今更ながらkoboTouchについて書こうかと思います。

定期的にkoboTouch関連の記事を参照してくださる方がおられるようです。こちらの記事はkoboTouchだけでなく、かなりBOOKSCANにもフォーカスして書いています。BOOKSCANについては記事を4本程度書いており、その価格や品質に満足したのはもとより、オペレーションにも感激しておりましたので、大抵はkoboTouch自体よりも「BOOKSCAN」「自炊」により感心をお持ちの方がアクセスしてくださっていると想像します。

BOOKSCANについて絶賛しておりましたところ、BOOKSCANの利用者の感想にも取り上げていただいたこともあり、BOOKSCANからのアクセスが断然多く、koboTouch目当ては少なめなようです。

BOOKSCAN


koboTouch自体の記事は振り返ると実質、冒頭に挙げた記事のみです。Twitterで感想を呟いた覚えはありますが。で、この三面記事にもならない程度の取り上げ方で察しがつく通り、結局使っておりません(タイトルもそうですが)。使ったのは、ほんの数ヶ月でした。

なぜ買ったのか、そして使わなくなったかを今になって振り返ると、当時の僕の喫緊の課題は、ワンルームのうさぎ小屋みたいな狭い部屋に積上った数百冊以上の書籍をすっきりさせることでした。なので、当然「自炊」を考えました。で、一度試しにやってみました。が、そんなにうまくもいかず、あまり時間もかけたくなかったため、積上った書籍を電子化する試みはひとまず中断しました。一方で、電子化した書籍を効率的に読む方法をどうするか、というのも検討していたところ、ちょうどkoboTouchが出てきたのです。

僕は、割と発売直後にkoboTouchを買いました。なぜkoboTouchだったか。当時は、確か既にiPadもNEXUSもKindleFireといったタブレットもありましたし、ブックリーダーではKindleもあったし(※Kindle Paperwhiteの日本発売はその年2012年秋冬だった気がしますので日本の本格展開前ではありますが海外版は買えたはず。ちょっと雑ですみませ ん)、SONYも出していました。しかし、その中でもkoboTouchは当時、一番安いブックリーダーでした。僕の場合、スマホもあるし、ブログを書いたり調べものをする場合はノートPCのほうがいい(ハードキーボードのほうがタイピングは楽)ので、所謂タブレットには興味がありませんでした。ただ、その書籍を寝る前とか移動中にできれば3.5inch〜5inch程度のスマホより大きい画面で読みたいという欲求はありましたので、そういったコンパクトな端末を探していましたが、そこまでお金をかけたくはなく、できる限り安いものを探していたのです。

で、koboTouchを買ったのを機に、BOOKSCANを利用し始めました。中断した書籍の電子化を思い切ってお金を出してやることにしました。といっても、BOOKSCANがどんなものを試したいと思い、最初はプレミアム会員にはなりませんでした。既にBOOKSCANは自炊代行業者の中で圧倒的に支持を固めていたのはネット上で知っていましたが、やっぱり自分の目で確かめないと気が済まないし、お金は大事だよーなので、恐る恐る試してみました。そしたら、あらびっくり。価格も品質も納得のいくものでした、というか、感動の域にも達していました。

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一方、koboTouchはというと、その恐る恐るBOOKSCANに依頼し完成した電子書籍を順次入れていきました。が、koboTouchの内蔵メモリは2GBです。確か、このBOOKSCANへの初回依頼分だけで2GB超えていました。なので、とりあえず入る分だけ投入してkoboTouchで読んでいました。が、何ともブックリーダーの電力の持ちだけはタフネス設計の貧弱なCPUが実現するページめくりのもっさりスピードがどうも僕にとってはストレスとなりました。それでもしばらくは我慢してkoboTouchを使って読んでいました。

そのとき、電子化する試みのほうはというと、初回依頼分ですっかりBOOKSCANに惚れ惚れし、プレミアム会員になっていましたので、どんどん進んでいきます。プレミアム会員になると、毎月50冊まで電子化を依頼することが可能で、しかもプレミアム会員だと書籍を送ってからほんの数日程度で電子化完了となります(一般会員だと、冊数制限はありませんが、納期は順番待ちで当時は2ヶ月〜3ヶ月程かかったと記憶しています)。電子書籍データはどんどん完成していくばかりです。

