寺本益英の日記

 関西学院大学で日本経済史を担当する寺本益英の身辺雑記です。経済、歴史、お茶、フードシステムの話題を中心に、思い立ったことを綴ります。受講生の質問にも答えます。

2009年07月

学生提案企画打ち合わせ会

 学生提案企画の「合格発表」から1週間が経過しました。それにしても企画書を提出してから「合格発表」までの1ヶ月間は、何とも言えないドキドキ感がありました。71件もの応募があったので、果たして大丈夫かという気持ちがずっと付きまとっていましたが、厳正な審査を経て採択していただけたことに、一層大きな喜びを感じています。
 さて今日は採択された19件の企画の代表者への説明会が吉岡記念館で行われ、聖和大学の学生も出席してきました。そして終了後、「合格証書」を持って研究室を訪ねてきました。大変嬉しそうにしていましたし、やる気十分の様子でした。
 大切なのはこれからどのような活動を行うかです。28日の記事にも書いたように、まず私たちが食と農をめぐる問題について精通しなければいけません。さらに、そこから派生する人間関係の希薄化や、経済格差・貧困など、目前に横たわる困難な課題をしっかり認識することこそが自己修養(練達)に当たります。
 主催者である私たちが、日本の食と農について何が問題であるか、しっかり学んだ後は、問題点を解決するため行動を起こさなければいけません。有意義で参加してよかったと思ってもらえる講演会や体験型学習を開くことが献身(奉仕)だと考えています。
 私たちは8月から定期的にミーティングを開いて、活動計画の立案を行います。と同時に、食と農に関する諸問題について、正しい理解を得ることが大切です。基本書として、内閣府『食育白書』、農林水産省編『食料・農業・農村白書』を勉強することになりました。

動き出す「日本の食改革プロジェクト 関西学院大学・聖和大学からの提案と実践」(6)

 7月もいよいよ大詰めになってきました。毎年この時期は成績評価で苦しい時期ですが、今年はレポート提出ということで一層苦しくなっています。土俵際一杯まで追い詰められているのに踏ん張らなければならないのは辛いことですが、絶妙のタイミングで野沢久信さんから励ましのお電話をいただきました。野沢さんは私が年内に主催する一連のシンポジウムに第1号で申し込んでくださった方で、17日の大西先生の講演会にもご出席いただき、貴重なコメントを寄せてくださいました。その野沢さんが、「学生企画」に採択されたお祝いの言葉と、全面的に協力していただけるという気持ちもお伝えくださったのです。一挙に元気が出てきました。
 ところで、今あけても暮れてもレポートを読んでいますが、テストによる評価とは違った側面も発見しました。まず全員それなりにできていること。表現力のうまい下手は多少感じますが、自分の食生活を振り返り、よい点と悪い点をきちんと認識できています。中には、3食1週間の献立を記録にとどめて分析したという学生までいました。また山口先生のプロフェッショナル」からも大きな感化を受けているようです。したがって、「不合格」としなければいけないようなレポートは、ほとんど見当たりません。そういう意味では、この授業を通じて発信したかったメッセージを、受講生たちはきちんと受け止めてくれていました。さらにワープロ打ちなので字が読みやすい。筆記試験の採点が難航した最大の原因は、「字の読みづらさ」にあったことにも気づきました。
 前置きがずいぶん長くなりましたが、「食改革プロジェクト」の続きです。今日はこの企画の根本精神といえるかも知れませんが、スクール・モットーであるMastery for Serviceとの関係を述べます。
 大学当局が新しい試みとして、学生提案企画を募集したのは、とても意義深いことだと思います。特に学生にとっては、Mastery for Serviceというスクール・モットーを実践できるチャンス到来といえます。
 関西学院と聖和大学に在籍する教職員と学生は、日々の大学生活で自己修養(練達)と献身(奉仕)を実践しなければという意識を、絶えず心に留めておかなければいけません。しかし日頃の雑事に追われていると、具体的な実践の形を見つけるのがなかなか難しいということも事実です。ほとんどの教師と学生は、毎回の講義の中で模索を続けてきたに違いありません。
 そうした折、私は6月はじめの講義で食に関する問題提起を試みました。「食は生命をつなぐ基本」、「食は社会の縮図」ということは漠然とわかっていましたが、私たちの食生活を冷静に振り返ってみると、理想とは程遠く、多くの問題点があることに気づきました。講義の中で私が様々な質問を発し、受講生相互で意見交換をする中で、受講生たちはこの点を早急に改善しなければならないと強く感じるようになってゆきました。
 そこで考え付いたのが、食をコンセプトにしたこの活動計画です。食と農をめぐる数々の問題、そこから派生する人間関係の希薄化や、経済格差・貧困など、目前に横たわる困難な課題をしっかり認識することを自己修養(練達)と考えたいと思います。そしてこうした問題の解決のために行動を起こすことが献身(奉仕)です。関学のホームページでも述べられていますが、「自分の身に付け、手に入れたものを、ただ自己の名誉や欲望のために用いるのではなく、他者のため、世界のために献げること」をこの企画を通じて実践できれば、私たちにとってはこの上ない喜びです。
 その後私たちは何度も会合を重ね、スクール・モットーを繰り返し吟味し、どのような形で具体化できるか徹底的に議論しました。私も学生もこのような企画に挑戦した経験はなく、活動は協力者のみなさん方のご支援を得ながら手探りで進めてゆくほかありません。ただ根気強く着実に企画運営を行えば、私たちの活動に共感してくださる方々はきっと増えてくると思います。そして順調に活動を行うことができた場合は、本格的な組織として発展させ、継続的に運営してゆきたいと考えています。

動き出す「日本の食改革プロジェクト 関西学院大学・聖和大学からの提案と実践」(5)

