2017年7月に映画館で観た映画(その2)

「タレンタイム優しい歌」
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2009年に他界したマレーシアの女性監督ヤスミン・アフマドの長編映画としての遺作となった作品。音楽コンクール「タレンタイム」(才能の時間=タレントタイム)が開催される高校で、ピアノの上手な女子学生ムルーは、耳の聞こえないマヘシュと恋に落ち、二胡を演奏する優等生カーホウは、成績優秀で歌もギターも上手な転入生ハフィズを嫌っていた。コンクールに挑戦する生徒たちの青春を描きながら、マヘシュの叔父に起きる悲劇や、ムルーとの交際に強く反対するマヘシュの母、闘病を続けるハフィズの母など、民族や宗教の違いによる葛藤を抱えた人々の様子を通して、多民族国家としてのマレーシア社会を映し出す。
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(7/8金沢シネモンドにて)

武藏の先生推奨の映画をたまたま金沢でやってやっていたので……。

多民族国家ゆえの問題を、子供たちの関係を通して描く。
ただ、このときは、途中少し寝たので、肝心の子供たちの関係に関するところを見逃した可能性がある。

たぶん、こちらの名画座でまた見られると思うので、そのときには、ちゃんと起きているようにしよう。

「わたしは、ダニエル・ブレイク I, Daniel Blake」
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2016年 イギリス・フランス・ベルギー合作映画 英語 100分
イギリスで大工として働く59歳のダニエルは心臓の病で仕事を止められ、国の援助を受けようとするが複雑な制度に翻弄される。そんな時、シングルマザーのケイティと2人の子どもに出会い… 容赦ない現実に追い詰められながらも懸命に生きようとする社会的弱者の姿と、彼らを取り巻く厳しい現実を描く人間ドラマ! 
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(7/14飯田橋ギンレイシネマ)

社会派ドラマ。

行政が、書類と手続だけでできあがっていて、血が通わない硬直したシステムになっていることを。ダニエルのたたかいを通して描く。

主張はきわめて明確。

ただ、日本だと、こういうふうに失業者に対する交付金を、自分の権利だと主張して堂々と受け取ろうとするかどうか? 
それさえも、「自己責任」とか、「行政」に頼りすぎ、とかいいそうな気がする……

「未来を花束にして Suffragette」
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2015年 イギリス映画 英語 106分
監督: サラ・ガヴロン
1912年のイギリス。劣悪な環境の洗濯工場で働く24歳のモードは、同じ職場の夫と息子の3人で慎ましく暮らしていた。そんなある日、街で女性の参政権を求めるWSPU(女性社会政治同盟)の抗議活動に遭遇する… 階級の垣根なく結束し、未来のために権利を求めて闘った勇気ある女性たちの真実の物語! 
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(同上)

こちらも、女性参政権運動家の話で、今回のこの映画館の二本立ては、社会派で揃えてある。

イギリスの事情はよくわかる。
気になったのは、最後のところで、女性が参政権を得た国とその年度が次々に出て来るところに、「日本」がなかったこと(たぶん見逃していないと思うが……)。
敗戦と連動したものなので、自分たちでかちとったものではない、ということを知っているせいなのか?


どちらも、結構重い映画だった。

「ニュー・シネマ・パラダイス」
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映画監督として成功をおさめたサルバトーレのもとに、老いたアルフレードの死の知らせが届く。彼の脳裏に、“トト”と呼ばれた少年時代や多くの時間を過ごした「パラダイス座」、映写技師アルフレードとの友情が甦ってくる。シチリアの小さな村の映画館を舞台に、映画に魅せられたサルバトーレの少年から中年に至るまでの人生を3人の役者が演じる。アカデミー外国語映画賞やカンヌ映画祭審査員特別グランプリなど、各国で賞賛を浴びた
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(7/24キネカ大森にて)

いくつかのシーンについては、みた記憶があるが、ちゃんと最初から最後までをみたのは今回がはじめて。

最後のシーン、もし、映画館がこわされるところや、かつて撮影した恋人エリスの映像で終わっていたとしたら、つらくなるところだが、幼い頃、教会の神父がカットを命じたキスシーン集(カットした部分をつなぎ合わせたもの)なのは、とてもさわやかな終わり方になっていると思う。

