映画館で観た映画(7月)

7月9日(土)

疑惑のチャンピオン
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長年にわたるドーピングにより、自転車競技界から永久追放を受けているロードレース選手ランス・アームストロングの栄光と転落の人生を映画化。イギリスのサンデー・タイムズ紙記者によるノンフィクションをベースに、「クィーン」のスティーブン・フリアーズ監督が描いた。25歳で発症したガンを克服後、「ツール・ド・フランス」で7年連続総合優勝の偉業を達成したランス・アームストロング。ガンで苦しむ多くの人々に勇気を与え、競技外ではガン患者を支援する慈善活動に尽力するアームストロングは、人々から賞賛を集める、まさにスーパーヒーローだった。しかし、1人のジャーナリストの追及により、アームストロングの衝撃の事実が次々と明らかとなる。アームストロング役に「X-MEN:ファイナル・ディシジョン」「ザ・ブリザード」のベン・フォスター。
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(金沢ユナイテッドシネマにて)

ツール・ド・フランス7連覇の伝説の選手が、実は、組織ぐるみのドーピングをしていたという実話に基づく。
ドーピングの具体的な様子はとてもよくわかる。いまは、薬を飲むというレベルではなく、血液を入れ替えるなどというとても大がかりなものになっているようだ。
ただし、映画としては、後半、疑惑がだんだん明らかになってき、ついに告白するに至るプロセスは、ちょっとくどい感じがする。。
ダスティン・ホフマンも出ていたが、ちょっと役割が分からなかった。

7月15日(金)
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シング・ストリート
「はじまりのうた」「ONCE ダブリンの街角で」のジョン・カーニー監督の半自伝的作品で、好きな女の子を振り向かせるためにバンドを組んだ少年の恋と友情を、1980年代ブリティッシュサウンドに乗せて描いた青春ドラマ。大不況にあえぐ85年のアイルランド、ダブリン。14歳の少年コナーは、父親が失業したために荒れた公立校に転校させられてしまう。さらに家では両親のケンカが絶えず、家庭は崩壊の危機に陥っていた。最悪な日々を送るコナーにとって唯一の楽しみは、音楽マニアの兄と一緒に隣国ロンドンのミュージックビデオをテレビで見ること。そんなある日、街で見かけた少女ラフィナの大人びた魅力に心を奪われたコナーは、自分のバンドのPVに出演しないかとラフィナを誘ってしまう。慌ててバンドを結成したコナーは、ロンドンの音楽シーンを驚かせるPVを作るべく猛特訓を開始するが……。
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(渋谷シネクイント)
とても気持ちよくしあがっている青春映画。1980年代ブリティッシュサウンドというのにあまりくわしくないし、MTVをみた世代でもないので、こまかいニュアンスまでわかるわけではないが、それでも、音楽に熱中する少年達と、時代の閉塞感はとてもよく描かれている。それを前向きに描いたところが手柄だろう。
知り合いに「はじまりのうた」をすすめられていたことを思い出した。近いうちに「ONCE ダブリンの街角で」とあわせて借りてみよう。

7月16日(土)

日本で一番悪い奴ら
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実在の事件をもとに描いた「凶悪」で話題をさらった白石和彌監督が、2002年の北海道警察で起こり「日本警察史上最大の不祥事」とされた「稲葉事件」を題材に描く作品。綾野剛が演じる北海道警の刑事・諸星要一が、捜査協力者で「S」と呼ばれる裏社会のスパイとともに悪事に手を染めていく様を描く。大学時代に鍛えた柔道の腕前を買われて道警の刑事となった諸星は、強い正義感を持ち合わせているが、なかなかうだつが上がらない。やがて、敏腕刑事の村井から「裏社会に飛び込み『S』(スパイ)を作れ」と教えられた諸星は、その言葉の通りに「S」を率いて危険な捜査に踏み込んでいくが……。暴力団と密接な関係を持ち、諸星に影響を与える村井役で、「凶悪」に続き白石監督とタッグを組むピエール瀧が出演する。
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(渋谷TOEIにて)
警察、とくに北海道警が舞台というのでちょっと気になっていた。B級感満載の悪徳警察官の話。
綾野剛にいろいろ教えるピエール瀧は早々に退場し、あとは、綾野剛ひとりががんばっている印象。まあ、予想の範囲内。


7月21日(水)