 中国地方や九州北部では歴史的な大豪雨に見舞われ、大きな被害が出ています。私たちの近畿地方も、ここ10日くらいは急に激しい雨が降ってきたり、家が揺れるほどの雷が鳴ったりして、不安定なお天気が続いています。「海の日」あたりから梅雨明けかと期待していたのですが、今月いっぱいまでお預けでしょうか。
 私の毎日ですが、成績評価に悪戦苦闘しています。特に総合コースは、ひとりあたり1万字程度のレポート課題を出し、提出者が約700名いるので致命的な打撃を受けています。内容はなかなかいいことが書いてあって、サラッと流し読みというふうにゆかないため、余計時間がかかっています。ただ学生が一生懸命取り組んだことに対しては、よい評価で応じるのが先生としての責務です。徹夜が続こうとも丁寧に読んで、やりぬくほかありません。
 さて今日も「日本の食改革プロジェクト」の続きですが、この企画を実行することによって、どのような効果が期待できるか述べたいと思います。
 私たちの企画は勉強会と体験学習で構成されています。食の第一線で活躍する研究者、実務家の講演を聞くことによって、日本の食のどこに問題があり、どのように改善してゆかなければならないのか、しっかり認識できます。有識者の講演を通し、まず意識改革を行い、参加者を中心に食の重要性を広く浸透させてゆくことができます。
 体験型プログラムには様々な効果があります。例えばクッキング教室であれば、乱れた食生活の改善に直結するでしょう。外食の多い大学生なら自炊の習慣がつき、栄養バランスのとれた食生活が実践できます。インスタント食品ばかり食べてきた若い世代の母親は、子供に心を込めた手料理を作ってあげるようになると思います。
 孤食傾向が強まる中、食事会の開催は食卓を囲むことの大切さを認識してもらう絶好の機会となります。和気藹々とした雰囲気で食事を楽しむことによって、人間関係の希薄化、違った世代間のコミュニケーション不足に間違いなく歯止めがかけられます。特に私たちのような学生が成長して親の世代になったときには、食の重要性を忘れず、食事を通じて家族の結びつきを強め、よい家庭を築くことができるはずです。何でもないことのようですが、最近の報道を見ていると、家族の崩壊を想起させる悲しい出来事が多すぎます。楽しい食事は、人間性を豊かにし、相手を思いやる気持ちを育みます。
 農業体験プログラムは、できるだけ親子連れでの参加を期待しています。栽培や飼育は、生命を育てる活動であり、命の大切さを認識するとともに、四季折々の気象、大気、水、土といった自然に直接関わる意義も大きいと思います。また農作業を通して協調性や最後までやり遂げるねばり強さが養成され、収穫時の達成感を味わうことができるに違いありません。私たちは企画に参加した子供たちに、以上のような充実感を体験してほしいのです。
 少し次元が異なりますが、イベント参加料の一部を、飢餓や貧困に苦しむ人々のために寄付したいと思います。まとまった金額にはなりませんが、身の丈にあった社会貢献ができれば私たちとしては満足です。
 私たちの最終的な目標は、この活動を継続的に推進し、さらに広げてゆくことです。活動の継続と拡大は、参加者の意識を一段と高めるとともに、これまで食に無関心であった人々に食生活改善の契機を与えることにつながるはずです。

動き出す「日本の食改革プロジェクト 関西学院大学・聖和大学からの提案と実践」(4)

 昨日までの記事で、私たちはどういう理念のもとで企画を進めようと考えているか、おわかりいただけたと思います。そこで次に問題になるのは、具体的にどのようなプログラムを展開するかということですが、概ね次の企画を考えています。
 講演会・勉強会………日本の食と農をめぐる諸問題に関し、専門家からレクチャーを受け、認識を深めます。
 食事会………講演会のあと、講師・参加者とともに食事会を開きます。「食卓を囲む」ことの重要さを実体験していただき、違った世代の人々との交流を深め、コミュニケーションを緊密にします。
 日本各地の伝統的食文化について学ぶ小旅行………農林水産省より発表された「郷土料理百選」、私たちが全く知らない料理もたくさんあります。ミニ旅行を企画し、その土地に古くから伝わる食文化や伝統について学びます。
 農業体験………普段何気なく口にしている農作物を、実際に栽培し、収穫します。この体験を通じ、自然の恩恵に感謝し、環境との調和をはかります。
 クッキング教室………下宿している学生の多くは、不規則な食生活を送っています。簡単でおいしい手作り料理を学び、食生活の改善に役立てます。
 煎茶道体験・お茶の淹れ方教室………食生活の洋風化と簡便化志向の高まり、競合飲料の台頭にともない、平安時代以来1200年続いた喫茶文化が岐路を迎えています。文化としての煎茶道の世界、日常生活に密着した「急須で淹れるお茶」の世界を体験し、マナーを身に付け、もてなしの心について考えます。
 ありがたいことに、上記のプログラムなら、総合コースの講師の先生方、日本フードシステム学会の先生方、それにお茶の関係者に協力していただきながら実現可能です。私たちの企画の主旨を、まず学内に浸透させ、徐々に一般市民のみなさん方にも広めてゆきたいと思っています。

動き出す「日本の食改革プロジェクト 関西学院大学・聖和大学からの提案と実践」(3)

 昨日は神奈川県中郡二宮町にある徳富蘇峰の記念館を訪ね、今日は国立教育政策研究所主催のシンポジウムに参加しました。感想はまた後日書きたいと思います。
 さて今日も採択された学生企画の構想の続きです。私たちは活動のキーワードをどう定めるか、色々議論しましたが、オーソドックスに、「栄養教育」と「食事教育」に落ち着きました。いうまでもないことですが、人間にとっての一番の幸福は、健康で長生きすることです。「医食同源」という言葉があるように、日々の食生活は健康維持のためにとても重要ですが、特に私たち若者世代の食生活は乱れています。そのことに警鐘を鳴らし、大学生の食生活を栄養面で改善してゆきたいと考えました。
 さらに食の目的は、空腹を満たすだけではありません。食は究極のコミュニケーションの手段であり、文化として再認識すべきであるという結論に至りました。昨今、家族関係や友人関係が希薄になり、昔は強固であった「絆」が弱まっているのを残念に思います。また不況の深刻化もあいまって、文化や自然に親しみ、心を豊かにする余裕も失ってしまいました。「食事教育」にまつわる様々なプログラムを通じ、学生はもとより私たちの家族や知人、一般市民の人々にも、食の本来的な意味を知ってもらい、精神的に充実した生活を送ってほしいと考えました。
 もうひとつ想定しているのは、私たちの企画するイベントの参加費を実費よりやや高めに設定し、実費を超えた部分を発展途上国で飢餓に苦しむ人々に寄付し、栄養状態の改善に寄与することを希望します。聖和大学では途上国の研究をされている先生が何名かいらっしゃり、その講義を通じて貧困の実態を知って心が重くなりました。同じ21世紀に生きながら、どうしてこのような格差が生じるのでしょうか。小さな力にすぎませんが、私たちの活動を通じて得られた募金を、貧しい国々の人たちの生活を少しでも豊かにすることに使ってほしいと思ってます。

動き出す「日本の食改革プロジェクト 関西学院大学・聖和大学からの提案と実践」(2)

