2010年10月19日

反日デモの意味

「反日デモ、実は官製=政府系学生会が組織―香港紙」

というニュースがあった。全文を引用しておく。

「香港時事】17日付の香港各紙は16日に中国各地で起きた尖閣諸島問題をめぐる反日デモについて、各大学の政府系学生会が組織したものだったと伝えた。中国政府は「一部の大衆が日本側の誤った言動に義憤を表明した」(外務省スポークスマン)と説明しているが、実際には官製デモだったことになる。
 中国系香港紙・文匯報によると、四川省成都市のデモ参加者たちは「各大学の学生会が1カ月前から準備を開始した」「校内で日本製品ボイコットの署名活動も行った」と話した。
 また、リンゴ日報も「デモに参加したある大学生がインターネット上で、デモは学生会が組織したことを明らかにした」と報じた。
 中国の大学学生会はすべて政府や共産党の指導下にあり、自主的な政治活動は一切認められていない。」

中国は民主主義社会ではないから、言論や表現の自由がない。デモという形での意見表明も、普通の民主主義国家で行われているものとは意味が違う。そのデモは国家の統制の元に行われたものであり、そこから「ヤラセ」のような印象を受ける人もいるのではないかと思う。また、今回の反日デモは、中国のナショナリズムが感情的に反応したものとも見えるので、日本の側でも感情的に対応して反発を感じる人もいるようだ。  続きを読む

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2010年10月17日

ノーベル平和賞の政治的意味 1

劉暁波氏のノーベル平和賞授与決定に関して、その意味を詳しくしかも的確に指摘している論説を見つけた。国際ジャーナリストの田中宇さんの

「劉暁波ノーベル授賞と中国政治改革のゆくえ」

という記事がそれだ。ノーベル平和賞は、単に平和に貢献した人に対して、その功績をたたえて送るというような、ナイーブで単純なものではない。その裏にどのような謀略が隠されているのか。田中さんの記事は、それを実に細かく分析し指摘している。その見事な分析を味わってみようと思う。

田中さんは、この文章の冒頭で「10月8日、ノーベル平和賞が、中国の反体制活動家の劉暁波氏に授与されることになった。この件を知って私がまず思ったことは、タイミングの悪さだ」と語っている。どこがタイミングが悪かったのか。それは「劉暁波へのノーベル授賞は中国政府の面子を真正面から潰すものだ。中国は、自国の外貨備蓄に損失が出ても、ドルを崩壊させて米国の覇権を潰した方が自国の国益にかなうと考える傾向を強めていきそうだ」という予想につながるからだ。

田中さんは、「劉への授賞が今年でなく昨年だったら、授賞による影響は、欧米(特に米英中心主義の勢力)にとって、まだましなものになったかもしれない。中国は当時まだ、国際社会における政治力が今より弱く、欧米に反撃するより低姿勢でやりすごそうとする傾向が強かった」と語っているから、タイミングが去年であれば、世界情勢に対する影響は今年よりも少なかっただろうと判断しているようだ。影響が強くなり、しかも日本にとっては今後悪い影響が出てくることが心配されることが「タイミングの悪さ」として指摘されているようだ。  続きを読む
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2010年10月04日

マスコミでは語られない中国の真実 2

今週の、清水美和氏(東京新聞論説主幹)をゲストに招いたマル激

「尖閣沖中国漁船衝突事件
船長の逮捕・釈放は中国の進路を誤らせる大失策」


の後半部分の情報をお知らせしようと思う。中国に対する、マスコミでは語られない情報を知ると、中国に対するイメージもかなり変わってくるのではないかと思われる。個人的な嫌悪感は、様々な理由から生じてくるので仕方のないところもあるが、過去から未来にかけて、その歴史的大局から見れば、個人的な嫌悪感などはちいさなものと感じられるのではないだろうか。

僕などは、同じアジアの人間として、欧米の人間のものの考え方よりも、やはり中国の歴史などを見るとそこに親近感を感じてしまう。僕は、欧米的な論理的正確さが好きではあるけれども、人間関係で言えば、中国の歴史物語に見られるような、相手に対する尊敬の念から生まれる人間ドラマに魅力を感じる。そのような理解で中国を見直したいものだと思う。今回も、箇条書きの情報と僕の感想を付け加えておこう。( )内は僕の感想だ。  続きを読む
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2010年10月03日