失恋したトトに「村を出ろ、帰ってくるな」というアルフレードの忠告は、切実かつ適切だと思った。

牧歌的な、自己完結的な郷土とそこを出ていくことの意味を考えさせられる。

地獄の黙示録
(解説などは省略、同上)

早稲田松竹でもみたので、前回よりも理解は深まったかな、と思う。

ものすごく単純にいえば、カーツを殺せ、という命令を受けたウィラードが、それを実行して帰ってくる、という物語、であるわけだ。

ただし、そのプロセスを通して、戦争の狂気(アメリカの、そしてベトコンの)を描き、カーツのつくり出した世界の異常さも描く。

問題は、カーツのつくり出した「死」のイメージに満ちた世界をなにのアナロジーとみるか、だろう。反ユートピア?

「スモーク」
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ニューヨーク、ブルックリンの小さな煙草屋を舞台に繰り広げられる人間模様を、それぞれの真実と嘘、現在と過去を交錯させながら描いた群像ドラマ。現代アメリカを代表する作家ポール・オースターの短編「オーギー・レンのクリスマス・ストーリー」を原作にオースター自らが脚本を手がけ、「ジョイ・ラック・クラブ」のウェイン・ワン監督がメガホンをとった。ブルックリンの片隅で煙草屋を営むオーギーは10年以上にわたり、毎日同じ場所で同じ時刻に写真を撮影している。煙草屋の常連客である作家ポールは、数年前に妻を亡くして以来、スランプに陥っていた。ある日、ポールは路上で車にひかれそうになったところをラシードという少年に助けられ、彼を2晩ほど自宅に泊めてあげることに。その数日後、ポールの前にラシードの叔母だという女性が現われ……。店主オーギー役を「レザボア・ドッグス」のハーベイ・カイテル、常連客ポール役を「蜘蛛女のキス」のウィリアム・ハートがそれぞれ好演。第45回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員特別賞)を受賞し、日本でもロングランヒットを記録した。2016年12月、デジタルリマスター版でリバイバル公開。
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(7/30キネカ大森)

これは、とてもおもしろかった。

1995年制作の映画だから、たばこ屋が中心で、登場人物がみな煙草を吸う、というような映画がまだ制作可能だったのかな、と思う。

それぞれのエピソードが上手にからんでいて、最後のクリスマスの話にすなおにつながっていく。

黒人の高校生も含め、会話が知的で、おもしろい。

派手なところはないが、小味で、観たあととても気持ちのよくなる映画だ。

2017年7月に映画館で観た映画(その1)

「目撃」(原題: Absolute Power(「絶対権力」の意))
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ベテランの泥棒が、忍び込んだ家で、大統領の殺人を目撃したことから、国家権力に追われるというサスペンス映画。原作は1996年に発表されたデイヴィッド・バルダッチの同名小説『Absolute Power[2]』。
製作・監督・主演をクリント・イーストウッドが行い、監督作としては17作目にあたる。
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(7/3池袋新文芸坐)

この映画館では、この時期イーストウッド特集をやっていたので、一度くらいは行かなければと思っていた。

これは未見だったが、文句なしにおもしろかった。

とてもイーストウッドらしい映画。

泥棒が、大統領の浮気殺人を目撃するという設定もおもしろいが、その後始末をどうつけるか、というあたりが、反権力を標傍するイーストウッドらしい。

「スペース カウボーイ」(Space Cowboys)
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1958年。フランク・コービン(イーストウッド)率いるアメリカ空軍の“チーム・ダイダロス”の4人は、宇宙飛行のため厳しい訓練に耐えていた。しかし、直前になってそのプロジェクトをNASAが遂行。アメリカ初の宇宙飛行士は一匹のチンパンジーになった。それから約40年。NASAからフランクのもとに、故障したロシア衛星を修理してほしいと連絡が入る。彼はこの任務のためにかつての仲間達を集め始める。
2000年にワーナー・ブラザースで製作されたアメリカ映画。クリント・イーストウッド主演・監督・製作
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(同上)

これは、公開時に映画館で観ている。
なので、はなしの展開はわかっているが、それでも、最初の30分くらいで、退役していたもと宇宙飛行士たちが、今回、特別に声をかけられて宇宙に行くことになる、というところまで、とてもテンポ良く進んでいく。こういうところの心地よさはは格別のものがある。

