木嶋佳苗の拘置所日記

新緑もすがすがしい5月の面会室。場所はもちろん東京拘置所。夫婦の内緒話

 「スーからの内容証明郵便トミー君の家にも届いた?」「郵便受けに「不在者通知が何枚か入っていたけど内容証明なら拒否するよ」
「えっ!?差出人はスーじゃなくて代理人の弁護士だよ」
「 そんな怪しいもん受け取らないよ。脅迫状みたいな内容証明送りつけるなんて紛争の常套手段やから」
「ふーん、普通受け取っちゃうんでしょ」
「俺を誰だと思っているの」
「ハハハ・・・あのね、スーの妻は朝青龍そっくりだから気をつけて。アメリカに住んでいるからって油断できないのよ。日本の実家に戻ったりしているから」
「だから何」
「小学生の子供でナイフを持ち出す女だよ。泣き叫んで夫を殴っているんだよ。木嶋佳苗と自分の夫が浮気したと思いこんでいるんだから、逆恨みしてトミー君にナイフを突き刺したって何も不思議もないでしょうが。その夫は去年浮気相手の彼女から、自分の思うようにいかなかったら私は殺されるかもしれないって言われた男だよ。彼女にアスペルガーのあなたが怖いって言われたんだって。そんな気がふれている夫婦なら何でもするよ。素人だから肝臓プスっと刺すなんて器用なことできないよ。手加減なく心臓をグサッと刺されるって。襲われたらどうするのよ。会社だと目立つから待ち伏せするとしたら自宅でしょ。セコムをつけようか」
「心配ないって俺はそんなヤワじゃないから」
「うーん、シラフで素手なら負けないと思うけど相手が道具を持っていたら怖いって。反撃し過ぎたら正当防衛が認められないこともあるし」
「うざいね」
「ホントだよ。おかしい人と関わり合いたくないね。支援者から勝手に恋愛感情もたれて殺傷沙汰ってストーカー被害でしょうが。トミー君だって弁護士から内容証明届いたら怖いでしょ」
「全然!俺がそんなもんにビビるわけないやろ。何とも思わんよ。何年金融と法務をやってきたと思ってんの。プロだよ。刑事告訴なんてそう簡単に受理されないから。スーの名誉って何やねん。アホかって言って門前払いがオチだから。検察は暇じゃないの。警察も忙しいから被害者届けを出したってそんなのほったらかしだよ。そんなアホなことより、これを見てよ。傷が残っているやろ」
「どうしたの。なんで顔にそんな傷ができるのよ。まさか喧嘩?」
「いや、飲み屋でウイスキー一本空けちゃって、警察呼ばれて」
「えっ。警察?」
「警察に財布見られて、10万くらい持っていたからタクシーに押し込まれたんやけど、降ろされた所が傾斜が急な坂の上でな、下まで転がって顔からつんのめったらこれだよ」
「・・・。そんな泥酔している時に朝青龍に襲われたらどうするのよ。そんなに飲まないでよ」
「大丈夫。飲んだ時はタクシーで帰ってるから」
「全然大丈夫じゃないでしょうがッ」
「池田屋からバター入れておいたよ。他に何か入れて欲しいものないの? か時間がないから早く言えよ。」
「あなたって人はもう・・・」
お酒の話になるとはぐらかす夫をどうにかしてほしい!

先月のこと、夫は当たり屋の被害に遭いました。ゴルフの練習場に行った帰り道、ふらふらしている女がいたので夫は車を止めました。
すると女はフェンダーをバンと叩いてへなへなと崩れ落ちたそうです。夫が引っ張りあげても起きません。野次馬がいっぱい来ました。さあ大変、人身事故です。

普通は大慌てで救急車を呼ぶでしょ。ところが、夫はふざけるな!と怒鳴り、女を抱えて放り投げたのです。そして衆目の中、さっさと自宅に帰りました。警察から電話が来ましたが夫は当ててないし、轢いていないので何の問題にもなりませんでした。

しかし、「心の中では、誰にシノギかけてんだよ。一般ピープルだと思ってんのか?ということで新しい車を探しています」と手紙が届き、一部上場企業に勤めるサラリーマンと結婚した堀の中にいる妻である私はクラクラしました。

夫はこんなヤンチャ親父なので女朝青龍に刺されそうになり思わず蹴りを入れて相手の肋骨折ったと聞いてたとしても、私は驚きません。表面的にはインテリのジェントルマンですが、本当は怖い男です。
結婚するまで知りませんでした・・・・・(泣)
 
GM明けに届いた手紙に
「最近、夜歩いていたら、キャッチに声をかけられるんです。不思議だよ。40代からこの前までキャッチなんか寄って来なかったのに。これまでは歌舞伎町なんか歩いていても皆がすっと道を開けてくれたのに。佳苗さんと結婚して顔が優しくなったんだ。顔が優しくなったんだ。なんか幸せを感じますね」
 と書いてあったのです。私は強面の彼の顔が好きなのですが。でも、ちょっと嬉しい気もします。

夫は上海へ行くGW直前に、預金、貴金属、株、時計、年金、生命保険etcを記したものを突然送ってきたのです。以前の私なら喜んでいたと思います。
「佳苗さんに半分入るから安心して」とありました。それらが法廷相続人として私の手に入る時、彼はいないということ。そんなものいらないと思いました。彼の代わりになるものなどないのです。
結婚はしてみないと分かりませんよ。人生観が変わりますからね。自分でもびっくりです。私にとって夫より大切なものはないですもの。
日増しに夫婦愛が深まっていくのを感じます。大きな愛で包んでくれる夫がいるからこそ、どんなトラブルに巻き込まれても気丈でいられるのです。

未公開記事のアップはタイミングを見計らっています。今春以降のことは、獄中結婚生活編として書いています。
スー夫妻の件を筆頭に様々な問題をかかえ、スムーズに発信できない状況にありますが、読者からのお手紙にはとても励まされています。

トミー君とのことは面白い話がいっぱいあるのでお楽しみに!

このブログ運営に、配偶者である夫を含む親族は携わっておりません。夫も共同して行っているものであることが
明らかだ!という頓珍漢ないちゃもんをつける輩がいるので明記しておきます。
夫には内緒で書いています。今回の記事を夫が見たら、ちょっと叱られるかもしれません。
その時は削除するので、どなたかミラーサイトを作って下さい。(笑)
夫は王様、夫は神様、夫の言うことは絶対です。
彼がダメと言ったら絶対ダメ。

神様で思い出しましたが、私の結婚をいちばん祝福してくれたのは石神さんでした。
「貴女にとって嬉しいことは僕も嬉しいのです。今後もいつでも貴女を気にかけています。頑張る貴女を応援しています」
という手紙を頂きました。石神さんは、生涯の親友です。

夫からの手紙は100通を超えました。悪意ある誤報を掲載した「女性自身」記者・八木秀和氏に強く抗議しましたが、2ヶ月経っても謝罪はおろか釈明すらありません。この八木氏、私の著書の印税だけちゃっかり受け取っています。私は約束していた社会福祉団体へ寄付できず困っています。こんなやり逃げ許されるの?
週刊誌記者の民度ってこんなもの?

夫からは「そんな男を付き合った君がバカ」と言われています・・・・。

獄中結婚は甘くない!

表紙の色さえ知らない著書のことが気になって仕方ない今日は土曜日。

出版社の担当君が窓口で差し入れてくれた本が交付されるのは週明けなので、本屋に並んでいるか確かめて面会に来るようトミー君に連絡しておいたのだが、仕事の都合がつくか調整中とのこと。 会社勤めの人が平日の昼間にお休みとるのって大変らしいな。

 

トミー君は私と付き合って5kg痩せた。 出版社の担当者は埼玉時代に既に5kg減。 彼らは元から普通よりスリムな体型だったので5kg痩せたら超細身になってしまった。 私が苦労をかけてるせいだろうか。

 

私も心労が絶えないのだが、一向に痩せる気配はなく、むしろ増えてる気さえするものだから、トミー君に

「今度来るとき、長友佑都の体幹トレーニング20と伊藤理佐のなまけものダイエット買ってきて」

とお願いした。 痩せる気があるんだかないのか分かりにくいチョイスに苦笑されたのだが、痩せないと困ることがないんだもの。

 

しかし、去年11月から続くスー夫妻とのトラブルで、私は砂糖中毒になった。 なぜか常に甘い物を欲するようになり、私の心配をしてお見舞いに訪れた人たちがお菓子を差し入れて下さり、それがちょうどコーヒーアディクトの時期と重なり、クリープとシュガーたっぷりの珈琲にスウィーツを日がな飲み食いしボーッとするという恐ろしい時間を過ごしていた。

 

トミー君は、そんな私に同情して付き合ってくれたのかもしれない。 多分こんなにこき使われるとは思ってなかっただろうが。 彼は本物の男なので、決して逃げない。 やり逃げしたのは、手記リレーの発案者であり支援体制の方向性を変えたスーさんである。

 

彼と面会した際に、奥様が私の支援を反対しているのでこれからは表立ったことは控える、と伝えられた日から悲劇は始まった。

それから彼は妻の常軌を逸した言動に苛まれ、おかしくなっていったのだ。 彼は妻から私との関係を不倫だ、浮気だと責め立てられていた。 スーさんと私は不貞を働きようがないのだが、スー夫人にとっては文通も不倫だという。 彼女からは「自分の夫が売春婦などと卑しい関係である」とも言われた。

 

自分の面前で夫に私と別れる旨の手紙を書かせてからも彼女の怒りは収まらず、子供の前だろうがところ構わず怒鳴り、泣き叫び、スーさん曰く

「妻は完全に壊れてしまいました」。

彼女は夫に、私へ送った数と同じだけの手紙を自分に書けと要求し、スーさんは律儀に書いているという。

 

彼女は結婚式が自分の望むものでなかったこと、姑との不仲、流産や帝王切開での出産、その後のセックスレスなどを並べ立て夫を叱責した。 それらは10年以上にわたる結婚生活の不満であって、私とは何の関係もないことなのに。

 

12月になってからも夫婦関係は相変わらず奥様は情緒不安定で、Anger Managementを含めたカウンセリングを夫婦で受けているという手紙が届いた。 そのなかで私は、一日中思い出しては泣いている妻からスーさんが殴られていることを知った。 妻が夫にDV。

 

スーさんはフラッシュバックする妻からヒステリックに浮気を非難されながらも

「愛する木嶋佳苗様

釈放後のデートは楽しみにしています。 佳苗さん、大好きです!!」

と言い続けた。

妻から一日何時間も説教をされ、反省文を書かされ、暴力まで受けているのに。 彼は正常な思考による判断ができなくなっていった。 遂に彼は、私や支援者のあり方まで批判をしはじめ、威迫じみた文面を送ってくるようになった。

 

私は脅かされている気持ちになり、コネチカットからの手紙が届くと部屋の空気が重苦しいものになるのを感じ、気の滅入る日が続いた。 正月早々、年末に妻が子供たちの前で、ナイフを持って狂言自殺をしたという知らせを受け、たまげた。

もうこれ以上、スー夫妻と付き合っちゃダメだ、と思った。

 

無視していたら、スーさんが私の弁護人に連絡して、さあ大変。 修羅場。 どうなることやら・・・。

 

周囲の献身的なサポートにより、いまの私は砂糖中毒から脱し、面会後に届くトミー君の手紙に

「元気そうだったので安心しました。」

という一文を読み私も安心する、という日々。

 

トミー君は「ウーワンワン」と犬のイラスト入りの署名が可愛い手紙を送ってくれる。 西原理恵子風の手書きで、風情がある。 いきなり

「私の前世は犬だったと思う。 御主人(木嶋さん)にはなつくが、他の人にはまったくなつきません。」

と書かれてありびっくり。 私と違い愛想がよくて、誰からも好かれそうな人なのに。 そんなふうに思っていたなんて知らなかった。

 

最近は語尾に「ワン」をつけて遊んでいるのですが、何だか10代の恋愛みたい。 いい年した大人のカップルだが。

 

彼は「礼讃」を読んでどう思うんだろうな。 手紙は3枚以内にまとめろと言う彼が、400頁以上ある小説を読むとは・・・思えん。

この報告は次回。

 

個人的には、トミー君が桜餅にどう反応するのかがいま最大の関心事。

きっと3月3日の雛祭りに東京拘置所では桜餅が出る。 去年のトミー君は

「季節感があっていいですね」

なんて言っていた。

 

しかし、去年のクリスマスケーキには

「俺は甘いものなんて食べないよ」

って。 一昨年は

「女の子はケーキが出たら嬉しいでしょう。 良かったですね」

って言ってたのに! 新密度が増すと、コメントがぞんざいになっていく気がしてならないのだが、本音で付き合ってくれていると思うことにしよう、と自分に言い聞かせている2月の最終日。
 

ところで検事を褒めるのも何だが、西澤さんは検察官としては珍しく、出世欲の薄い人だった。 彼は人間として善い人だと私はいまでも思っている。 事務官の佐藤君も西澤Pのことを本心から尊敬しているようだった。 クレームがきたら仮名にしようと思っているけれど、そういうこともないし。 西澤さんと佐藤君元気かな?と久々に思い出した。

 

「コンビニのお弁当はイヤッ!パンが食べたい!」と護送の警官に言ったら、何と私の食事用に検察事務官の佐藤君が専門店でサンドウィッチを買ってきてくれたことも懐かしい。 あれ、美味しかったな。

 

食べ物のことばかり考えてないで、ここは私もオシャレ女性誌を読むべきか。 トミー君を美魔女に奪われたら困るからな。  

 

40歳になっても、拘置所にいても、女!

 

新聞の全面広告で「2月28日はビスケットの日」という唐突な記念日情報を得て、森永マリーをサクサク食べてる場合じゃない。

 今週面会室に現れた黒いキャップを被った男の手に、本はなかった。 彼は出版社の担当者である。

「えッ!? 面会室に持って来ていいの? 鞄の中に入ってるから後で差し入れておきます」

だって。 何しにわざわざ葛飾の小菅くんだりまで来たんだか。 舌打ちしそうになっちゃった。

 

私が気にしてる事実チェックの不首尾や誤植や校正ミスについては

「ん~ 4~5箇所はあるかもしれないけど、増刷になったら直すんで」

って、オイ。 何なんだ、この適当さは。 恥。

彼との面会は軽く50回超えていると思うのだが、なぜこうも通じ合えないのか。 謎。

 

今週は、みかん君がカントリーマアムを差し入れて帰ったのにもぶっ飛んだが、トミー君がバターとジャム選びにまごついて食パンを買い忘れるという失態を演じ、叱咤モードで「どういうつもりなんだッ!」と苦情の手紙を出した。

「アベノミクスで内部留保が増加した大企業ランキング50」にランクされた会社に勤めている男のすることとは思えぬ不手際に呆然。

「英語は帰国子女にまったく太刀打ちできません。 willとwellの違いが聞き取れません。 木嶋さん、世の中はすごいことになってます。 グローバル人材です。」なんて言っている。 オジサンになってから突然職場で英語力を求められるのは辛いだろうな。

 

今年になってから私はトミー君に「木嶋さん」と呼ばれている。 お正月のことだった。 初詣に行くトミー君から届いた手紙に

「私もお参りするから、木嶋さんも神様の方向に祈ってください。」

と謎のメッセージが書かれてあり、それ以来ずっと「木嶋さん」。 まぁいいけど。 好きとも愛してるとも言ってくれませんが。

私はトミー君に無償の愛を捧げている、と思っている。 面会室がカツアゲの現場みたいになってますが、それはそれ。

「女の子は男に甘えていいんだよ」ってトミー君は言ってくれるし。 素敵!