マスコミでは語られない中国の真実 1

今週のマル激は、清水美和氏(東京新聞論説主幹)をゲストに

「尖閣沖中国漁船衝突事件
船長の逮捕・釈放は中国の進路を誤らせる大失策」


というタイトルで配信されている。これは有料放送なのですべての人が見られるものではないが、ここで語られている事実は驚くものばかりだ。そして、これらはたぶんマスコミには決して載ることがないだろうとも思われる。この事実をすべて細かく伝えることはできないが、僕が、驚くべきものだと感じたものを箇条書きにして紹介しようと思う。( )内のコメントは、それに対する僕の感想だ。

・現在の中国では、従来の中国外交には見られないような強硬路線が見られていた。中国政府は、この動きを極力抑えようとしていた。それは、一度爆発してしまうと、もはや政府のコントロールの効かないところまで行く恐れがあったからだ。中国政府は、自分たちのコントロールが効く範囲内ではいくらでも激しい行動をしても許すが、それを超えるようなことが起こりそうなときは押さえにかかっている。これは、かつての反日デモが、対応が生ぬるいと言うことで政府へ向かっていったという歴史の教訓だ。
(中国政府は、生ぬるいという批判を国民にされるのを恐れていた。だから、コントロールの効く範囲では、強硬すぎると思われるくらいの強硬な態度を見せることに努力したようだ。宮台さんが、そうせざるを得なかったと判断した、この中国政府の状況を菅政権は何も分かっていなかったようだ。)  続きを読む
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2010年10月02日

日米安保の正しい認識

前原外相とクリントン国務長官の会談で、クリントン国務長官が語ったと報道された「尖閣は日米安保の対象」という言葉のイメージが、マスコミ報道によって間違って伝えられていると僕は感じていた。それは、孫崎亨さんのインタビューなどを見てそう感じていた。

「「前原外相会見 2010年10月1日」(岩上安身オフィシャルサイト)」

「孫崎亨さんのツイッター」

を参考にして考えると、

マスコミ報道によるイメージ
<尖閣諸島の問題で中国との紛争が軍事衝突にまで発展したとき、日米安保条約によって、アメリカが出動し、中国への圧力として働く。それを前原・クリントン会談は確認した。>

孫崎さん・岩上さんの報道による解釈
<尖閣諸島で紛争が軍事的な衝突に発展したとき、まず最初は日本がその防衛に当たる。特に島嶼部の紛争に関しては、米軍は中立を保ち、その結果起こることに対しても、米軍の直接出動の可能性はきわめて低い。日本の自衛隊が中国軍を追い払えば問題はその時点で解決するので米軍は出動する必要はない。また、中国軍が尖閣諸島を自己の管轄の範囲内に置くことになれば、その時点では米軍の出動の「義務」はなくなると言う。日米安保条約というのはそのような内容を持った条約だという。いずれにしても、尖閣問題でアメリカの直接の出動の必然性はなくなる。結果的にアメリカは出てこないだろう。>

一方のイメージでは、ことが起きればアメリカ軍が来てくれるということになるが、もう一方の解釈では、ことがどのような結論になろうとも、アメリカ軍がそこに介入してくることはないだろうという、全く正反対の受け取り方になる。これはどちらが正しいのか。僕は、孫崎さんが語ることが正しいと思っているのだが、それを上の二つのページに書かれたことから考えてみよう。  続きを読む
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2010年10月01日

尖閣問題における複雑さの中のアメリカの影

神保哲生さんが外交専門家の孫崎亨さんへのインタビューをしたものがアップされている。

「政府の判断ミスで日本が失ったものは大きい
孫崎享元外務省国際情報局長に聞く」


この問題の複雑さを孫崎さんはこれまでにも再三指摘してきた。このインタビューでも、基本的にその指摘は変わらないが、この中には、日本の外交的な判断ミスにアメリカの影がどのように関わっているかと言うことも語られている。

これは、日本が勝手に勘違いしたのだと見ることもできるが、孫崎さんは以前の著書で「アメリカという国が謀略を得意とする国家である」ことを指摘していた。だから、偶然日本が勘違いしたことをアメリカが利用したと言うよりは、ある程度そのような方向を予測して、アメリカはいくつかの手を打っておいて自らの利益を計ったと見た方が正しいだろうと僕は思う。アメリカはそれくらい頭のいい外交をしていると思う。それに対抗するには、孫崎さんくらいの頭の良さを持たなければならないと思うのだが、残念なことに今の外務省にはその人材がないようだ。特に、アメリカスクールと呼ばれる、アメリカよりの人間が主流となっている今の外務省には、アメリカに対して謀略的な思考をして対応するという人間は期待できないようだ。
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2010年09月30日

