寺本益英の経済コラム

 関西学院大学で日本経済史を担当する寺本益英がお届けする経済コラムです。ホットな経済ニュースにコメントし、ゼミ生の研究テーマなども紹介します。

2011年08月

民主党代表選、野田佳彦氏を代表に選出

 菅内閣の退陣で、民主党政権誕生後、わずか2年間に、3人目の総理大臣を選ぶことになりました。以前短命の自民党政権を、「無責任で、政権をたらい回ししていると強烈に批判していた民主党が、同じ運命をたどることになったわけです。代表選挙には、前原誠司前外相、馬淵澄夫前国土交通相、海江田万里経済産業相、野田佳彦財務相、鹿野道彦農相の5氏が立候補しました。告示が8月27日、投開票は29日と、選挙戦はたった3日間行われただけでした。
 今回の選挙も「脱小沢」対「親小沢」という構図になりました。マニフェスト堅持を主張する小沢・鳩山グループは海江田氏を推し、海江田氏1回目の投票で、投票総数395票のうち143票を獲得して首位になりました。以下の得票数は、野田氏102票、前原氏74票、鹿野氏52票、馬淵氏24票という順です。
 1回目の投票で過半数をとった候補者が出なかったため、海江田氏と野田氏の間で決選投票が行われました。その結果は、野田氏215票、海江田氏177票(無効3票)となり、野田氏が逆転で菅氏の後継代表に選ばれた次第です。
 野田氏の勝因は、2位以下連合が功を奏した点にあります。多くの所属議員は、小沢・鳩山連合が財源の裏付けのないマニフェストを推進しようとしていることに危機意識を持ったのでしょう。
 こうした中で成立した野田内閣には、まず党勢の回復が求められます。その他、震災復興、円高対策、エネルギー政策、社会保障と税の一体改革、巨額の財政赤字削減など、難問が山積しています。

2010年度の食料自給率 40%割れ

 昨日11日付の『日本経済新聞』夕刊によると、農林水産省が発表した昨年度のわが国の食料自給率(カロリーベース)は、39%だったそうです。カロリーベースの自給率は、1人1日当たり国産供給カロリー/1人1日当たり供給カロリー で計算します。
 2010(平成22)年度の場合、分子が946キロカロリー、分母が2,458キロカロリーなので、自給率約39%となります。ちなみに、40%割れは2006年度以来4年ぶりのことです。
 コメの年間1人当たり消費量は、2009年度より1kg増え、59.5kgとなったようです。ただこれはコメ離れに歯止めがかかったというわけではなく、震災の影響で、コメを買い急ぐ消費者が増えた結果と考えられています。コメ消費が増えた反面、昨年の猛暑のため、小麦やてんさいの生産量が約15%落ち込みました。自給率低下の主な要因となりました。
 今年度は、東日本大震災発生にともなう原発事故のため、放射性物質による汚染が牛肉やコメに広がっており、消費減少が予想されます。したがって自給率はさらに下がる可能性があると指摘されています。

国の借金残高が943兆円を超えました

 今日11日付の『日本経済新聞』によると、国債や借入金などを合わせた6月末の「国の借金」の残高が943兆8,096億円になったそうです。3月末に比べ、19兆4,500億円増加し、過去最悪を更新したもようです。
 厳密にいうと「国の借金」とは、国債、借入金、政府短期証券の総額です。6月末の内訳をみると、普通国債や財投債を含む内国債が9兆3,753億円増の767兆9,443億円、借入金が9,265億円減の54兆793億円、政府短期証券が11兆12億円増の121兆7,860億円でした。
 なお国民1人あたりの借金額は約738万円になります。政府は今後、東日本大震災の復興に向けて国債の一種である復興債を10兆円以上発行する予定で、借金はまだまだ増加しそうです。
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