長い春休みも終わり、いよいよ新年度が始まります。一回一回の講義を大切に、まずは夏休みまでがんばりたいと思います。
 さて今年2018年は、近代史の研究者にとって、とても重要な年になります。というのも、明治150年、平成30年の節目の年だからです。したがって日本経済史の講義では明治150年を意識し、また研究演習では平成30年を念頭に置いて、その間の歩みをしっかり見つめ直したいと考えています。
 ところで私たち日本人には元号を使う習慣があります。履歴書など書類を作成する際、西暦と対比するのが面倒だと思うこともありますが、自分の体験と重ね合わせるとき、昭和何年、平成何年といった方が、時代の区切りや世相が鮮明に浮かび上がってくる気がします。
 年度はじめにあたり、歴史を顧みることの意義についても述べておきます。現在日本や世界を取り巻く環境は日々目まぐるしく移り変わり、解決困難な多くの問題に直面しています。しかしこうした現象は今突然起こったのではなく、過去の出来事の積み重ねの上に生じていると考えるべきではないでしょうか。つまり過去に起こった事件や過去に作った制度が、今日と深く結び付き、大きな影響を与えているのです。私たちの目前に立ちはだかる政治・経済・外交上の諸問題は、歴史的経過をよく観察し、歴史からの教訓を導くことよってこそ、有効な処方箋を提示できるものと考えています。
 ここで私にとっての平成史について触れておきたいと思います。私が大学院に入学し、本格的な研究生活を始めたのは、1990(平成2)年のことでした。平成史は私の研究生活を送ってきた期間とぴったり重なります。
 平成がスタートした頃の出来事としてまず印象に残っているのは、東西冷戦の終結です。学部生のとき、資本主義と社会主義はどちらが優れているかというテーマでよく論争が行われており、最終的な結論が出たと思いました。その結果、アメリカは世界のリーダー国として益々力を発揮し、世界情勢は安定化してゆくと見ていました。ところがアメリカとソ連の制約がなくなった世界各国は、思い思いの行動をとるようになり、国際的なルールを守らず、抑制がきかなくなってゆきます。世界情勢は混乱の一途をたどりました。1990(平成2)年8月、イラクがクェートに侵攻し、翌年1月、湾岸戦争が起こりました。
 2001(平成13)年9月11日のアメリカ同時多発テロは衝撃的でした。アメリカは報復のため同年10月アフガニスタンを攻撃し、2003(平成15)年にはイラク戦争が勃発しました。