エンディング・テークが、フランク・シナトラ(with Cont Baisie Orchestra)の「Fly Me To The Moon」というのも、わかってるね、という感じの選曲で、とても楽しい。

こういうふうに、このあたりの映画は、理屈なしに楽しめるから私は好きです。

「切腹」
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1962年月公開
 原作/滝口康彦 監督/小林正樹 脚色/橋本忍 撮影/宮島義勇
キャスト
 仲代達矢/岩下志麻/石濱朗/三國連太郎
寛永七年十月、井伊家上屋敷に津雲半四郎と名乗る浪人が訪れた。「切腹のためにお庭拝借……」との申し出を受けた家老斎藤勘解由は、春先、同じ用件で来た千々岩求女なる者の話をした。窮迫した浪人者が切腹すると称してなにがしかの金品を得て帰る最近の流行を苦々しく思っていた勘解由が、切腹の場をしつらえてやると求女は「一両日待ってくれ」と狼狽したばかりか、刀は竹光を差しているていたらくで舌かみ切って無惨な最後をとげたと--。静かに聞き終った半四郎が語りだした。求女とは半四郎の娘美保の婿で、主君に殉死した親友の忘れ形見でもあった。孫も生れささやかながら幸せな日が続いていた矢先、美保が胸を病み孫が高熱を出した。赤貧洗うが如き浪人生活で薬を買う金もなく、思い余った求女が先ほどの行動となったのだ。そんな求女にせめて待たねばならぬ理由ぐらい聞いてやるいたわりはなかったのか。武士の面目などとは表面だけを飾るもの……。半四郎は厳しく詰め寄った。そして、井伊家の武男の家風を誇って威丈高の勘解由に、半四郎はやおら懐中より髷を三つ取り出した。沢潟彦九郎、矢崎隼人、川辺右馬之介、髪についた名の三人は求女に切腹を強要した者たちで、さきほど半四郎が介錯を頼んだ際、病気と称して現れなかった井伊家きっての剣客たちである。隼人、右馬之介はたった一太刀、神道無念一流の達人彦九郎だけは数合刀を合わせたものの、十七年ぶりに刀を抜いた半四郎の敵ではなかった。高々とあざけり笑う半四郎に家臣達が殺倒した。荒れ狂う半四郎は井伊家先代の鎧兜を蹴倒し、数人を斬り倒して種ヶ島に打取られた。半四郎は切腹、自刃した彦九郎や斬殺された者はいづれも病死という勘解由の処置で、井伊家の武勇は以前にもまして江戸中に響き老中よりも賞讃の言葉があった。.
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(7/6武蔵高校特別授業に飛び入りで参加で)

岩下志麻が若い!

最後のチャンバラシーンでは、伊井家の家紋にべっとりと血糊をつけたりして、武士道とは、武家とは、という問いを真正面からぶつける。

暗いといえば暗いが、1962年といえばまだまだ政治の時代、すなわち左翼全盛の時代ということになる。そういう時代に、時代劇を作ると、こういう方向に行かざるをえない、ということはよくわかる。

もう一度観たいとは思わないが、日本映画のある時代のあり方として、観ておいてよかったと思う。

「22年目の告白」
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藤原竜也と伊藤英明がダブル主演し、2012年の韓国映画「殺人の告白」を原作に描くクライムサスペンス。「ジョーカー・ゲーム」「SR サイタマノラッパー」の入江悠監督がメガホンをとり、22年前の連続殺人事件の犯人を名乗る男の「告白」が新たな事件を引き起こす様子を描き出す。1995年、同一犯による5件の連続殺人事件が日本中を震撼させた。犯人はいずれも被害者と親しい者に殺人の瞬間を見せつけており、殺害方法は背後からの絞殺、そして目撃者は殺さずに犯行の様子をメディアに証言させるという独自のルールに則って犯行を重ねていく。捜査を担当する刑事・牧村は犯人を逮捕寸前にまで追い詰めるが、犯人の罠にはまって上司を殺され、事件は未解決のまま時効を迎えてしまう。そして事件から22年後、犯人を名乗る男・曾根崎が執筆した殺人手記「私が殺人犯です」が出版される。曾根崎は出版記念会見にも姿を現し、マスコミ報道やSNSを通して一躍時の人となるが……。告白本を出版する美しき殺人犯・曾根崎役を藤原が、事件発生時から曾根崎を追い続ける刑事・牧村役を伊藤がそれぞれ演じる。