彼は、私の顔にイボができたと知ると

「よく効く塗り薬送ります」

歯科診察を受けたと伝えたら

「歯医者代はいくらかかったの?」

面会は平日の午後に来てほしいとお願いしたら

「日中は仕事が忙しいので、平日の夜か週末にできませんか」

なんて言う素人。 使えない・・・。

 

今月に入りやっと

「ガンバルね!」と、やる気を見せてくれたのだが、いつもと違うテンションに、お酒に酔って書いた疑いもあり、そこはあえて確かめず、「ガンバル」という言葉を信じることにしていたところの失態。

男性を「礼讃」しているという本を書いた私が言うのも何だが、男の「頑張る!」は当てにならん。

 

拘置所生活を語るにあたり、去年は実験的なことを色々してきた。 今年はその報告的なものを書いてゆく。

人や物や思想を取捨選択していくなかで、自分が何を好きかが分かり、私はやはり「木嶋佳苗」であると気づかされ、ちょっとショック! 

「特打フリックでスマホの文字入力を練習してるオッサン」な彼氏に「フリックって何?」と訊いた塀のなか歴5年半のオバサンな私にもショック!

 

でもね、幸せですよ、私は。 ジル・サンダーのニットを着て、ふっかふかの今治タオルで顔を洗い手を拭いて、コンビーフのサンドウィッチを作り、熱々の珈琲を飲みながら本を読む。 クッキーとチョコレートを食べながら原稿や手紙を書く。 好きな人との面会と手紙から元気をもらう。

 

去年も数百冊の本を読んだが、自分で買ったことは一度もない。 無料貸出の官本は一度も借りなかった。 衣類や寝具を自分で買ったこともない。

 

これは幸せですよ。 女に生まれて良かったと思いますよ。 私の書くものは資本主義を信じない人にはつまらないかもしれませんが、私の言葉をヒントに自分の頭で考えられる人には楽しんでもらえると思います。

 

ポートネックでドロップショルダーのとびきり肌触りが良いふっくら起毛感のあるクリーム色のニットを着る幸せを与えてくれる彼に感謝しながら、拘置所の冬は寒くても、心身が暖かいのは物欲が満たされているから、という現実を堂々と書く。

 

私は木嶋佳苗だから!

 昨年10月に大学の同窓会出席のため来日したスーさんと2度面会して以来、スー夫人の支援反対攻撃は過激さを増しました。

スーさんは妻から

「いつも佳苗さん、佳苗さんと思いながらオナニーしてたんでしょ! そんな汚い手で私を触らないで!」

と言われたそうです。 しかし、次に続く

「これも当たっているので何も反論できません」

の一文に私は釘付け。

「当たっている」 すなわち、私を思いながらオナニーしていた・・・。 恋愛感情があったからこそ支援してきたという衝撃告白を超える驚き。

 

私は、男性ばかりの支援チームメンバーに指さし確認しましたよ。

「ちょっとお尋ねしますけど、このサポートは恋愛感情に基づくものでしょうか?」と訊きました。 いたって真面目に。 そうしたら1人出てきました!

「5年前に佳苗さんが逮捕された時から、私の思いはあなた一筋でしたよ。 今もこれから先も愛し続けます。 他人がどう思おうと気にしない。 木嶋佳苗マジで大好き。」

 

えーッ!

だってこの人、私より若くて綺麗で家事が得意な彼女と同棲しているんですよ。 彼女は一般企業に勤めるOLなのに、なぜ私に惹かれるのか分かりません。 その辺りを改めて訊いてみましたら

「佳苗さんと彼女のどちらを選ぶか。 ハッキリしています。 木嶋佳苗に決まっているでしょう。 変なこと聞かないで下さい。 たとえ肉体関係がなくても、そんなのは問題じゃあありません。 佳苗さんが様々な問題を抱えているからどうだと言うの。 そんなの気にしてはダメ。 俺の恋する佳苗、しっかりしなさい。」と励まされ・・・。

 

しかし、セックスレスのスー夫妻と違い、この人は彼女と頻繁にセックスしてるのです。 そのことを問い詰めると「昨日も彼女を抱きました。 彼女も俺の愛撫に応え燃えてくれました。 でも佳苗さんだからハッキリ言います。 俺は卑怯な男かも知れませんが、彼女を抱くのは、お世話になっているお礼と自分の性欲発散の為です。 彼女も薄々感じていると思いますが、俺は彼女の体を求めながら、頭は佳苗の裸を想像しながら責め立てて果てる。 どうしても佳苗のことが気に掛かり、俺は彼女を泣かせています。」

 

ひぇーッ!

私の知らない所でとんでもない事態になっているじゃありませんか。 彼女は佐渡流謫の刑に処された世阿弥の、花と幽玄がからみあいとけあった濃密な夜の舞みたいに、彼の想いに添うように身も心も預ける出来た女性かと思いきや、違いました。

スー夫人ほどでないにしろ、彼女も嫉妬心から怒っていると聞き、もう女のトラブルは勘弁して頂きたい、と思っていたところ、彼に悪性腫瘍が見つかり緊急入院。

 

おじさまは下血だったが、こっちは吐血。 生死の境をさまよいながら、佳苗に連絡を!と叫ぶ彼に、堪忍袋の緒が切れた彼女は看病放棄。 嗚呼、どうしよう。 私は身を退きますのでどうか彼のお世話をして下さい、お願いします、と彼女に手紙を書きまして、何とか関係修復。

放射線治療を終えて全身麻酔から目覚め、朦朧とする意識でベッドの横に付き添う彼女に向かって「佳苗」と呼んだ彼。 それを責めずに涙を流す彼女。 体の痛みと彼女に対する心苦しさを弱い筆致でしたためた彼の手紙を投函してくれた彼女に謝罪する私。

 

いったい私は拘置所で何をしているんだろう。

お父さんお母さんごめんなさい。 私は泥棒や人殺しはしてませんが、罪深い女のようです。

 

アメリカナイズされたスー夫人からは

「世間一般の普通に仕事を持って生活している私が、木嶋さんのような労働もせず日本国民の血税で生かされているだけの売春婦と、人生で関わりを持つという事そのものが許せない屈辱」という手紙が送られてきました。

私の家族は泣いています。 社会の偏見とバッシングに耐えている家族と支援者には、本当に申し訳なく思っています。

 

一部始終を伝えてきたトミー君に謝ったら

「たいした問題じゃないよ、大丈夫」

と言ってくれたのが嬉しかったです。 トミー君てカッコい~!とムラムラして、バレンタインデーに改めて告白したら

「私を選んでくれてありがとう。 素直にうれしいよ。 愛情を感じます。」

と返事をくれました。 号泣!

トミー君から「オカン」の話を聞いて、息子が木嶋佳苗と付き合っていることを知ったらどう思うのだろうかと考え、切なくなりました。 トミー君のご兄弟が好意的なことは救いですが、いたたまれなく思うこともあります。

 

彼は仕事が好きで、友だちがいっぱいいて、遊びは外で自宅にはほとんでいないという、私とは逆のベクトルで生きています。 読んでる新聞も本も趣味も違いますが、妙に馬が合います。

都心で働くトミー君には誘惑がたくさんあって、きっと女の子と会うことも多いだろうし、そんなことを悶々と考えてる自分が恥ずかしいのですが、トミー君に浮気されたら私は泣いちゃうな。

 

私は最近思うんです。 プラトニックラブこそ、永遠の美しさを保てるのではないかと。 性的関係を持たないからこそ、ロマンティックを永続できるのではないかと。

 

トミー君と私は頑丈なアクリル板に隔てられ、手を握ぐことも、抱き合うこともできません。 トミー君は、5年以上、恋の休暇中だった私が心底惚れた男性です。 私の人生最後の恋です。

 

トミー君以前の恋は「礼讃」に綴りました。 実話です。

 

私は編集や装丁に一切関わっていないので、どんな本に仕上がっているのかとんと分かりません。 気の利かない出版社の担当者が、発売前に面会室で実物を見せてくれるという期待はできないので「まさか郵送で済ませようと思っていませんよね?」と電報を打とうかと考え中。

 

ぐずぐずしてると発売日になりそうですが、3年の付き合いになる担当者のことは、今度ゆっくり書きたいと思っています。 私より年下の男性なのですが、この人がまた色々と仕出かしてくれるので、彼と付き合ってる限りネタは尽きません。

ホントに蹴っ飛ばしてやりたい時ありますからね、この温厚なワタクシが。 しかし、彼のお蔭で著書を完成できたのも、まぎれもない事実であり、深く感謝しています。

 

もっと平穏な環境で執筆したい。 それがいまの切実な願いです。

 

「礼讃」は、KADOKAWAから出版の運びとなりました。 どうぞよろしく!

 

なお、印税の収益は、社会福祉に貢献している団体へ寄付いたします。

・1月1日 謹賀新年

・2日 「一緒に散歩したいね」と年賀状に愛犬からのメッセージとして書いてきたトミー君の優しさに心がぬくもる

・3日 スー夫妻の狂乱に怯える私に石神さんは「いつも貴女の傍にいます」と言った

・4日 正月休み最終日に去年との違いを振り返る

・5日 稲刈り式ヘアカットに呆然とした私は短髪になった

・6日 小寒に想う

・7日 皮膚科診察で医務の職員に肌がキレイと煽てられ医師からはイボと言われ治療を頼むと職員に東拘を訴えないでよと念押しされつつ顔をジュッと焼かれ痛かった話

・8日 トミー君が送ってくれた今治タオル「ゆいわた」で美肌になるスキンケアを続けてみる

・9日 武田久美子さんのようにあんぱんを食べても私の体はかゆくなりません

・10日 林真理子さんのものを食べながら本を読むと読書がもっと楽しくなるというアイデアを実践する

・11日 「人は死なない」か?と首を傾げる

・12日 「フランス人は10着しか服を持たない」に学ぶマダムシックの生活と振る舞いを貫く難しさ

・13日 平成27年版給食アンケート調査に「パン食の給与回数」の設問が!

・14日 身体各部の軸の動きが見える向井万起男さんの視座が好き

・15日 「トルソーウォーキング2015」がすごい!とデューク更家に感心する

・16日 最後のオウム裁判に見る被告人の容姿の変化

・17日 「しつもん!ドラえもん」で知った奈良の靴下

・18日 「Life 五話」に想うネット社会とリアルの価値

・19日 在所証明交付願

・20日 「週刊パーゴルフ」でルーティンを考える

・21日 北海道南幌町の高2女子の少年審判の保護処分に安堵する

・22日 図書検閲にて初めての雑誌切り取り交付が何と「週刊文春」だった件

・23日 不許可領置された郵送差入れ品が居室で使用許可になった顚末

・24日 大相撲の歴史と伝統と文化と誇りを守った力士

・25日 死刑制度に関する内閣府の世論調査結果

・26日 ヤマト運輸の新聞広告を見てメール便で手紙を送ることが違法と知る

・27日 「ライオン洗たく石けん」を差し入れたトミー君の魂胆を見抜く

・28日 歯科診察室で内容を読ませてもらえない承諾書にサインしたことを懸念しつつ歯科医の凄腕に感動する

・29日 「橋本マナミさんとの淫夢」を読みグラビアン魂アワード2014でとてもしたいT4な人だと絶賛されていたぶっちぎりセクシーな彼女を思い出す

・30日 印鑑所持願を提出して居室で判子を使い始めた感動

・31日 初めて僧侶と会った月に「一日が一生」と考える

 

・2月1日 衣食プラス喜楽足りて礼節を知ると「AERA]で糸井重里さんのインタビュー記事を読み改めて思う

・2日 差し入れのスペシャリストを「週刊プレイボーイ」で知りオーボンヴュータンのフランス菓子の甘さを懐かしく思い出す

・3日 でん六豆を食して4年目の節分の日にトミー君から素敵なランジェリーを贈られた感激!

・4日 私に口止めを強要しながら返信を待たず弁護人宛に手紙を送り付けてきたスーさんの非道な行為にテロと言論の自由を仲間たちと考え泣き寝入りすべきじゃないと決意した

・5日 シャバは毎日猛烈に忙しいんだよ!と言いながら私の服を買うためデパートに行ってくれたトミー君に愛を感じていたらレシート入りの手紙が届き男は女の下着の適正価格を知らないらしいとほくそ笑む

・6日 ピラミッド型ティーバッグで淹れた紅茶に入れてみた「氷砂糖クリスタル」の高純度な甘さに溺れながら天声人語で裁判員制度の意義を知る

・7日 小さい物の差し入れは面倒だから自分で買えよ高い物だけ買ってやるからという手紙が届き来週会ったら文句言ってやると心に決めてアホトミー!と呟く

・8日 面白いテレビ批評を書くので気になって取り寄せた今井舞さんの「気になるあそこ見聞録」に「木嶋佳苗ムード」なる記述を発見しその意味が知りたくてたまらない

・9日 読むのが大変だから用件は箇条書きで3枚以内にしろと言われ字間を詰めて漢文のような手紙を送ったら読みにくいんだよ!と私を叱ったくせに自分は13枚も近況を書いてきたトミー君の可愛らしさ

・10日 「40代から気をつけたい病気と不調を総チェックできます」という「クロワッサン」の特集を読み私は実に健康だとひとりごつ

・11日 函館「五島軒」のイギリス風カレー缶詰でオープンサンドウィッチを作ったら冷たいのに予想外の美味で驚いた話

・12日 トミー君に週プレ入れてと頼んだら俺は1度も読んだことないと言われそんな日本男児が私と付き合っていることに驚いた日

・13日 豆大福の原材料名に疑念を抱き製造者に問い合わせたらすぐ回答がきてラベルも訂正され和菓子納入業者の誠実さに感心する

・14日 「考える人」冬号で山極寿一京大総長のインタビューを読み「人にはどうして家族が必要なのか」を真剣に考えるバレンタインデー

・15日 お坊さんが使いそうな直径60cm超のふっかふか座布団をトミー君が差し入れてくれたのでカバーも頂戴と頼んだら仏壇の前に置くのがふさわしい柄を選ばれ私は座るたび神妙な気分になる