 今回食改革プロジェクトが採択されたのは、とても喜ばしいことですが、聖和大学人文学部の学生主体のチームが結成されたことにさらなる意味を感じています。聖和大学人文学部はすでに学生の募集を停止しており、企画メンバーは最後から2番目の卒業生になります。現在の2回生が卒業してしまうと、聖和大学人文学部はなくなってしまうのはとても残念です。しかし私は、素晴らしい聖和の校風や聖和精神は永遠に引き継いでゆかなければいけないと、いつも強く感じていました。その思いを企画メンバーたちに託したのがこの企画です。聖和大学人文学部の「有終の美」を飾るとともに、関学と聖和の長所を融合させた新しい提案を行い、学内はもとより広く社会に発信してゆくことを目指します。
 やや前置きが長くなりましたが、6月以降の経過を述べます。まずはじまりは、私が「政治・経済と文化」の講義で、食に関する2つの新聞記事を配付したことです。2つの記事というのは、「大学食育始めました」(『日本経済新聞』2009年1月19日)と京都大学の伏木亨先生のエッセイ「食は社会の縮図」(『日本経済新聞夕刊』2009年12月11日)で、関学の総合コースでも扱ったものです。それを読んで受講生たちは大学生の食生活はかなり偏っていることを認識するとともに、「食は世代を超えて人間関係を紡ぐ」とおっしゃる伏木先生のお考えに深い感銘を受けたようです。ちょうどそのタイミングで、学生企画の募集が始まりました。私は「食」をテーマに何か大きなプロジェクトをやってみようかと受講生たちに提案しました。
 受講生たちは日々の食生活を深く顧みました。現在私たちは、技術と経済の発展により、大変豊かな生活を送ることができるようになっています。手軽な加工食品が開発され、コンビニ、ファミリーレストランの発達により、いつでもどこでも簡単に食事をとることができます。しかしその一方で、栄養バランスの崩れ、不規則な食事、孤食、食料自給率の低下、安全性への不安、伝統的食文化の衰退など、様々な問題が生じていることも事実です。
 数日後、一見豊かに思われる「日本の食」の中に潜む多くの問題点を洗い出し、これをたくさんの人たちに知ってもらい、聖和大学と関西学院大学から改善の方策を発信してゆこうという大まかな方針が出来上がりました。

2009学生提案企画

動き出す「日本の食改革プロジェクト 関西学院大学・聖和大学からの提案と実践」(1)

 今日関学のホームページを見て、私たちが出した学生提案企画が確かに採択されたことを確認しました。期間限定ですが、今日23日のトップニュースです。下記の関学のホームページをご覧ください。プロジェクトの統括責任者は聖和大学人文学部の平田小織さんです。(19番目に記載)もう一人、入佐知世さんに副責任者を務めてもらいます。この素晴らしい2人の学生からの申し出がなければ、本企画は実現しなかったのです。
 平田さんと入佐さんに共通するのは、リベラル・アーツの精神、すなわち人間力がしっかり定着している点です。最低限の単位をそろえて卒業さえできればよい、アルバイト・サークル活動最優先という学生が年々増える中で、ひときわ輝いて見えます。そういえば、私の「政治経済と文化」の講義も皆出席でした。ひとつも欠けたところがなく、パーフェクトを果たすのは、容易にできることではありません。
 それにしても71企画の中から19選ばれただけですから、「狭き門」ということを改めて感じました。それだけに喜びは一入です。なお9月12日の「見つめなおそう食文化」の案内も昨日付けで掲載されましたので、私の関係しているプロジェクトが、7月22日、23日と2日連続で関学のホームページに載りました。
 さて今日から何日かに分けて、企画の詳細を説明してゆきます。一言でいうならば、現代人の「食」が抱える様々な問題点を明らかにすると同時に、学生や一般市民に現実を認識してもらい、改善を促す諸活動を展開し Mastery for Serviceのスクール・モットーを実践します。さらに、「栄養教育」と「食事教育」をキーワードに、勉強会と体験学習を行うというものです。

関西学院大学ホームページ

大快挙! 「学生提案企画」に採択決定

 色々忙しく、また睡眠不足も重なって何となく調子の上がらない毎日が続いていたのですが、今日はそれを一挙に吹き飛ばす嬉しいビッグニュースが飛び込んできました。私が聖和大学の「政治・経済と文化」を受講する3名の学生とともに練りに練って考えてきた学生提案企画、「日本の食改革プロジェクト 関西学院大学・聖和大学からの提案と実践」が見事採択されたのです。これは大快挙です。
 4月から聖和大学の講義が始まったのですが、私は何となく学生たちの熱意を感じていました。4月、5月の時点ではこうした学生企画の募集があること予想していませんでしたが、受講生たちに、大学で学ぶ意義は何かよく考えてほしいとか、将来どういった形で社会に貢献できるのか、しっかり自己分析してほしいと訴えてきました。その訴えかけに対する反応がとてもよく、何人もの学生が、各自の理想とする大学生活の過ごし方や、将来の夢を話しに来てくれました。1ヶ月あまり経った段階で、講義内容を超えた、リベラル・アーツ教育、人間教育がうまくいっているという感触を得ていました。
 そうした中、ちょうど6月はじめ頃だったと思いますが、現代人の食をめぐる様々な問題を指摘し、受講生相互で活発に意見交換を行いました。それと学生提案企画募集の時期が重なり、食を題材にしたプロジェクトに挑戦してみようとなった次第です。
 提案者となった3名の学生は、何度も私の研究室にやってきて計画を練りました。3名はこの企画に全力を傾け、平凡な大学生活からは得ることのできない大きな付加価値をつけて卒業したいという意欲に満ち溢れていました。
 その熱い思いが審査委員の方々に伝わり、高倍率を突破して採択していただけたことはとても光栄です。これから本格的な活動が始まります。ブログをご覧のみなさんのご支援をよろしくお願いいたします。

政権交代は実現するか

 そろそろ梅雨明けかと期待していたのですが、恐ろしいほどの雨と雷ですね。研究室から事務室へ行くのさえ億劫になります。大量のレポートを読んで、採点をして、かつ会議。私の毎日も、ここ数日の天気と同じくらいすさまじい状態です。
 さていつかいつかとタイミングをさぐっていた衆議院解散ですが、今日午後本会議で、ついに実行されました。政府はただちに臨時閣議を開き、総選挙の日程は、8月18日公示、30日投開票と決まりました。衆議院議員の任期満了は9月10日ですから、麻生首相は結局、最後の最後まで解散を先送りしたことになります。
 それにしてもみなさん、昨年9月の自民党総裁選を思い出してください。当時幹事長だった麻生氏が全体の3分の2の得票で圧勝しましたよね。それが10ヶ月後、これほど「麻生降ろし」に苦しみながら解散を決めねばならなくなるとは、思いもよらなかったでしょう。麻生首相で選挙が戦えないというのなら、昨年9月、麻生氏に1票入れた議員全員に責任があるはずです。ここ最近の自民党内の足の引っ張り合いは、国民全員が見苦しく感じていたに違いありません。日本をよくするために一致団結し、大きな指導力を発揮してほしいという気がしました。
 東国原宮崎県知事に「私を総裁候補にする決意があるのか」と足元を見られたのも、マイナスに作用しました。国会議員に1回も当選していない人に、首相が務まるはずがありません。当然国政での豊かな経験が必要です。誰がどうみても無理な話です。
 とにかく8月30日、自民・公明両党の連立政権が継続するか、あるいは民主党中心の新政権に変わるのか結論が出ます。私たちの投票行動は、候補者のパフォーマンスや人気に左右されるのではなく、政治家としての使命感や政策の内容によって決定されるべきです。