監督入江悠 脚本平田研也
藤原竜也/伊藤英明/夏帆/野村周平
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(7/7イオンシネマ金沢フォーラスにて)

はじまって1時間くらいまで、さて名乗り出たこの殺人犯をどう処理するのか、という興味で、とてもひきつけられてみていた。

しかし、殺人犯曾根崎の正体がわかったあたりからから、急速に興味が失せた。

ネタバレになるからくわしいことは書かないが、こういう意外性だけを狙った設定は、話としてはあるかもしれないが、全くリアリティがないと思う。
無理矢理に、頭で考えてでっちあげた話のような気がする。
だから、真犯人がわかっても、たいして驚かない。

韓国映画のリメイクらしいが、真犯人に関してはもとの映画とは違っている、というような情報がネットにはいろいろ書き込まれていた。が、そういう事を含めて、全く知りたいという気にはなれない。

先月見た、フランスやイランのスリラー映画は、話の意外性に頼ってはいないし、犯人は、ごくふつうの人である。

こういう意外性だけに頼った映画というのは、「物語」の衰弱を示しているだけだと思う。


2017年6月に映画館で観た映画(その3)

「ネオン・デーモン」
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誰もが目を奪われる特別な美しさに恵まれた16歳のジェシーは、トップモデルになる夢を叶えるために、田舎町からロスへとやって来る。
すぐに一流デザイナーやカメラマンの心をとらえチャンスをつかむジェシーを、ライバルたちが異常な嫉妬で引きずりおろそうとする。やがて、ジェシーの中に眠る激しい野心もまた、永遠の美のためなら悪夢に魂も売り渡すファッション界の邪悪な毒に染まっていく――。

純真な少女が自身のダークサイドに目覚めていく主役・ジェシーを演じるのはエル・ファニング。さらにキアヌ・リーブスやオーストラリア出身のモデル、アビー・リーなどが出演。
衣装提供はエンポリオ アルマーニ(EMPORIO ARMANI)やサンローラン(Saint Laurent)。また、ファッションショーのシーンでは2着の衣装を着用し、映画全編を通して華やかなファッションが映し出されている。
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(6/22キネカ大森)

スタイリッシュな画面が連続するので、正直疲れる。
また、血及び赤い色が強調されているのにも辟易する。

一番前の席で見たので、見にくかったというのもあるが、途中からはもう見なくていいな、という気になり、そのあとしばらく寝てしまったと思う。

目が覚めたあとも続いていたが、私には全く関心の持てないタイプの映画であった。


「ドライブ」
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昼はハリウッドのスタントマン、夜は強盗の逃走を請け負う運転手の“ドライバー”。その天才的なドライビングテクニックゆえに、危険な裏社会の抗争に巻き込まれていく孤独な男を描いたクライムサスペンス。 ジェイムズ・サリスの人気クライム小説を原作に、徹底的に贅肉を削ぎ落した演出で、愛する人を守るため裏社会を相手に一人闘いに身を投じるドライバーの孤独と悲哀を、時に衝撃的なまでに情感豊かに描き出した。静謐さとバイオレンス、計算しつくされた映像美と本能に訴えかけるサウンドが美しく融合し、ここに激しく心揺さぶる新たな愛の物語が誕生した。
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(6/22キネカ大森)

