昨日の総合コースの時間、民主党の農業政策は見直さなければいけないと強調しました。今日のブログはその補足記事です。
 周知のようにわが国農業は極めて厳しい状況にあります。ここ20年間で農家の数は4割減り、耕作放棄地は40万haにのぼり、滋賀県の広さに匹敵します。担い手の高齢化が進み、農業を本業とする人の平均年齢は65歳を超えています。
 民主党の農家の戸別所得補償政策は、このような農業衰退に歯止めをかけることを旗印に打ち出されたものです。具体的には、生産調整(減反)に応じることを前提に、水田10アール当たり1万5,000円の定額補助を出すという内容です。さらに米価が下がって生産費用を下回れば、その赤字分も政府が補填します。ちなみに2010年度予算では5,618億円が計上されています。対象はすべての農家で、経営規模も問われません。
 しかしこの政策で農業再生が実現できるかどうかは疑問です。経営規模に関係なく補助金がもらえるとなれば、片手間に農業を営んでいるような零細農家も農地を手放さず、むしろ逆に、いったん大規模農家に貸した農地を取り戻す動きが出るでしょう。これでは、専業農家に土地を集積して規模拡大をはかり、収益を高めて競争力を強化するという目標達成が困難なのは明白です。
 もうひとつ重要な視点は、農業保護と貿易自由化の両立です。これまで日本は食料安全保障の観点から農業を「聖域」扱いしてきたため、自由貿易協定(FTA)推進の面では立ち遅れが目立っています。仮に今市場開放を進め、高関税撤廃に踏み切れば、安価な外国産農産物の輸入が増えます。国産品もこれに同調して価格を引き下げざるをえないため、農家の経営は打撃を蒙るでしょう。もちろん私たち消費者は恩恵を受けますが、農家も救済しなければいけません。
 厳しい財政事情を勘案しつつ、生産者・消費者の両方が納得する農業政策の模索が続いています。戸別所得補償政策は、このような視点から議論する必要があります。