トッサン

昔もむかしの大昔の話。
僕の親友の厳玄の両親は当時、スナックを営んでおり、
１階が店舗、４階に家族で住んでいた。
１７歳の僕はそこに入り浸っていた。
で、その同じビルの２階に”モーターボート”ってピンサロがあった。

「どぅぞ〜っらしゃいませぇ〜」

とリズミカルに発すると同時に”くの字”でお辞儀する
一連の動作を延々と機械の様に一日中繰り返す
呼び込みのオッサンが立っていた。
僕と厳玄はその初老のおっさんを”トッサン”と呼んでいた。

いつも厳玄宅への階段を上がる時、トッサンに挨拶する。
「トッサン！お疲れ様です！」
トッサンはいつも、ニッコリと笑うだけだで黙々と
自分の仕事を繰り返していた。

丁度、今と同じ夏休みに入りたての暑い頃、隻腕のトッサンは
いつも長袖なので左腕部分がマフラーの様にヒラヒラと
洗濯物の様になびいて、背中には汗が滲み薄っすらと
”昔の面影”が見えたことがあった。

そんなトッサンをある日、数台の黒い車が迎えに来た。
偶然居合わせた厳玄と僕は何事や？？と見てると
トッサンは僕らに気付いて
「おまえら！オレみたいになったらアカンぞ！」
と叫んで車に押し込まれて消えていった。
初めて聞いたトッサンの大きな声だった。

後日、トッサンを連れて行った人と近くの雀荘で会った。
「片腕の人、どうしてますか？」と勇気を持って所在を聞いた。
「なんや？見てたんか？知らん方がエエぞ。」
怖くてそれ以上聞けなかったが、別の日に雀荘のマスターが

「あの片腕のオッサンな、”また”兄貴分の女に手を出しよって」

”また”？？

「そや、前も一回やっとんねん。だから、左腕チョン切られてん」

えぇえええええ！ほなら、今は両方・・・

「アホ！もう、この世に・・・アカン！坊主は知らん方がエエ！」

7月18日（日）　夕刻

この街での昔の思い出でを思い返しながら
兄家族とオカンに連れられ名店の焼肉　松井へ。





ト、ト、トッサン！！オッサン？？

つうか、シンゴ軍曹･･･小４ちゃうやろｗ
完全に昼間っから一杯ひっかけとるオッサンやんけｗ
この街に馴染みすぎとるｗ