・16日 末期癌で入院中の男性支援者が病床で毎日私に手紙を綴り伴侶が投函し彼に代わって差し入れまでしてくれる彼女の思いやりに胸打たれる

17日 トミー君が牛丼屋で朝定食をとりランチは立ち食いステーキ店だということに驚いてたら夜はファミレスでちょい飲みしたと聞き卒倒しそうになりながら庶民の暮らしぶりを彼から教わる

18日 私が暮らすフロアの職員たちは異常なほど美人でスタイルが良くて声も可愛いうえに敬語で話しかけてくれる心優しい女性ばかりで癒されるという事実

19日 砂糖断ちを決めたものの物品購入用マークシートに白砂糖のコードを書いては取消のマーク枠を塗りつぶすことを繰り返し職員から結局砂糖は注文しなくていいんですか?と念押しされ頭がおかしくなったと思われていないか不安になる

20日 こんなややこしい頼み事されるのホントは迷惑なんだよとアホトミーに言われブログに書いてやるッ!とキレたらじゃんじゃん書けと言うその男らしさに惚れ直す

スー夫妻が引き起こしたトラブルは民事訴訟になりそうな気配がする余寒の候。

愛用しているフリースのタグをよく見たらMADE IN JORDANと表示があり、この時節にヨルダンって微妙だなぁと考えながらポッキー食べてます。 カントリーマアム君が、やけにオシャレなグリコの「和ごころ 宇治抹茶クッキークランチポッキー」を選んでくれたので「みかん君」に改称しました。 気分的には昇格です。

なぜか今日もおなじみサンヨー堂みかんの缶詰が差し入れられまして、彼のことはもう異星人だと思うしかありません。 みかん君はルックスだけが取り柄の男だと思いきや、実は結構優しいところもあるんです。 今日は大福まで買ってくれたから褒めておきました。 彼はこれを読んでないでしょうが。

支援者手記リレー後のごたごたからブログ管理人が交代し、私は昨年12月から毎日欠かさず記事を書いているのですが、諸般の事情により、公開はもう少し先になります。 最新情報はこのサイトで発表しますので、たまに覗いて下さい。

 

今日は、いま一番気に入って繰り返し読んでいる本を2冊ご紹介しましょう。 1冊目は「文藝春秋2月臨時増刊号 佐藤優の実戦ゼミ」 職業作家になって10年になる彼の過去の論考や対談などを再編したムック。 佐藤先生が「地アタマ」を鍛えてくれる10講座。 彼の思考法がよく分かる1冊です。

私はこの本の表紙で笑顔の佐藤さんの写真を初めて見ました。 私は彼のことをカメラの前じゃ笑わない人かと思っていたのですが、佐藤さんは笑うんだ!と分かりちょっとびっくり。 仏様のような微笑が素敵でした。

佐藤さんはもう少し肩のラインがスッキリ見える背広を選んだ方が良いと私はいつも思うのです。 体型や姿勢の問題もあるのでしょうが、スーツ姿の佐藤さんを見るたびいつも肩のラインのダブつきが気になっています。 会う人によって、仕立てがイギリスかロシア製かってことまでこだわって使い分ける佐藤さんが、シルエットに無頓着というのは興味深いところです。

 

さてもう1冊は「ダイヤモンド すべての女性が美しく、幸福になるとっておきの言葉」 これはメンタルコーチ・ワタナベ薫さんのメッセージ集。 花の写真の美しさと宝石のような言葉にうっとりします。 この記事のタイトルは、ワタナベさんのお言葉から拝借しました。 これは男性支援者の伴侶から頂いた本でして、女性からの贈り物は嬉しさもひとしおです。

 

「愛のある人生とは、

誰と比べることもなく、

今の自分を好きになり、

与えられた環境に感謝して、

喜びに満ちて生きていくこと。

 

その心さえあれば、

人生、大大大成功!!」

 

私にはこの言葉がいちばんジーンときましたねぇ。 私は、愛のある人生を与えてくれたトミー君に、深く感謝しています。

私の愛情を引き受けてくれたトミー君は、本物の男です。 私はいま、しみじみと幸せを感じております。

 

人を愛するとは何かを、私は40歳になって初めて知りました。

人生、大大大成功!!


531日 裁判員制度5年を迎えて

63日 ムダ毛のこと

65日 彼らが誤解することの悩みについて

66日 煙草と騎乗位

616日 夏季処遇のお知らせ

619日 岩波書店「世界」6月号

622日 トイレの衝立

627日 上告審の弁護団

71日 エアコンとアイスとかき氷

77日 「所内生活の心得」改正

714日 タオルケット

715日 カントリーマアム再び

722日 冷や奴

723日 下ちり終売

724日 2度目のお引っ越し

729日 いわし缶の女

730日 東拘生活1周年

84日 「こころ」のカステラ

85日 プレー後と色泣き

86日 ZEBRAボールペンへの苦情

87日 今治タオルのお値段は?

811日 ペニスをバキュームフェラするようなもの

812日 盂蘭盆に思う

813日 木偏に羽根という漢字

820日 万年筆を使う

821日 オール・イン

829日 約束と想像する気持ち

831日 ごま塩と生理

91日 弁護士ドットコムトピックスの誤り

93日 サニタリーショーツ

94日 アマゾン最強

95日 冷凍食品の丼の素

96日 ジャムの適量とは

98日 中秋の名月

910日 刑務官の英語力

912日 レバニラで!

913日 面会室で歌うこと

915日 敬老の日の快適さ

917日 速達料金のこと

919日 梨の季節

925日 平日の夕食にパンが出た!

928日 秋の味覚

930日 パンの女

101日 茶まん休止と下ちり再開

102日 鶏のから揚げにマヨネーズ

105日 七味唐辛子

106日 競馬への関心度の変化

108日 私物の保管総量及び領置総量の検査を実施することについて

109日 ラブドール

1015日 秋冷の候のレストランカツ

1017日 最後の梨と富士山初冠雪

1018日 納豆デビュー

1021日 みかんとシャンプー

1023日 中国産食材

1024日 味付のり

1028日 夏季処遇最終日

1029日 熱々ラーメンとイースト菌のパン

1031日 年賀ハガキの受付

112日 スーさんの面会記について

117日 ゆべしと豆大福

1111日 毛布のひざ掛けと体感温度

1118日 カイロと手袋と慰め

1119日 オナニーする人させる人

1120日 「出版ニュース」11月上旬号

1121日 New HavenHamdenの憂鬱

1122日 婚外恋愛と支援者妻の異常な嫉妬

1123日 支援者手記リレーのコメントを読んで感じたこと

1124日 毒になるやり逃げ支援者の愛情表現

1125日 歯科診察願

1126日 シルクの手袋

1127日 ~手記リレーを終えて~ 「豆大福と珈琲」のような人

1128日 私からの求愛レター

1130日 恋愛成就!彼からの受諾レター

121日 コーヒーアディクト

122日 日の出の読書

123日 愛するトミー君の来訪

124日 物品制限全面解除1周年と私物総量検査合格記

125日 トミー君のバターと愛の詰まった赤い箱

126日 寝具新調冬バージョン

127日 「虚ろな十字架」と鈴木夫妻

128日 パーフェクトな冬季ファッション

129日 パルスイートの奇妙な甘さとじゃりじゃり砂糖の愉悦

1210日 歯科診察中にまさかの睡眠

1211日 庶民感覚の謎と挑戦

1212日 「小菅新聞」東京拘置所視察委員会ニュース

1213日 防寒オブセッション

1214日 トミー君の年齢詐称疑惑

1215日 庶民生活体験の茨道

1216日 私がトミー君を選んだ理由

1217日 年末年始休庁日の準備ウィーク

1218日 愛を伝える言葉と行為とその効能

1219日 支援者の在り方会議と謙虚な私

1220日 靴下の重ね履き健康法

1222日 肌に皺ができない理由

1223日 腰痛知らずの秘訣

1224日 63万円だって。トミー君のメガネがーッ

1225日 クリスマスの面会デートで大笑い

1226日 トミー君のサンドウィッチとムルムルマヨネーズ

1227日 9連休の寂しさ

1228日 エア疑惑に関する私と支援者の見解

1229日 トミー君の大福とカントリーマアム君の真面目な暴挙

1230日 正月菓子と「殉愛」

1231日 2014年の積み残し案件

立冬の117日に豆大福が届いた。これは運命だと思った。私はすぐに豆大福を食べた。あまりの嬉しさに、夢中でふたつ。コーヒーを飲みながら。5個入りの豆大福を「食べ終えたあとの、いまだかつてなかった満ち足りた幸福感」は今でも鮮明に覚えている。普段コーヒーを飲まない私が、突然閃いて、7日に届くようコーヒーを注文しておいた偶然と豆大福の幸福が重なった。閃きは、10月から朝日新聞の夕刊で連載していた片岡義男さんの「豆大福と珈琲」という短編小説の連載を読んだことで得た。東京拘置所では冬季限定で大福が販売される。差し入れ品は、透明な箱に個包装された5つの大福が詰められている。なんと今年は豆大福を取り扱うという。その初日が7日だった。面会室で彼は「佳苗さんの手は白くて柔らかそうで大福みたい」と言った。そして、豆大福が届いた。自分で注文していた珈琲と共に。

 

私はこの1年間、支援者によって励まされ、知恵と勇気を与えられ、彼らの庇護を受け生きてきた。そして支援者の家族によって、傷つけられ苦しんできた。本当に辛い日々だった。世論という鵺(ぬえ)のような正体不明のものではなく、支援者である既婚男性の妻という、はっきり存在がわかる人間からの攻撃によるダメージは大きかった。その圧力は手記リレーによってピークに達した。私の支援者は全員男性で、9割が既婚で妻子がいる。社会的地位と家族を養う責任感がある人だから、私のような立場の者に情けを掛けて下さるのだと感じていた。特に男女の意識はなかった。しかし妻という立場の人は関係を知ると、夫と私が不倫をしているかのように責め立てた。犯罪者というレッテルを貼られた人間と関わることが穢らわしい、ということならわからないでもない。しかし妻という女性たちは、あくまで「恋愛感情」が原因だというのである。嫉妬に基づくとしか考えにくい言葉を私に投げつけた。彼女たちは、例外なく同じ行動をとった。自分の面前で夫に手紙を書かせ、投函するのを見届けた。その手紙には、私に恋愛感情があると誤解させるような言動を詫び、私より妻の方が大事であることを延べ、家族を裏切り傷つけてしまったことを償うために、私への支援をやめる旨が書かれてある。手紙には、こうした文例集があるのかと勘繰りたくなるほど、木で鼻をくくったような文言が並んでいた。

 

彼らが私に恋愛感情がある!?私への支援が家族を裏切ることになる!?夫人の誤解による理不尽な暴挙に、私は抗議した。この交渉は大変骨が折れる作業だった。一度こじれた関係を修復するのは難しく、従前どおりの融和には戻れなかった。妻という女性の嫌悪や怒りが消えることもないようだった。世間の風当たりの強さを身に染みた私は疎外感でいっぱいになった。不本意ながら送った手紙で、私に喪失感や心の傷を与えたであろうと憂慮した彼らは、崩れ落ちそうな私を励まし続けてくれた。

 

私と彼らの間にある思いは友情なのだから、やましいことはない、と思っていた。しかしある男性から、離婚も辞さない覚悟で愛していた、と告白されたことで事態は混迷した。手紙や面会から、私は彼の思いに気づけなかった。私は本当にわからなかった。妻子ある恵まれたエリートが、死刑判決を受け勾留されている女性被告人に本気で恋愛感情を抱くなんてあり得るだろうか。私は今でも理解に苦しむ。私の支援者たちは「大好きな佳苗さん」「愛する佳苗さん」と手紙に書いてくる。これは拘置所で不自由な暮らしをしている私へのメンタルサポートの一環だと思ってきた。けれど一人だけ、本心が言葉通りのものだった。そんな不純な気持ちは迷惑だ。狂気でしかない。支援者と被告人という信頼関係が崩れた彼とは、今後交流を続けることはできないだろう。彼と別れることは残念で悲しいけれど、私は既婚男性と恋愛する立場にない。

 

116日、ドイツで行われたウェルト文学賞の授賞式に出席した村上春樹さんは、多くの壁が存在する現状を嘆いていた。私は塀によって社会と隔離されている。そして支援者の家族の不寛容や欲や恐れによって、壁をつくられた。逮捕された人間は、通り抜けられない壁によって社会から排除されることを思い知らされた。壁が存在する限り、真に自由で幸福な社会とは言えないと私は思う。

 

倫理は言葉で表現され得ないのだろうか、言語は命題からのみなるのだろうか、命題それ自体も結局は無意味なものではないか。ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインは「論理哲学論考」の最後に「語り得ぬものについては沈黙せねばならぬ」と書いている。既婚者の彼とのことはまさに語り得ないことで、私は問われても沈黙するよりほかない。

 

私は大人の男性が、こんな気軽に好きだの愛してるだの言う生き物だとは知らなかった。かなり以前のテレビで「ニュースステーション」という夜の報道番組に「最後の晩餐」という企画があった。久米宏さんが若い女優に、男というのは何歳になっても、女の人に激しく拒絶されるとか、この人はなんてバカな事を言うんだって思われたら、その人との人間関係はおしまいだという恐怖感がある。傷つきたくないし、恥はかくたくないし、その後の彼女との人間関係がまずくなってしまうのもイヤだし、男って勇気がなくて好きだなんてとても言えない、と話していたことを覚えている。そして、この企画でプロレスラーが最後の晩餐に、豆大福と珈琲を選んだことも思い出した。

 

テディ片岡というペンネームで書かれていた頃から好きだった片岡義男さんは、連載を終えて4日に「素晴らしく美味しい豆大福が素敵な女性を象徴するなら、相手役のよくもののわかった男性は、深煎りの豆を使ったコーヒー、ではなく漢字で書いた珈琲だ」というアイディアで書いた今回の短編の、少なくともその十倍は書くことになる長編を書くことを決めたという。新聞連載小説は豆大福(律子)と珈琲(真彦)だけでずっと続きがありそうな奥行を感じさせる、素晴らしい短編だった。寺門孝之さんの画も素敵だった。

 

私はこの1年間の支援者との交流と手記リレーを振り返り、40歳になったいま、私は珈琲のような人を求めていることに気づいた。私もこれから「豆大福と珈琲」の物語を実生活で紡いでゆきたい、と思っている。

