2013年12月26日
格信犯へ
知り合って直ぐSNS等で申請すれば”友達”という風潮。
本来、他人との関係構築は非常に手間と時間を要するもの
その割に報われない場合の方が多いはず。
けれど他人を受け入れもせず、自分が折れることを拒絶し
自身の対人能力を過大評価している人が多い。
スタミナやテクニックも会得していないのに距離を詰め過ぎ、
相手に詰められ過ぎ、即時撃沈する姿は無謀としか言えない。
そしてもっと問題なのは対人戦における必然の敗戦を
受け止める心の強さや広さに乏しいこと。
容易く手に入れ、簡単に一方的に捨ててしまえる関係など
無価値
なぜ気づかないのだろう。
努力や我慢もせず人対人の機微が備わるはずもなく、情報過多の中で
苦もなく育った人々は大量の無償情報を信望し利便や有益を勝手に
人間的優位だと思い込んで満足している。
同種、同系、同世代で戯れていれば失敗も無いだろう。
けれど、今以上の何も得られない。
軟弱でありながら鈍感であることに無自覚な人々が他人の落ち度を
見つけては面白可笑しく嘲笑う嫌な世界となりつつあるネットの世界。
大人たちが顔も見えないモノに怯え、過剰防衛し萎縮してしまっている。
そんなものなんだ。
それがどうしたんだ。
悪い奴や姑息な奴など現実社会にはもっと溢れている。
ネットの世界はユーザー側がどんどん窮屈にしている。
文章ではなくフォントの羅列をただ読んでしまっている。
ウィットやユーモアや戯言をマトモに受取り揶揄するなんて
あまりに滑稽すぎて可哀想になる。
ただ、僕はそんなネットの世界で幸運にも格信犯メンバーと知り合えた。
リアルに顔を合わせる事ができ、格闘技という共通の言葉で
親睦を深め、いつしか友達と呼べる存在となった。
友になった彼らは毎年、当然のように誕生日を祝ってくれました。
イベントとかパーティーとか無縁に生きてきたし、家族という繋がり
も必要としてこなかった僕は当初は正直、勘弁して欲しいという
思いしかなかった。
けれど彼らはそんな気持ちも見越してくれていた。
流せる涙を持たないオッサンは格信犯メンバーから
見れば”愛逸れた人間”に写っていたのかもしれません。
出会ってから、イジられたり、けっこう上からモノを言われたり、
キャラ付けされたり、未体験の扱いに戸惑いました。
今思えば貴重な経験をしたのだと。
お陰で自分より若年者の主張に耳を傾けられる様になり、
異世代である彼らの指向や思想まで深く理解することができ、
自分自身をも見つめ直す機会ともなりました。
意識していませんでしたが、どうやら僕は大人と過ごす時間が
多かったため、人より内面が強くシビアに構築されていて、
孤独を恐れないあまりに協調や調和が苦手なのだと。
「まず肯定から人と向き合え、そうすればいづれ
秘めたる思いを相手が悟ってくれる。歳を重ねる度に
我慢比べは重く伸し掛るんだ。」
20年前に従事した尊敬する会長の言葉
42歳にしてはじめてその真意が理解できた気がします。
この記事と先の記事「2013 結実」を書いたのは、
2013.06.01に大阪で催されたmarc&snow披露パーティー直後

格信犯史上、最高に御目出度い空気に言い出しづらくなって
いましたが、昨年より優先すべき事項が多発してました。
やるべき事をやらずに済んだ今までが気まま過ぎました。
残された時間を鑑み、僕は格信犯から退きます。
最近はブログさえロクに更新していませんでしたが。
格闘技はこの先も多分、好きなままいられると思います。
大学へ行けず18歳から社会へ出た僕にとって格信犯は
遅れてやって来た人並みの青春だったのかもしれません。
ありがとう、格信犯
2013年06月05日
2013 -結実-
格信犯の編集長であり僕の誇るべき友
marc_nas
6歳下ではあるが後輩と思って接した事は一度もない。
色んな側面を持つ非常に豊かな人間性を有する彼は
のび太+ジャイアン+スネ夫+出来杉君 = marc_nas
人間、ひとつくらい良いところがある
人間、ひとつくらい悪いところがある
ところが彼は長所も短所も人の何倍も持ち合わせている不思議な男
時に心配で仕方ない弟であり
時に頼もしい兄であり
時にフラットな意見を聞かせてくれる祖父であり
時にリベラルな生き様をみせてくれる父であり
時に将来を期待せずにいられない息子であり
時に何をしても微笑ましい孫である
そんな彼が白く透き通る雪月花のような伴侶を見つけた。
