いわゆる大学のSDStaff Development)について、平成29年度より義務化されることとなりました。法令改正について触れた文部科学大臣の諮問文では、このことについて次のように説明しています。

「大学は,当該大学の教育研究活動等の適切かつ効果的な運営を図るため,その職員に必要な知識及び技能を習得させ,並びにその能力及び資質を向上させるための研修(第25条の3に規定するものを除く。)の機会を設けることその他必要な取組を行うものとする。」


SD
の考え方については、国の方で少し揺らぎがあります。そのことはこちらのblogで丹念にまとめられていたので、先ずご参照ください。

文科省が求める良質なSDとは何か。そのことのヒントになるものとして、私学助成を競争的に配分する「私立大学等改革総合支援事業」では、「教育の質的転換に関するSD」の例として、

「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて」(平成248 28 日中教審答申)の内容の共通理解の形成

教育の質的転換に関する他大学等の取組事例の紹介

教育の質的転換に関する自大学等の取組状況や学生の学修時間の現状の共有 なお、特定の取組(:アセスメント・テスト、ルーブリック、ナンバリング)に特化した内容でも該当するものとする。

を挙げています。
いわゆるSDは、学士課程答申以降、大学職員向けの取り組みであるものと広く理解されるようになりましたが、最近は教員を含めた大学の構成員の多くが出来るだけ関わるべきものと整理されており、まさに「大学運営業務全般」を射程に入れた観念になっています。
SDFDをも包含している英国の考え方を急にここで取り入れたのか?とも思えますが、元々学校教育法体系では教員も職員の一種として整理されており、そのような法制上の考え方に立ち返ったという風に見た方がいいでしょう。

※学校教育法第93条第4項「教授会の組織には、准教授その他の職員を加えることができる。」という規定があります。法文上、「Aその他のB」と表記する場合、ABに包含される概念であり、教員が職員に含まれる考え方が推察されます。また、国立大学では、法人化前から雇用される教員で国家公務員相当の退職手当が保証されている教員のことを「承継職員」と称します。

 

いずれにしても、SDFDより遅れて導入されてきた経緯もあり、SDは大学を事務面から支える事務職員の資質能力向上の視点で捉えられることがほとんどであり、この考え方を、「事務的側面のみならず教学・研究・社会貢献等の大学活動も含めた運営改善に係る取組」という風に広げなくてはならないでしょう。例えば研究不正に係る研修などもSD に入ってくるのでしょうね。国が積極的にpromoteするかどうかは別として。
 

一方で、少し残念だなと思うのは、依然としてSDが研修を意味するものとして狭く捉えられて表現されることが多いことです。先ほど紹介した私立大学等改革総合支援事業でも、「教育の質的転換に関するSD」の実施状況を確認する書類として「SDの開催案内、研修資料、開催記録等」を挙げるなど、明らかにSD=研修という前提で書かれていますし、他の項目でも「昨年度、他の国内大学等と協同でFD又はSDを実施しましたか。」なんていうのも見つかります(財政支援を行う際には「やっているorやっていない」の境目がはっきりしている調査項目でないと○×の判断が難しいため、このようになってしまうことは理解しつつも)。

SDは、冒頭の文科大臣の諮問文でも「研修の機会を設けることその他必要な取組」と、研修には決して限定されていません。人事考課、業績評価、処遇など人材マネジメント全般に及びうるものです。FDも本来はカリキュラム・マネジメントのようなものも含む概念の筈が、教員の教授技法の話と同視されがちなのが問題であるのと同じように、SDについてもより広い捉えが要求されます。職員のエンパワーメントに関わる取組として、研修、それもどちらかというと自己研鑽型の研修にばかり焦点が当てられるようなSDであってはならないと思います。FDSDも、大学の資産価値をどういう目的でどのように高めるのか、ということであり、職人芸を更に磨いてもらうというだけであってはならないのです。