2013年06月09日

平成21年度一橋大学法科大学院入学者選抜試験問題を考えてみた

「平成21年度一橋大学法科大学院入学者選抜試験」

に紹介されている「平成21年度一橋大学法科大学院入学者選抜試験問題」について考えてみた。

問題は安富歩さんの『生きるための経済学』という著書からの抜粋の文章を読んで答えるものだっ

た。質問は次の二つだ。

問1 問題文の著者は、「選択の自由」、「神の御意に従う自由」および「フーテンの寅さんの自由」

に言及しているが、それぞれの自由の内容と相違を説明しなさい。(句読点も1字と数え、800

字以内とする。)

問2 問題文の著者は、「選択の自由」と「神の御意に従う自由」のいずれも受け入れることが出来な

いと主張しているが、あなたが望ましいと考える自由のあり方について論じなさい。(句読点も1

字と数え、1000字以内とする。)

実際の問題では字数制限があるが、これでは難しいので字数を気にせずに論を展開していきたいと

思う。また問題文だけの抜粋だけでは論考が難しいので、実際の安富さんの著書の他の部分も参考

にして考えてみようと思う。この質問をネタにしていろいろと考えてみようと思う。  続きを読む

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2012年11月23日

小沢裁判二審判決の論理的考察 5 判決文の合理性を考察する その4

今度は、

「小沢一郎さん控訴審判決要旨  東京高裁・小川正持裁判長 2012年11月12日」

を参照しながら、二審判決が「事実誤認」という指摘をどう覆す論理を構築しているかを見てみよう。まずは、「事実誤認」の内容を改めてまとめておこう。

「被告人は、本件4億円を借入金として収入計上する必要性や、本件土地の取得等を平成16年分の収支報告書に計上すべきであり平成17年分の収支報告書に計上すべきでないことを認識していた」

と言うのが控訴趣意書の主張であり、「認識していない可能性がある」としたのは「事実誤認」だと言うのだ。その根拠は、

・「被告人は平成16年10月29日にりそな4億円の融資関係書類に自署しており」
・「常識的な経済人として、その当日ないし近接した日に融資が実行され、本件土地の売買代金の支払が行われると認識していたのは明らか」

であるというものだ。ここでの証明のポイントは、「常識的な経済人」というものが「その当日ないし近接した日に融資が実行され、本件土地の売買代金の支払が行われる」と考えるのが妥当かどうかと言うことの判断に論理的な帰結がかかっている。これが、必ずしも言えないというのが二審判決の結論なのである。

「本件土地の取得や取得費の支出が平成17年に先送りされたと認識して」いれば、虚偽記載と不記載については、実際にはそうであっても、そう書くのが間違いだという認識が存在せず、「故意」が証明されないことになる。だから、「故意」を証明して犯罪性の証明をしたい指定弁護士にとっては、この認識があったというのが決定的に重要だ。

果たして「常識的な経済人」は、「4億円の融資関係書類に自著」すれば、そこから、それがすぐに行われるものと認識して、先送りになったとは考えないものだろうか?その「可能性」が考えられるのならば指定弁護士の証明は失敗するのであり、「可能性」をすべて否定できれば成功するのである。  続きを読む
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小沢裁判二審判決の論理的考察 4 判決文の合理性を考察する その3

「小沢一郎さん控訴審判決要旨  東京高裁・小川正持裁判長 2012年11月12日」

を参照しながら、二審判決が控訴趣意書の主張をどのように否定していくかという論理の筋道を考えてみようと思う。一審判決では、


「「被告人の故意及び実行犯との共謀について証明が十分ではなく、本件公訴事実について犯罪の証明がない」として、被告人を無罪とした。」


と言う結論を出した。石川・池田という元秘書に対しては「故意」を認めたものの、小沢さんに対しては

「本件4億円の簿外処理や本件土地公表の先送りが違法とされる根拠となる具体的事情については、石川らにおいて、被告人に報告してその了承を受けることをせず、被告人が、これらの事情を認識していなかった可能性があり」

「本件4億円を借入金として収入計上する必要性や、本件土地の取得等を平成16年分の収支報告書に計上すべきであり、平成17年分の収支報告書に同年中のものとして計上すべきでないことを認識していなかった可能性を否定できない」

と言う理由から、上記の結論を出している。キーワードは「可能性」である。共謀という告発を受けていた小沢さんは、その犯罪性を直接証明できる証拠がなかったので、「共謀でない」という「可能性」をすべて否定されて初めて「共謀」だという証明になる。従って「可能性」(これは「共謀でないという可能性」)が少しでも見られるなら、それは犯罪の証明にならないのであり、有罪には出来ない、つまり無罪だという判断になるのである。

