彼が、コンビニオーナーを目指して、コンビニに勤めだしてから、
私は彼の言葉に耳を疑いました。
「時間がない!」
「PTAとコミュニュティーの役員を降りなきゃ・・・」
普通の人であれば、始める前に調整することですが、
彼は、コンビニを始めてから、いくつかの仕事が、
時間的に両立できないことをやっと実感したのです。
そして、彼にとっては、コンビニは、生まれて初めての
過酷な肉体労働でもありました。
身体を休めないと、翌日、もたないのです。
結果、睡眠時間の確保が今までより、確実に必要になりました。
すべてフレックスだった生活が、一転して、規律とリズムの
ある生活にかわりました。人並み?
彼の「時間がない!」というはじめて時間を認識したと思われる実感の
こもった言葉と生活の変化は、私には天と地がひっくり返る
ほどの驚きでした。
今まで、時間は無限、寝なければいいんだと無責任に仕事を
引き受けてきた彼が、生まれてはじめて、仕事の量に時間的限界を
認識したのです。
考えてみたら、彼は、コンビニが、生まれてはじめての、
時給で働く仕事だったのです。
そこにいないと成立しない仕事。
反対に言えばいるだけで、時間分の御給金がくる仕事。
彼の今までの仕事は、3分で1億円分のアイデアを出したり、
締め切りの1時間前に、100万円分の企画書を書きあげたり、反対に、
いるだけでは、役には立たない能力給でもありました。
時間はつくるものということが、まさに文字通り可能だったので、
いくらでも仕事を受けてきたのです。
身体を時間でしばられる。そして、いくらいても、時給800円が急に
800万円にはなりえない世界、彼はそのことにまず、驚愕したのです。
そして、そこで働く人達の価値観や、生活感を彼は学び、
コンビニオーナーとしての組織作りと人材育成に関心を深めていきます。
これは、もちろん、今までの地域やPTAでの活動が、ベースにあり、
また、障害がある息子の育成に真剣に関わってきたからこそ、
いきついた関心事です。
彼は、誰でも、楽しく働ける環境を、それこそ、息子が働くことができる
コンビニ経営を考えていたようです。

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