2013年06月18日

株式の希薄化 - Dilutive Security

ANAは、ここ数年で2度の新株発行増資を行っています。その度に株価が下がり、既存株主にとってはつらいものがありました。

さて、増資により株価が下がるのは、株式が希薄化するためです。会計を勉強するときにも、希薄化と一株あたり利益(EPS)は重要ポイント。その理屈について考えてみたいと思います。

時価総額10,000円、発行株式100株の会社があります。株価は100円になります。純利益500円とすると、EPS=5円。投資家は5%の利回りを期待しているわけです。

ここで、25株の新株発行増資を行うと、発行株式は125株。利益はすぐに増えるわけじゃないから、EPSは4円に下がります。利回り5%を維持するために株価80円になってしまいます(80円×5%=4円)。会社は新株を80円で25株発行し、現金2,000円を調達します。

このように、新株は現在の株価(100円)よりも低い価格(80円)で売り出され、既存の発行済み株式の価格は下がってしまうため、一般的に、増資による資金調達は既存株主からは嫌がられるわけです。

実際にはこんなに単純ではなく、もっと複雑な要因が絡んできます。たとえばM&Aや設備投資を目的とした資金調達で、増資直後から大幅な増益が期待されれば、株価が上がるケースもありえるでしょう。

また、短期的には下がってしまった株価も、長期的に見れば、増資により財務体質が強化され、事業が拡大し、いずれ株式の価値も上がっていくと期待されます。

そうは言っても、ANAの場合、株主総会直後の増資発表で株価が下落し、「やられた」と感じた人も多かったと思いますが・・・

ちなみに、新株発行増資は株主総会の決議事項ではありません。「発行可能株式総数(授権株式数)」が定款で決まっており、その枠内であれば、取締役会の決議で株式を発行できます。

事業を拡大していくにあたって、内部留保した資金で賄えれば健全ですし、誰からも文句は出ません。しかしそれを超える資金が必要になったとき、借入金、債券発行、新株発行、どこから調達してくるかというのは、株主、債権者、経営者の三者間で利害が複雑に対立する難しい問題です。

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kfkman at 21:32│Comments(0)TrackBack(0)clip!株式 

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