これは疑いがあるのに証明できないから無罪になったというのではない。疑いが真実であるという証明が出来なかったのであるから、それは単に疑いに過ぎなかったと言うことなのである。疑いに過ぎないことで人が裁けるはずがない。疑いに過ぎないと言うことは、それが不当な告発であり、えん罪である可能性が高いと言うことなのである。  続きを読む
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2012年11月22日

小沢裁判二審判決の論理的考察 3 判決文の合理性を考察する その2

小沢さんの裁判は、犯罪ではないものの犯罪性を証明するという無理を犯しているので、その証明は重箱の隅をつつくような些細なものを犯罪と結びつけている。従ってどのような事実を認定して、その事実からどのような解釈で犯罪性を導いているかと言うことが非常にわかりにくい。

事実解釈が犯罪に結びつかないと言うことがどう合理的に説明されているかを見ていきたい。それが合理的な判断だからこそ、論理的な帰結として「犯罪の証明が弱い」というものが出てきて、証明できないのだから「有罪ではない」つまり「無罪だ」という結論が出てくる。

「小沢一郎さん控訴審判決要旨  東京高裁・小川正持裁判長 2012年11月12日」

から引用をしながら考えてみようと思う。まずは石川さんの行動を時系列的に拾い出してみようと思う。

・平成16年10月5日
 株式会社ミブコーポレーションの仲介により、東洋アレックス株式会社との間で売買契約書を作成
 買主を「陸山会代表小沢一郎
 残代金支払日を同月29日に予定
 本件土地を総額3億4264万円で購入
 東洋アレックスに手付金等合計1008万円を支払い
 ミブコーポレーションに仲介手数料500万円を支払った

・平成16年10月12日
 本件土地の購入資金等として現金4億円(本件4億円)を小沢さんから受け取る。
 本件4億円を赤坂事務所の金庫に一且保管した後、3億8492万円を陸山会代表小沢一郎名義のりそな銀行衆議院支店の預金口座 (本件ロ座)等の口座に分散して入金した  続きを読む
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2012年11月18日

小沢裁判二審判決の論理的考察 2 判決文の合理性を考察する その1

二審判決の要旨については、

「小沢一郎さん控訴審判決要旨  東京高裁・小川正持裁判長 2012年11月12日」

と言うページに書かれているものが見やすくて、読むのに便利だ。判決文そのものは法律的な文章なので非常に読みにくい。どの言葉がどこにかかるのかを、文法的な知識をもとに読解しなければ全く訳の分からない文章に見えてしまう。それを考察するのに役に立つような工夫がこのページではなされているので、判決に関心のある人はこれを読んで考えるといいだろうと思う。

僕は論理的側面としての合理性に関心があるので、ここに書かれていることが合理的であるという面を引き出せるような読み方をしてみようと思う。陸山会事件の全容を論理的に考察すれば、これが全く犯罪とは呼べないような事実を無理矢理犯罪に結びつけたためにデタラメなものになったと言うことが分かる。

まず確認したいのは、原判決(一審判決)に何が書かれていたかだがそれは指定弁護士の控訴趣意書にも次のように記されている。

<事実認定>

原判決は 陸山会の平成 16年分及び平成17年分の収支報告書に本件公訴事実どおりの虚偽記入及び記載すべき事項の不記載があることを指摘している。

 石川知裕に故意が認められる部分
 ・平成16年分の収支報告書における本件4億円の収入並びに本件土地の取得及び取得費の支出に係る虚偽記入・不記載

 池田光智に故意が認められる部分
 ・平成17年分の収支報告書における本件土地の取得及び取得費の支出こ係る虚偽記入

 被告人(小沢一郎)に関する事実の部分
 ・石川らから本件4億円を簿外処理すること
 ・本件土地の取得及び取得費の支出を平成16年分の収支報告書に記載せず
 ・平成17年分の収支報告書に記載すること
以上の3点にについて報告を受けこれを了承した、しかし次のこと
 ・本件4億円の簿外処理や本件土地公表の先送りが違法とされる根拠となる具体的事情
については、石川らにおいて、被告人に報告してその了承を受けることをしなかった。
「違法とされる根拠となる具体的事情」を小沢さんは知らなかった。  続きを読む
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2012年11月15日