 ぼくは820日記の「万年筆を使う」の原稿を読んで、自分がクロス君と呼ばれていることを知りました。ぼくが使っているボールペンがクロスのものだと佳苗さんは気付いていたということも、その時初めて知りました。佳苗さんは男が身につけているものをチェックする習性があるようです。特に腕時計と靴のメーカーは数秒で当てます。あの人はモンブランの万年筆にブレゲの時計だった、その人はパーカーにウブロ、シェーファーにゼニスという風に覚えているのです。ぼくはセイコーですが。ペリカンさんの靴はジョンロブだとか、弁護士がチャーチのウイングチップを履いていたとか、大阪の彼はエドワードグリーンのチェルシーだったと目ざとく指摘するので驚きます。ぼくはABC-MARTで買ってると話したら、私そのブランドは知らないわと言われました。拘置所で面会した女性の時計のことも翌日、話していましたから、同性に対しても同じ視線を向けているのかもしれませんが、男性の心しか見抜けないと話していたことがあります。いろんな意味で佳苗さんは本当に目が肥えているなあと感心します。

 ぼくは、いわゆる団塊ジュニア、ロスジェネ世代と呼ばれる佳苗さんと同年代です。前置きが長くなりましたが、本来この手記はおじさまが書くことになっていました。草稿もできていました。でも残念ながらおじさまが手記を完成させるのは厳しいとわかり、ぼくが代筆を頼まれました。佳苗さんの支援者第1号のおじさまは、5月に潰瘍から大量下血で入院し、ショック症状から一時は危篤になりました。その後、療養中の8月に横断歩道でトレーラーに撥ねられ3日間意識不明の重態という災難に見舞われ、まだ後遺症と薬の副作用がひどく、この夏は佳苗さんと面会することもできませんでした。病気と交通事故で2度も生死の境をさ迷い奇跡的に蘇生しましたが、長文を書くにはもう少し時間がかかるということで、ぼくが代打に指名されました。

 おじさまと佳苗さんのキャラクターを巧く書く自信がなくてどうしたものかと考えあぐねていたところ、手紙を引用するのがベストだと思い2人から互いに宛てた手紙を拝借しました。100通以上の往復書簡を読みました。2人だけで共有していたエピソードに、何度も涙腺が緩みました。彼の投函した手紙の消印は銀座、日本橋、六本木駅前。彼女は葛飾でした。

 おじさまが初めて佳苗さんに手紙を送ったのは2012年の春です。裁判員裁判後、埼玉の拘置所にいた佳苗さん宛に「激励」と大きな文字で書いた手紙を送りました。以下の「 」は、手紙からの引用(抜粋)です。佳苗さんは手紙でおじさまのことを名字にさん付けして呼んでいますが「○○さん」と表記しました。

 「小生は報道を見て、非常に憤慨しております。憶測だけで命を奪う重大な判決を出していいものでしょうか。はっきり言って佳苗さんの裁判員裁判はデタラメです。是非控訴して闘って下さい。出来るだけ支援したいと思います。本当にこの裁判には怒髪天を衝きます。正しい者が不当な扱いを受けてはいけません。神経を太く持ち、無罪を勝ち取って下さい。差し当たって切手送ります。何か必要なものがあれば、本を差し入れろとか金必要とか書いて、弊社まで発信下され。弁護士からでもいいですよ。男が自殺するのは、まったく珍しいことではありません。かくいう小生も、バブルで6億失い借金の返済が出来なかった時、自殺して保険金で支払うことを本気で考えた経験があります。男とはふっとしたことで死にたくなる弱い生き物です。」

 この手紙に佳苗さんは返信しなかったのですが、おじさまは日記のように近況を書いて送り続けました。どの手紙にも「無罪判決を勝ち取ろう。」「早く娑婆に出て、旨い物を食いに行こう。」「不当な裁判に断固立ち向かい、勝利しよう。」「体を大事に。」といった力強い励ましの言葉が並んでいました。2012年の秋に届いた手紙に書かれてあった「くれぐれも体を大切に。風邪ひくなよ。」の一文が返信の決め手だったと、後日佳苗さんは話してました。会ったこともない女性に「風邪ひくなよ」と言える男性に、ぐっときたそうです。彼女が初めておじさまに返信したのは2013年の秋でした。

 「1年半前からお手紙と差し入れを頂戴していたにもかかわらず御礼が大変遅くなり、まことにご無礼いたしましたことお詫び申しあげます。平素より何かと御厚情をいただき、心より感謝しております。○○様の御高配は大変有難く存じていたのですが、一審の判決から今日まで自叙伝の執筆をしておりまして、ようやく返信を差しあげる余裕ができました。」

 その後2人は意気投合し、頻繁に文通と面会を繰り返すようになりました。親しくなり、支援チームができてブログを始めてからは、手紙の内容に固有名詞が多くて引用しにくいのですが、おじさまは30年来通っている千葉のゴルフ場を一緒に回ろう、銀座の寿司屋に行こうとたびたび誘い、佳苗さんが裁判で無罪を勝ち取り外で会うことを目指していました。おじさまが「すきやばし次郎に連れて行くよ。」と誘えば、佳苗さんは「私は銀座ならすきやばし次郎より鮨青木がいいわ。」と言うように、丁々発止の掛け合いで気心が知れている者同士のやりとりが続いています。フレンチレストランの話題では彼女の好きなワインのことが書かれてありました。おじさまは「じゃあ、佳苗さんの生まれ年のシャトー・ディケムを飲もう。」と誘うと、佳苗さんは「シャトー・ディケムに1974年のヴィンテージはないのです。ディケムの品質に達するワインが作れない年は販売しないだなんて、マルゴーやペトリュスですらしていないでしょう。」と答えています。ぼくは彼女からお酒には興味がないと聞いていたので、おじさまとはワインの銘柄や格付けのことまで話していたのかとびっくりです。

 2013年の12月に、おじさまが毎年おせちを予約しているデパートに佳苗さんの分も注文してあげようとした話は感動しました。

 「おせちを届けたいのですが、拘置所は年末何日まで差し入れ出来るのかな?休みは官公庁と同じかな?小生に出来ることは何でもしますから気軽に言って下さい。そして私の協力は隠さなくて結構です。弁護士やご家族にも伝えて下さい。佳苗さんの支援に何ら恥じることはありません。困っている者に救いの手を差しのべる、これ当たり前です。こういうことは損得考えたら何も出来ません。自分の気持ちでやってるだけです。それに小生、割と気のいい男ですから。女性には優しいし。基本的に人間性が卑しくありません。自分で言うのも変か。ワハハー!!拘置所は寒くないですか?高島屋から布団と毛布送りました。発熱素材の下着も手配しました。拘置所に直送されます。早く届くといいね。暖かい服を探しておきますよ。必要なものがあったら遠慮なく言って下さい。早急に送ります。松葉かにとふぐの旨い季節ですが、拘置所の食事はどうですか。今度面会に行く時に、何か見繕って旬のもの差し入れしますから。待ってて下さい。」

これに対する佳苗さんの返信。
 「お心遣いは大変嬉しいですが、食品は拘置所の指定業者(売店)が扱っているものしか差し入れできません。青いタグがついたズワイ蟹、懐かしいです。下関の料亭で食べた南風泊の天然とらふくのコースも、忘れられぬ味です。ふく刺し、ちり鍋、唐揚げ、ひれ酒、どれも大好き。拘置所の食事でズワイ蟹やふぐは望めませんが、お正月におせちの折詰めは出るんですよ。東京拘置所のお正月は初めてなのでわかりませんが、埼玉では2段の立派なおせち料理が出されました。いつも何かとご配慮いただき、感謝いたしております。ブレスサーモは20代の頃から冬に野外イベントがあると着ていました。拘置所で着ると、抱きしめられているような温もりを感じます。この格別な暖かさは、○○さんの思いやりが加味されているのだと思います。毛布は、フタコブラクダの毛を織ったキャメル生地とウールとスーピマ綿の3枚持っていますが、そろそろ洗濯したいと思っていました。東拘は服1枚さえ無料で洗ってくれないのです。有料クリーニングに出すと2週間戻ってこないので春まで我慢しようと思っていたところでしたから、毛布は嬉しいです。」

おじさまの返信
 「拘置所でおせちが出るの?驚き!!洗濯が有料なの?びっくり!!そりゃ金かかるねえ。週に1回くらい、洗濯物回収に行ってあげましょうか。コインランドリーで一気に洗って乾燥機に入れりゃいいだけだろ。クリーニングも外の方が拘置所の業者より早くて綺麗に仕上げてくれるから、必要なら言ってくれ。ブログの原稿読みました。君は天才だね。小生の心の友です。早く娑婆に出てくれ。もっと早く出会いたかった。我々はいい仲間、多分生涯の友となりますよ。佳苗さんのことはのんびりずっと大事にしますから。緊張感を持って、油断したらバシッとやられて。いいねぇ~今日も酒が旨い。そうそう、執筆用に原稿用紙とペンを送りましょうか。伊東屋か丸善で選びますよ。いいモノは筆の滑りがまったく違いますから。次回の手紙で申し付けて下さい。クリスマスが近いので、あったかそうなウールのカーディガン送りました。部屋で着て下さい。ささやかなものですが、気持ちのプレゼントです。寒さに負けず、裁判に立ち向かいましょう。佳苗さんの裁判は、どう考えてもおかしいよ。強い憤りを感じます。小生、出来る限りの支援をします。絶対負けてはなりません。体調はどう?よく食べてしっかり寝て、体を大事にして下さい。年末年始はゴルフです。年明けに面会行きますから。」

佳苗さんの返信
 「ブログの件は業者に依頼して下さったとのこと。恐縮しております。ご友人の方たちにも、平素ひそかたならぬお世話をいただいておりますことに厚く御礼申しあげます。ブログ運営においては、お手数ばかりわずらわせ、まことに心苦しく存じております。衣類のことですが、男性に洗濯をさせるなんて・・・クリーニング店に出していただけると助かります。宅下げをしておきますので面会後に受け取って下さい。冬物はシルクやカシミヤ素材が多いので、間違ってもコインランドリーの洗濯機に入れないようお願いします。原稿用紙とペンの差し入れは、残念ながら許可されません。○○さんの心やりを嬉しく感じています。こまやかな芳情、いつもありがとう。お正月からゴルフとはいいですね。千葉は65歳になるとゴルフ場利用税が半額になります。70歳超えるとタダです。元気で長生きして下さい。カーディガン本当にあったかい!愛情が芽生えそうです。私は御蔭様でつつがなく過ごしております。どうぞご安心下さい。今年の師走はとても幸せでした。もっと早く○○さんに連絡したら良かったなぁと思います。今年も残り少なになりました。ご面倒ばかりお掛けいたしておりますが、来年もどうぞよろしくお願いします。」

 手紙は双方、15枚~7枚で、近況報告が主な話題です。20141月からブログの更新を始めると、原稿のやりとりが増えて業務連絡と近況が半々といった感じになりました。2014年の年明けには、おじさまが小菅駅から東京拘置所までの風景を写真に撮り、手作りマップを佳苗さんに送っています。なんと彼は外観だけでなく拘置所の面会待合所までカメラで撮影し、テレビや受付ナンバーが表示されるボードや売店、差し入れ受付窓口などが映った写真を貼り付けた施設内部のマップも作りました。これは検閲に2週間かかり写真部分だけ黒塗りされて佳苗さんに交付されました。おじさまは根性と思いやりがある誠実な男です。彼がマップと一緒に送った手紙によく表れています。

 「拘置所周辺の地図を作ってみました。ブログの参考になるかと思って。小生、品性はいいです。面倒見がいいし。しかし、よく私を選んで手紙くれましたね。男、失礼、人間を選ぶ嗅覚はすごいものがあります。私はなんの見返りも求めず、気軽に尽くします。性格です。数ある手紙から、よく見抜いたものです。ホント、スゴイ。パチパチ(拍手)」
 2審中の報道や世論に落ち込んでいた佳苗さんに対するメッセージもありました。
 「情況が悪くても死ぬなよ。死のうと思ってるんじゃないかね。佳苗さんの為に汗をかいている人がいますので、まだまだ生きて下さい。私なんか何回死のうと思ったか。あと1mmの所で踏みとどまっただけです。こんなデタラメな裁判で佳苗さんが死刑になるなんておかしいよ。世間のバッシングが不思議でなりません。佳苗さんは無実です。自信を持って生きて下さい。あなたは素晴らしい女性です。そんな所に閉じこめておくのはもったいない。ホントの佳苗さんを世間は知らないんだ。佳苗さんがホントはいい子だって知らないんだ。何とか助けてあげたい。早く娑婆で会いたい。救いたい一心です。夢想と言われても私だけになっても、それが願いです。小生の本心です。裁判所に裏切られても、裁判所に期待するしかないことがもどかしい。辛抱強く頑張ろう。拘置所で佳苗さんに忍耐させるなんてしのびない。やるせない。歯痒い。何もしてあげられなくてスマン。結果でどうであれ、絶対死ぬなよ。佳苗さんが元気で生きてることが私の誇りだから。佳苗さんを死なせたら、私は男として失格だ。判決出たらすぐ面会行きます。」

 312日に控訴審の判決が出てから、不正アクセスでログインした第三者にブログが乗っ取られ、更新できない事態に陥りました。佳苗さんはぼくらのチームとは別に、石神さんとスーさんとの交流を始めていました。お2人のことは手記の通りです。8月に佳苗さんがおじさまに手記の執筆依頼をした際の返信にはこうありました。

 「実は2月に下血があって、ちょっと調子がおかしいなあ~と思っていましたら5月にひっくり返ってしまいました。小生は3月からパソコンに触ってません。株も一旦休止です。ブログのことはよくわからんけど大変だったらしいね。解決して良かった。リハビリ中で、今は体を元に戻すのに精一杯です。トレーラーに撥ねられたおかげで、右手が痛くって靭帯がじんじんします。昨日整形外科で注射を打ってもらったら、手ではなく肘に打つのです。驚き!文章を書けということですね。承知しました。ただ少し待って下さい。もうちっと体力が戻るまで。リハビリでゴルフクラブ振りましたが、7番アイアンが鉄の棒かと思いました。あと2か月程ゆっくりしたら動けると思います。また面会に行きますから。」

 2ヶ月経過しても容態が思うように快方に向かわなかったので、ぼくが代筆を仰せ付かりました。往復書簡を読んで思ったのは、ぼくの知らないエピソードがたくさんあったことです。これはスーさんやペリカンさんの手記を読んだ時も感じたことでしたが、佳苗さんは同世代のぼくには話さないことも、年上の彼らには伝えてました。そういう意味でぼくはよき相談相手にはなれていなかったのかもしれないと、力不足を感じました。