帰ってきたヒットラー
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ヒトラーが現代によみがえり、モノマネ芸人として大スターになるというドイツのベストセラー小説を映画化。服装も顔もヒトラーにそっくりの男がリストラされたテレビマンによって見出され、テレビに出演させられるハメになった。男は戸惑いながらも、カメラの前で堂々と過激な演説を繰り出し、視聴者はその演説に度肝を抜かれる。かつてのヒトラーを模した完成度の高い芸として人々に認知された男は、モノマネ芸人として人気を博していくが、男の正体は1945年から21世紀にタイムスリップしたヒトラー本人だった。ヒトラー役を演じるのは、舞台俳優オリバー・マスッチ。
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(渋谷シネパレスにて)
イギリスのEU離脱も、トランプのアメリカも、こんな雰囲気のなかでのものなのかなとも思わせられた。いまのヨーロッパの抱えている問題、蔓延している気分ををかなり鋭くえぐり出していると思う。ただし、ヒトラーが、テレビ番組に出ていくうちに、一種のトリックスターのようになっていくプロセスはよくわかるが、映画の展開としては少しもたつく感じがある。
最後、見つけてテレビに出した売れない映画監督志望のプロデューサーが、ヒットラーの危険性をわかってきて彼をこれ以上出さないようにしようとするが、きちがい扱いされている、というあたりに制作者の良心があるのだろう。

映画館で観た映画(6月分)

6月7日(火)
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ルードウィヒ
1864年、18歳のルードウィヒ(ヘルムート・バーガー)は、父の後を継いでバイエルンの国王となった。ミュンヘンの城での戴冠式は、盛大に行なわれ、若い繊細な心を持った王が誕生した。ルードウィヒは、オーストリア皇帝の妃である従姉のエリザベート(ロミー・シュナイダー)を慕っており、公的な生活から解放されると、エリザベートと共に、野山を馬で走り、音楽や詩について語り合った。彼はまた、作曲家リヒャルト・ワグナー(トレヴァー・ハワード)に心酔しており、彼のパトロンとなって莫大な費用をかけ、歌劇“トリスタンとイゾルデ”の上演を実現させたりした。このルードウィヒのワグナーへの財政的援助は、しかし、人々の非難を呼びおこしていた。この現実逃避に傾斜してゆくルードウィヒの心を誰よりも見ぬいているのはエリザべートだった。彼女は、ルードウィヒが彼女を慕っていることも承知で、自分の妹ソフィー(ソニア・ぺトロヴァ)を婚約者として彼に勤めた。1866年、プロイセンとオーストリアとの兄弟戦争で、オーストリアの盟友としての参戦を拒んだルードウィヒは、戦場に赴かず、べルクの城にこもっていた。弟のオットー王子(ジョン・モルダー・ブラウン)は、戦場から焦悴しきって戻って来た。そして、忠実な臣下デュルクハイム大佐は(ヘルムート・グリーム)は、気ままな生活をおくるルードウィヒに現実の辛さを説くのだった。それから間もなくソフィーとの婚約を受け入れたルードウィヒは、しかし、すでにエリザべート以外の女性ヘの興昧は失せており、むしろ、美しい青年に心惹かれだしていた。結局はソフィーとの婚約は解消した。そのころ、ビスマルクが提唱していた“大ドイツ統一”が実現することになり、バイエルン王国もそれに加盟することを余儀なくされた。オットー王子が精神に異常をきたすなど辛いことが重なっていたルードウィヒとはうらはらに、かねてから噂になっていた、リストの娘でワグナーのお抱え指揮者の妻であったコジマ(シルヴァーナ・マンガーノ)を夫人に迎えていたワグナーはコジマの誕生パーティを祝ったり、二人の間の子ともども幸せな生活を送っていた。今やルードウィヒに残されたものは、莫大な国財で造らせた三つの城だけだった。孤独にさいなまれた彼はウィーンから役者を招いて、城に造った洞窟で日夜詩を暗誦させたりしていた。この荒んだ王の生活を見かねた有力な貴族たちは、会議を開き、国王廃位を計った。査問委員会を設け、国王に近しい臣下たちから“ご乱心”を立証する証言をひきだし、精神科医グッデン(ハインツ・モーグ)が偏執狂と診断した。ルードウィヒはノイシュヴァンシュタインを追われ、べルクの城で幽閉生活を強いられた。ある日、グッデンを供に連れて庭園の散歩に出かけたルードウィヒは、その夜、湖で溺死体となって発見された。1886年のことである。グッデンを道連れにした自殺だと言われているが、その真相は明らかにされていない。
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(恵比寿ガーデンシネマにて)
やはり見応えがあった。堪能した。映画自体がほぼ4時間。予告編も見たから、それを超しましたね。
(18時30分から22時50分まで) 
今回は、途中休憩があったので楽だった。