尖閣問題における日中双方の行動の合理的解釈

マル激の司会者である神保哲生さんがインタビューをした動画が配信されている。

「腰砕けになった日本政府の事情と
強硬路線を取らざるを得ない中国の国内事情
興梠一郎神田外語大学教授に聞く」


これは無料放送になっているので、今回の件について関心の深い人はぜひご覧になっていただきたいと思う。今回の件を合理的に理解したい人は、きっと満足するだろうと思う。ここで語っていることは、

「荒川強啓 デイ・キャッチ!」

で、宮台真司さんが語っていた内容とほぼ重なるように思う。この内容については、上記のビデオニュースのページにまとめが書かれているので、これを読むだけでも参考になるだろう。全文引用したいほどすっきりとまとまっている文章だ。少しずつ抜き出して感想などを書きたいと思う。
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2010年09月29日

意味の分からない報道

「尖閣への安保発言に「あいまいさ」=国務長官、防衛明示せず―米専門家」

という報道を見つけた。短い文章なので全文を引用する。

「 【ワシントン時事】米保守系シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ政策研究所(AEI)のマイケル・オースリン日本部長は28日、ワシントン市内で開かれた東アジア関係のセミナーで、クリントン国務長官らが尖閣諸島は日米安全保障条約の適用対象との考えを示したことについて、同諸島防衛の意思を明示したわけではなく「戦略的なあいまいさ」を残しているとの見解を示した。
 同部長はまた、中国漁船衝突事件をめぐり米政府が日中間で解決すべき問題との意向を示したことで、中国の海洋進出の圧力を受ける東南アジア各国に孤独感を与えたと指摘。こうした状況は「中国の勝利」だと結論付けた。」

僕は、ここに書かれた文章の意味が分からない。「クリントン国務長官らが尖閣諸島は日米安全保障条約の適用対象との考えを示したこと」は、アメリカの直接的行為によって日本を守るという意味で語ったのか、それとも、紛争そのものは日本が解決する問題であって、アメリカとしては、直接手を出さないと語ったのか、どちらなのかが分からない。  続きを読む
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中国に対する正しい認識

みんなの党の江田憲司幹事長が「中国は「未熟な国」」と語っているというニュースがあった。

「中国は「未熟な国」=みんな・江田氏」

江田氏は、「沖縄県・尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件をめぐる中国側の対応について、「ずうたいはでかくなっているが、中身は発展途上、未熟な国だ。だから児戯に等しい理不尽な対抗措置を取ってくる」」と批判したらしい。これは、一般受け・マスコミ受けしようと思ったポピュリズム的な考えから発言しているのだと思うが、もし本気でこのように中国を甘く見ているのなら、同じような失敗を繰り返すだろうし、もっとひどいことになるかもしれない。

中国に対する正しい認識というのは、内田樹さんが<内田樹の研究室>というブログで語っている

「外交について」

というエントリーが参考になると思われる。この中で、内田さんは「外交上の失敗がトップの首のすげ替えに止まらないきわめて深刻な統治上の混乱を招来する可能性のある中国政府」という指摘をしている。中国は、外交カードとしては強いものを持っているものの、その内政に関する立場は脆弱で、強い外交カードを使わずには、内政に対して弱腰だという批判を免れないという面を持っていると、その中国理解を語っている。  続きを読む
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2010年09月28日

日米安保条約の神話

今回の尖閣諸島の問題に関して、日本側がよりどころとしていたものに「日米安保条約」というものがある。9月24日には

「「尖閣」日米安保の適用対象 クリントン長官、前原外相に強調」

という報道もあって、中国との紛争にはアメリカの後ろ盾があるのだから、日本の外交カードは必ずしも弱くないという期待もあったようだ。しかし、これは報道があったときからある種の批判にさらされていた。「日米安保の適用対象」という言葉に対する詳しい説明がどこにもなかったからだ。この言葉を見た日本人の多くは、今回の紛争状況に対して、何かことがあればすぐにアメリカ軍が駆けつける、と思っていたようだ。それだからこそ、米軍が「抑止力」として機能するということの実効があると、日本人は思っていた。

だが、「適用対象」というのは、即米軍が動くということではない、と説明する人は何人かいたように思う。岩上安身さんが孫崎亨さんへのインタビューをしているが、そこでもこの言葉はかなり複雑な意味を持っているものとして語られていた。  続きを読む
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