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乗馬と温泉等を組み合わせた健康増進ビジネスの創出(平成20年度あおもり型メタボ対策関連ビジネスモデル構築事業)

【目的】
ウマは古来より人々の生活に密接に関係し、様々な影響を与えてきた。すなわち、狩猟対象から労役や輸送手段としての役畜へ、その役割は時代とともに変化している。そして近年では、馬術競技や競馬等の近代スポーツへの利用はもとより、障害者の社会参加やスポーツを目的とする障害者乗馬、リハビリテーションを目的とする乗馬療法など、ウマをヒトの健康や福祉に利活用する働きに関心が高まっている。これらの活動は動物介在活動あるいは動物介在療法とよばれ、全国で展開されている。
これまで北里大学獣医学部動物行動学研究室では、乗馬運動が人体に及ぼす好影響に関して一連の研究を行ってきた。そのなかで、ウマに騎乗し野山を遊歩するホーストレッキングに関する実験において、乗馬経験のない者ではホーストレッキング2時間後に副交感神経活動が高まることが見出され(Matsuura et al. 投稿中)、ホーストレッキング後は正の気分(快情動)が上昇し、負の気分(不快情動)が改善されることが示唆された(長井と船津 2007)。また、乗馬経験者においても、ホーストレッキングに速歩を取り入れて測定したところ、ホーストレッキング1時間後、および2時間後に副交感神経活動が高まることが示唆された(平成19年度青森県健康ビジネス創出支援事業「ホーストレッキングによる健康増進ビジネスの創出」特定非営利活動法人驥北会委託研究)。
このようにホーストレッキングが人体に及ぼす好影響については蓄積されつつある。ホーストレッキングはウマと自然といった青森県の地域資源を有効に活用する活動であるが、青森県には他にも全国に誇る貴重な資源がある。なかでも注目すべきは、青森県の源泉数が全国第6位であり、温泉がウマとともに地域特有の資源である点であろう。また、源泉地数、総湧出量ともに全国第4位であり、これらは湯治文化が根付いた根拠であると考えられる。しかし、宿泊利用客は東北地方で最下位であり、温泉を地域資源として有効に活用できているとはいいがたい。また、青森県ではニンニクやリンゴなどといった全国に誇る農産物も多く生産されている。そこで、本事業では、健康に良い地域資源であるウマ、温泉、およびニンニクやリンゴを組み合わせて、青森ならではの健康増進ビジネスプログラムを提供することとした。


【実施内容】
1.身体的効果が期待できる乗馬+県産食材を用いたヘルシーな食事の提供+温泉のプログラムの提供
①曳き馬、馬上体操(15分)
ホーストレッキング前に被験者には、安全対策として乗馬用ヘルメットを着用してもらった。被験者のあぶみの長さを調節した後、馬場内にて曳き馬と馬上体操を合わせて15分間行った。
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②ホーストレッキング(45分)
 騎乗してガイドを含め2人ないし3人で、乗馬倶楽部敷地内から農道を通り、再び乗馬倶楽部に戻ってくるコースを常歩および速歩で45分間かけて行った。
③ウマの手入れ(30分)
 乗馬倶楽部内の蹄洗場にて馬装解除し、ウマの裏ほり、蹄洗、ブラシがけ、馬具の手入れと片付けおよび蹄洗場のそうじなどを30分かけて行った。
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④ヘルシー食(60分)
 乗馬倶楽部内の調理場にて規定食の調理、食事を行った。メニューの考案は栄養士に依頼した。メニューはご飯、ホタテとブロッコリーのガーリック炒め、めかぶのかき玉スープ、りんごサラダであり、総カロリー量は491kcalであった。
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⑤温泉入浴(60分)
 実験者の車で参加者はポニー温泉へ移動し、露天風呂入浴を行った。参加者は防水型心電計を装着したまま入浴を行った。露天風呂に約1時間いてもらい、その間温泉に浸かっている時間は各参加者の自由とした。