画面の迫力とかそういうことは前回の「山猫」で詳しく書いたのでもう書かない。
 
エリザベートに恋心を抱きつつ、結婚してくれそうもないので、妹のソフィーに婚約を申し込むがやがて解消する、というあたりを見ていて、これはそのまま『源氏物語』宇治十帖ではないかと、という気がしてきた。
そう考えると、ヨーロッパの各国貴族の血縁関係の濃さなども『源氏物語』と対比的に考えることができる。その意味でもまことにリアティが感じられる映画であった。
紫式部は女性だから、大君・中の君そして浮舟に、主題をしぼっていき、仏教で女の苦悩を救えるのか、私たちはどう生きたら(死んだら)いいのか、というところに問題を読者に投げかけて終わっているわけだが、この映画は、王の内面が問題になっている。『源氏物語』で言えば薫にあたる存在だが、彼にも、このような絶対的な虚無というようなものがあったのだろうか?
もっといえば、光源氏らにも、それはあったのかもしれないが、読む限りではそういう頽廃の感じはない。しかし、ルードウィヒに横溢しているのは、ほろびゆくものがもつ濃厚な頽廃の雰囲気である。

たぶん、2年ほど前に、金沢のシネモンドで、同じ「ルードウィヒ」という題の別の映画を見ているはずだが、そのときも、ずいぶん変な王様だと思ったのを記憶している。たしかに、この王様は映画にしたくなる人物だと思う。

ところで、ルードウィヒの作った三つの城は、世界遺産になるとかいうような歴史的価値のあるものではないが、観光地としてはロマンチック街道に組み込まれたりしていて、とても人気があるらしい。私も、機会があったらいってみたいと思う。
後世の観光資源ということを考えたら、彼の浪費も、あながち責められないのでは、とも思ったりした。

6月20日(月)
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高台家の人々
「ごくせん」「デカワンコ」の森本梢子による人気ラブコメディ漫画を綾瀬はるか&斎藤工の共演で映画化。
趣味と特技が妄想という地味で冴えないOL・木絵の勤める会社に、名家・高台家の長男・高台光正が転勤してきた。光正には、高台家に代々引き継がれている、人の心を読むテレパシー能力が備わっており、馬鹿馬鹿しくも楽しい妄想をする木絵と過ごす時間は、光正にとって癒しの時間となっていく。木絵の純粋な心に光正は次第に惹かれ、順調な関係を続ける木絵と光正だったが、木絵の前に「高台家」の存在が大きく立ちはだかる。
主人公・木絵役を綾瀬が演じ、光正役で斎藤が共演。水原希子、間宮祥太朗、大地真央、市村正親らが脇を固める。監督は「映画 謎解きはディナーのあとで」の土方政人。
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監督 土方政人/原作 森本梢子 脚本 金子ありさ
キャスト
綾瀬はるか(ヒロイン)/斎藤工(恋人)/水原希子(斎藤工の妹)/間宮祥太朗(斎藤工の弟)/坂口健太郎(水原希子の本命の恋人)
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(池袋Humaxにて)
平日の13時30分はじまりなのに、若い女の子がたくさんいた。試験期間? 漫画が原作らしく、設定は荒唐無稽。斎藤工のかっこいいところを見たり、高台家の豪華さを見ている分にはいいが、正直、おじさん(ではなく「おぢいさん」だね)の見る映画ではないね。
次の予定までのつなぎと綾瀬はるか主演ということで見たのだが、小林信彦くらいのファンでもないと、見る必要はありません。