小沢裁判二審判決の論理的考察 1 デタラメな詭弁にどのようにして気づくか

小沢裁判二審判決については、郷原信郎さんの

「陸山会事件の構図自体を否定した控訴審判決とマスコミ・指定弁護士・小沢氏の対応」

と言うブログエントリーを読むと、この裁判のデタラメさがよく分かる。特に、様々な事実が明らかになった今となっては、事実がそのデタラメさを指摘すると言うことになり、検察側の主張の論理的おかしさがよく分かる。郷原さんは、

「この事件の捜査の段階で、検察は、4億円の借入れと定期預金の担保設定は、水谷建設からの裏献金を隠ぺいするための偽装工作として行われたとの構図を描き、マスコミも、その偽装・隠蔽を「水谷建設からの裏献金疑惑」に結び付け、それこそが事件の核心であるかのように報道した。」

と書いているが、この裏献金は全く事実ではなかった。この件に関しては検察の側はまったく立証できなかったのだ。だが、マスコミのデタラメ報道で多くの人がこれを事実だと受け取り、裁判そのもののデタラメさが見えなくなっていた。

今回明らかにされたのは、

「政治資金収支報告書への虚偽記入についての小沢氏の故意を否定しただけでなく、更に踏み込んだ事実認定を行い、重要な事項について、実行行為者である秘書の石川知裕氏及び池田光智氏について虚偽記入の故意がなかったと認定した。そして、それ以上に重要なことは、りそな銀行からの4億円の銀行借入れと定期預金の担保設定に関する指定弁護士や検察の主張の根幹部分を正面から否定する認定をしたことだ。」

ということだ。郷原さんの言葉では「犯意が否定された」というようにも語っていた。犯意が否定されたと言うことは、その行為の結果として何かの間違いがあっても、それは犯罪とは認定できないと言うことだ。この裁判は、元々犯罪でも何でもないものを犯罪のようにでっち上げたデタラメなものであったことが、事実によって認定されそれが判決となったと言うことなのだ。  続きを読む
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2012年01月27日

安冨さんの視点の素晴らしさ

「東大話法」と呼ばれるような詭弁的な議論は、これまでも指摘する人は多かったように思う。しかし安冨さんの視点は、それらの今まで語られていたものとは違う斬新な面があるのを感じる。それはどこから来る感じだろうか。

「東大話法」を語る人間は、いわゆるエリートであり、偉そうに振る舞っている人間が多い。頭はいいのだろうが人格的には低劣だと思いたくなるような人間たちだ。感情的な反発を感じる人は多いと思う。そのような偉そうな人間たちが、実はそれほど頭がいいわけではなく、本当のことをよく分からずに、利害という嫌らしいことを基本にして語っているとしたら、なんてひどいやつだと感情的に軽蔑することが出来る。そうするとかなり溜飲を下げることが出来るだろう。

このような言説だったら昔からよくあったし、今でもネットでは多く見かける。だがこのような言説は実際には余りよい効果は生まない。感情的な溜飲を下げるだけで、それで世の中が変わることはない。

この感情的な悪口がもう一歩進むと、彼らの詭弁の論理面の批判というものが出てくる。僕の視点はそのようなものを見ることが多い。これは感情的な溜飲を下げることに比べて、より建設的ではあるけれども、なかなか他者に理解してもらうのが難しい。詭弁というのは感情的に受け入れやすく、それが詭弁であることを理解することがかなり難しい面があるからだ。

安冨さんの「東大話法」の視点は、この論理的指摘を超えてそれが日本社会のシステムの問題であることを指摘して、それに気づかせようとしている。これは僕には斬新な指摘に見えた。宮台真司さんが高く評価する山本七平氏の「空気の論理」に匹敵するもので、山本さんが直感的に捉えたものを理論的に整理して学問として耐えられるものに洗練しているように感じた。  続きを読む
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2011年11月27日

武田邦彦先生の主張の論理性を考えてみる

武田邦彦先生は、テレビでの発言が問題となったり評価の分かれる人だ。僕もその主張のすべてに賛成しているわけではないが、科学者としては誠実な人だと感じている。それは自らの主張が、どうしてそうなるかという論理的前提をいつも説明するからだ。

テレビで問題になった、プルトニウムの毒性を青酸カリと比較する発言も、青酸カリの毒性のイメージが生々しかったので、福島のイメージをより落としたと言うことで非難された。だが、毒性の比較でプルトニウムが青酸カリの1000倍という言い方だっただろうか、それには致死量のデータを提出して、それを元にそう結論したという説明をしていた。青酸カリの致死量は約250咾如▲廛襯肇縫Ε爐0.25咾箸いΔ海箸世辰拭だから、判断の前提を説明するという範囲に限っては僕は武田先生は誠実な科学者だと思ったものだ。