聖和大学 2009年度 政治・経済と文化 試験問題

 7月15日、聖和大学の「政治・経済と文化」の講義で、次のような最終テストを行いました。

【1】 シュンペーターが唱えたイノベーション理論について、具体的な事例を指摘しつつ、5つの側面を論じなさい。(10行程度) 20点

【2】 農村の状況と都市におけるツンフトのシステムにスポットを当て、伝統的社会の特徴と問題点について述べなさい。(10行程度) 20点

【3】 次の(1)〜(3)の設問に5行程度で答えなさい。 10×3=30点

(1) 価格革命がヨーロッパの経済に与えた影響について。
(2) 絶対主義体制の特徴と経済政策について。
(3) プロト工業化の展開過程について。

【4】 講義で配付した伏木亨先生のエッセイ「食は社会の縮図」(『日本経済新聞夕刊』2009年12月11日)の中で、食の本来的な意義は、「世代を超え、人間関係を紡ぐ」ものと述べられていました。伏木先生の記事を参考にしつつ、現代人の食の問題点を指摘し、改善の方策を提案しなさい。(10行程度) 30点

日中戦争の経過(4)

 昨日の大西先生の講演会は本当に有意義でした。繰り返しになりますが、大学改革にまず必要なのは、教職員と学生の熱意です。教職員は、学生の大学生活が有意義になるように、また就職や将来設計がうまくゆくように適切なアドバイスをできなければいけません。一方学生に求められるのは、教職員の忠言を真剣に受け止め、実行する能力です。両者の思いが一致しない状況のまま、カリキュラムを変更したり、授業調査をやっても無意味だと考えます。ICU流の教育改革が功を奏しているのは、「リベラル・アーツ」をキーワードに、大学の存在意義の根本にまで切り込んでいるからだといえます。
 さてブログをご覧のみなさんに、ひと言泣き言を聞いていただきたいと思います。今朝10時から会議がありました。準備をしてゆかなければいけない会議で、大西先生の講演終了から一睡もせず作業を進め会議に突入、終わりは夕方近くになりました。30時間以上連続で起きていたのは私の新記録です。これほどつらい我慢しきれないときが来るのを計算に入れて仕事の計画を立てるべきだったと反省しています。用事が終わってから、ふらふらになって蒲団へ倒れこみました。(大きな声では言えませんが、帰途の自転車は居眠り運転だったかも?)
 さてここで正気に戻り、13日の記事の続きを書きます。
 近衛はこの作戦に合わせ、1938(昭和13)年11月、東亜新秩序声明(第2次近衛声明)を発表しました。これは第1次声明の修正を意味し、国民政府が抗日・容共の方針をとる以上決して矛をおさめないが、従来の方針を一擲(いってき)(=全てを擲(なげう)つこと)し、人的構成を変えて新秩序の建設に参加するのであれば、日本は拒否しないという宣言でした。新秩序においては、日・満・支三国が、政治、経済、文化など各方面にわたり、互助連環の関係を樹立することが目的とされました。これは後に「大東亜共栄圏」構想に発展してゆきます。
 12月20日、汪が重慶からハノイへの脱出を果たしたのを受け、22日には、近衛三原則(第3次近衛声明)が示されました。善隣友好・共同防共・経済提携の3項目から成り、中国和平の基本方針としました。
 汪は1940(昭和15)年3月、ようやく南京に親日の新政府を樹立し、11月には主席に就任しました。日本は日華基本条約を結んで正式に承認したものの弱体で、かねてから目指していた戦争終結には至りませんでした。国民政府は援蒋ルート(米・英・仏などによる国民政府の援助ルート)から支援を受けて抗戦を継続しました。

ICUにおけるリベラルアーツ教育について

 本日4時間目、関学会館においてICUの大西直樹先生をお招きし、上記テーマの講演会を行いました。大学における学びの本質は何かがはっきり納得できる素晴らしいお話でした。

ICU 大西直樹先生講演会のお知らせ

 7月17日(金)午後3時10分より2時間程度、関学会館「翼の間」で国際基督教大学(ICU)の大西直樹先生をお招きし、講演会を開催します。(総合教育研究室主催)テーマは、「ICUにおけるリベラルアーツ教育について」です。
 リベラルアーツとは何か、ICUのホームページでは、「文理にとらわれず広く知識を身につけながら、創造的な発想法を訓練する教育システム」と述べられています。大学受験の段階では、自分が法律家として活躍するのが向いているのか、経済の知識を身につけてビジネスの世界でがんばるのがよいのか、判断するには早すぎます。早くから専門領域を限定せず、大学入学後に幅広い知識を身につけながら自分が最も活躍できる部門をさがすというのが、リベラルアーツの根本的発想です。
 ICUの教育のセールスポイントは、次の5つに集約されるといいます。すなわち、「生涯学びつづけるための基礎的能力」、「問題を見つける力と解決する力」、「真実を探るための批判的思考力」、「既成概念にとらわれず挑戦する柔軟な心」、そして「深い専門性と広い教養」です。
 私は総研で仕事をするようになって、リベラルアーツの重要性を痛切に感じるようになりました。関学の場合は学部がありますから、学部の専門教育をしっかりこなすと同時に、広範な知識や様々な能力を身につけて卒業することが大切だと考えています。最近強くそう感じるようになったので、少人数のクラスでは、大学で学ぶ意義や、キャリア開発について学生とよく議論しています。少々欲張りかも知れませんが、専門教育とリベラルアーツ教育は相反するものではなく、相互補完的な役割を果たすものだと理解しています。
 さて講師の大西先生はICUと、アメリカ最難関のリベラルアーツカレッジとして知られているアーマスト大学を卒業されています。ちなみにノーベル経済学賞を受賞したフェルプスとスティグリッツ、一方日本人では、新島襄や内村鑑三が同大学で学んでいます。
 ご自身も日米両国の有名大学でリベラルアーツを勉強され、現在はICUの広報センター長として活躍なさっている大西先生にリベラルアーツの魅力を存分に語っていただきます。試験前の忙しい時期ですが、豊かで充実した学生生活を送るヒントを得たいという学生の参加をお待ちしています。

大西直樹先生総研サロン御案内

2009年度総合コース「日本の食文化史」レポート課題(2) (最終版)

 総合コースのレポート2回目の課題を次のように考えましたのでお知らせします。2回目は冷泉先生と斎藤先生の講義からです。

<課題4>
 冷泉先生の講義に関するものです。
(1) 2回目の講義の際、先生は日本人の自然観・こころを親和的・情趣的・主観的・文学的という4つのキーワードを用いて明らかにされました。講義の中で紹介された古典作品・絵画をいくつか取り上げ、上記の特徴がどのような表現により、作者のどういった意図が込められてあらわれているか、1,000字程度で述べてください。(このブログの6月25日の記事も参考にしてください。)
(2) 近年、ハウス栽培などの農業技術、貯蔵・輸送技術の発展により、私たちは一年を通じてほとんど何でも食べられるようになりました。このため、日本人の食生活は豊かになったといえますが、反面、食の季節感が失われてきたことも否めません。日本には四季それぞれの情趣があり、その特長を生かした食文化が育まれてきた点も看過できないのです。
 冷泉先生のお話および辰巳芳子さんのエッセイを参考にしながら、あなたが季節感や旬の味わいを感じる料理(飲料でもよい)をいくつか取り上げ、その特徴と理由を1,000字程度で述べてください。

