寺本益英の日記

 関西学院大学で日本経済史を担当する寺本益英の身辺雑記です。経済、歴史、お茶、フードシステムの話題を中心に、思い立ったことを綴ります。受講生の質問にも答えます。

2016年06月

2016年度 「日本経済史機廖…蟯試験対策

 「日本経済史機廖,猟蟯試験は7月19日(火)の第3限に実施されます。今学期は明治期までしか進めませんでしたが、日本の基礎がどのように形づくられてきたか、政治・経済両面から総合的に解説してきました。
 さて肝心の試験対策ですが、今年度はこれまで「定番」であった正誤判定問題の出題をやめ、すべて記述式とします。次のテーマに注意して、あらかじめ解答を作成しておいてください。

★ 政治史

(1)自由民権運動
 講義の中で強調してきましたが、戦前の日本において、完全な民主主義は定着しなかったと思います。それは為政者が自らの支配を脅かすものとして、民主化の動きを抑圧してきたからです。
 明治期の自由民権運動の流れを振り返ると、その事実が明白に浮かび上がります。1874(明治7)年、板垣退助らによる民撰議院設立の建白書提出から、1887(明治20)年の三大事件建白運動までの出来事や政府の対応について、要領よくまとめておきましょう。

(2)内閣制度・大日本帝国憲法
 日本が近代国家としての体裁を整える目印となる出来事は、1885(明治18)年の内閣制度創設と、1889(明治22)年の大日本帝国憲法の発布です。どちらも非常に重要な出来事ですから、きちんと経過をとりまとめておいてください。
 なお内閣制度につては試験とは直接関係ありませんが、伊藤博文内閣から出発して、現在の安倍晋三内閣に至るまで、内閣を手ががりに、近代史をたどることが有益です。画面一番下の首相官邸のホームページを参照してください。
 一方大日本帝国憲法は、その特徴を整理し、解釈をめぐる神権学派と立憲学派の論争についても述べられるようにしておいてください。

(3)日清戦争
 戦前の日本は、とにかく欧米列強に負けないよう、富国強兵政策を推進しました。軍事力を高め、植民地を獲得し、アジアにおける影響力・支配力拡大を目指したと言えます。
 その手始めとなったのが日清戦争です。歴史用語としては誰もが知っていますが、朝鮮をめぐる日本と清国の対立に端を発する開戦までの経過は複雑です。壬午事変、甲申事変、天津条約、東学党の乱など、重要事件を軸に、開戦に至るまでの流れを整理しておいてください。

★ 経済史

(1)産業化
 戦前の日本は、民主主義の定着に失敗しましたが、経済的には順調に発展したといえます。それぞれの時期にどのような産業が中心的な役割を果たしたかは、重要なテーマですが、とりあえず本講義では、第一次企業勃興期の綿糸紡績業、生糸製糸業、鉄道業について言及しました。加えて私が重点的に研究してきた茶業も取り上げました。これらの産業の発展のメカニズムについて、述べられるようにしておいてください。

(2)日清戦後経営
 日清戦争に勝利し、巨額の賠償金を獲得した日本経済は、ブームを迎えることになります。賠償金がもたらした様々な経済効果を中心に、日清戦争後のブームの要因を論じられるようにしておいてください。

(3)金本位制の導入とその影響
 欧米諸国と同じ通貨システム(金本位制)を採用することは、欧米諸国と肩を並べるために、どうしても実現したい目標でした。反面、金本位制への移行は、従来の銀本位制下における様々なメリットを失うことにもなります。
 こうした事情から金本位制採用をめぐり、激しい論争が起こりました。賛成派、反対派はそれぞれどのような主張をしたか、整理しておきましょう。
 最終的に松方正義首相の強い意向により、1897(明治30)年、日本は金本位制を採用することになります。その結果経済はどのように変化しますか。貿易、物価、景気動向に注目して説明できるようにしておきましょう。

首相官邸・歴代内閣

2016年度 「経済の歴史と思想」3組 定期試験対策

 先日、定期試験の日程が発表されました。4月以来夢中になって講義を進めてきましたが、あと少しで全日程を終了しなければなりません。
 さて私が担当する3組の「経済の歴史と思想」の試験は、7月22日(金)の第5限に実施します。範囲はテキスト天川潤次郎・寺本益英『社会経済史講義』学文社,2004年 の第1章〜第5章とします。
 折を見て絶えず強調してきたことですが、大学の試験で要請されるのは、講義内容の再現力です。選抜試験である大学入試とは異なり、特別のテクニックや、細かい知識を必要としません。すでに取組を始めている熱心な受講生もいますが、昨年の問題や以下の今年の予想問題について、スムーズに解答できるよう、あらかじめ答案を作成しておくことが、最善の勉強法です。
 以下では、当初の約束どおり、試験のポイントを述べます。やや長めの記述問題(15行程度)と、簡潔に述べてもらう問題(5〜10行程度)を想定しています。

