Google Glass向けの(コンシューマ向け)アプリ開発会社16社のうち9社が既にGoogle Glassプロジェクトを中止、もしくは休止(延期)というロイターのニュースを見て、Google Glass、ひいてはウェアラブルデバイスの今後を考えました。

今回は前編に続く、後編です。主にApple Watchを書いています。




|他のウェアラブルデバイス(Apple Watch)の台頭

Google Glassは従来のやり方を変えるものでしかない、と書きましたが、新しい使い方をこれから考えることも開発パートナーへの早期プログラムの提供の理由であるのでしょう。しかし、この高価でプライバシーでさんざん問題だと言われているGoogle Glass以外にも、ウェアラブルデバイスという観点で言えば、開発者の興味を惹く新しいガジェットが出ています。多いのは時計型のものですが、この前発表されたApple Watchはとくに注目されており、これが少なからずGoogle Glassに影響していると思います。

Apple Watchは、その名の通り、Appleが来春一般発売をする時計型のウェアラブルデバイスです。時計型のウェアラブルデバイスは、Galaxyシリーズを出しているサムスンも既に発売していますし、SONYも実は発売していますし、ちょっと主旨は違いますが、NikeがFuel Bandというのを出しています(Fuel Bandは僕も持っています)。

サムスンやSONYといったスマホメーカーが出している時計型ウェアラブルデバイスができることは、スマホで受ける電話着信やメール受信の通知を受けるといった内容です。これはスマホよりも目に付き易い時計で通知を受け取るといったアドオン的な要素であり、言わば、スマホが親機、時計型デバイスが子機のようなものです。一方で、Fuel Band等は万歩計みたいな情報を集めるセンシング的な使い方です。

注目されているこのApple Watch、既にiOS8でヘルスキット(Health Kit)というアプリが標準搭載されている通り、スマホに各種センシング情報が集約されるのですが、Apple Watchは、今出ている情報を見ると、おそらくセンシング機能も備えているようです。言うなれば、サムスンやSONYが出していたデバイスはあくまでスマホの子機としての使い道がなかった一方で、Apple Watchやそのスマホの子機の機能に、Fuel Bandのセンサーとしての機能も備えているのです。値段は、5万円前後です。相変わらずAppleは、既存の技術、既に発売されているプロダクトのイノベーションが上手いというか、それを志向する企業だなと思います。Apple Watchはまだ発売されていないので時期早々な感想ですが、スマホで受けた内容を時計型デバイスで通知を受けるアドオン機能に加え、センサーも兼ねているプロダクトであり、どうなるか見物だと思います(そういえば、Fuel Bandの開発責任者がAppleに数年前に移籍してました)。

さて、Google Glassと比較して考えてみましょう。値段的にまず、Apple Watchが半額くらいです。iPhoneと同じくらい(最近液晶やメモリの大型化で高くなりましたが)です。なおかつ、時計に代わりうるガジェットです。

その意味で、開発者からすると、時計に代わりうるもので、値段もまぁ時計と同じくらいという値段ですし、センサーも兼ねているので、確かに新しいガジェット(眉唾もの)ではあるものの、まだ手が出し易い値段なのです。その意味で、開発者、開発会社が単にGoogle Glass向けのアプリ開発を中止、延期しているのではなく、彼らはApple Watchのほうへシフトしているのではないかと思います。

ちょうど先日(米国時間11月18日)に開発者用SDKである「Watch Kit」が公開されました。時期的にぴったりというより、彼らは次世代ウェアラブルデバイスの主導権を競い合っているわけです。

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|まとめ(Apple Watchはたぶんウェアラブルデバイスの市場を底上げする)

Google Glassの一般発売が遅れている理由を考えてみましたが、端的には、プライバシーの問題が騒がれていて、なおかつ、これといった新しいことができるものでないデバイスに開発者としても手が出し難い、同じウェアラブルデバイスであればApple Watchのほうが受け入れられそうだからそっちがいいんじゃね?といったことです。

Apple Watchが広まるかどうかはこれからの話ですが、Apple Watchについてもう少し考えてみます。

先程Apple Watchが「時計に代わりうる」と書きましたが、本当にそうなのかは多くの方が疑問に思っているかもしれませんし、僕もその一人です。時計といえば、数千円〜数百万円もするものまで色々ありますし、デザインが非常に重視されるものです。それに対して、Appleは非常に気を使っているんでしょう、アルミ・ゴールド・ステンレスといった3種類のタイプを発表していますし、液晶のデザインも工夫されています。デザイン的には、今ある時計に近いことをすごく意識している印象を受けます。

個人的には、どれくらいバッテリーが持つかが気になります。時計は普通数年間は電池交換無しで使えますが、時計型のウェアラブルデバイスは充電が必要になってきます。僕がFuel Bandを使っていた頃は、最初は3〜4日間充電無しで使えていましたが、どんどんバッテリーの持ちが悪くなり、使い始めて1年後には1日がやっとといった状態で、面倒になり使わなくなりました。バッテリーの持ちには使い方が大きく影響するはずですが、当時、僕は普通の時計を持っていませんでしたから、本当にFuel Bandを時計として使っていたのです。ですから、ボタンを押して(LEDランプを点灯させて)時刻を確認していて、その分バッテリーの減りが速かったのは間違いありませんが、Apple Watchが時計に取って代わるものになるためには、バッテリーの持ちも非常に重要になってくると思います。


Google Glassについて書こうと筆を進めてきましたが、いつの間にかApple Watchが中心になった感があります。書き進めるうちに、Apple Watchの興味が高まった次第です。


【前編】も合わせてどうぞ。



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