーでやって、キーがひとつ終わったらチェックボックスに自分で印を付けていく……というのは、まあ考えてみれば非常に地道と言うか地味と言うか、一般的には「めんどくさい」と思われるかもしれない……
「気軽にジャズを楽しみたい」というライトユーザー向けではありませんが、本気でガシガシ学んでみたい方にはオススメします。



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