寺本益英の日記

 関西学院大学で日本経済史を担当する寺本益英の身辺雑記です。経済、歴史、お茶、フードシステムの話題を中心に、思い立ったことを綴ります。受講生の質問にも答えます。

2018年03月

2018年度に担当する講義科目

 冷たい雨が降り、真冬かと思うほど寒い1日でしたが、今日はもう春分の日です。春休みは終盤にさしかかり、新しい年度が目前に迫ってきました。私の新年度の抱負は、「講義ファースト」です。1回1回の講義を丁寧にわかりやすく進め、受講生のみなさんの満足度を高めることを目標とします。
 さて2018年度に担当する講義科目は、次のとおりです。

 1.日本経済史機塀娚愆)、供塀学期) どちらも火曜日2限
 戦前期の日本の歩みを概観します。気任鰐声・大正期を、兇任肋赦太鐐梓を取り上げる予定です。機↓兇箸皀泪ロ経済の動向や経済政策に力点を置きますが、政治の動き、対外関係にも注目します。
 今年は明治150年。下記のリンクのように国を挙げて取組が行われています。近代史を学び、様々な教訓を得るには絶好のタイミングと考えたいところです。

明治150年ポータルサイト

 2.学際トピックス「医療をめぐる諸問題」(春学期・木曜日4限)
 私たち誰もが健康で長生きしたいという願望を持っていますが、それを可能にしたのは医療です。日本の医療は大変充実しており、世界トップクラスの長寿国となりました。最初に医療技術の進歩や経済・社会を取り巻く環境、制度などに焦点を当て、わが国が世界屈指の長寿国になった背景をさぐります。
 今後気がかりなのは、わが国の恵まれた医療制度が持続可能かという点です。高齢社会になり、膨大な医療費がかかる一方で、財源の見通しが立ちません。外科医や救急医の不足、大都市と地方都市の医療格差など、多くの課題を抱えています。こうした課題をどのように解決すべきか検討することも、本講座の重要なテーマです。
 この講座は医療を総合学として扱います。第一線で活躍する医師と、経済、法律のエキスパートでチームを作り、講座を運営します。

 3.経済史B(春学期・金曜日2限)
 イギリス経済史です。産業革命の展開をみた後、パックス・ブリターニカの構造に焦点を当てます。具体的には自由貿易体制、金本位制、植民地インドが果たした役割などを考えます。その後ドイツやアメリカの台頭により、パックス・ブリターニカが弱体化してゆく経過をたどります。
 戦間期に至り、これまでヨーロッパを中心に動いていた世界経済が変質し、アメリカの影響力が強まります。やがて金本位制は正常に機能しなくなり、大恐慌が起こり、世界経済はブロック化してゆき、第二次世界大戦に突入するまでの動向を追います。
 日本経済史機↓兇塙腓錣擦銅講してもらうと、同時期の日本と世界の動きを対比しながら学ぶことができます。

 なお上記担当科目の各回の講義内容は、下記のシラバスへのリンクを参照し、確認してください。

関西学院大学シラバス検索 

2017年度 秋学期 学位記授与式が行われました

 本日、中央講堂において2017年度秋学期学位記授与式が行われ、私も出席いたしました。私のゼミで日本経済史を専攻された靆梢さんは、2015(平成27)年オープンカレッジディプロマコースへの入学から出発し、翌年大学院・経済学研究科博士前期課程の入試を突破ののち、本格的な研究生活を始められました。2年間修士論文の作成に全力を傾注した結果、全7章、200ページを超える大作を完成させ、めでたく修士課程を修了された次第です。学業成績が極めて良好であったことも感慨一入で、平素から脇目も振らず研究に打ち込まれていたことが窺えます。
 さて靆召気鵑里書きになった修士論文「日本の百貨店経済史」は下記のような構成になっています。
序章
第1章 近代における百貨店の誕生
第2章 戦間期における百貨店の大衆化
第3章 戦時中と終戦後における百貨店の混乱と復興
第4章 日本の高度成長期における百貨店の隆盛
第5章 日本の低成長期における百貨店の成熟化
第6章 平成バブル期における百貨店の幻の復権
第7章 平成バブル崩壊後の百貨店の凋落
終章
 百貨店の歴史をそのルーツである江戸時代にまで遡り、明治・大正・昭和・平成という長期的視点から、それぞれの時期の経済・社会情勢と、百貨店業界の動向を重ね合わせ、丁寧に分析しているのが特長です。
 また靆召気鵑力席犬呂垢戮討両呂任泙彩簑螳媼韻鯡棲里砲掘△修譴謀える形で詳細な分析があり、最後は説得力ある結論で締めくくるというスタイルをとっているため、ストーリー展開が明快です。さらにそれぞれの時代に起きた重要な出来事に関しても的確に言及してあり、本論である百貨店の動向が一段と深く理解できます。簡単ですが下記のリンクで概要を紹介しています。お目通しいただけましたら幸甚です。
 なお靆召気鵑『関西学院 経済学研究』第48号へ投稿された論文「戦間期における百貨店の大衆化」は、大学院生の優れた論文に授与される龍象奨学金の対象となったことも付記いたします。
 最後に、靆召気鵑里憾Φ罎某発され、これに続く素晴らしい経済史研究が育っているのは嬉しいことです。経済学にも色々な分野がありますが、やはり私が担当している経済史の分野でハイレベルの研究が量産され、関学の経済史の層は厚いと評価されるようがんばりたいと思います。

