web連載が始まりました

八木書店のサイトで、「文学・歴史資料のデジタル加工入門」という題の連載を始めました。
コンピュータを便利に使うためのノウハウを伝授する、というより、かつてパソコン通信でわいわいとやっていた我々のパソコン文化を残しておきたい、という気持で始めたものです。

下記を御覧ください。

https://company.books-yagi.co.jp/archives/1600

第一回は、「正規表現」のことです。「正規表現」といってもわからない人が多いと思いますが、そういう人向けに書いているものです。意見や要望をいただけるとありがたいです。

結婚式での挨拶

1週間前、金沢での結婚式に出た。

 長い間、一緒に和太鼓をたたいていたメンバーの御子息の結婚式である。

 なかなか親孝行な息子さんで、いまは、いっしょのチームで太鼓をたたいている。もっとも、私が東京に来てからのことなので、本人といっしょにたたいたことはあまりない。結婚式の最後はもちろん彼を中心にした我々のチーム(大場潟乃太鼓)の演奏であり、とても盛り上がった。袴姿で襷がけて太鼓をたたく新郎は、まさに当日の主役そのものであった。
 私も仲間に入れてたたかせてもらったが、帰ってからしばらく、階段の上り下りがきつかった。年寄りの冷や水は、ほとほどにしないといけませんね。

 しかし、私の目の前で、御子息とその父親が向かい合って太鼓をたたいている姿は、とても感動的であった。私も太鼓をたたきながら、ちょっと目が潤んでいた……。

 以下は、そのとき、来賓代表として挨拶した内容である。

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 一週間ほど前、私の孫で小学三年生になる女の子と会って話していたときに、突然、彼女から
「グランパとグランマ(「おじいちゃん」「おばあちゃん」ではなく、このように呼ぶのです……)は、どうして結婚したの?」
と聞かれました。あまりにも突然だったので、
「え、」
と絶句したまま、なにも答えられなかったのですが、やさしい彼女は、具合の悪いことを聞いたかなという顔で、すぐに話題を転じてくれました。

 ただ、別れて帰るときも、なんて答えたらよかったかな、と考え続けていました。

 そうして、そういえば、この結婚式で話すようにいわれていたことを思い出し、その答えは、このスピーチで話すことしようと思いました。

 で、話す内容を考えていたときに、浮んできたのが、私の母親の弟にあたる人、つまり我々の叔父さんになる人のことです。
 この叔父は、私の両親も兄弟も大好きでした。金沢市内に家があったので、姉たちは、夜帰りが遅くなると、泊めてもらったりもしていたようです。
 戦前戦中には満州に行き、戦争直後帰還するときに、奥さんも子供も亡くするというつらい経験をしているのだという話を、父だか姉だかに聞かされたことを覚えています。

 私自身の思い出としては、大学三年生の頃、ずっとストライキが続いていて、家でぼーっとふさいで過ごしていた頃、
「おい、能登に連れて行ってやるよ」
といって、一週間ほど能登の山奥の旅に連れて行ってもらったことがあります。その当時、叔父は、チェーンソウの販売とセールスをやっていたようで、そのお客さんところを廻っていたのですが、私には、能登ははじめただったので、山中の住まいなどがとてもめずらしく思えたものです。とはいっても、20歳くらいの当時の私は、いまとちがってとても無口でしたから、扱いにくかったのではないかと思うのですが、全くいやがらることなく、なにやかや話しかけてくれたもので、そうやって話しているうちに、なんとくふさいでいた気分が晴れていったのを思い出します。
 その後、結婚したとき、この叔父から届いた祝電には俳句が一句添えられていました。それが、他のどんなお祝いよりもうれしかったのを覚えています。(以来、私も、祝電を打つ機会があるごとに、和歌や俳句を送っています)
 その叔父が、もう二十年以上も前になると思いますが、ガンで入院したあと、亡くなりました。
 我々の兄弟はすぐにかけつけたのですが、遺言により、叔父の遺体は大学病院に献体として寄贈した、とのことで、対面することはできませんでした。
 ただ、その折りに、叔父の奥さん(つまり叔母さんですが)が語った言葉がとても印象的だったのです。
 叔母さんは、しみじみとして調子で、
 「病院から帰ってきてから亡くなるまでのうちのお父さんは、ほんとうにおもしろくない人になっていた」
と話したのです。こう書くと非難しているみたいですが、違います。それまでの元気なときの叔父さんがどんなにおもしろい人だったか、ということを私たちに伝えたかったのです。私たちもそのことはよくわかっていました。だから、みんな、あんなになついていたのです。はたからみても、経済的には、そんなに恵まれてはいなかったと思うのですが、そんなことにはかえられない、とてもたのしい人生を送ることができた、と叔母さんは、我々に話してくれようとしたのだと思います。