<課題5>
 斎藤先生の講義に関するものです。
(1) 講義内容およびNTTデータライフスケープマーケティングのホームページに掲載されている社長コラム(5月25日、6月1日)に即し、シングルス(単身者)をターゲットにより一層コンビニの売上を伸ばすには、どのような商品(食品)の品揃えを強化すべきか、1,000字程度で述べてください。
(2) (1)の結果を意識せず、別の視点から論じてください。あなたがコンビニの経営者になったとして、食品・飲料の売上を伸ばすためにどのような戦略を打ち出しますか。特に品揃え、価格、その他サービスなどに関し、現在のコンビニでは不十分だと思う点を指摘し、改善の方策を1,000字程度で提案してください。なおこの課題は、ひとり暮らしの大学生と、高齢の単身者を念頭に置き、それぞれ500字程度で述べてください。

※ 特に<課題5>に関しては、7月9日の最終講義の際、ヒントになるような話をするつもりです。

<注意事項>
 用紙はA4サイズを使用し、<課題4>、<課題5>の順でまとめ、左上を必ずホッチキスでとめて提出してください。なお1枚目には必ず学部、学年、学生番号、氏名を記してください。(表紙をつける必要はありません。)文書はワープロで作成するのが望ましいですが、やむを得ず手書きとする場合は、レポート用紙を1行おきに使用し、はっきりとした字で書いてください。
 提出場所は教務課窓口、提出期限は7月16日午後4時50分とします。(厳守)

NTTデータライフスケープマーケティング

 7月9日の講義でご案内しましたが、総合教育研究室で色々な企画を考えています。詳細は、7月16日、9月1日、2日、11日のこのブログを参照してください。まず関学生のみなさんの参加をお待ちしています。総合教育研究室主催のプログラムに参加し、みなさんの学生生活を一層豊かで実りあるものにしてください!

聖和大学2009年度「政治・経済と文化」レポート課題

 聖和大学で「政治・経済と文化」を受講しているみなさんへのお知らせです。成績評価は7月15日実施の筆記試験と下記のレポートで行います。
 レポート作成を通して考えてほしいのは、「リベラル・アーツ」への取り組みです。

<課題1>
 あなたにとって「学ぶ」というのはどういうことですか。聖和大学で勉強したこと(現在していること)を基礎に、一生かけて深めてゆきたいと思うテーマを挙げ、その理由を説明し、具体的にどのようなアプローチをしようと考えているか2,000字程度で述べてください。

<課題2>
 最近の新聞・ニュースで報道されている話題について、「どこかおかしぞ」、「何か間違っているぞ」と思うものを挙げ、その理由を述べ、改善のための方策を提案してください。なおテーマ選定にあたっては、講義中に紹介した新聞記事の検索システムを利用すること。分量は2,000字程度。

<注意事項>
 用紙はA4サイズを使用し、<課題1>、<課題2>の順でまとめ、左上を必ずホッチキスでとめて提出してもらいます。なお1枚目には必ず学部、学年、学生番号、氏名を記してください。(表紙をつける必要はありません。)文書はワープロで作成するのが望ましいですが、やむを得ず手書きとする場合は、レポート用紙を1行おきに使用し、はっきりとした字で書いてください。
 提出は講義時間とします。いつ提出してもかまいませんが、最終期限は7月15日(水)2限となります。

日中戦争の経過(3)

 昨夜、都議選での民主党の躍進に驚いて寝ましたが、今日研究室に来てパソコンのスイッチを入れ、びっくり仰天しました。何とこのブログの訪問者が、1万人を超えていたのです。試験前バブルはある程度予想していましたが、それでもいつもの実績からいえば100を突破すればいいところです。それがその100倍を上回る方が見てくださったとは!私には何が起こったのかわかりません。あるいはメーターの故障でしょうか。
 さて今日は、日本が日中戦争の深みにはまってゆくプロセスを述べます。
 日中戦争は軍部の短期終結の予想に反し、抗日民族統一戦線を基礎とする中国側の強力な抵抗によって苦戦し、泥沼の長期戦と化してゆきました。9月には、国民党と共産党が再び協力体制を築き、第2次国共合作を宣言しました。これに対し日本は継続的に大軍を投入した結果、同年12月、国民政府が首都としていた南京を占領しました。この際中国人の非戦闘員を多数無差別に殺害し、略奪・暴行行為を行いました。日中関係が今なおギクシャクしているのは、この南京事件が大きく作用していると考えられます。事件による犠牲者は数万人〜30万人といわれ、国際社会による日本批判は一段と激化し、中国人の抗日意識はさらに高まることとなりました。
 日本の南京占領後国民政府は漢口、重慶へと首都を移し抗戦を続けました。しかし日本軍には、これ以上進攻する余力は残されていませんでした。
 さて1937(昭和12)年秋頃から近衛内閣はドイツの駐華大使トラウマンを仲介役にして中国との和平工作を進めていましたが、日本側に有利で中国側には厳しい条件であったため、まとまる兆しが見られませんでした。そこで近衛内閣は1938(昭和13)年1月、「国民政府を対手(あいて)とせず」という声明(第1次近衛声明)を発表し、自ら和平の機会を断ち切ってしまったのです。「対手とせず」は単なる否認ではなく、抹殺するという強い意味が込められていました。
 第1次近衛声明発表後も、重慶に移転した国民政府が折れて和平が成立する見込みはうすく、方針は次第に失敗であることが明らかになってゆきました。そこでこの失敗に対し、何らかの形で収拾をつけるため、陸軍は重慶政府の分裂を画策しました。その中心となる戦略は、国民政府の要人汪兆銘を重慶から脱出させ、各地の傀儡政権を統合して新政府を開くことだったのです。