この武田先生を批判する言説として

「武田邦彦氏の哀しいウソ」

という池田信郎さんの文章を教えてもらった。これは、表題を見る限りでは武田先生の誠実さを疑うような内容のものに見える。果たしてそうであるのかを考えたい。まずはここで批判されている武田さん自身の文章

「世田谷の高線量率と福島の新米(緊急)」

から先に考察しようと思う。ここに書かれていることは、論理的にきちんとしているのか。論理破綻をせずに、設定された前提から正しく導かれているのかを見ていきたい。  続きを読む
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2011年11月03日

陸山会事件判決の論理的分析 9

次に語られている「動機」に関しては、これは直接証拠を示して確定することは出来ないものだ。動機というのは心の中の問題だから、直接見ることはできないのだ。これは推測する以外にはない。それではその推測にどれだけの妥当性があり、論理的に納得出来るかと言うことを考えてみよう。

まずは「本件4億円がその原資を公にできないものか否かについて」として書かれている部分は、どのような推測につながるかというと、これを公に出来ないと言うことは怪しい金だからと言うことにつながっていく。怪しい金を隠すために収支報告書を意図的に虚偽記載したという推測になっていく。怪しい金というものが、それを隠したいという動機につながるという論理だ。では、その前提となる原資について、これが隠されているものという事実の方はどうだろうか。

小沢さんのウェブサイトには

「陸山会への貸付等に関する経緯の説明」

という記述がある。ここには4億円の原資についても

「平成16年10月に私が陸山会に貸し付けた4億円の原資について
‐赦贈僑闇に湯島の自宅を売却して、深沢の自宅の土地を購入し建物を建てた際、税引き後残った約2億円を積み立てておいた銀行口座から平成元年11月に引き出した資金2億円、∧神9年12月に銀行の私の家族名義の口座から引き出した資金3億円、J神14年4月に銀行の私の家族名義の口座から引き出した資金6000万円を東京都港区元赤坂の事務所の金庫に保管していました。平成16年10月には、同金庫に4億数千万円残っており、うち4億円を陸山会に貸し付けました。
4億円の一部は建設会社からの裏献金であるやの報道がなされておりますが、事実無根です。私は不正な裏金など一切もらっておりませんし、私の事務所の者ももらっていないと確信しています」

と書かれている。これについては判決では  続きを読む
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2011年10月25日

陸山会事件判決の論理的分析 8

次に判決要旨に登場するのは、4億円を分散入金したことが書かれている。ここには有名になった「推認」という言葉も登場している。とりあえずここで指摘されていることを事実と推測に分けて書き出しておこう。

・1(事実)被告人石川は、本件4億円を平成16年10月13日から同月28日までの間、前後12回にわたり、5銀行6支店に分散入金した。
・2(事実)後、りそな銀行衆議院支店陸山会口座に集約している。
・3(推測)このような迂遠な分散迂回入金は、本件4億円を目立たないようにするための工作とみるのが自然かつ合理的である。
・4(事実)本件4億円は、本件土地購入原資として小沢から借り、実際に本件土地取得費用等に充てられている。
・5(事実)被告人石川は、本件土地の残代等を支払った後に、小沢関連5団体から集めた金員を原資として本件定期預金担保融資を組み、小沢を経由させた上で陸山会が転貸金4億円を借り受けている。
・5(解釈)被告人石川は、これらの行為に及んだ理由について、合理的な説明をしていない。
・6(推測)このような一連の経過等をみると、被告人石川は、平成16年分収支報告書上、本件4億円の存在を隠そうとしていたことが強くうかがわれる。
・7(推測)被告人石川は、本件土地の取得費用等の支出を平成16年分収支報告書に記載せず、平成17年分収支報告書に記載しようと考えた。
・8(事実?)被告人大久保を介して売主側と交渉し本件登記を平成17年1月7日に延期している。
・9(推測)被告人石川は、本件4億円の収入や、これを原資とした本件土地取得費用等の支出が平成16年分収支報告書に載ることを回避しようとする強い意思をもってそれに向けた種々の隠ぺい工作を行った(ことが強く推認される)。
・10(推測)後述する背景事情をみると、被告人石川には種々の隠ぺい工作を行って本件4億円を隠そうとする動機があった。

ここで「?(クエスチョンマーク)」にしたのは、他の資料からの判断で事実かどうかが確認できなかったところである。後はおおむね事実ではないかと考えられる。そこで論理的に問題になるのは、これらの事実が「推測」によって結論を正当に導いているかどうかということだ。  続きを読む
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