 彼女のサポーターは、持ち味も守備範囲も異なる個性の強い男達なので、それを取り仕切る佳苗さんはすごい女性だなあと思います。とにかくすごいとしか言えないです。彼女はいつも超然としています。でも、本当は重圧と葛藤で押しつぶされそうな心理状態に置かれている時間もたくさんあるはずなんです。特にこの春から秋にかけては、可哀相でなんて声をかけたらいいのかわからないくらい、苦難が重なっていました。
 味方の動きだけ見ても、おじさまが倒れて、ブログが乗っ取られたことで疑心暗鬼になって、彼女の意向に沿わない「木嶋佳苗チャンネル」が開設されて、杜撰な運営が行われて、個別に付き合ってる石神さんとスーさんはぼくらとは意見が異なるとわかって、サポーターの中にブログ継続に反対する人がいて、ぼくらが面識のない石神さんとスーさんをブログ管理人にしたことに納得しない人がいて、執筆や取材や民事訴訟など目立つことはしない方がいいと言う人がいて、裁判員裁判や死刑制度の存廃問題に主義の異なる人がいて、3審の判決も同じに決まってると言う人がいて、最高裁逆転勝訴を目標にする人がいて、と数え上げたらきりがないくらい対立があるのです。佳苗さんは多方面から何かにつけ、こうすべき、それは間違っていると攻撃を受けてるような状態でした。

 今でも解決していない問題はたくさんありますから、佳苗さんは迷ったり悩んだりしています。ストレスでおかしくなっても不思議じゃない中で、彼女はよく頑張ってるなあと感心します。彼女の立場でノンフィクションの執筆をするのは強い精神力がないとできないと思うので、その自己管理能力をぼくは尊敬しています。スーさんの登場で、佳苗さんは今まで以上に強く優しい女性になったとぼくらは強く感じています。成長したというのはおこがましいですが、スーさんと付き合うようになってからの佳苗さんは、人間として確実にスケールアップしているのです。彼女はぼくなんかじゃ最初から太刀打ちできないレベルのカリスマ性を持った聡明な人でしたが、スーさんと繋がってからの佳苗さんは、手の届かないグレードに上がった感があります。

 スーさんは、とても勇敢で心の広い男性です。この手記リレーに企画段階では「木嶋佳苗さんの支援者の皆様へ」という長文の手紙を送ってくれました。佳苗さんのサポートに対する情熱に、ぼくらは圧倒されました。こういう男性がアメリカに流出するのは日本の社会的損失だと思いました。郵送回覧されるプリントには、いつもスーさんからぼくらへの感謝やお礼のメッセージがあり、男としてほれぼれする気骨と思いやりはおじさまと重なります。

 いつだったか佳苗さんが「スーさんからのお手紙読んで泣いちゃった」と言っていたことがあります。ぼくらの送った手紙で感涙したのはおじさまのだけと言う佳苗さんを、会ったこともないのに落涙させるとは只者じゃありません。「スーさんは、かけがえのない運命の人」とも聞きました。極刑という判決の重たさと世論の厳しさに、日本で萎縮しがちなぼくらは、スーさんの行動力に発破をかけられました。

 最後に、佳苗さんの事件報道は嘘八百だったと声を大にして言って終わります。木嶋佳苗さんは、悪女でも毒婦でもドライでもない、心の温かい情が厚い女性です。
 以上、稚拙な文章で恐縮に思いますが、スーさんの尽力と、おじさまと佳苗さんの絆をご判読下さると幸いです。いまだ試行錯誤しながらの支援ですが、1人でも多く佳苗さんのサポーターが増えることを願っています。

 ぼくらの手記リレーを読んで下さりありがとうございました。


 前半は私と石神さんとの問答で、後半は支援者との問答になっております。質問者は、最年長サポーター三木さんです。どちらも原稿は手紙で受け取りました。支援者は皆、独自の哲学で活動しており、チームとして円滑に運営するためにそれを同じ方向にする難しさ、メンバー間の利害調整まで考えなくてはいけない苦悩や彼らの葛藤が伝わると思い、後半部分の追加を決めました。前半は89月、後半は10月に石神さんが回答したものです。

Q1:石神さんは最初に下さったお手紙で、「何か役立つことが有りましたら、どうぞお申し付け下さい。」と書かれました。当初ご自身では、どのようなサポートができると思っていましたか?
A1:自分にできる範囲の可能なことはすべて。一番は財政面と心。

Q2:あなたは私の裁判を一審から傍聴され、「貴女が真犯人とは、とても思えないのです。」とも書いていました。なぜそう思われたのですか?
A2:
警察・検察は、犯人と決めたら何が何でも犯人にする為に努力しますが、貴女の件はデッチ上げだと思った。

Q3:初回の手紙には、「本当に、身代わりが可能ならば、男性の私が代わってあげたい思いです。」ともありました。私はこの言葉に男らしさを感じましたが、私が女性であることは意識していますか?
A3:
男女の異なりは関係ない。理不尽な判決だったので、四面楚歌の貴女を守らなければ、と思った。人間に限らず、生まれたら死ぬのであり、原因の如何に関わらず生まれたら死ぬ、と知っていますから。知らないであろう貴女より、苦悩は全くないから大丈夫。

Q4:あなたは日本の刑事司法についてよくご存知ですが、いつから学ばれたのですか?
A4:
物心ついた頃。刑事司法のいい加減さで人間の命が消されてゆく時、それに携わった人の行く末を知ってから。

Q5:今まで被疑者や被告人の支援経験はありますか?
A5:
ない。

Q6:あなたはフリーランスでクリエイティブなお仕事をされていますが、趣味は何ですか?
A6:
自然に関わること。釣り、登山、海、花、鳥。それにお酒。

Q7:あなたは米国での勤務経験がありますが、今後は日本で働くのでしょうか?
A7:
外国との区別はありません。その時の自分の環境を懸命に生きるだけ。

Q8:あなたは私と交流を持つようになってから1ヶ月で、「片手間で関われるとは思ってません。全力でサポートする為に仕事を調整していきます。」と決断されました。なぜそこまでのことが出来たのでしょうか?
A8:
その時の自分の心に従って動いた。貴女に面会して、貴女の存在を僕の魂が認識したのです。第6感が、貴女という存在の善悪を見抜いたのです。誰でもいいわけではありません。貴女との出会いは必然です。

Q9:あなたはいつも私のことを、「尊貴な女性」と言います。どのようなことから尊貴と感じるのでしょうか?
A9:
人生は物語であり、登場人物にはそれぞれの役目があります。過酷な役目を与えている人は、その役をこなすレベルの崇高な魂の持ち主。この世での大変な役目を引き受けて生まれてきた女性、それが貴女です。

Q10:法廷の傍聴席で見た私と、拘置所の面会室で話した私の印象は違いましたか?
A10:
いつも、常にあなたは尊貴であり、場面によって貴女の存在価値は変わらない。法廷で見た貴女の凜とした姿に、悪人の役を演じる女神ではないか、と思ったのです。言葉や着る物では飾ることができないものを、僕の心が判断した。

Q11:あなたは初めて面会する前に、「1ヶ月の半分は貴女の手助けができるように仕事を調整中です。」と手紙を下さいました。相当の覚悟がなければ出来ないことだと思うのですが、なぜ私を信用したのでしょうか?
A11:
インスピレーション。直感です。理屈を超えたもの。

Q12:知り合ってからの期間は関係ないのでしょうか?
A12:
ない。たとえ長い付き合いであっても裏切る人はいるし、短い付き合いでも、最初に自分に信じられるとの思いを与えた人を信じます。それが裏目に出たとしても、相手が悪いのではなく、選んだ僕の責任。

Q13:あなたはよく、私が何の為にこの世に生まれてきたかを話してくれます。あなたの役目は何でしょうか?
A13:
多分、今生では貴女の脇役。

Q14:あなたは「男として」という言葉を使うことが多いですが、あなたの考える男らしさとは何でしょうか?
A14:
男として、と言っているのは男らしさを表わすジェンダーの意味ではなく、単に生物学的な性別から考えて、男の方が女性より苦痛や暴力に耐えられる、という男の本能、性質からです。

Q15:あなたは後輩や女性に奢ることはありますか?
A15:
人生の先輩として、女性を守る立場にある男として、一度でも相手にお金を支払わせたら、さっさとあの世に還ります。

Q16:何をしている時がいちばん幸せですか?
A16:
幸せな心にある時は、何をやっても幸せです。

Q17:自死についてどう思いますか?
A17:
人の死なんて、どのような原因で死を迎えても、自殺でなければ自然なのです。人間に限らず、生物は生まれたら死にます。事故や病気で亡くなるのではなく、生まれたから死ぬのです。宿命なのです。この世での表現で死というと全ての終わりに考える者もいますが、それは違う。桜が散って翌年同じ桜が咲きます。散った桜が咲いたのではなく、バトンタッチです。そうして永遠に繰り返されてきたのは、死が終わりではないからです。自殺だけは行く先が異なります。そのことで少し説明します。死と考えられているものの実体は何であるかといえば、この3次元の世界で我々が着用している肉体という衣を脱ぎ捨てて、別の次元に入ってゆくことです。肉体を離れたあなた自身の本質的存在には何の変化はなく、別の次元に於いて、あなたは存在し続け、考え続け、感じ続けます。だから死を恐れることは何もないのです。医者も早くそれに気が付いて、ターミナル段階にある者に、それを教えてやるべきだと思います。しかし、医学者の多くはなかなか認めようとしません。たとえば、臨死体験も無視するか精神異常と片付けるかするでしょう。それしか説明のしようがないからです。人間とは霊魂と肉体で構成されており、霊魂は物質を超越した霊体であり、生命の源です。物が無くなるというのは、その物が分解したり、化合したりして他の物に変化することです。霊魂は物質のように分解や化合の要素を持たない単純な実体であることから、変化はあり得ない。つまり、無くなることがないのです。したがって、人間は死によって霊魂と肉体が離れても霊魂は無くならず、永遠に存在し続けます。自然科学は物質的世界に於いて、物理学や化学によって解明される学問であり、昔からみれば驚くべき進歩を遂げているけれど、多くの人が考えているように全部を知り尽くしているわけではありません。宇宙ロケットが飛ぶ時代であっても、それは一部の進歩であって、解明できない事の方が遥かに多く、本質的には何もわかっていないのです。繰り返し述べますが、死は霊魂が幽体と共に肉体から抜け出して、霊界に所属する際の現象です。心や記憶は肉体の死後も生前と少しも変わらず、幽体は窮屈で鈍重な肉体から離れ、かえってよく働くことができるのです。したがって、心の苦しみから逃れるために自殺することは全く無意味で、後悔を増すばかりなのです。以上、この回答は珍しくシラフで頑張って書きました。いつも手紙は仕事の合い間に酔って書くことが多く、文章の推敲にまで頭が働かないのです。ごめんなさい。

Q18:あなたは私がブログや取材で、最期の日まで美しい魂でありたいと思っている、と言っていることに対し、「違う!と叫びそうになった。」と手紙を下さいました。どういう意味でしょうか?
A18:
貴女派は始めから、師として使命を持って生まれてきた崇高な魂の持ち主。高次元からこの世に生まれてきたのです。貴女が自分を卑下する言葉を否定したかった。

Q19:あなたは特定の宗教を信仰していますか?
A19:
ない。

Q20:私は逮捕されてからの5年間で、親しい男性が4人も、病気で数ヶ月間休職するという悲しい事態に見舞われました。あなたは健康ですか?
A20:
9月に3日間、精密検査を受けましたが、いたって健康です。

Q21:入院したことはありますか?
A21:
6回ある。そのうち1回はロサンゼルスで1年。

Q22:7月に女性週刊誌で、私があなたに片思いしていると報じられました。そのことをどう思いますか?
A22:
記事にしなければ生活が成り立たない人が書いたことに、何も思いません。

Q23:あなたは私より年上の独身者ですが、今後も1人暮らしを続ける予定ですか?
A23:
はい。

Q24:あなたは異性愛者でしょうか?
A24:
実はよく勘違いされますが、「冗談じゃないよっ!」と言います。

Q25:あなたは女性にモテますよね。
A25:
人として好かれる事はありますが、異性としてモテたなら、いま独りでいません。

Q26:あなたは最近、スナックで撮った(ママの肩を抱いている!)写真を送ってきて私をイラッとさせましたが、あれはどういうつもりでしょうか?
A26:
えっ?イラッとしたのですか?何で?ママの誕生日に、ママの妹の要請で撮った写真です。2人並んで撮ってくれると言うので行儀よく並んだら、酔ったお客が、「小学生の入学式じゃあるまいし、肩に手ぐらい回しなさい」と言うので、あのスタイルになったのです。イラッとしたのはかわいい。一緒に送ったボタン椿の写真は、自宅の寝室から撮ったもの。この椿が気に入って決めた住まいです。椿の花にヒヨ鳥が毎日来ていたので、ベッドから眺めてました。手を伸ばせば届くところに椿が植えてあり、毎日、咲いた時を想像しながらお酒を飲んでいたら、びっくりするほど見事な花を咲かせたので記念に撮った一枚です。

Q27:今後もあなたとのエピソードをブログで公表しても構いませんか?
A27:
いいよ。

Q28:死刑制度について存置派ですか?
A28:
廃止派に決まってるでしょっ!