これ以上に喜ばしいことはない。
2013.04.13 香川@弓弦葉 にて
祝宴の〆に彼が闘病中の母に捧げた言葉
彼は泣かなかった。
人一倍、いや人百倍 家族思いの彼が涙を堪えて
ゲストへの感謝を伝えていた。
立派だった。本当に立派だった。
胸を張り気丈に振舞うキミの姿勢に
夫として一家の長となる覚悟をみた。
snow & marc
国籍、文化、習慣、そんな小さな枠組に
ふたりはハメ込まれることはないだろう
最愛のふたりに心から祝福を おめでとう。
最高の祝言への招待に感謝を ありがとう。
marc
キミに出会わなければ僕は若者と交わることはなかった。
格信犯に加入してから僕の環境と価値観は一変した。
大阪では「くみちょ!」とあちこちで声をかけてもらえ、
色んな若者と繋がることができ多くの刺激を受けました。
本当に大きな財産をもたらしてくれました。
キミは誇るべき我が友です。
全力でsnowさんを守っていってください。
snow
あなたがmarcの伴侶となってくれたことが心から嬉しいです。
この日まで不安と葛藤の連続の中、多くの決断をされたと思います。
何の心配も要りません。あなたの判断が間違っていなかったことを
僕の最高の友が全力で証明してくれます。
marc & snow ふたりの門出に立会えたことで僕自身も結実できました。
2013年01月23日
敗忘せず
昨年のクリスマスイブ、修斗主催のVTJ観戦に代々木第二体育館へ。
数年振りに心躍るカード、佐藤ルミナvs所英男を見届けられれば今年は
もう充分だと、この時既に11年続いた大晦日さいたまSAの現地観戦を
不参加と決めていた自分にとっての2012年最後の格闘技生観戦だった。
会場入りすると、いつもの修斗熱気とは明らかに違う緊張感が張り詰めて
いた。それはオクタゴンという金網の存在感ではなく、不確実ながらも
明確に浮かんで来てしまう銀狼の最期をかき消そうとする多くのルミナ
ファンの願いが一念となり木霊していたからだろう。
定刻19:00、煽りVTRはルミナ・所の両選手と繋がる人々、家族の表情、
二人の背景を紹介、今日の日本メジャー格闘技破綻のトリガーとなった
谷川氏までもが登場し、以前からの懇願していた対戦だったと言い放つ。
高鳴る気持ちを抑制しつつ両者の入場を見守る。舞台は整い場内の熱気と
緊迫感は最高潮となり試合が開始された。
が、たった39秒で斗いは決した。
開始早々、飛び込んできた所選手の足払いでバランスを崩され後転、
そのまま亀の子状態でパウンドを喰らい続けるルミナ選手を見て
レフリーは試合を止めた。勝者の所英男選手は呆然とした表情で立ち尽くし
目前の出来事を受忍できず、長い静寂が金網の内側と外側を包んでいた。
こんなことは誰も想定していなかった。対峙した二人さえも。
惨敗という次元ではない、ただただ凄惨な光景でしかなかった。
「何もできなかった」敗戦の弁としてよく耳にする言葉だが、無冠と言えど
修斗のカリスマ、佐藤ルミナの余りに無抵抗な姿、我々の知る銀狼は
こんなレベルの選手ではなかった。皮肉にもそんなトラジックな想いを
手応えなきまま勝者とされた所英男の顔色が代弁してくれていた。
格闘技バブルの絶頂期だった2002年11月、東京ドームでPRIDE.23を
観戦していたら、偶然にも隣の席が佐藤ルミナ選手で休憩時間中、
PRIDE参戦について質問してみると彼は端的に「自分は修斗なんで」と
答えた。その紛うことなき一言にはっとして愚問の非礼を謝罪した。
その後、彼は”日本格闘技界、最後の大物”として実際に何度もオファー
されたそうだが、結局、一度も外のリングへ上がる事はなかった。
対照的に修斗の後輩たちは次々へと大金が渦巻くメジャー団体へと
参戦して脚光を浴び、一時は富と名声を手に入れもしたが格闘バブル
崩壊という大きな渦に拐われた今、希望と行き場を失い埋もれかけている。
ただ一人、修斗に生きた狼は今回、愛息に己の斗う姿を魅せたいという
想いで試合に挑んだ。ファイターとして屈辱的な結果であっても初志貫徹の
佐藤ルミナが敗忘されることはない。それは彼がプロシューターとして
刻んできた生き様をファンや関係者は敬服しているのだから。
忘却されかけ試合がしたいと彷徨っている選手とは対照的である。
2012年07月24日
夢を少し後ろから
需要と供給バランス
格闘技には縁遠い言葉に聞こえるが、何事も基本は同じ。