キャリア開発 おすすめの文献

 今日は梅雨明けを思わせるような真夏の日差しで、暑い1日となりました。今週17日はICU・大西直樹先生の講演会です。大学生活にとどまらず、長期的な人生設計を考える上でも有益なお話が聞けます。せっかくの機会ですから、みなさん是非参加してください。
 さて先般聖和大学の学生から、就職活動を有利に進めるためにどんな準備をすればよいか、適切な本があれば教えてほしいという相談を受けました。私は大学へ入ったその日から、就職に向けての対策を始めなければならないと考えています。その意味は後ほど述べるとして、対策を考える際のおすすめの文献として、渡辺峻編著『大学生のためのキャリア開発入門』(第2版)中央経済社,2008年、日経ナビ&就職ガイド編集部『学生のためのリアル就活本 就職活動ナビゲーション 2011年度版 』(日経就職シリーズ)日経HR,2009年 日経ナビ編集部編著『大学1、2年生の間にやっておくこと 学就BOOK』日経HR,2008年 などが挙げられます。
 さて先ほど就職活動は入学式の日から始まると書きましたが、それは大学生として身につけるべき能力を、日々の大学生活の中で磨いておかなければいけないということです。それらは、本や新聞をたくさん読んで、その内容をわかりやすく文章化して発信する力、相手の話を注意深く聞いてよく考え、内容をしっかり吟味して討論する力、各自の専攻分野の基礎学力、礼儀正しさなどだと思います。
 就職セミナーやインターンシップに出かけることだけが就職活動だと勘違いしている学生も結構いるようですが、こうした「大学生基礎力」というべき能力を習得せずに、希望の企業へ就職できるわけがありません。
 「大学生基礎力」の土台を固めた上でしなければいけないのは、業界研究です。自分の目指す業界はどうなっているのか、その業界の中でどの企業が有望なのかといった点を見極める必要があります。その点に関しては、ふだんから新聞記事の検索システムで、業界・企業の動向をチェックするほかありません。先日の総合コースの時間に実践しましたが、例えばコンビニ業界を志望するのなら、日経テレコンで、「コンビニ」とか「ローソン」といったキーワードを入れてみましょう。たくさん記事が出てきます。そういう絶え間ない業界研究努力も必要です。
 最後に強調したいのは、就職活動は家族や先生など、まわりの意見を参考にしながら進めること。自分の思い込みだけで進むのは大変危険です。もっとも、最後の決断をするのは自分自身ですが、「大学生基礎力」を研ぎ澄ましておけば、誤った判断をするリスクを、極力小さくできるでしょう。

大西直樹先生総研サロン御案内

日中戦争の経過(2)

 春学期の講義もいよいよ残り少なくなっていますが、科目によってはすでに成績評価を始めなければならないものもあります。最大の難関は総合コース。6月30日締切分だけで、手さげ袋3袋満杯ですから気が遠くなってきます。総合コースのレポートだけで机上とソファーを占領してしまい、研究室は何ともいえない状態で、お客さんが来ても立ち話になってしまいます。
 もうひとつ大仕事があります。それは、宇治市の生涯学習センターの方からいただいたお話ですが、「京都eラーニング塾」で宇治茶の歴史を講義することになっており、その準備を進めています。放送開始は9月ですが、収録は8月上旬です。エライことになってきたという感じで、読み上げ原稿を作成中です。「京都eラーニング塾」は簡単な登録手続きをしていただくと、どなたでもご覧いただけます。私にとってはインターネット初デビューです。たくさんの方に見ていただけると嬉しく思います。
 さて前回7月7日の記事からかなり日数が経ってしまいましたが、今日は盧溝橋事件の後の動向をたどります。
 盧溝橋事件後日本国内では、中国側の抗日行動をおさえこむため、徹底した武力行使を行って華北地域を一気に支配下におさめるべきという強硬論と、全面衝突を避け満州経営に力を注ぐほうがよいという意見が並存していましたが、近衛文麿内閣は結局7月11日、日本内地・朝鮮・満州より華北へ大軍を送る決断を行いました。大規模な派兵を行うことによって、中国側に脅威を与え、屈服させることを目論んだのです。当時一部では停戦の可能性をさぐる動きもありましたが、日本政府の強硬姿勢により交渉はまとまらず、7月28日、日本軍の総攻撃が開始されます。
 8月に入ると上海において中国側により大山勇夫中尉が射殺される事件が起こり、戦火は上海にまで拡大しました。(第2次上海事変)この事件を契機に海軍も強い態度をとるようになり、海軍航空部隊による南京爆撃が実施されました。
 以上のように、7月7日に起こった偶発的な軍事衝突事件は、1ヶ月余りのうちに全面戦争に拡大したのです。(日中戦争)

2009年 秋季オープンセミナー 私の講演の主旨

 春学期の講義もほぼ終わりに近づいてきました。今日は総合教育研究室の会議で、私の提案した8つの企画の詳細を説明し、来週から本格的な広報活動に入ります。無料でどなたでも参加していただけます。たくさんのご参加をお待ちしています。
 年後半に8つもの企画が実現したのは、講師の先生方のご協力はいうまでもありませんが、総研のスタッフの方々のご支援があればこそです。案内の作成、広報体制、会場の手配など、講演会・シンポジウムを開催しようとすれば、膨大なエネルギーが必要です。仕事量が増え忙しくなることを承知で、私の提案に理解を示し、強力にサポートしていただけるのはありがたいことです。講演をより魅力的に開催するにはどうすれよいかも一緒に考えてくださり、「プロジェクトX」の熱意で仕事を進めています。
 さて三田で開催するオープンセミナーのストーリーもようやく固まりました。黒岩比佐子先生、山中若樹先生の概要は、後日ホームページへ掲載される予定ですが、できたてホヤホヤの私の講演主旨をご紹介しておきます。私の講演テーマは、「昭和恐慌から太平洋戦争へ − 政策が左右する国の命運 −」です。国の命運は、国を問わず、時代を問わず政治・経済・外交面での政策によって左右されてきたといえます。昭和戦前期の日本も例外ではありませんでした。
 まず政治状況に注目すると、民主主義の基盤は極めて脆弱でした。政党政治は、軍部や枢密院など外部機関から強い影響を受け、政党自身も党勢拡大や政争に明け暮れ、国民本位の政治が行われていたとは言いがたい状況でした。そして1932(昭和7)年の五・一五事件で政党内閣制は終止符を打ち、軍部の暴走に歯止めがかからなくなります。
 経済政策に関しては、第一次世界大戦のバブル崩壊から戦時統制経済までを取り上げます。とりわけ、浜口雄幸首相と井上準之助蔵相のコンビによって行われた緊縮政策が、深刻な昭和恐慌を引き起こしました。経済学の論理に反した政策による経済的行き詰まりが、戦争につながっていったことを明らかにします。
 最後に外交政策については、世界のパワーバランスを正確に分析できず、自国の力をも見誤ったため、凄惨極まりない太平洋戦争へと突入していった過程を分析します。
 政策の究極の役割は、政権担当者の強いリーダーシップのもとに、国民生活の安全・安心を確保し、将来に対して希望と誇りを持つことができるよう国を導くことです。しかし昭和戦前期の日本は、様々な判断ミスが重なり、国の崩壊に至りました。昭和初期における政策の失敗から教訓を引き出し、政策のあり方を考えます。

