京都市東山区
今年の目標が何だったのかをすでに忘れているのはわたしです。
旧いカブで旅をする
ベランダで「MONKEY vol6」を読んでいた。
柴崎友香のショートストーリー「バックグラウンドミュージック」。
瀬戸内海の島にある祖母の家を訪れる姉弟のありふれたやりとり。
そのバックに様々な音楽が流れる。
物語の中に出てくる姉と弟を、
自分の姉と自分自身に簡単に重ねることができてしまうのは、
同世代だからであろう。
この物語は姉目線で語られるが、
弟の行動が自分とほとんど同じなので、
なんだか笑えてしまった。
ああ、姉貴はこんな感じで俺を見ていたのかな。
姉が5年後、10年後のことを想像する場面がある。
自分も想像しようとしたけど、どうにもうまくいかない。
たとえばこれが5年前に、5年後、10年後を想像したのならば簡単だったと思う。
5年前に、
想像していた5年後、10年後の暮らしは、たぶん今の生活そのものだ。
限りなく理想に近い生活。
その真っ只中にいる今、5年後、10年後のことを想像しようとしても、
何も浮かんでこない。
かといってこのままだとも思えない。
薄暗くなったベランダを後にして、
部屋で久しぶりに昔よく聴いたCDを何枚か斜め聴きした。
かつての自分のバックグラウンドミュージック達。
それらの音楽はすぐに自分を「あの頃」の気持ちへといざなってくれる。
心地よく、安心できる空間ができあがる。
でもそろそろ新しい音楽を聴き始めてもいい頃なのかもしれない。
がむしゃらに、貪欲に、色んな音楽を貪り聴いていたあの頃のように、とはいかないだろうが、
ゆっくりと、じっくりと聴きこむような楽しみ方で進めていくのも悪くはない。
まだ見ぬこれから。
この先にはどんな音楽が自分の背景で鳴り響くのだろう。