★ やや長めの記述問題(15行程度)

1.ホセ・ムヒカの政治思想 
 講義の最初のほうで、前ウルグアイ大統領ホセ・ムヒカの思想を紹介しました。(合わせて新聞記事検索システムの使い方も説明しました。『聞蔵』で「清貧の政治思想」2016年4月1日)を参照のこと。)
 ムヒカの思想の中には、我々が経済学(経済史学)を学ぶ意義や、そこで取り上げるべき課題が凝縮されています。そこであらためて、ムヒカの思想について整理し、この講義の中でふれてきたトピックスもまじえ、受講生のみなさんにとって、経済学(経済史学)を学ぶとはどういうことか、述べられるようにしておいてください。

2.覇権国の移り変わり
 経済史研究の重要課題として、覇権国の移り変わりが挙げられます。そこで今回の試験では、スペインに焦点を当てます。コロンブスによる西インド諸島の開拓、メキシコやペルーの銀山の開発、レパント海戦やポルトガル併合を経て、国力を強化してゆきます。しかしその後、ネーデルラント独立戦争で苦戦を余儀なくされ、次第に国力が衰えてゆきます。
 以上の経過に加え、価格革命についても説明できるようにしておきましょう。

3.近代市民社会の成立
 本講義では、民主主義が定着するまでの道のりが決して平坦なものではなかったことを強調しました。その確認のため、ピューリタン革命からクロムウエルの時代を経て、名誉革命に至るまでの経過を確認し、整理しておいてください。

4.農業革命・商業革命
 18世紀後半、イギリスにおいて産業革命がスタートする前の1世紀のうちに、農業と貿易の構造が大きく変化します。その変化の概要を、とりまとめておいてください。

★ 簡潔に答える問題(5〜10行程度)

1. 伝統社会の特色
2. 産業構造の高度化
3. プロト工業化の展開過程
4. 重商主義

医療事故調査制度について

 本日の医療講座は、弁護士の水島昇先生のお話しでした。医療サービスの提供において、最も重視されなければならない安全性の確保について、これまでどのような取組が行われてきたか、詳細なご説明がありました。
 さて今日のトピックスのなかで、私が特に関心を持ったのは、「医療事故調査制度」についてです。つい先日(6月10日)の『日本経済新聞』にも記事があり、印象に残っていました。
  そもそも「医療事故調査制度」は、患者の予期せぬ死亡を対象としています。つまり、予期せぬ死亡について「医療に起因すると疑われる死亡で、管理者が予期しなかったもの」と定義しています。制度は昨年10月から始まり、今年4月までの7ヶ月間の届け出は222件だったそうです。制度設計の段階では、年1,300〜2,000件の届け出を見込んでいたといいますから、予想外の低調さといえます。その背景にあるのは、判断が医療機関に判断が委ねられており、医療機関ごとの対応が異なるからだと思われます。
 この問題点を改善するため、厚生労働省は6月9日、制度の見直しを表明しました。具体的には、判断基準や院内調査の方法などの全国共通化に向けて意見交換する「支援団体等連絡協議会(仮称)」を設けます。これは、日本医師会や大学病院、国立病院機構など、同省が指定する「医療事故調査等支援団体」と、医療事故の届け出を受け付ける第三者機関「日本医療安全調査機構」が参加します。
 また、担当医が院長などに死亡事例を報告せず、調査されないケースが出ることも懸念されます。そこで遺族が調査を求めた場合には、日本医療安全調査機構が窓口となり、遺族の要望を医療機関に伝えることも新たに規定されました。医療機関の管理者には、現場で起きた医療事故を漏れなく把握できる体制を確保しなければならないことを省令を改正して明確化することになります。
 このほか日本医療安全調査機構が再発防止策を検討するため、院内調査結果の報告書の内容について、医療機関の同意を得て確認ができるように定めます。院内調査の方法を改善するため、見本となる調査事例を共有化する仕組みも設ける予定です。
 最後になりましたが、「医療事故調査制度」の詳細は、下記の厚生労働省のリンクをご参照ください。