どんな仕組みもINPUTとOUTPUTが両立して初めて循環
していくもの。格闘技も選手がいて、ファンがいて、スポンサー
がついてこそプロスポーツとして成立していた。
日本プロ格闘技に君臨してきたK-1とDREAMという2大メジャーが
消滅してしまった今、ジムや道場運営者は選手を上げれるリングが
限定され、門下生も減り経営は苦しくなるばかり。
また、所属するプロ選手たちも闘える機会が激減し、以前より安い
ギャランティーの小規模大会で必要以上に出場枠を奪い合っている。
そんな閉塞感の漂う格闘氷河期な現在でも、選手たちは志高く持ち
直向きに格闘技と向き合っている。
どんなに逆境でも習練を怠らず、不安と孤独に立ち向かい、次なる
闘いに備える日々、そんな日本の希望である彼らを見殺しになど
するものか。ブームが去ったとか、人気が薄れたとか、世間一般が
冷めたとか、我々、格闘技ファンは過去に何度も疎外など経験済み。
格信犯は、これからもファイターが追う夢を少し後ろから追い続けます。
そんな我々、格信犯が追いかけている選手を紹介させて頂きます。
漆谷康宏選手 (公式Blog Good Lacqer)
第3代修斗世界バンタム級チャンピオン
UFCを主戦場とし長年所属した慧舟會からこの夏、独立しフリーに。
次戦は9月1日(土)に開催されるUFC151でハンズ・オブ・ストーンと
呼ばれし強豪ブラジリアン、ジョン・リネカー選手との対戦が控えている。
UFC初陣の敗戦後、日沖選手らと共に直ぐに渡米してヘンゾアカデミー
などで最新MMA技術を体得して帰国、現在は国内で最終追い込み中。
円熟期を迎えた漆谷選手は今、一番、強いに決まってる。
清水清隆選手 (公式Blog 清水屋)
Sフライ級キング・オブ・パンクラス
所属ジムの解散という悲運もあったが、殺戮ピラニアこと長南亮選手が
主宰する今、格闘技界で一番勢いのあるトライブトーキョーに参加し、
新たな環境で強豪選手たちに揉まれながら修斗で戦い続けている。
3月の修斗大会で判定負けを喫した際、選手にとって最も辛いであろう
試合直後に態々、僕たちの席まで挨拶に訪れてくれた彼。
だが、あの時、彼の目は全く死んでいなかった。彼は試合を重ねる度に
スキルアップを感じる選手。次戦は8月25日(土)に開催のSHOOTO GIG
TOKYO Vol.11で修斗の叩き上げ長身の菅原雅顕選手との対戦だ。
リーチ差も体格差もあるが清水選手はスピードとスタミナで圧倒すると予測。
彼の成長幅は底なし。
麻原将平選手
RISEライト級4位
今月1日にディファ有明で行われたRISE89にて菅原勇介選手と対戦する。
1Rこそサークリングからジャブとローでリズム良く、出入り素早い動きで
菅原選手を翻弄していたが、2R以降は本来1階級上の菅原選手が前蹴りで
牽制しテンカオやハイを駆使して重たく見栄えする攻撃を繰り出す。
麻原選手も手数を落とすことなく随所で反撃するもジャッジは3−0とフルマーク
で敗戦となった。前戦の王者挑戦権を賭けた試合で敗戦した麻原選手にとっては
今回は是が非でも勝たねばならない、背水の陣の覚悟で挑んだ試合。
けれど、これで終わった訳じゃない。次戦に備え湊谷コーチの下更なる習練を
積んで再び勇姿を見せてくれるに違いない。
2012年06月04日
擬態
若年の自己顕示欲を利用する者たちが目に余る。
不適格で分不相応で我を知らず、安易に名声を求め、
恥という概念を持たず意地汚い思考で行動する者たち。
化身して自らを擬態化させてまで他人に媚びて生きる哀れさ。
そんな餓鬼の戯れを利用する大人、擁護する同類、
伊達や酔狂が文化なんて表現で持て囃されている。
僕には彼女らがこんな風に映る。
軽自動車にベンツのグリルを埋め込んでもベンツにはなれない。
自虐やパロディーでやってるなら救いようもある。
ニセモノが本物ぶるなど笑えない。
そんな偽装を良しとする風潮も気に入らない。
何の美学もない。
人間とは、生きるとは、そんな容易いものじゃない。
顔に嘘を貼り付けて胸を張って人生を歩んでいける訳がない。
幻想というのは永く続かない。
周囲の大人にとってはひとときの消費でしかなく、食い飽きれば
次を探せばいいが、主我という尊厳を無闇に切り売ってしまった
若年である当事者に対する責任はこの先、誰も負わない。
親も周囲も大人たちが昨今、無責任、極まりない。
やりすぎだ。