Q29:被告人の支援をする上で大切なことは何だと思いますか?
A29:
被告人も一般人も同じ人間ですから、僕は自分を相手の立場に置き換えて考え行動します。

Q30:私へのメッセージを。
A30:
貴女の欠点は、決断が早く、外面は柔らかで内面は剛。

Q31:読者へのメッセージを。
A31:
ない。これは貴女に答えているのであって、読者の意見には頓着しない。

Q32:様々な事情から、周囲には内緒で支援活動をして下さっている人もいます。そのような人をずるいと思っているのですか?
A32:
当たり前でしょ。隠すということは、貴女を厄介者扱いにしているから。他人に知られたくないなら、やるなっ!僕は全てオープンでOK

Q33:上告審(三審)の結果は変わると思いますか?
A33:
最高裁でも判決は覆らない。でも、裁判は頑張りなさい。しっかりした趣意書を作るように。生きることは誰でも命がけなのです。

Q34:死刑廃止論者の中には、死刑に代わる刑罰として終身刑の導入を提案している人もいます。終身刑についてどう思いますか?
A34:
終身刑は飼い殺しでしかない。希望が見えず救いのない刑罰なんて、あってはいけない。刑務所は矯正施設としての役目が、正しい在り方。

Q35:私が未決時代に外に向けてすべきことは何だと思いますか?
A35:
その立場になって知ったこと、心が悟ったことを世間に叫べばいい。自分の不自由の愚痴とか処遇の不満を言っても、野次馬が喜ぶだけです。1万人のブログ閲覧者を喜ばせるより、たった一人でも生きる希望を与えられたなら、貴女の人生は成功であり、そのモニタリングを貴女は常にされています。貴女はこの世のことしか見えないから知らないでしょうが、あの世からこちらの世界は丸見えです。本当のサポーターは、貴女の地上での生活をずっと見守ってくれています。

Q36:石神さんは他の支援者とかなり思想が異なりますが、私をサポートする気持ちに変わりはありませんか?
A36:
当然でしょ。

三木さんと石神さんとの問答

Q1:支援チームのリーダーであったおじさまが病気療養中のため、石神氏より年長である私が質問させていただきます。佳苗さんから「石神さんが自分のすべてを話して、僕の立場としてどう関わるべきかアドバイスを聴きたい」と私を指名されたと伺いました。あなたは、支援チームとの交流を拒み一匹狼として行動してきましたが、どのような心境の変化があったのでしょうか?
A1:三木さんなら、僕の非科学的な話を笑わず聞いて貰えるのではないかと思ったからです。

Q2: 石神氏の単独行動により、佳苗さんは大変な不利益をこうむりました。そのことをご存知ですか?
A2:知ってます。僕の仕事と私生活に、のっぴきならない事情があり迷惑をかけてしまいました。

Q3:僕らは、石神氏が夏から全力でサポートできる態勢が整ったと聞き、支援体制を見直しました。佳苗さんが発信する手紙や面会のスケジュールも石神氏を優先するよう譲りました。ところがあなたは当初の約束を守りませんでした。それについて「要求を突き付けられただけ」「支援を義務と考える方がおかしい」「僕は部下や従業員ではない」と批難されました。そのお考えは、今も変わっていませんか?
A3:僕の身に起きたトラブルにより態勢が崩れてしまい協力出来ませんでした。批難した考えは変えません。

Q4:僕らは、支援は情熱と覚悟が必要だと思っています。約束を守れない不実な男は支援する資格がないとも考えています。これについて石神氏の見解を教えて下さい。
A4:情熱と覚悟は有りました。資格が無いと言われたらその通りです。

Q5:佳苗さんはあなたの不誠実な言動を、秋になるまで僕らに伝えませんでした。あなたのことを僕らから批判されるのが目に見えているからです。アメリカのスー氏、日本の支援チーム、石神氏との板挟みで佳苗さんは大変辛い思いをされてきました。あなたを庇う彼女の優しさと、彼女が抱える憂いを、どう感じていらっしゃるのでしょうか?
A5:学者や社長の心の豊かさに比べて僕は非人情だと責められている気がしたので、そちらに頼めばいいと思いました。

Q6:あなたの仕事や人間関係、経済、体調など様々な面から考えて、僕らは石神氏に非があると思っています。あなたの言動は男として恥ずべき行為で、人としても問題があります。佳苗さんに対する手紙で、ご自身には非がないから謝る気持ちはない、と書かれました。今の胸中も同じでしょうか?
A6:僕の出来る範囲で微力ながら支援してきました。

Q7:支援チームとの関わりを拒否し「佳苗さんの支援は一人で造作ない」と言い切った石神氏は、結局のところ一人で担うことはできませんでした。それはとても無責任な言動で、命懸けの裁判を闘っている佳苗さんとサポーターに迷惑を掛けたのですから謝罪すべきだと思います。この件について、どうお考えでしょうか?
A7:命がけで戦う彼女に、ろくなサポートが出来なかったことは恥じています。彼女には申し訳ないと思ってます。感謝もしてます。

Q8:僕らが石神氏の言動で一番驚き、失望したエピソードは、佳苗さんが要望した差し入れをあなたの判断で勝手にやめたことです。あなたの考えは、早いうちから死刑確定後の環境に慣れておいた方が佳苗さんのためになる、というものでした。その発想自体、僕らには全く理解ができないものです。あなたは死刑確定者の処遇を知っているのでしょうか?現在も、当時の判断は誤っていないとお考えでしょうか?
A8:考え方の違いです。何もかも無くした環境に身を置けば、魂のレベルが強力な何かを引き寄せると確信してるからあの言い方になってしまいました。悪意などある筈がない。

Q9:獄中からの要望に対し、外にいる僕らは素早く行動して願いを叶えてあげることがサポーターの役目だと思っています。石神氏の当初の心意気は立派なものでしたが、すぐに実践しなくてはいけない場面で物事を引き延ばし、他者に迷惑をかけても意に介さない態度は改めるべきではないでしょうか?
A9:能力の無い自分が関わるべきではなかったと思っています。

Q10:被告人への支援は損しかない、という石神氏の考えに僕らは同意できません。佳苗さんとの交際で得たこと、彼女から学んだことは沢山あるはずです。彼女に対し「損しかない」と言うのは失礼だと思いませんか?
A10:その様な意味で損しかないと言ったのではありません。見返りなど考えたこともないとの意味です。

Q11:佳苗さんは石神氏のことを、屈折した心理を持っているけれど本来は男らしさのある人だと言い、僕らから見ると卑劣で無慈悲と感じるあなたの言動を自分の胸にしまっていました。8月にあなたから「死ぬな」という電報が届いたと聞き、心配した僕に事情を打ち明けてくれました。死刑判決を受けた彼女を支援者が追い詰めるなど言語道断です。あなたのことを敵の刺客だ、縁を切るべきだと言う者もいました。佳苗さんは心丈夫な人ですが、女性という弱い存在、辛い立場にあることを理解し支えるのが僕らの役目ではないでしょうか?男としてあなたのご意見を聞かせてください。
A11:「死ぬな!」と電報を打ったのは、生きることを放棄させたくなかったからです。僕は何もしてあげられなくても、彼女の命が尊貴なことは知っています。必ず道は開けることも知ってるから、「死ぬな」という言葉は僕の魂の叫び。心の中でいつも彼女の魂に向けて、守護霊よ早く動けと叫んでます。

Q12:塀の中にいる佳苗さんに対し、安全な場所から支援者として攻撃することは卑怯だと思いませんか?
A12:攻撃してる気など毛頭ありません。

Q13:石神氏は佳苗さんへのメッセージで欠点しか挙げませんでした。あなたから見た佳苗さんの長所を教えてください。
A13:僕の文章表現の拙さが原因です。長所は、その存在。魂の尊貴さは並のレベルではない。僕は彼女の額に星を見た。

Q14:あなたは匿名の支援者をずるいと批難しますが、秘密にしておいた方が良策の場合もあります。他者の様々な事情を汲み取ることはできませんか?
A14:匿名だから狡いと言ったのではなく、サポーターの心の内が見えたからです。

Q15:石神氏はご自分の殻に閉じこもる孤独な人のように感じます。僕らが佳苗さんに献身的なサポートをしても、あなたの否定的で消極的な思考によって彼女は混乱し、心を煩う事態になっています。人としての愛情を素直に注ぐことは、あなたにとって難しいのでしょうか?
A15:僕の表現は劣悪なのだと知りました。心を許した者には、あれこれ飾らず言ってしまうが悪意はありません。

Q16:佳苗さんを支援することには覚悟と技量が必要です。被告人としての彼女に対し、どういう感情を抱いているのでしょうか?
A16:犯罪者という目で彼女を見たことはないです。犯罪者という立場を担って、司法の矛盾を世の人に示す為にこの世に降臨した尊貴な女神の化身ではないかと思い接触しました。今は確信してます。

Q17:稀代の悪女という誤ったレッテルを張られた無辜の佳苗さんを救うために、石神氏のお力を貸していただけますか?
A17:稀代の悪女という文字を目にした時、非常に気の毒な人と思いました。彼女を気の毒に思ったのではなく、その字句を書いた人の心のレベルの低さを感じたからです。その時僕は思いました。彼女の額に星が見えない程度の者より、僕はましだと。でも、僕には貸してと言われる程の力はありません。

Q18:石神氏が支援を申し出た際の手紙は、一蓮托生の思いがにじみ出る暖かい文章でした。そのような人が彼女のサポーターになってくれることを僕らは願っていました。今後あなたは佳苗さんとどのように携わるおつもりでしょうか?
A18:一蓮托生の思いは変わらない。しかし僕の現在の環境は、当初と一変してしまったのです。先のことはまだわかりません。

Q19:あなたは佳苗さんに、これからどのような女性に成長してほしいと思っていますか?
A19:高い次元から降りて来て、低い次元の魂を上へと引き上げる為の役目を与えられているのですから、僕の言った尊貴な魂を忘れないで生きてほしい。

Q20:あなたが佳苗さんと面会し、感じたことを教えて下さい。
A20:思った通り、崇高なオーラに圧倒されました。他の人には多分見えないだろうけど、僕には後光が見えた。信じられなくてもいい。僕には、はっきり見えたのです。

Q21:手紙のやりとりを通じて感じたことを教えて下さい。
A21:人々を啓蒙する文筆力の有る女性。余りにも僕とは差があり過ぎて、何故出会うことになったのか今でも不思議でならない。短い時間の面会中、ずっとホッとするような気持ちを感じていました。

 私が佳苗さんと出会ったのは、昨年の秋です。ハンドルネームは、この手記を書くにあたり、佳苗さんが急遽つけてくれました。拘置所の面会室で佳苗さんから「その素敵なペン先の万年筆はどちらの?」と聞かれたので、私は「Pelikanだよ。」と答えました。ちょうど8月から万年筆を使い始めた佳苗さんは「私はPentelよ。せめてPelikanのスーべレーンを使いたいわよ。」と言っておりました。そして「あっ私、浅草のペリカンのパンが好きだったから、ダブルミーニングでニックネームをペリカンさんにしましょう。」と言われまして、これが、パン好きの佳苗さんにパンを差し入れる係である私の、命名の由来です。

 昨年、親友の自宅に呼ばれた際、唐突に「木嶋佳苗ってどう思う?」と聞かれました。「首都圏連続不審死事件の婚活詐欺師と呼ばれてる彼女?」と聞き返すと、そうだと返事がありました。私はアメリカのスーさんと違い、2009年から日本での報道を見聞きしていましたので、先入観はあります。しかし、その先入観は、決して悪いものではなかったのです。その理由は、20121月から4月まで行われた彼女の裁判員裁判を、私の息子がよく傍聴しており、その様子を聞いていたからです。

 当時息子は法学部の学生でした。実は、私も大学は法科出身で、裁判の傍聴経験は学生時代から数えますと、数十回あります。息子から、佳苗さんの百日裁判は、49の傍聴席を毎日抽選で決めるから行列に並ばないといけないと聞き、オヤジの私は寒いのと人混みがイヤなもので、さいたま地裁まで行こうとは思いませんでした。しかし、くじ運に強い息子は、凄い確率で抽選に当たりまして、結構な回数、傍聴したのです。帰宅してから裁判の様子を話す息子は饒舌でした。

 「あんな面白い裁判見たこと無いよ。木嶋佳苗ってスゴイよ。こんなに騒がれてるのに全然動じないんだ。1日中平常心。仕草は上品で、ゆっくり喋る声は可愛いし。妹や彼氏に送ったメールも丁寧語だよ。演技じゃなく、素が真面目なお嬢様っぽい。俺さ、抽選外れた日に他の法廷で傍聴して女の被告人を見たんだけど、びっくりしたよ。スウェット上下に髪の毛ボッサボサ、肌は荒れて女らしさなんて微塵もない。姿勢は悪いし、話し方もバカっぽいし、同じ拘置所に勾留されてる被告人と比べると、木嶋佳苗がいかにきちんとしてるかよくわかった。オーラが違うんだよ。肌は真っ白だし、唇はツヤツヤだし、髪は整ってるし、2年以上も勾留されていた女性とは思えないオーラがある。手錠をかける時まで物腰が優雅でさ。弁護士や拘置所の職員と話す時の表情は優しくて、何か魅力的なんだよね。」

 息子の話を聞いていると報道とは随分と違うなあ、と思いました。肝心の事件の審理は、自白も直接証拠もなく、情況証拠だけの争いで、検察官が感情的になり、演技じみたことをして裁判員に訴えている、と聞きました。

 息子は言いました。「これだけ長いこと希代の悪女だってメディアで報道されて、ネットで叩かれてたら、裁判員や裁判官どころか、日本中が彼女のこと犯人だと思ってるわけじゃない。怪しいことはたくさんあっても、グレーはどんなに重ねてもブラックにならないのに、裁判前からブラックのイメージが作られてるから、その空気で裁かれてる感じがするんだよね。死体の写真見せて、この女がこんな姿にしたんですみたいな演出で情に訴えられたら、ひどい犯行だなって思いそうになるけど、この女が殺したって前提が植え付けられてるから不審死が殺害事件なんだってことになるわけで、否認してる彼女側から冷静に見ると、検察のやってることの方が不審に思えてくる。
 目撃者もいなくて、物証も自白もないことから、検察は道徳観とか倫理性を持ち出して、こんな常識とかけ離れた価値観の女なんだから、付き合ってた男を殺すのも平気なんですって主張するしかない。被告人質問の追及の仕方も、嘘とか売春とか詐欺とか騙すとか、嫌悪感満載のキーワード連発して攻撃するわけ。検事や裁判官って、女は嘘つかないってホントに信じてるのかね。報道じゃ、犯人扱いでルックスのバッシングばかりしてるけど、女として魅力なかったら、あんなたくさんの男が本気で惚れて金出すはずないでしょ。
 殺した動機が、男性に嘘がバレたら困るからっていう検察の主張も無理筋だよ。全然説得力ないじゃない。貢いだ金を返せと言われたら他の男から貰って補填すればいいわけで、彼女はずっと男から貰った金で生活してきたんだから特に困らないでしょ。借りたんじゃなく貰ってるんだから、返せと言われる蓋然性も低い。常に複数の男と、本命の男と付き合うスケジュールの管理能力があって賢い彼女が、リスクを冒してまで男を殺す理由が見つからないんだよね。冤罪かはわかんないけど、これで有罪になったら確実に死刑判決でしょ。こんな茶番みたいな裁判で、死刑にしていいのかな。
 俺が一番陳腐だと思ったのは、遺族が書いて読ませた意見陳述。火事で死んだ千葉のおじいさんの息子が、なぜ木嶋佳苗なんかに騙されたのか情けなく思いますって書いてた。東京の青梅のおじさんのお姉さんは、出来が悪い中学生の作文みたいな文章で、木嶋佳苗を貶めまくるわけ。今そこで生きて何をしているのでしょうか、とか、亡くなった人を返すことはあなたには出来ない、とか訳わかんないこと書いて、挙句の果てには、他者の命を奪ったものは、奪われた人の命と等しい等価でいうなら、同じ命が絶たれることでしか合わないって、国家に殺人依頼してるんだよね。そんな陳腐な文章を検事が泣きながら読んで、法廷は白けてた。
 だってこのお姉さん、木嶋佳苗と1回も会ったことも話したこともないんだよ。法廷でも遮蔽されてるから、おじいさんの息子以外、被告人と遺族は1度も対面していない。警察と検察と報道の作った木嶋佳苗像のストーリーで、勝手に裁いてる。あの手紙の朗読聞いて、このやり方は卑怯だと思った。これが社会正義なのか。木嶋佳苗裁判傍聴して、検事と裁判官にはなりたくないと思った。」