関学ホームページ 2017年度ユニーク卒論・修論一覧

関西学院大学 政治・経済と文化研究会第10回研究会 のご案内

 関西学院大学 政治・経済と文化研究会第10回研究会を3月11日(日)、午後1時半より、関西学院大学上ヶ原キャンパス池内記念館第2研究会室で行います。1年以上ブランクをあけてしまい、会員の皆様には大変ご迷惑をおかけしました。今回は西村正美さんが、「日本未来への提言 −少子高齢化と雇用−」というテーマでご報告くださいます。
 西村さんのテーマは、私のゼミ生の多くが冬休みのレポートに選んだテーマと一致しており、大変興味があります。少子・高齢化問題をキーワードに、日本社会が抱える様々な課題を明快に指摘し、政治哲学の研究成果も踏まえて説得力ある解決策を示してくださっています。
  国会は財務省による学校法人「森友学園」に関する決裁文書の書き換え問題で紛糾しています。もし『朝日新聞』の指摘が事実なら、これほどいい加減な政府や役人に日本を任せられるのかと不安になります。西村さんの資料の冒頭に「為政者」を特徴づける言葉が書かれていますので、引用させていただきます。
 「経世済民」:世を治め、民の苦しみを救う、尊敬されるべき立派な政治と政治家である。
「君子不器」:尊敬される人間は、一方向の技能や手腕に秀でるだけでなく、全人格的な志しと修養を身に付けている。
 今回の研究会では、日本経済・社会が抱える難問を洗い出し、それを解決できる為政者の条件は何か、みなさんと議論したいと思います。

【プログラム】

13:30〜17:00   西村正美氏 「日本未来への提言 −少子高齢化と雇用−」
総合討論

※ 途中適宜休憩をはさみます

ゼミ生の研究関心と平成史 (経済編)

 冬休みのレポートで研究演習入門に所属する学生が関心を持っている経済問題は、概ね次のように分類できます。新年度からスタートする平成史の研究(春休みの宿題)は次のテーマから選んで作成してください。
1.アベノミクスの評価・景気動向
 民主党政権が倒れ、自民党・安倍晋三政権が誕生したのは、2012(平成24)年12月のことです。以来現在(2018年3月)まで、5年超の長期政権が続いています。この間、どのような経済政策が打ち出され、景気はどのように移り変わっていったか、評価してください。同時に各自がアベノミクスで成功したと思う点と、問題点を明らかにし、望ましい政策の方向性を示してください。
2.少子・高齢化、社会保障、働き方改革について
 アベノミクスとほぼ同数の学生は、少子・高齢化問題を取り上げました。しばしば少子化と高齢化はひとくくりに扱われますが、私は別々に考えるべきだと思います。
 まず少子化は子供の数が減ってゆく現象です。その背景にあるのは、晩婚化・非婚化です。このテーマを選んだ学生は、まず晩婚化・非婚化の原因を突き止めてほしいと思います。さらにこのような状況を食い止めることも重要な課題です。平成年間の子育て支援策を振り返り、その効果を検証し、改善策を提言してください。
 次に高齢化とは、全人口に占める65歳以上の者の比率が高まる現象です。日本は世界トップクラスの長寿国と言われていますが、医療技術の進歩や社会環境の変化に注目し、その要因を明らかにしてください。
 そしてここから必然的に生じるのは、医療・年金・介護に象徴される社会保障費の増大です。厳しい財政状況のなかで社会保障の水準を維持できるのか無理なのか、考えてみてください。
 さらに少子・高齢化社会は人口減少社会ともいえます。まず人口減少社会は経済活動にどのような影響を与えるのか考えてみてください。
 さて15歳以上で労働するの能力と意思を持つ者の数を労働力人口といいます。人口減少社会においては当然労働力人口が減ってゆきます。労働力人口が減るなかで、これまでと同じ生産を維持しようと思えば、ひとりあたりの生産性を高めるほかありません。安倍内閣の重要テーマになっている「働き方改革」の本質は、この点にあるといえます。過労死を引き起こすことなく、効率よく仕事ができる環境をどのように整えればよいか、みなさんのアイディアを出してください。
3.IT(情報技術)やAI(人工知能)の普及と経済・社会の変化
 私の得意分野ではありませんが、平成年間にITやAIの技術が目覚ましく発展しました。私の学生時代には、インターネットで買い物などできませんでしたし、携帯電話は誰も持っていませんでした。みなさんは生まれたときからITやAIの恩恵を受けていますが、私の学生時代には想像もつかなかった世界が広がっています。平成年間のIT、AI技術の発展をたどり、ビジネスのしかた、個人の生活、産業構造がどのように変化したか明らかにしてください。

※ 冬休みのみなさんのレポートのテーマは、以上の3テーマに集約できるように思いましたので、まだ平成史の研究に着手していない学生は、上記の問題意識に沿って、10枚程度のレポートを作成してください。なおすでに別のテーマで書き始めている人は、テーマを変更する必要はありません。
人気ブログランキングへ
最新記事
訪問者数

    人気ブログランキングへ
    Archives
    QRコード
    QRコード
    • ライブドアブログ