6月22日(水)
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64(ロクヨン) 後編
佐藤浩市はじめ、綾野剛、榮倉奈々、瑛太、永瀬正敏、三浦友和ら日本映画界を代表する豪華キャストが結集し、「ヘブンズ ストーリー」「ストレイヤーズ・クロニクル」の瀬々敬久監督のメガホンで、ベストセラー作家・横山秀夫の小説「64(ロクヨン)」を映画化した2部作の後編。昭和64年に発生し、犯人が捕まらないまま迷宮入りした少女誘拐殺人事件・通称「ロクヨン」。事件から14年が過ぎた平成14年、新たな誘拐事件が発生。犯人は「サトウ」と名乗り、身代金2000万円を用意してスーツケースに入れ、父親に車で運ばせるなど、事件は「ロクヨン」をなぞっていたが……。後編は原作とは異なるラストへと向かっていく。
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(渋谷TOHOシネマズにて)
たしかに、原作とは異なるラストであったが、しかし、これはこれで納得してみることができた。横山秀夫の本はそれほど多く読んでいるわけではないが、「半落ち」にしても、この「64」にしても、人物や事件の書き込みはすごいが、結末があいまい、という印象がある。小説ならそれでもいいが、映画だと、ある程度決まりを付ける方がいい。その意味で、ラストの改作は、私としては支持したいと思う。
いずれにしても、前篇よりははるかにおもしろくできている。
「ちはやぶる」の逆。
佐藤浩市に主演男優賞の一票を入れておきたい。 

なお、本当の犯人役を尾形直人がやっていたし、前篇から出ている被害者の父親役の永瀬正敏(このごろ、この人の映画をよく見る。台湾の甲子園出場した高校のチームとか、「あん」もそうでしたね。地味な役が似合っている)も、みんな、二枚目役では出ていない。そのへんがとてもリアリティがある。まるでウソくさかった「高台家の人々」を見たあとだったせいかもしれないが……。

6月29日(水)

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「ハリーとトント」(午前十時の映画祭)
■原題 HARRY AND TONTO
製作国 アメリカ
ジャンル ドラマ
本国公開年 1974年
カラー カラー
上映時間 115分
監督 ポール・マザースキー
出演者 アート・カーニー
エレン・バースティン
チーフ・ダン・ジョージ
受賞歴 アカデミー主演男優賞
ゴールデングローブ男優賞
解説
ニューヨークからシカゴへ旅をする老人と猫のコンビによるロード・ムービー。彼らが行く先々で出会う人々との交流を描いた秀作。温かなユーモアと優しい視点で演出したのは、俳優としても著名なポール・マザースキー監督。ハリーを演じたアート・カーニーは、本作でアカデミー主演男優賞に輝いた。
物語
ニューヨークで愛猫トントと共に暮らす72歳のハリー(A・カーニー)。妻に先立たれ、3人の子供達は独立していた。区画整理の為にアパートから追い出されてしまった彼は、ひとまず長男の家に移り住む。しかし環境に馴染むことができず、シカゴに住む娘のシャーリー(エレン・バースティン)の元へ、トントを連れて旅に出る。だが、猫と一緒では飛行機にもバスにも乗れず、中古車を買いシカゴに向かう。道中、様々な人と出会いながら娘の元へと到着したハリーだが――。
こぼれ話
ハリーとトントが旅をするのは、「ルート66」として知られる国道66号線。アメリカ中東部のイリノイ州シカゴと、西部のカリフォルニア州サンタモニカを結ぶこの道はアメリカ西部の発展を促進した重要な国道だった。1960年代にヒットした同名のアメリカTVドラマやジャズ楽曲をはじめ、映画や小説などの中に多く登場している。高速道路の発達により1985年に廃線となったが、現在でもポップ・カルチャーの題材として語られている。
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(日本橋TOHOシネマにて)
たまにこういう古い映画をみておくものですね。たぶん、家でDVDで見ると、退屈してしまうかもしれない。でも、大画面で見ると、集中度が違うせいか、とてもじっくり見ることができる。

とてもよくできたロードムービーであった。
独居老人が追い立てを食って、長男の所に行くが、居心地がわるく、シカゴの娘の所に行くが、反りが合わず、ロスアンゼルスにいる次男の所に行く。しかし、次男は、仕事がうまくいかず……、というような、本質的には明るくない話だが、主人公のキャラクターといろいろな人物とのかかわりやエピソードが上手に書かれているので、最後、連れ歩いていた猫が死んだあとも、そんなに悲しいことにはならない。とてもおもしろく観た。


文藝年鑑2015訂正版が到着

 直前に書いた公開質問状に、訂正紙と謝罪文だけですませられてはかなわないという趣旨のことを書きましたが、本日(2016年7月23日)午前、目次部分を訂正した『文藝年鑑2015』を受け取りました。

 私の公開質問状発送と前後して、発送したものと思われます。

 私自身は、これ以上ことを荒立てる気持はありませんので、この問題に関して、これ以上の発言はしません。

 ただ、編集者としてあるまじき対応であったことは事実なので、 当分、このブログは、このままにしておきます。
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