コンビニ業界の今後

 総合コース「日本の食文化史」の講義は今日がいよいよ最終日です。レポートを読むのは大変な作業なのですが、なかなか力作がそろっており、惜しみなくSやA評価を出せそうです。
 レポートを読みながら感じたことは、講義内容が文中に盛り込まれている点です。食生活の乱れに対する反省、食の本来的な意味、程先生がおっしゃっていた健康法などが自分の言葉で書かれているのです。講義の意図が受講生にしっかり伝わっているのは、何よりも嬉しいことです。
 さて先週斎藤先生の講義でコンビニの話が出ましたので、今日の総合コースでは、コンビニ業界の動向に関する新聞記事を扱いました。コンビニ業界の現状と今後について、みなさんはどのように感じましたか。
 最近のコンビニ業界が直面している問題は、「内食」への対応です。不況で外食や中食の機会が減り、材料を買ってきて家庭で料理を作る傾向が強まりました。したがって生鮮品がよく売れるようになったそうです。ただ私の感覚からゆくと、コンビニで野菜や果物を買おうとは思いません。家族用なら、トマト1個とか、キュウリ1本という買い方もしないでしょう。結局単身者を対象に、小分けにして売るというのがコンビニの特徴だと考えます。また私なら簡便性を優先し、材料として買うより調理済みのサラダで買います。
 さらに興味深いのは、ファミリーマートで刺身やローストビーフ、生ハムなど、高級食材を扱い始めたことです。コンビニのお弁当の味がいまひとつという消費者も多く、その点を補うには、おかずとしてこういったものをプラスで選択できる余地があればよいのにと思います。
 そのほか看過できないのは、PB商品が好調という点です。特に飲料で感じますが、PB商品はNB商品の半値ほどですよね。両者の味にそれほど隔たりはなく、それならば安いほうを買おうということになってしまいます。みなさんはいかがでしょうか。

聖和大学 2009年度 「政治経済と文化」 試験対策(最終版)

 聖和大学での「政治経済と文化」の講義もあと1回になりました。とにかく楽しく、毎週水曜日が待ち遠しかったというのが私の感想です。受講生はとにかく熱心で、私の話題提供をもとに、自然発生的に次々と質問が出ました。「なるほど」と感じる要領を得た質問ばかりで、一言漏らさず講義を聞いているということがよく伝わってきました。将来の設計や、課外活動での企画など、たくさんの相談も受け、親密になった学生も多くいます。とにかく熱心で好感の持てる学生に恵まれました。
 受講態度がよかったので、大サービス。試験問題を全て予告します。次のようなテーマで出題しますので、テキストをよく読んで、事前にまとめておいてください。(持ち込みは全てOK)

(1) シュンペーターが唱えたイノベーション理論、5つの側面を説明できますか。その側面に関し、具体的な事例をさがしておきましょう。
(2) 伝統的社会とはどのような社会でしょうか。講義では、農村と都市にスポットを当てて説明しましたので、よく復習しておいてください。
(3) 重要な経済(歴史)用語を簡潔に説明できることも大切。例えば、価格革命、絶対主義、プロト工業化などは大丈夫でしょうか。
(4) 講義で配付した伏木亨先生のエッセイ「食は社会の縮図」(『日本経済新聞夕刊』2009年12月11日)の中で、食の本来的な意義は、「世代を超え、人間関係を紡ぐ」ものと述べられていました。伏木先生の記事を参考にしつつ、現代人の食の問題点を指摘し、改善の方策を提案してもらいます。

 すでに講義の中でアナウンスしていますが、総合教育研究室で色々な企画を考えています。詳細は、7月16日、9月1日、2日、11日のこのブログを参照してください。プログラムに参加すれば、有意義で充実した学生生活を送るためのヒントが得られ、就職を決める際にも役立つでしょう。すべての企画に共通するテーマは「リベラル・アーツ」です。学ぶことの楽しさ、わかったときの感激を実体験し、人間としての魅力に磨きをかけてください。聖和大学は全人教育が行き届いていますが、さらに研鑽を重ね、社会に対し重要な貢献できる人材として、活躍してほしいと願っています。

日中戦争の経過(1)

 昨日の記事に書きましたように、今日は英語経済書講読の試験をしました。春学期も残りあと1週間ほどになり、大学は定期試験モードに入っています。
 忙しいですが、総合教育研究室で私が主催する企画の準備が着実に進んでいます。考えてみると、三田での3回のオープンセミナーを含め、年内に8本の講演会・シンポジウムを企画しました。今後総研からみなさんに、心豊かな生活を送っていただくための様々な提案を行います。7月17日のICU・大西直樹先生の講演会、9月12日の食シンポジウムには、たくさんのご参加をお待ちしています。
 さて今日は7月7日で七夕です。歴史を振り返ると、私はこの日にあまりよいイメージを持っていません。72年前の今日、盧溝橋事件が勃発し、わが国は泥沼のような日中戦争にのめりこんでいったからです。その経過を取り上げます。
 関東軍は1935(昭和10)年以降、中国華北5省(察哈爾(チャハル)・綏遠(スイエン)・河北・山西・山東)を国民政府から切り離す政策を進め、国民政府による中国統一を阻止しようとしていました。日本は同年6月、排日運動を取り締まるため、河北省において北支駐屯軍司令官梅津美治郎と国民政府何応欽の間で、また内蒙古では、関東軍土肥原賢二と秦徳純の間で協定を結びます。さらに11月、関東軍は国民政府がイギリス人財政家リース・ロスの支援で幣制改革を成功させ、中国経済の統一促進をはかったのを契機に、冀東(きとう)防共自治委員会 (12月、冀東防共自治政府と改称)を樹立し、分離工作を一段と強化しました。なおこの傀儡政権は殷汝耕(いんじょこう)を首班としました。その後1936(昭和11)年8月、広田弘毅内閣も華北5省を日本の影響下に置くことを国策として決定しました。
 日本の侵略がエスカレートするのに比例して、中国における抗日救国の動きも高まってゆきます。特筆すべきは1936(昭和11)年12月、西安事件をきっかけに国共接近が行われたことです。西安事件は延安の共産党討伐を命じられていた張学良が、督励に訪れた蒋介石を西安郊外で監禁し、国共内戦停止と挙国抗日を訴えたものです。その後共産党指導者周恩来が調停に乗り出し、蒋・張・周の三者会談が行われました。会談の結果、蒋介石は国共停戦を受け入れ、抗日民族統一戦線が結成されたのです。
 1937(昭和12)年6月第1次近衛文麿内閣が成立しましたが、その直後の7月7日、北京郊外の盧溝橋で何者かが演習を行っていた日本兵を射撃する事件が勃発しました。日本はこれを中国軍による行為であるとし、翌日より中国軍への攻撃を開始して戦闘が始まりました。これが盧溝橋事件です。

2009年度 英語経済書講読 試験対策

 すでに予告済みですが、英語経済書講読の試験は、7月7日に経済の内容に関わる出題(具体的には、サブプライム・ローンやアメリカの金融危機)をし、7月14日には英文和訳を中心の問題を考えています。
 まず7月7日の試験では、次のような項目についてしっかり説明できるようにしておいてください。
1.サブプライム・ローンについて
(1)特徴と仕組みは?
(2)「リスクの所在がわからなくなる怖さがある」と言われていますが、なぜでしょうか?
2.アメリカの金融危機について
(1)リーマンブラザーズ、AIGに象徴されるように、個別の金融機関が経営危機に陥るメカニズムは?
(2)2008年後半(特に秋以降)、アメリカ政府の金融危機への対応にどのような問題がありましたか?それがどのような事態を引き起こしましたか?
(3)アメリカ型資本主義の問題点は何か?「高レバレッジ経営」について、簡単な数値例を用いて説明できますか?
 7月14日は英文和訳の問題をいくつかと、単独で経済用語を何個か尋ねます。範囲は非常に狭いので、よく準備して受験してください。