データが増えていくので、今度はkoboTouchの内蔵メモリ2GBというのがどうも歯がゆいものとなっていきました。いちいち読む本を選別するということをしなくてはなりません、それも紙の書籍のように本棚に並んだものからパッと手にとって読むといった程度の選別ではなく、PCにkoboTouchをUSBケーブルで繋いでkoboDesktopアプリを起動させて、PCに保存しているデータから読む本を選んでkoboTouchに格納する、というのを行う必要があるのです。それも、定期的に。僕は、つくづく思うのですが、やっぱり電子書籍のメリットというのは、隙き間時間を活用して思い立ったときに読みたい書籍にすぐアクセスして読める、という点だと思いますが、そんなときにブックリーダー読みたい書籍がちょうど入っていないことが多い、というのは大きな弱点だと思います。対して、紙の書籍が未だに優れていると思うのは、物理的に一杯に広げられた本棚は視覚的な一覧性がある点で、本棚を眺めていて内容が思い浮かぶ、眺めていると頭の中が整理される、といったことでしょう。電子書籍で一覧性を確保しようとしても、あの10inch前後の小さい端末に物理的な本棚の一覧性は実現し得ません(その辺り、ARとか今後出てくることを期待)。そう考える僕にとっては、いつでもどこでも思い立ったときに読みたい書籍へアクセスできない電子書籍なんて電子書籍の意味がありません。その点、Kindle Paperwhiteが回線利用料は本体代金に込み込みでいつでもクラウドへアクセスできる仕組みを指向しているAmazonはやっぱり他と違うな、と思います(Kindle Paperwhiteでクラウドへアクセスするときの細かい使い勝手は知りませんが)。

そのため、クラウドだろうがローカルストレージだろうが格納する書籍を増やす、ことを考えました。そうすればいつでも読みたいときにすぐ読める、というのに環境に少しは近づける。しかし、koboTouchにはWifiはあれど、本体自体に回線利用権はないため、仮にクラウド上に膨大な電子書籍棚があったとしても、モバイルルータやスマホのテザリングをオンにする必要があります。僕にとっては、そんな手間すら惜しいのです。何かあれ読みたいな、というのは大抵歩いているときや電車に乗っているときとか移動中に浮かんで来ます。歩いているとき、電車の乗っているときにブックリーダーを取り出して、ブックリーダーにちょうどその書籍が入っていなかったら、今度はモバイルルータやスマホを取り出してスイッチを入れて、その電波をブックリーダーに掴ませるということが必要になってきますが、この手間を考えると、というかそうしてるうちに目的地に着いたり、次の電車が来てしまいます。また、そもそも自炊した本をクラウド上に保存していつでもアクセスみたいなクラウドストレージみたいなサービスはkoboTouchには当時なかったと思います(今もたぶんできない)ので、自炊した電子書籍をクラウド上に置いていつでもダウンロード方法はとれませんでした。

そうすると、koboTouch自体のローカルストレージの容量を増やす必要が出てきます。幸いkoboTouchには外部SDカード搭載スロットがあり、koboTouchには最大32GBのメモリを扱えるという情報があったので、32GBのSDカードも使い、大幅にデータ容量が増えましたし、BOOKSCANはタブレットやブックリーダー毎にページサイズやデータサイズを調整してくれるサービスが無料で提供されており、それを使えば、koboTouchで読み易い形で、容量少なめで搭載できるため、大抵の書籍は入りました。一旦はkoboTouchでいつでもどこでも読みたい書籍にアクセスできる環境が出来上がりました。

と思ったのも束の間、koboTouchがよく固まるのです。それも、電源入れて出てきたページですぐ。koboTouchには途中のページで読むこともできるので(当たり前っちゃ当たり前かもですが)、その途中ページから再開して同じ書籍を読む場合は割とスムーズに動くのですが(といっても、もっさりですが)、あっ違うやつ読もうと書籍一覧を開いてスクロールしようものなら、チラつきが目立ち始め、固まってしまうのです。書籍一覧というか、インデックス周りの処理は重かったりして書籍が増えれば増える程その処理は増えるというのは何となくわからなくもないですが、これではいつでも読みたいものにすぐアクセスという僕の願望は全く達成されません。というか、逆にストレスしか溜まりません。何度か格納するデータ容量を減らしたりを試みましたが、結局動作が安定することはありませんでした。そもそもページ遷移のもっさり感が僕に日々チクチクとダメージを与えていたのですが、やっぱり格納できるデータ容量が少ない、というのは決定的でした。

そのため、電子化のほうはBOOKSCANさんにお願いしていたのでどんどん進むのですが、それを格納し読む肝心の端末koboTouchは残念ながら僕の用途にはフィットせず、僕の望む快適な電子書籍環境はお預けとなりました。

以上、徒然なるままに書散らして参りましたが、上記は当然のことながら僕というたった一人の人間が何を考えてどうしていったかの話です。決してkoboTouchを闇雲に批判しているわけではございませんし、むしろ、電子書籍が遅々として進まない日本という国において、koboTouch、そして、楽天という会社が電子書籍の普及に少なからず風穴を開けたという意味で感謝しています。おそらく、あらかじめ決めておいた数冊の本をじっくり読むという読書スタイルの方は割と合うんではないでしょうか。

koboTouchは自分のほしいものを気づかせてもらったという意味でも良い勉強となりました。

僕にとっては、ローカルストレージ容量とスムーズなページ遷移が重要なため、非力なCPU積んでいるブックリーダーではなく、タブレットが良いだろうということになり、だいぶ後ですが、iPad miniを買った次第です。



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