今日は関西経済連合会・都市創造・観光委員会主催の講演会で中之島センタービルへ出かけ、「関西で育まれた喫茶文化 −『はなやか関西』からの提案−」というテーマで講演をしました。関経連といえば、関西にある有力企業の集まりというイメージで、そのような場で講演の機会をいただけるのはとてもありがたいことですが、普段の講義とは全く勝手が違う未知の世界の体験なので、緊張のあまり足がすくみました。うまく話せるかどうか、ゴールデンウィークの頃からずっと気になっていて、色々な文献に当たるだけは当たっていました。しかしなかなか思ったように整理できず、資料作成は大変難航しました。結局期日が来たので観念しましたが、大きな不安を抱えたまま当日を迎えることになってしまいました。唯一の救いは、今日は大安だったことです。私の講演の後の第二部をご担当いただいた湯浅薫先生に日にちのご連絡をしたとき、先生は心配する私に、「7月12日は大安ですね。うまくゆきますよ」と励ましてくださいました。朝家を出る前にその言葉が蘇ってきて、「そうか、準備不足は大安でカバーできるのだ!」と開き直り、会場へ向かいました。
 さて私の講演は午後2時から始まりました。企画が「はなやか関西」の取組を盛り上げようという趣旨であることを意識し、概ね次のようなストーリーでお話をしました。
 何よりも訴えたかったことは、日本の喫茶文化が曲がり角にさしかかっているということです。生産側に目を向けると、緑茶市場が大幅な供給過剰に陥り、茶価が下落の一途をたどって、産業として活気を失っています。一方リーフ緑茶離れも深刻で、最近のひとり当たり消費量は40年前の6割水準に落ち込んでいます。
 私は緑茶の消費が低迷している大きな原因は、メッセージを伝える茶業関係者の提案力が不足しており、生活のどのような場面でどのような価値を提供したいかを明確に消費者に伝えきれていないからだと考えています。これまでの販売方法のどこに問題があり、どのような点を改善すべきか意見交換の場を設けるのは、「はなやか関西」の重要な役割であると考えています。
 また商品の価値は、生活の各場面で使用されたとき、消費者に満足感を与えることによって完結します。これまでの茶業界は、商品と消費者の接点となる売場の工夫や、お茶のある暮らしの提案といういわば商品の背景に当たる部分の配慮を欠いていたといわざるをえません。したがって今後は、リーフ緑茶の生活の中における位置づけを明確に示し、消費者が愛着を持って離れないような仕掛けを作っていくことが求められています。
 私は茶の究極の魅力は、その文化性・精神性に見出すことができると思っています。日本茶は平安時代における伝来から今日に至るまで、時代に応じた存在価値を持ち、日本を代表する文化を形成してきました。鎌倉時代の栄西と明恵、足利義政を中心とする東山文化、村田珠光→武野紹鴎→千利休という侘び茶の展開、上田秋成、田能村竹田、頼山陽らを主役とする煎茶文化の広がりなど、お茶にまつわるエピソードは枚挙にいとまがなく、私が心を動かされたいくつかの話題をピックアップしてご紹介しました。
 また、歴史に名を刻んだ人たちは関西を中心的な舞台として茶に親しみ、清く穏やかな心の修養を求めました。工夫をこらした様々なイベントを開催したり、史跡や美術館の周遊ルートを提案し、慌ただしい毎日を過ごす現代人に同じ感覚を定着させることが、「はなやか関西」プロジェクトの到達点であることを強調しました。関経連1