2.乗馬+県産食材を用いたヘルシーな食事の提供+温泉のプログラムによる身体的効果の科学的検討
 ホーストレッキング運動時の脂肪の消費に有効とされる心拍数を記録した合計時間および平均心拍数はホーストレッキング1回目と2回目で有意に高い結果となったことから、ホーストレッキングが脂肪の消費に有効である可能性が示唆された。睡眠時自律神経活動についてはホーストレッキング2回目で1回目からHFの上昇、LF/HFの減少傾向がみられたが、各群に有意な差は得られなかった。有意な差が得られなかった要因として被験者間の個人差が大きく出たことが考えられた。酸化還元電位には有意な交互作用があったが、運動前で大きな差が見受けられたため、その後の統計解析は実施しなかった。今後さらに検討する必要がある。体組成の変化は各群に有意な差がみられなかった。体組成の変化をみるには実験回数が計3回と少なく、また実験の間隔が1ヶ月程度と、間隔が大きかったことから実験の回数や間隔を再度検討する必要がある。
 情動変化あるいは免疫系の指標として、唾液中IgA濃度が興味深い変化を示したことは注目すべき点であった。ホーストレッキング前よりも後で、さらには、温泉入浴後に高まることが見受けられたが、これは本プログラムが快情動や免疫系の腑活化によい影響を与える可能性を示すものであった。
 本研究からホーストレッキングは脂肪の消費に有効である可能性が示唆されたが、ホーストレッキングと温泉入浴が睡眠時の自律神経活動に及ぼす効果、唾液酸化還元電位あるいは体組成の変化について有効な結果は得られなかった。しかし、小学生を対象として自律神経活動と肥満の関係を調べた研究(Nagai et al.,2003)によると、肥満群は非肥満群に比べて、自律神経活動の指標(HF,LF,Total Power)が有意に低かった。このことから、ホーストレッキングと温泉によって自律神経活動を高めることができれば、メタボリックシンドローム対策に有効となる可能性が考えられる。本研究で、ホーストレッキングが脂肪の消費に及ぼす影響は運動強度を強めることにより効果が期待できると考えられた。今回有効な結果が得られなかった睡眠時自律神経活動、唾液酸化還元電位、体組成の変化については今後実験の方法等検討する必要がある。

3.啓発活動とフィードバック
■広告・宣伝
今回実施したモニタープログラム体験者募集のためポスターの掲出、チラシの配布、ホームページ公開による活動を行った。
■体験者募集ポスター
作 成:150部
配布先:スーパー、コンビニ、保養所、温泉施設、医療施設、
新聞社、テレビ局、行政機関など35か所・約50枚
その他個人配布等・約80枚
■新聞折込チラシ
作 成:4,000部
配布先:十和田市内4,000世帯
■セミナー開催
タイトル:馬と温泉を活用したメタボ対策・健康増進セミナー 〜健康的な乗馬ライフとは〜 
日 時:2009年2月7日(土) 13:30〜16:00
会 場:十和田市民文化センター AV総合研修スタジオ
来場者:24名
①事業検証結果発表
「乗馬と温泉を組み合わせたプログラムが健康増進に及ぼす可能性」 講師:北里大学獣医学部 松浦晶央 氏
「整体法から見る乗馬の体の使い方」 整体師 秋田 勇吉 氏
③メタボ対策乗馬プログラムの提案
「リフレッシュ乗馬メニューの紹介」 乗馬インストラクター 中村 悟
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■事業に対してのマスコミ取材状況
①2008/11/10  日経新聞メタボ事業取材
②2009/02/11  デーリー東北 セミナーの取材記事
③2009/02/24  RAB TV取材『活彩あおもり』 4/19放送
④2009/03/06  東奥日報 体験モニターの取材
⑤2009/03/18  NHKあおもり放送局 3/19『あっぷるワイド』放送

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【事業化に当たっての課題と展開】
 健康に対するサービス活動自体が個別に行われており、地域資源に偏在性がみられる結果、その成果は小規模であると同時に、域内の他の活動主体に波及効果を与えるには至っていない。当プログラムと十和田市および隣接広域エリアの観光事業者との提携を進め、より広域的にアピールできるサービス展開を行いたい。そのためには、自社セミナー開催などによる実演型の啓蒙および営業活動の実施の機会を増やす、健康関係・観光関係セミナー機会の積極的参加といった活動を実施したい。
 サービスを実現するための仕組みとして、プログラムを認知してもらう為のプロモーション方法(広告や宣伝方法)、顧客に関心を抱いてもらうためのキャッチコピーやセールストーク、会場などのレイアウト演出、アフターフォローまで、これら全体をサービスと捉え、ビジネスモデル全体の拡張につながる人材を育成、もしくは雇用していくことが必要である。
 「リフレッシュ乗馬プログラム」ビジネスモデルをより確立していくために、今後も参加者の反応や感想を得るためのアンケート調査によるニーズ把握を続けていきたいと考える。
また、プログラムの継続・拡大にともなう南部馬の増大を見据え、北里大学と共同し生産〜育成までのノウハウ化を目指す。そして、プログラムのマニュアル化を目指し、提供側のスキルアップを図るための勉強会の開催をおよび指導者の育成が必要であると考える。




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