 そういうのっていいな、そういうふうに私も、自分の奥さんから言われたいなあ、と、そのとき私は、痛切に思ったものでした。

 で、ここからかが、小三の孫への返事になるわけですが、たぶん、こんど彼女とあったときには、

「この間の質問の答だけどね。グランパは、グランマと結婚すると、とても楽しい人生が送れると思ったからだよ。グランマも多分そうだと思う」

と言うことになるだろうと思います。

 長くなりました。

 ○○くんと××さんも、これからは、ぜひ自分たちの「楽しいこと」を見つけて、充実した生活を送ってください。

 今日は、本当におめでとうございます。

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映画館で観た映画(5月後半・6月前半)

今回は2本。

ビスコンティのは、別に。

「ある終焉」
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「父の秘密」で高い評価を得たメキシコの新鋭マイケル・フランコが「海の上のピアニスト」のティム・ロスを主演に迎え、終末期の患者をケアする看護師の葛藤をサスペンスフルに描いたヒューマンドラマ。死期が迫った患者の看護師として働くデビッド。息子の死をきっかけに元妻や娘と疎遠になった彼は、患者の在宅看護とエクササイズに励むだけの寂しい日々を送っており、患者たちとの親密な関係が心の拠りどころとなっていた。そんなある日、デビッドは末期がん患者のマーサから、安楽死を手伝ってほしいと頼まれる。
共演にキーファー・サザーランドの娘サラ・サザーランド。第68回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞した。
監督 マイケル・フランコ
キャスト
ティム・ロス/サラ・サザーランド/ロビン・バートレット/
マイケル・クリストファージョン/デビッド・ダストマル
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(BUNKAMURA ル・シネマにて)
 
 葉書で申し込んだ招待券が当選したので出かけた映画。
(実は、新聞に出ている試写会招待や鑑賞券への応募は、見つけるたびに出しており、かなりの確率で当たるのですよ)
 予告編をみたときは、たぶん行かないだろうと思ったタイプの映画。見たあとは、うーん、そういう終わりか、という感じ。
 全体としては、だいたい予想していた内容だったが、終末期の問題は、やはりむずかしい。映画の冒頭、いきなり、終末期の老女を自宅で主人公(もちろん男性)が介護するシーンが出てくるのは、正直きつい。結末は衝撃的だが、たぶん、神のくだした裁定という解釈になるのだろう。このあたりは、いかにも西洋的。日本だと、こうはいかないだろう。


「海よりもまだ深く」
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15年前に1度だけ文学賞を受賞したことのある良多(阿部寛)は、「小説のための取材」と理由を付けて探偵事務所で働いている。良多は離婚した元妻の響子(真木よう子)への思いを捨てきれず、響子に新しく恋人ができたことにぼうぜんとしていた。良多、響子、息子の真悟(吉澤太陽)は、良多の母・淑子(樹木希林)の家に偶然集まったある日、台風の一夜を皆で過ごすことになり……。

『海街diary』などの是枝裕和監督が、『奇跡』以来の阿部寛と樹木希林とのタッグで、なかなか大人になれない男の姿を描く感動のホームドラマ。小説家になる夢を諦め切れないまま探偵事務所で働く男が、たまたま実家に集まった母、元妻、息子と台風の一夜を過ごすさまを映す。阿部と樹木のほか真木よう子や小林聡美、リリー・フランキーらが共演。思っていた未来とは少し違う現実を生きる家族の姿が印象的につづられる。
【原案・監督・脚本・編集】是枝裕和
【出演】阿部寛(元夫)/真木よう子(元妻)/吉澤太陽(ふたりの子供、小学生)/小澤征悦(真木よう子が交際中の男)/小林聡美(阿部寛の姉)/高橋和也(その夫)/樹木希林(ふたりの母)/リリー・フランキー(阿部寛の勤める探偵社の社長)/池松壮亮(阿部寛の同僚)/ミッキー・カーチス(古道具屋の主人)/橋爪功(樹木希林が入っているクラシック音楽サークルの先生)
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(金沢駅前フォーラスのイオンシネマにて)

 この監督の前作『海街diary』に比較すると、とても地味な映画。女優陣も実力派を揃えているが、若い人はいない。また、上記の要約でもわかるように、説明するほどのストーリーはないといっていい。舞台は、西武池袋線の清瀬市の古い団地で、ここにも、派手な要素はひとつもない。それでも、きちんと最後までみせてくれるし、私としては満足した。ただし、阿部寛のようなダメ男に、私自身としては感情移入はできないが……。
 ただし、「家族」にこだわりつづけるこの監督らしい映画というべきだろう。
 全体的な味わいとしては、ミニシアター系の感じであるが、にもかかわらず、こういうシネコンで公開されているというのは、やはり、前作のヒットと高い評価によるものなのだろう。
 小林聡美(いま彼女は、脇役としてとてもいい仕事を続けていると思う)は相変わらずいい味の演技だし、樹木希林も、もちろんよい。男優もそれぞれに個性的だが、特に、子役の吉澤太陽くんが、いやみのない自然な演技で、とてもいい感じであった。彼の存在が、この映画の登場人物たちをつなぐ役目を果たしているわけだが、とても重要なポジションを占めていると思う。
 

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