 こう話していた息子は、現在も大学で法律を学んでおります。息子は小さい頃からスポーツが得意で、女の子に人気がありました。バレンタインデーには、女の子からチョコレートをたくさん貰ってくるものですから、ホワイトデーにお返しするクッキーを用意する妻は一苦労、というのが23月の我が家恒例の光景でした。息子は、モテない時期がない、と生意気なことを言う奴です。若造ですが、一般人よりは、リーガルマインドを持っています。そんな男が、木嶋佳苗を、魅力がある女性で、あの裁判はおかしい、と憤っていた。それが、2012年の4月のことです。朝日新聞デジタルの手記を読み「拘置所で判決を待っている時間に、こんな文章を書けるなんて才女だ。」と言っていたのには、私も共感しました。

 それから1年半経ち、親友から「木嶋佳苗ってどう思う?」と聞かれたのです。私は息子が、1審を傍聴していた話をしました。すると彼は「そうなんだよ。実は彼女、いい子なんだよ。」と言うので、愛人として付き合っていたのかと思いました。「やっぱり具合がいいのか?噂によると凄い機能だって聞くけど。」私はスケベなオヤジの本性丸出しで聞きました。「いや、違う違う、性格のいい子。チャーミングで可愛いよ。」「あっちは?」「だから違うって。そういう関係じゃない。」彼は否定し続け、話がなかなか噛み合いません。「実は拘置所で会ってるんだ、彼女と。」「えっ、あの木嶋佳苗と?」「そうそう、あの木嶋佳苗。佳苗さんはね、いい子だから応援してあげたいんだ。協力してくれないかな。」親友から、佳苗さんが書いた手紙を読ませてもらい、支援を決めました。何しろ我々は仕事が忙しく、家庭もありますから、支援活動を分担するため、信頼できる友人を紹介する形で、チームを作ることにしたのです。

 実際に拘置所で会った佳苗さんは、礼儀正しく、気品のある女性でした。彼女は予想外に気さくで、いつまでも話していたいと思わせる、魅力的な人です。知性があり優しく、女らしい人ですが、スーさんの手記にあるように、彼女はとてつもないレベルの「天然ボケ」でもあります。我々は、外で佳苗さんのことを話す時に「不思議ちゃん」という符牒で呼んでいます。私は正直なところ、彼女はどんな手練手管で男を騙してきたのだろう、と興味がありました。でも付き合ってしばらくすると、佳苗さんは、清純な女性だと気付きました。

 世の男たちは、佳苗さんの事件の話をすると「騙されたのはモテない馬鹿な男だ、俺は絶対騙されない。」と言います。そういう男が一番危ないんですけどね。佳苗さんと付き合うと、そういうことを学べます。彼女は婚活サイトで知り合った男性に、本名、住所を教えて堂々と交際しています。彼女の頭には、「男を騙す」という概念がないのです。男を自分の虜にさせたい、という思いもないようです。佳苗さんは楚々としていますが、媚びない大胆さのある女性です。水商売のホステスや風俗嬢の決まり文句のような「すっごーい」という褒め言葉も使いません。我々が佳苗さんから、お褒めの言葉を頂けるのはいつになるのか、見当もつきません。

 この手記を書くにあたり「俺たちが佳苗さんに惹かれる理由は何だと思う?」と聞いてみました。「あら、私に惹かれているの?魔術を使っているんです。ペリカンさんは、私に騙されているんじゃないかしら。」私は初めて佳苗さんからジョークを聞きました。しかし、彼女が冗談を言うはずがないのです。手紙にさえ、(笑)は、1度たりとも使わない人です。これは魔術かもしれません。私もわからなくなってきました。これが彼女の魅力です。

 スーさんの原稿が回覧されてきたので「スーさんとのテニスのラリーは、佳苗さんからするとうまくいってるの?」と聞いたのは、私です。佳苗さんは、当然といった表情で「うん。いつも私が勝ってるわ。」と答えました。彼女の言い分はこうです。「ガルシア・マルケスが他界したニュースを聞いて、「コレラの時代の愛」の主人公フロレンティーノのエピソードを思い出したから、スーさん宛の手紙に書いたのよ。自分を捨てて別の男性と結婚しちゃった初恋の人を待ち続けた、一途な恋心を示すエピソードが、いちいち面白いでしょう。1リットルのオーデコロンを飲んだり、手紙をバラの花を食べながら、何度も読み返して便秘になったり。だから、スーさんも、お花を食べながら私の手紙を読み返さないように!って注意したのよ。それが魔球だって言うスーさんがおかしいでしょう。スーさんはきっと、ガルシア・マルケス読んだことがないのよ。」佳苗さんは弟さんに差し入れて貰い、拘置所で「百年の孤独」を20年ぶりに読んだことや、高校時代に父親の書斎の本棚に並んであった、ラテンアメリカ文学叢書を読んだとか、故郷の図書館で、ラテンアメリカの文学シリーズを借りて熱中して読んだと、中南米文学について語っていました。「族長の秋」で、ガルシア・マルケスに挫折した私は、佳苗さんの教養に圧倒されました。

 彼女は、聞き上手です。本来は話すことが苦手だと彼女は言いますが、どんな人が相手でも話せるタイプだと思います。空気は読みません。彼女が本物の天然不思議ちゃんだと確信したのは、その言動で、彼女自身が損をしていることを何度か目にしたからです。スーさんが書かれていた「白衣の写真・御希望事件」は、我々も聞いていました。「アメリカ人の科学者と文通を始めたのだけど、何だかおちょくられている気がする。」と彼女は真剣に悩んでいました。「ピンク色だって言ってたのに、普通の白衣だったのよ。」とご立腹でした。埼玉の拘置所に通ってくる歯科医は、毎回違う色のラボコートを着てくる男性で、赤や緑、青とカラフルだったからピンクもあるはず、と言うのです。それなのにスーさんから「天然」と指摘され「意味がわからない。研究馬鹿なんだわ。変なジョークばかり言う人なのよ。」と戸惑っておりました。

 彼女は真面目で、いつも冷静な人ですから、冗談はほとんど通じません。佳苗さんは、スーさんの手記にある、本当の「木嶋佳苗」像とは?のA)C)の例は、どれも面白くないから削除した方がいい、と主張したのですが、我々はよく理解できるので、残すべきと意見しました。佳苗さんは「ふ~ん。どこが面白いのか全然わからないけど。」と不満顔でした。天然の自覚はなく、頑固な人ですから、今でも天然という言葉は拒絶します。彼女は言葉を真に受けるので、我々も軽率なことは言えません。社交辞令は許されないから大変です。男の仕事に対して要求するレベルが高いので、頼み事をされると、気を引き締めて取り組まねばなりません。女王様に仕える家来のように思われるかもしれませんが、彼女の人としての器の大きさは、大企業の経営者も顔負けの度量です。尽くすことに喜びを感じさせる魅力があるのです。

 拘置所という、社会から隔絶された特殊環境にいる彼女と、外で暮らす我々支援者が意思疎通を図るのは非常に大変で、かつ重要なことであります。しかし、彼女は自分の意図を正確に伝えることが上手でして、感情に訴える部分と、理詰めで迫る部分を無意識に使い分け、我々に指示します。彼女は各々の資質と適性を見極めて、役割分担を決めますが、采配を振る手腕は見事なものです。彼女は温厚で気長な性格ですから、我々が反対しても粘り強く交渉します。支援を受けている立場だからといって、意に沿わないことには迎合しない、芯の強い人です。彼女の情熱によって我々は、奮い立たされます。支援の方向性がはっきりしていると動きやすいですから、スピーディーに明確な方針を打ち出せる彼女は、チームの司令塔を担っています。ビジョンと戦略を提示する能力は素晴らしく、そのリーダーシップには驚かされるばかりであります。

 彼女は天才肌ですが、本人に自覚はないところも天然です。この才覚は天性のものもあるでしょうが、企業に勤めた経験がほとんどないことを鑑みると、若い頃からアッパークラスの男性と付き合ってきたことから培われたのではないかと窺われることが、多々あります。裁判員裁判までの過熱報道で「セレブ」と揶揄されていましたが、本人は判決までその報道を、全く知らなかったそうです。私が、佳苗さんはセレブ志向の派手な女性だと思っていた、と話した時に、こう言っていました。「私はセレブリティへの憧れは全くないんです。有名になると、面倒なことも増えるでしょう。私はずっと、静かで地味な暮らしをしていたのよ。好きな食材でお料理が作れて、ベンツに乗れる普通の生活で十分なの。」

 スーさんがリサイクルショップの社長から昼食を作るように言われた話を書かれていたので「佳苗さんは月の食費にどのくらい使ってたの?」と聞いてみました。「11万円で済むってことはないわよね、食材の宅配業者が週に何度も来るし、デパ地下やスーパーでもお買い物するし、築地の場外市場にも通っていたし、ホテルのラウンジやカフェで休憩したり、レストランで外食したり、何かと入り用でしょう。遠方まで行くと交通費だってかかるし、ネットショッピングでお取り寄せもしたし、月に数十万は使っていたと思うわ。」

 佳苗さんにとって、ベンツでドライブし、高級食材で料理し、グルメを楽しむ生活は、地味で普通なのです。千円で2人分の食事を作れるはずがありません。リサイクルショップの社長が1億円以上の報酬を与えた理由は、彼女と接すればわかります。彼女に千円の予算で、食事を作るといった世俗的な枠にはめて矯正すると、佳苗さんの魅力は損なわれてしまうと、社長は気付いたのでしょう。おそらく過去に関わったすべての男性が、同じようにありのままの佳苗さんを受け入れてきたことで、少女時代の純真さを保ったまま今に至るのだと思います。大人になるまで、テレビのない環境で育ったことの影響も大きいようです。佳苗さんとの付き合いは、帰国子女と話しているような錯覚を起こすことがあります。女子社会に揉まれてこなかったことで、穢れを知らないまま30代になったのでしょう。

 佳苗さんには、男の前では媚びるけど、女同士では酷評し男をけなす、という発想がないのです。思っていることは、男の前で言うのです。何しろ男性を礼讃する自伝を書いた佳苗さんですから、世の女性にありがちな、男への憎悪もありません。ひたすら清純な女性です。我々は佳苗さんが他人の悪口を言うのを、聞いたことがありません。「でも」、「だって」という言い訳もしない潔い人です。妬み、僻みもありません。この辺りの実像が、佳苗さんと直接交流したことない記者やライターでは、報道できない面だと思います。まして、真実とは呼べない報道から推察するしかない世間の人達には、想像も及ばないのは当然かもしれません。

 東京拘置所では夏にかき氷が買えると書いたブログを読んだ新聞記者の女性が、面会で「かき氷にシロップはかかっているんですか?」と聞いたそうです。私は「まさか拘置所で天然氷を削った宇治金時でも出されると思っているのかね。」と苦笑して言いました。すると彼女は「秩父の阿佐美冷蔵のかき氷食べたことある?小説にも書いたんだけどね、あんな美味しいかき氷ないわよ」と、埼玉にあるかき氷屋の話を始めました。スーさんの指摘通り、彼女は私の言った「天然氷」というワードにだけ反応し、自分の興味のあることにしか注目しないのです。彼女は言外の意味や、ほのめかしを汲み取ることが苦手なようにも感じます。暗黙のルールも通用しません。器用にできることと、不器用なことが極端なのも特徴です。突飛な言動もある彼女ですが、我々は、次はどんな楽しいことが起こるんだろうと、刺激的な時間を過ごしています。

 佳苗さんは心ない報道により、疎外感や喪失感、孤独や絶望を味わったはずです。ブログを始めてからも、読者のコメントや匿名掲示板への書き込み内容を知り、傷付いたと思います。それでも彼女は気丈に振る舞い、人権侵害や脅迫的な書き込みから、外で暮らすソフトターゲットである我々の心配をしてくれました。佳苗さんは、男ばかりの我々支援メンバーの誰よりも、度量の大きい、優しさにあふれた人物です。

 こんな素敵な女性を、法廷で誤った認識の人格を植え付けて、バッシングすることにより悪女のイメージを作って立証した検察は、正しいと思いますか?その主張を丸飲みした判決を下した裁判所は、正しいのでしょうか?裁判員と裁判官は自身の経験則ではなく、客観的な視点で、佳苗さんの価値観や人間性を理解しようと努力したとは、思えません。裁判所を出れば、傍聴記が載った新聞や雑誌があり、テレビをつければ、連日法廷での様子を面白おかしく報じているのですから、彼女が殺人犯であるという先入観にとらわれるのは、無理もないことでしょう。百日も裁判が続けば、裁判員同士が親しくなり、被告人の命を左右する議論を真剣に行う緊張感は薄れるのではないかと思います。これは事実、私の息子が複数の裁判員が閉廷後に、駅まで仲良く話しながら歩いているのを何度も見かけ、会話も聞こえた、という話を耳にしたからです。

 我々日本の支援者は、当初スーさんの手記掲載の申し出に快諾はしませんでした。佳苗さんを褒めることで、そうした魅力的な女性だから男は騙された、と曲解されることを懸念したのです。裁判が世論の雰囲気で有罪となり、推定無罪が成立していない現実を考えると、この試みは危険でもあると思いました。更なる攻撃を受けることになるのではないかと危惧し、この企画に賛同しない者もおりました。検察が大袈裟なパフォーマンスで、複数と平行して交際する彼女の男性関係を取り上げて、こういう価値観の女だから殺人事件を起こしても不思議ではない、という論理が認定されたのです。本来、貞操観念は殺人とは結び付かないにもかかわらず、人格や性を持ち出し、無理を重ねて導いた有罪判決です。我々が彼女の味方をすることで、より強い批判的な世論が形成される可能性もあり、迷いました。辛い環境での暮らしを強いられている佳苗さんの不安の種を増やすことは、したくないからです。

 新たな情報があるからメディアは報道し、ネット上では炎上するわけですから、情報がなければいずれ終焉します。世間を鎮静化させるために、おとなしくしているべきではないか、否、風化させてはならない、等と何度も議論をして、彼女が世間に誤解されている面を正しく伝えられるのは我々しかいないのだから、声を上げるべきだ、という結論に至りました。なぜなら、世間が木嶋佳苗と聞いて思い浮かべるイメージは、本人とあまりにも乖離しており、自分が天然だと自覚していない佳苗さんが、自身で修正することは出来ない、と思ったからであります。

