2019年が始まりました。今年は4月30日までが平成で5月1日から新しい元号にかわります。平成ももうすぐ終わるのかと思うと、何となく寂しい気がします。このブログでも何度かふれましたように、私は1990(平成2)年に大学院に入学し、研究生活を開始しました。当時はまだ機敏な行動が可能で駅の階段も軽く昇り降りできました。しかし30年経った現在では、ちょっした動作をするにも「ヨイショ」と掛け声が必要で、集団行動の際には一番の足手まといになる厄介なオッサンになってしまいました。もう一度30年前に時計の針を戻してやり直したいところですが、どうにもなりません。
 身体能力が衰え、以前のようにパワフルな研究生活を送れなくなったのは残念です。ただ歴史研究は瞬発力より経験が有利に働く場合もあると自身に言い聞かせ、これまで重ねてきたささやかな研究を多少なりともバージョン・アップできる1年になればと願っています。 
 さて「1年の計は元旦にあり」ですから、大まかな研究計画を立ててみました。特別斬新なことを考えているわけではありません。例年通り講義を中心に組み立て、これまで不十分であったところを改善してゆきたいと思います。
 最初に日本経済史ですが、機塀娚愆)には通史を確実におさえておきたいと考えています。明治維新以降第二次世界大戦終了までの近代史の重要事項を、政治・経済・外交面から把握します。いつどのような事件が起こったか、それがどのような影響を与えたか、という基本を明快に整理します。私たちは移動の際、ナビゲーションシステムを利用し、経路を確認します。それと同様に、時代を自由自在に動き回るには、わかりやすいガイドが必要です。受講生にはそのガイドを提供できるよう尽力したいと思います。
 その後供塀学期)では通史の基礎知識を前提に、特定のトピックスを扱い、深く掘り下げながら、教訓を導きます。また過去(戦前)の出来事と現在(昭和・平成)の出来事を比較し、類似点と相違点を検討します。例えば桂太郎内閣と安倍晋三内閣を対照し、長期政権の条件を考えてみたり、大正バブル崩壊と平成バブル崩壊を重ね合わせ、バブルが崩壊すると経済にどのような悪影響が生じるか、またそれを立て直すのがいかに困難であるかを明らかにすることは、様々な経済問題のなかでも、最も優先順位が高いテーマといえます。
 また来年度は春学期に必修科目「経済の歴史と思想」を、秋学期に「経済史B」を担当する予定ですから、封建制社会から近代市民社会の成立を経て、パックス・ブリターニカの時代に至り、アメリカやドイツといった挑戦国の出現で覇権国としての役割を終えるまでのイギリス経済の推移をたどります。これは言うまでもなく経済史研究の一丁目一番地の課題です。もちろん私もかねてから重点的に勉強してきましたが、新しい文献も次々と出版されています。そうした新鮮な研究成果からも学びつつ、イギリス経済史の再構築にチャレンジしたいと意気込んでいます。