2009年度 経済史機…蟯試験対策

 6月末から7月はじめにかけての時期は、何種類もの定期試験問題を作成しなければならず、本当に大変です。700名を超える受講者がいる総合コースは、すでに1回目のレポートを一人ずつ丁寧に読み始めています。結果は予想以上によく、SやA評価に相当する内容のものがかなり多くあります。自分のこれまでの食生活と講義のテーマを重ね合わせ、よい点は今後も継承し、反省点は改善してゆこうという姿勢が読み取れるのは嬉しいことです。
 さて今日は経済史気猟蟯試験について、対策を述べておきます。まず問題1は、10問の正誤判定問題を出題します。例えば、「航海王子エンリケの時代、ヴァスコ・ダ・ガマが東インド航路発見し、その後インドへの航海を試みたカブラルが現在のブラジルに漂着し、この地をポルトガル領と定めた」という文章は正文でしょうか。答えは誤文です。テキストp.14にあるように、ヴァスコ・ダ・ガマが東インド航路発見は、1498年のことで、エンリケが亡くなった後のことです。
 もう1問、「11世紀頃の地中海ではイタリア商人による東方貿易が繁栄した。東方貿易によって胡椒・肉桂といった香料がヨーロッパにもたらされ、鉱産物や毛織物がヨーロッパから東方へ輸出された」という文の正誤はどうでしょうか。テキストp.8にズバリ書いてありますが、この文は正文です。
 正誤判定問題の配点は40点です。一見紛らわしく感じるかも知れませんが、持ち込みすべてOKの試験ですから、該当箇所を見つければ簡単に解答できます。教科書をよく読んでいるか、講義に出席して話の流れをしっかり把握しているかを確認します。
 残りの60点分は、記述問題に当てています。記述問題は4問です。テーマはきわめて基本的な重要事項ばかりです。各章の節に当たる部分、例えば、第1章なら「封建制社会の特質」、「中世都市と商業の展開」となっていますが、節レベルの大きなテーマについて要点をまとめておけば、問題なく対応できるはずです。
 試験実施日は、初日の7月20日(月)の3時間目です。海の日で、小・中・高はこれから夏休みという時期に、試験が始まります。約10日間の我慢ですが、全科目がんばってください。

総研が動く! 関学が変わる!

 このブログでも適宜ご案内していますが、総合教育研究室で様々な企画を考えています。今関学では学内改革の様々な取組が行われれいますが、自分が所属する総合教育研究室として何ができるか、あるいは自分の接する学生をどのように導いていったらよいのか、私なりに考えています。
 大学を活性化するためにどこからどう攻めるか?私がたどりついたのは、リベラル・アーツです。大学の提供する究極のサービスは、若者(=学生)に対し、人生を豊かにするための生き方を提案する、講義その他諸活動を通じ学び、わかったときの感動を提供する、自分の適性に応じた仕事を見出し、社会に貢献できる土台をつくる、といったことではないでしょうか。
 一般的な教育改革の取り組みとしてしばしば行われているのは、科目の統廃合などカリキュラムの見直し、シラバスを書いて計画通り講義を進めることの要請、(匿名で書いたことに責任をともなわない)授業評価などです。自分自身の経験からいっても、こうした対策で学生の質が高まったとか、大学が活性化したとは感じません。
 ではどうすれば大学に活力が生まれるかというと、個々の講義で学生の一生を方向付けるような温かみある言葉をかけたり、学生の向上心に火をつけるような姿勢を教師が示すことが、最も効果的ではないでしょか。もちろん学生の態度も重要で、教師が発信した電波を受け止める強力なアンテナが必要です。システムとしては外部に見えませんが、これが究極の大学改革です。そしてそれを可能にするのが、人間力育成を目標とするリベラル・アーツ教育にほかなりません。
 総研から私が提案したいのは、教職員、さらには一般市民の心に訴えかけるような企画です。今回のリベラル・アーツを手始めに、食の本来的な意味を考えるシンポジウム、本を読んで、学んでわかることの愉しさを強調する講演会、歴史から様々な教訓を引き出すセミナーなど、多角的に展開中です。総研が動くことにで、関学をよくする、対社会的なイメージアップをはかることを大きな目標としています。

NHKスペシャル JAPANデビュー(4) 軍事同盟 国家の戦略 (3)

 7月を迎えました。2009年後半のスタートです。総合コースのレポートは昨日締め切りましたが、みなさん提出してくれたでしょうか。
 構想を練って、相手にわかりやすい文章を書くというのはとても大切な作業です。どんなキャリア開発の本を読んでも、大学時代に身につけておくべき最重要の能力として、「コミュニケーション能力」、「発信力」が挙げられています。
 提出された膨大な量のレポートは、これから少しずつ読み始めて評価を出してゆきますが、すぐれていると感じたものは、このブログでも紹介するつもりです。
 さて6月29日記事の続きです。第二次世界大戦がどのようにして始まったかを以下で述べようと思います。1939(昭和14)年9月1日、ドイツがポーランド侵攻を開始すると、3日、イギリス、フランスは、直ちにドイツに宣戦布告し、第二次世界大戦が始まりました。その後阿部信行(陸軍大将)、米内光政(海軍大将)の両内閣は、ドイツとの軍事同盟には消極的で、米英との関係改善を目指し、ヨーロッパの戦争には不介入の方針をとり続けました。
 1940(昭和15)年5月、ドイツはベルギー・オランダ国境を突破し、西部戦線での攻撃を開始して以降勢いづき、英仏連合軍を撃破してゆきました。そして同年6月にはパリを占領し、フランスはドイツに降伏することになりました。
 日本はヨーロッパにおけるドイツの圧倒的優勢を目の当たりにし、陸軍を中心に対米英の戦争を覚悟してもドイツとの関係を強化し、ヨーロッパ諸国の植民地がある南方に進出し、日本の支配下におさめようという主張が多数を占めるようになってゆきました。
 上述のとおり1940(昭和15)年の半ば頃、オランダとフランスはドイツの占領下にありました。したがってドイツと同盟関係を結んでおけばオランダ領東インド(蘭印、現在のインドネシア)とフランス領インドシナ(仏印、現在のベトナム・ラオス・カンボジア)への進駐は、さほど困難をともなわず実現すると考えられたのです。
 1940(昭和15)年7月、親米英の米内内閣は陸軍からの圧力によって倒れ、第2次近衛文麿内閣が成立しました。近衛内閣は、外相に松岡洋右、陸相に東条英機を起用し、前内閣までの欧州大戦不介入の方針を転換するとともに、ドイツ・イタリアと提携強化をはかり、南進を積極的に行う方針を打ち出しました。こうして9月、日本は北部仏印に進駐し、ほぼ同じタイミングで日独伊三国同盟を締結したのです。
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