医療事故調査制度

関西学院大学 政治・経済と文化研究会 第6回研究会 のご案内

 関西学院大学 政治・経済と文化研究会第6回研究会を6月12日(日)、午後1時半より、関西学院大学上ヶ原キャンパス池内記念館第2研究会室で行います。ちょうど1年前、「政治・経済と文化研究会」と改称して再出発した私たちの学会ですが、当初からの目標どおり、年6回の勉強会を開催することができました。偏に会員のみなさんのご協力のおかげです。
 さて今回のご報告は、靆梢さん大西和明さんにお引き受けいただきました。靆召気鵑郎鯒より経済学部のオープンカレッジコースにおいて私のゼミで日本経済史を学ばれ、今春見事に大学院の入試を突破し、現在、経済学研究科(修士課程)で熱心に研究に取り組んでおられます。当面の研究テーマは「百貨店の経済史」で、私は今から修士論文の完成を楽しみにしています。このたびの研究会では、バブル期まで日本経済の強さの源泉と言われた「日本的雇用慣行」の特徴を分析し、今後どのような変革が必要か、多岐にわたって提言していただきます。
 後半の報告者の大西さんには、ご在職中総合教育研究室という部署で格別のお世話になり、本研究会も、設立以来のメンバーとして、活動にご尽力いただいてきました。今回のご報告内容は、壮大なヨーロッパ史、宗教史といえます。十字軍、カノッサの屈辱、ドイツ農民戦争など、歴史の綿密な検証をふまえ、宗教と社会の関係や、人間の本質に迫っていただく予定です。

【プログラム】

13:30〜15:00  靆梢氏(関西学院大学大学院・経済学研究科) 
「日本的雇用慣行に関する考察」  
15:00〜15:30  ティータイム
15:30〜17:00  大西和明氏(元関西学院大学職員)) 
「キリスト教の光と影」

2017年卒 大学生・大学院生が就職したい企業は?

 2017年卒の大学生・大学院生に対する経団連加盟企業の面接選考が今日1日解禁されました。面接活動が一斉に始まりました。昨年よりスケジュールが2ヶ月早くなり、人手不足による売り手市場というのが今回の特徴です。おそらくどの企業も、好感を持った学生は早くおさえようとするため、短期のうちに内々定(=採用予定通知)をもらえる学生も多くいると考えられます。
 さて2017年卒の学生たちは、どのような企業に就職したいと思っているのでしょうか。少し前ですが5月12日付の『日本経済新聞』に、文系、理系別に載っていましたので、ご紹介します。

2017年卒の大学生・大学院生 就職企業人気ランキング

文系総合                  理系総合 
 。複圍促哀襦璽廖             〔の素 
◆〜監本空輸              ◆‥貽本旅客鉄道 
 エイチ・アイ・エス            資生堂 
ぁ‘本航空                ぁ.肇茱深動車 
ァ〇杏東京UFJ銀行          ァ.汽鵐肇蝓璽曄璽襯妊ングス 
Α‥豕海上日動火災保険       Α.ゴメ 
А〇旭羹四Ф箙圈            А〔声グループ
─‥邸…漫                 ─。裡圍團如璽拭
➈ 博報堂                 ➈ 山崎製パン 
 みずほフィナンシャルグループ    ソニー

 当然ながら、文系と理系で事情が異なりますが、文系は、旅行、運輸(空運)、銀行、広告が人気です。それに対して理系は、食品、鉄道、化粧品、ITといった部門です。
 文系・理系に共通しているのは、製品やサービスにブランド力があり、ふだんの生活のなかで接することが多い企業といえるでしょう。
 私がやや意外に思ったのは、例えば電子部品や工作機械など、世界的に優れた技術を持ちながら、日常生活で接点が見出しにくい企業がランクインしていないことです。また高齢化社会の到来を見越し、医療、製薬、福祉サービスなども成長の余地があると思っていましたが、存外見過ごされています。
 上記でランクインしている企業は、華やかでスマートでカッコいいというイメージがあり、誰もが憧れる理由がわかるような気がします。ただし応募が殺到し、「狭き門」であることは確実です。
 ところで私は閑があったら、よく『日経 会社情報』を見ています。気合を入れて読んでいるわけではありませんが、これまでに知らなかった企業、珍しいものを作っている企業にいくつも出会いました。無数の企業から各自に最適の企業を選ぶのは至難の業ですが、知名度ばかりではなく、業務の内容、時代との適合性、将来性など、様々な評価基準を取り入れることが重要だと考えます。日経テレコンを利用した企業情報の収集なども、後悔のない進路を決める上で、日々心がけたい取組です。
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