関経連での講演が終わり、肩の荷がおりた気持ちです。講演終了後まっすぐ家に帰りましたが、夕方帰宅して以降今朝まで、意識不明のままでダウンしてしまいました。原因は熱中症で、体感温度は100度まで上昇していました。昨日はくもり空で強い日差しはありませんでしたが、それでも暑く、上着を着ていったためか、体温が(40度くらいまで?)急上昇しました。残り60度分は、緊張感による頭のヒートアップの影響です。家電製品をふだんとは違う環境で使うと出火するのと同様に、関経連という全く未知の恐れ多い世界で報告した私の頭はびっくりして回線が切れ、今にも火が噴き出しそうになったのです。昨日から続いていた「異常事態」は、今日研究室へ来てしばらく涼しい冷房でくつろいで、やっと解消しました。「来客定員1名」(場合によっては0名)の関学一乱雑な研究室でも、緊張を解くには一番の場所といえます。
 さて今日は第2部の湯浅薫先生のプログラムをレポートします。まず最初に湯浅先生にお願いした経緯を述べておきますが、主催者より私の講演の後第2部として、実演も取り入れながら、参加者にお茶の魅力を伝える企画を考えたいというお話をいただきました。このような主旨の企画を行うのなら、最適任者は何と言っても湯浅先生です。湯浅先生にはこれまで私が主催した企画で、素晴らしい実績を残していただきました。文化に関心のある社会人が聴講するK.G梅田ゼミ、若い大学生を対象とした「学生提案企画」の体験型プログラム、多くの外国人が参加した留学生向けのイベント等々において、それぞれの対象が最も興味をそそる多様な仕掛けをつくり、ユーモアも交えた見事なトークで参加者をお茶の世界に引き込んでいってくださったからです。今回の場合対象は企業関係者ということで、湯浅先生にとっても目新しいプログラムですが、オフィスでのお茶の楽しみ方というコンセプトをご提案くださり、快くお引き受けいただきました。
 これまでもそうでしたが、湯浅先生はお願いした瞬間から着々と準備を進めてくださいます。お茶の素晴らしさやもてなしの心を伝えたいという並々ならぬ情熱で色々な試みを重ねてくださっているのはありがたいのですが、1時間余りの本番に備え、膨大な時間と労力を割いてくださっていると思うと、依頼した私は申し訳ない気持ちになります。
 第2部でまず感激したのは、会場の行き届いた室礼です。会場に入ると茶香炉から流れてくる芳香に心がリラックスし、きれいに飾られたお花で目がなごみます。また様々な種類のお茶のサンプルもご持参くださり、実際に確認できる工夫をしていただいたのも、ありがたいことです。
 メインプログラムは、「究極の冷茶」の淹れ方教室です。茶葉の選定、使う葉の量、氷水の量、抽出時間等々、最高の味を出すためにどれだけ試行錯誤を重ねてくださったことでしょうか。湯浅先生の丁寧な解説に基づき、奥様のサポートも受けながら、各グループの代表者が第三煎まで淹れる体験をしました。みなさんとても楽しそうでした。またお茶を賞味した約50名の参加者全員が、盧同のように羽が生えて清風を感じながら空を飛んでいる気分になったことでしょう。おいしいお茶を味わい、和気藹藹とした雰囲気の中で会話もはずみ、笑い声が絶えませんでした。
 湯浅先生はかねてから、ちょっとした工夫でおいしいお茶を淹れることができる、おいしいお茶を淹れるという過程でよりよい人間関係を築くことができるとおっしゃっています。すべての参加者がこうしたお茶の神髄を実体験し、大きな満足感を得られたに違いありません。
 企業にお勤めの方から最近の会社では、隣に座っている人とでもメールでやりとりをするという話を聞きました。きちんと会話もせず、仕事がうまくゆくのだろうかと驚きました。リーフ緑茶消費の落ち込みは、家族団欒時間の減少、オフィスでの会話の減少と深いつながりがあるように思います。私たちが精神的な充実感や安心感を得て幸福に生きるには、今日のような和やかな雰囲気の中で人間関係を深めることが大切です。その媒介となるのがティータイムではないでしょうか。今日の湯浅先生のプログラムを通じ、「はなやか関西」や関経連から、このようなメッセージを発信できたのは、とても意義深いことです。
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