同じ監督の映画とは思えないほど、こちらはすっきりした映画。

スタントマンであり、凄腕のドライバー、という設定もかっこいいが、親しくなったアパートの母子のために戦うというのすっきりしていて、とてもおもしろかった。

映画館に貼り出してあった解説(椎名誠他)が「シェーン」に言及していた意味がとてもよくわかる、とてもよくできた映画でした。


「ハクソー・リッジ」
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メル・ギブソンが「アポカリプト」以来10年ぶりにメガホンをとり、第2次世界大戦の沖縄戦で75人の命を救った米軍衛生兵デズモンド・ドスの実話を映画化した戦争ドラマ。人を殺してはならないという宗教的信念を持つデズモンドは、軍隊でもその意志を貫こうとして上官や同僚たちから疎まれ、ついには軍法会議にかけられることに。妻や父に助けられ、武器を持たずに戦場へ行くことを許可された彼は、激戦地・沖縄の断崖絶壁(ハクソー・リッジ)での戦闘に衛生兵として参加。敵兵たちの捨て身の攻撃に味方は一時撤退を余儀なくされるが、負傷した仲間たちが取り残されるのを見たデズモンドは、たったひとりで戦場に留まり、敵味方の分け隔てなく治療を施していく。
第89回アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演男優賞など6部門でノミネートされ、編集賞と録音賞の2部門を受賞した。
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(6/28渋谷TOHOシネマズ)

主人公にすれば、(宗教上の信念により)武器を持たず、人を殺さないことを誓って兵士になり、
衛生兵として、負傷した仲間をできるだけ救う、ということに意義を見出す、
というのはそれなりに筋が通っているのだろうが、筋が通っているだけに、でも、それってどうなのよ、という感想は持ってしまう。

実話らしいが、アメリカからみた沖縄戦の映画だから、当然、出て来る日本兵は悪役になってしまう。その描き方もそんなに気持ちがよくないし、
「パトリオット・デイ」ほどではないが、とても内向きな映画だなという感想は免れがたい。

同じ日本との戦争を扱っていても、イーストウッドの「父親たちの星条旗」の方がはるかにまともに戦争を描いていたと思う。


「沈黙 サイレンス」(SILENCE)
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2016年 アメリカ映画 英語 162分 PG12 DCP
17世紀江戸初期、激しいキリシタン弾圧の中で棄教(信仰を捨てる事)したとされる師の真実を確かめるため、日本に潜入した若き宣教師ロドリゴとガルペ。想像を絶する苦悩と惨状を目の当たりにし、信念か命か、究極の選択を迫られる… 巨匠マーティン・スコセッシが壮大な映像美で描いた歴史大作!
監督: マーティン・スコセッシ
出演: アンドリュー・ガーフィールド、アダム・ドライバー、浅野忠信
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(6/29飯田橋ギンレイシネマ)

いろんな意味で話題になった映画だが、もともと原作の『沈黙』を高校生の時に読んだときから、あまり感心しなかった。

キリスト教徒でない人間にしてみれば、棄教することと、信仰を守ることとの問題が、それほど切実な問題として迫ってこない。

左翼陣営における「転向」の問題と関係づけられるかもしれないが、それだって、文学的なテーマにはなるが、映画的ではないだろう。

だから、こういうふうに映画になっても、迫害シーンの残酷さに胸は痛むが、主人公の葛藤にあまり感情移入はできない。

あとで、信者の院生とすこし話したが、カトリック的には、ノータッチということだそうだ。

それはそうだろうけど……。

「ローマ法王になるまで」の方が、よほどおもしろかったなあ。


「淵に立つ」
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2016年 日本・フランス合作映画 119分 DCP
郊外で小さな工場を営みながら平穏に暮らしていた夫婦と娘の3人家族。ある日突然、夫の旧い知人で最近まで服役していたという男が現われ、住み込みで働き始める… 圧倒的な人間描写で平凡な家族の心の闇をあぶり出し、家族を問い直す衝撃の家族ドラマ!
★第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門 審査員賞受賞
監督: 深田晃司
出演: 浅野忠信、筒井真理子、古舘寛治
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(6/29飯田橋ギンレイシネマ)

これはとてもおもしろかった。

古舘寛治の経営する工場に浅野忠信が登場することによって、平穏だった家族がみごとに崩壊していく
様子をまず描き(その結果として娘は障害者になる)、その何十年かあとに、その息子(といってもほとんどいっしょに暮したことはないという設定)が登場して……、というふうに、あらわな事件は何も起こらないのに、この夫婦(とうより夫及び妻)の過去になにがあったのかについて考えさせ、また、起こってしまった事件の意味についても考えさせられる、というふうで、その展開にびっくりしつつ、引き込まれてみていた。

ただ、二回見たいとは思わないけど……。

筒井真理子は、テレビドラマでよく見るひとだが、この映画で演技力を評価された、というのはとてもよくわかる。

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