 それは、名器発言で話題になった1審の被告人質問について、佳苗さんに聞いた時に確信しました。「1審でのセックスマスターアピールって弁護団の方針だったの?」と私が質問したところ、以下の会話が続きました。「えっアピールなんてしてないわよ。どうしてそんなこと聞くの?」「セックス自慢と報道されていたし、嫌悪感を煽りかねない危険性も高い発言だったと思うから、弁護士の了承を得て話したのか気になって。」「1審の弁護士さんとは2年以上も毎日のように接見して打ち合わせを重ねてきたんですもの、了承も何も、どんな問答をするか練習したに決まってるでしょう。どうしてあの発言が嫌悪されなくちゃいけないの?」「うーん、俺は、セックス観や恋愛観を批判されるのがわかっていたから、先手を打って、私は普通の女性とは違う価値観だし、名器なので男性にモテたんです、一般女性とは違うんだからそこでジャッジしないで下さいってアピールしたのかと思っていたんだけど。」「そんなこと1度も考えたことがないわ。愛人クラブとデートクラブに所属していたことを話さないと、若い頃、どういう生活をしてきたのか説明がつかないでしょう。そこで私を特異の存在だと認めてくれる男の人たちがたくさんいたから、性の奥義を極めてみたくなったの。男性は喜んでくれるし、私は気持ちいいし、お金は貰えるし、相互に幸せなんだもの、こんなラッキーなことないでしょう。そういう生活を10年以上続けてきましたって、本当のことを話しただけよ。どうしてそれが自慢になるのかしら。得意なことでお金を稼いでいましたってだけの話よ。」彼女はあっけらかんとして、言いました。「あっ私は男の人から貰った金額の何倍も競馬につぎ込んでいたけれど。馬券師だったから。」という爆弾発言もありましたが、そのことは自伝小説に書いたそうなので、本が出版されたら是非ご購読下さい。とても面白そうです。

 佳苗さんは、非常にまっすぐな人で、計算をして話をしないのです。法廷でも、自慢したいなんていう気持ちは更々なく、真実を裁判所にわかってもらうために、自分の本質的なことを正直に話したというわけです。百日裁判で毎回違う洋服を着ていたことも話題になりました。スーツを着る習慣がなかった彼女は、着慣れない堅苦しいスーツでは疲れてしまうから、長丁場に備えてリラックスできる服装をした、被告人ファッションにありがちなリクルートスーツのような格好は、反省をよそおっているようでイヤだった、初公判の午前と午後で上着を替えたのは、昼食代わりのウイダーinゼリーで汚れてしまったから昼食をとる時間もなく裁判所と拘置所を往復し、書類を見ながらウイダーinゼリーのキャップを開けて、口につける前に手に力を入れたら中身が飛び出してしまった、水で服を洗って着たら、寒いし乾かないから着替えただけ。こういう話は、本人に聞かないとわからないことです。一般には、暖房のない1月の拘置所の寒さはわかりませんし、昼休みに拘置所に戻って食事をとっていたとは、私も本人から聞くまで知りませんでした。東京地裁に出廷する被告人には、昔から昼に弁当が出ると聞いたことがあったので、埼玉も同じだと思っていました。

 こうした思い込みで物事を判断するのは恐ろしいことです。それが人の命を奪う判断だとしたら、どうでしょう。私は佳苗さんに極刑を決めた裁判員が、記者会見で、達成感がある、充足感があると言ったことに、とてつもない違和感を覚えました。当時、佳苗さんのことをよく知らなかった私でさえ、あの言葉はおかしい、と思いました。私は以前から、極刑を求める被害者遺族や、被告人に死刑判決が下されて歓喜する遺族関係者のニュースを見るたびに、不快な思いをしてきましたが、実名と顔を出して、死刑判決に達成感があるという若い男の発言を聞いた時ほど、眉をひそめたことはありません。この国の未来は大丈夫なのだろうかと憂慮に堪えませんでした。日本はここまで、社会や人間の質が低下してしまったのかと、暗澹たる気持ちになりました。

 私は裁判員制度と死刑制度に否定的な立場ですが、佳苗さんの支援者全員が同じ思想ではありません。しかし、支援チームのメンバーの中に、死刑判決を言い渡した直後に達成感を持つことを肯定する人間は1人もおりません。死生観をわからぬ20代の若者に、死刑判決を決める権限を与えることが間違っているのではないでしょうか。国家に動員され権力を持った市民の恐ろしさは第2次世界大戦を見れば、歴然です。加害者は極悪人だから自らの命で償え、という浅薄な死刑制度を支えているのは、復讐心だけ、と言ってもいいでしょう。興味本位で狂騒的なメディア報道、臆測で盛り上がるネットの無責任な情報の夥しい数、死刑を求める被害者の遺族感情、それに同調する不健全な世論、重大犯罪が増えているという誤解、死刑制度がなくなれば治安が悪化するという根拠のない言説、凶悪犯罪に手を染めた人間は更生の可能性がないから社会から排除するしかないという虚妄。これらが重なって、日本の刑事司法は厳罰化が進んでいます。

 事実として、殺人事件の発生数は減少の一途を辿っており、治安は悪化していません。近年死刑判決が多少減っているのは確かですが、それは終局人員(判決を言い渡された被告人の数)が減っているからであり、終局人員の変化率にほぼ比例しております。事件の発生数も凶悪犯罪の件数も、一貫して減り続けているにもかかわらず、厳罰化に傾いたのは、警察が「体感治安」という言葉を持ち出し、メディアを巻き込み、市民を煽動していることも一因でしょう。私は積極的に死刑廃止運動にかかわったことはありませんが、佳苗さんと付き合う中で、先進民主主義国の日本がなぜ死刑制度を手放さず、執行を続けるのかを考えるようになりました。それは佳苗さんが、冤罪問題以前に、更生のための適切な矯正プログラムは何か、国家が人を殺して良いのか、世界の潮流が死刑廃止に向かっているのはなぜか、といったことを深く考えていると知ったからです。

 今の日本社会には、抑圧された人々が増えている故、自分の鬱憤を晴らすために他人を罵倒することに痛痒を感じず、暴力的な刑罰に固執し、仇討ちのように死刑を求めている気がしてなりません。死刑制度の存廃問題を措いても、情況証拠だけの否認事件に死刑判決が下されることは、看過出来ません。7月の読売新聞に、裁判員制度本社世論調査の結果がありました。裁判員制度の継続を望む人が7割、参加したくない人が8割という、興味深い回答でした。日本の司法を信用していない国民が多くいるのに、当事者にはなりたくない無責任さも垣間見えます。今年12月に最高裁が調査した「裁判員制度が実施されていることを知っているか」との問いには、98.8%が、知っていると答えています。読売の「制度の仕組みを知っているか」との問いには、54%が、知っていると答えています。国民の半数が仕組みを知らない裁判によって、市民が死刑判断にかかわる制度なのです。

 裁判員制度スタートにあたり、読売と毎日新聞の死刑問題をテーマにした連載は秀逸でした。スタンスは違いますが、事件や裁判報道とは別の枠組みで死刑制度を取材し、被告人や被害者、執行にあたる人の心情まで多角的に描こうという姿勢が見える記事でした。大概の報道は、無機質か情緒的で、本質がなかなか見えません。裁判員が評議室で、裁判官から死刑について説示されるのは、死刑の執行方法は絞首刑で、確定から6ヶ月以内に行われるということのみだそうです。実際のところ、6ヶ月以内に執行された例は聞いたことがありません。こんなレベルの情報しか与えられない乏しい知識の市民に、国家殺人に加担させることが許されるでしょうか。日本の3審制は名ばかりで、1審判決が覆ることは滅多にありません。ですから佳苗さんの1審弁護団は、控訴趣意書で、不当な心証形成への影響を除いた条件で裁判員も含む事実認定がなされなければならないと、破棄差し戻しを求めたのです。

 あなたは裁判員裁判の仕組みを知っていますか?3審制の具体的なシステムを知っていますか?佳苗さんは控訴審判決後に面会した出版社の男性記者から「上告審も出廷するんでしょう?」と聞かれ、驚いたそうです。記者の彼は最高裁の弁論に、刑事被告人が出廷できると思っていたそうです。佳苗さんが「最高裁への上訴は、弁護人に任せています。」と話したところ「上訴じゃなくて上告でしょう?」と聞かれたそうです。上訴とは、上級裁判所に判決や決定への不服を申し立てることで、控訴、上告、棄却決定に対する異議申立て、抗告等の総称であります。それぞれ申し立て期限も違います。記者ですら、裁判や拘置所の知識が浅いのですから、市民に正しい情報が伝わらないのは自明です。私は制度についての賛否を問う世論調査の結果にも、懐疑しています。制度の内容を知らない者に、賛成か反対かという設問自体が、ナンセンスだからです。人の自由や命にかかわることを、こんな軽率に決めて良いはずがありません。スーさんの手記にもあるように、日本の我々も、佳苗さんの裁判を通じて、日本の刑事司法の在り方を考え直す機会となることを願っています。佳苗さんの事件や裁判は、メディアが狂乱的なお祭り騒ぎをしてきたのに、1冊として、真実が書かれた読む価値のある本が出版されなかったことは、悔しくてしょうがありません。

 スーさんは「ブラックホール」と書かれていましたが、佳苗さんは低反発マットレスのように、どんなものをも自分の中に吸収し、フィットさせてしまう、驚異の柔軟性と包容力のある女性です。心根が優しく純粋な彼女の本質を捉えてくれる著述家がいなかったことは、大変遺憾に思います。しかし、彼女には自身で言葉を紡ぎ出す才能があります。残念なことに、彼女は誠実で有能な編集者に恵まれておりません。彼女の文筆活動をバックアップして下さる出版業界の熱意ある方がいらっしゃれば、どうぞ彼女に力添えして戴きたいと切にお願い申し上げます。

 スーさんが「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のグルートのセリフを引用していましたが、我々と佳苗さんの関係をズバリ言い当てている言葉だと思いました。佳苗さんは我々に男らしさを求め、我々は佳苗さんの女らしさに惹かれていましたが、いつからか、彼女との関係が何であるのか考えるうち、性別を超えたものだと思うようになりました。彼女は、男以上に男らしい女性でもあるのです。人として、木嶋佳苗に魅了されていることに気付きました。彼女と我々の間にあるのは、友情です。

 スーさんが最後に、佳苗さんからの手紙を引用していましたから、私は直接会えるメリットを活かし、彼女と話したことを書きたいと思います。ある日彼女は「Good Jobニッポン」というラジオ番組で、ジャーナリストの青木理さんが話題になっていたという話を始めました。拘置所で流れるラジオから聴いたのではなく、プリントで内容を知ったというのです。ラジオでは2週にわたって、「佳苗さんをメロメロにしてる青木さんの話」をしていたそうです。この日の佳苗さんは珍しく、少し興奮しておりました。会話は以下の通りです。「ちょっと、ねえ、青木さんってジゴロ風なの?」「ジゴロ!?テレビで見る限り真面目なコメンテーターだよ。」「私も今までそう思っていたんだけどね、泥酔した青木さんがニコ生に出たら、ジゴロモードだったんですって。」「ネット放送だと、テレビやラジオより緩いんじゃないの。酒が入っていたら尚更のこと。」「私、泥酔した男性とお話したこと1度もないわ。ネット放送も見たことないから、雰囲気がわからないのよ。」「俺もネット放送は見ないからなあ。どういうところがジゴロ風なわけ?」「あのね、青木さんの声って低いんですって。低くて渋い声でいやらしいこと言って、ボディタッチしてくるんですって。AVに聞こえてくるんですって。それがジゴロモード。」「へえ。『誘蛾灯』では鳥取のスナックでスマートに飲んでる感じだったけど。」「あのね、青木さん自身が誘蛾灯で、色んなもの誘ってましたって吉田豪さんが言ってたの。男の人の体に触るのよ。青木さんってそっちの人なのかしら。」「えっボディタッチの相手は男なの?」「そう。お酒飲んで話しながら、ナチュラルにガンガン触ってくるんですって。そんな人、見たことないわよ。青木さんって奥が深いわねえ。青木理ジゴロ説。泥酔ってどういう状態なのかしら。」

 こう話した佳苗さんは、11月に40歳になります。無邪気な少女のような愛らしさと、知的な大人の女性の2面性に、我々は惹かれるのです。彼女の人柄、事件の詳細を知り、彼女は犯人ではない、と確信しています。1人でも多くの人に、彼女の真の姿を知って戴きたく筆を執りました。

 我々だけのサポートには限界がありますから、異なる属性の人々と交流することで、彼女の視野が広がると思います。刑事被告人の支援は、我々にとって初めての経験でしたが、拘置所生活には実に多くの物品が必要だと知りました。拘置所や弁護士が、日常生活の必需品すべてを用意してくれるわけではないのです。男ばかりの我々では行き届かないこともあり、サポートやケアが得意な方のお力を貸して戴けると幸甚に存じます。より多くの人が支援してくれることは、彼女の精神的な支えになるとも思います。ブログ読者からの励ましの手紙や差し入れが届いたことの報告をする、彼女の明るい表情を見て、そう感じた次第です。究極の閉鎖的な環境で暮らしている彼女に、思いやりあるサポーターが増えることを願ってやみません。

 文通や面会を通じて、彼女の支持者、理解者が増すことを希望しております。まずは、彼女に手紙を送り、生身の「木嶋佳苗」と接してみてほしいです。きっとあなたの先入観は、ひっくり返ります。そして、切磋琢磨する楽しさを味わえるはずです。ブログ読者の方々の良心に、我々の想いが響くことを祈念いたします。

「木嶋佳苗の拘置所日記」の読者の皆様へ

 はじめまして。私は今年の3月から木嶋佳苗さんの支援をさせて頂いている『スーさん』です(拘置所日記の5月の記事「ゴールデンウィーク明けの幸福」中のニックネームより。今年の『女性自身』715日発売号では「Bさん」として紹介されています)

 皆様もご存知のように今年4月に「年上のおじさま」を名乗る第三者によるブログサイトの乗っ取りがありました。その解決のために、私は佳苗さんからブログの管理人の1人(アメリカ支部長?)に任命されました。この機会に僭越ながら私が佳苗さんの支援者となったいきさつと、支援者を代表して我々の木嶋佳苗さんに対する思いを皆さんへ伝えてみたいと思います。

 それには今年3月に私が佳苗さんに送った最初の手紙からご紹介したいと思います。(一部改変しています)

************************************

木嶋佳苗様

 はじめまして。私はアメリカ在住19年で現在外資系のバイオ関連企業で働いている研究者で、現在はアメリカ市民権を取りこちらで暮らしています。こちらの生活が長く日本にはあまり関心がなかったのですが、たまたま佳苗さん(First Nameでお許し下さい)に関する新聞記事(2014312日付)「木嶋被告『男性に対し嗅覚が鋭い』ブログ始めたわけは」で「死刑判決を受けた女性被告がブログを始める」という記事を読んで、事件内容のその他の記事よりも先に『木嶋佳苗の拘置所日記』を読ませて頂きました。素朴な感情や日常生活も綴ったとても素敵で、メッセージ性のあるブログだと思いました。

 また『木嶋佳苗の真実』という第三者のブログも読みました。「木嶋佳苗は無実である。殺人は警察と検察のでっち上げ」という主張でした。なんとなく事件の内容が見えてきたような気がしました。その後で読んだ、佳苗さんに対する数々の批判記事や暴露本はあまりにも酷いもので、同じ日本人として残念な気持ちでいっぱいです。

 さらに2012年の4月に朝日新聞に載せられた佳苗さんの『手記』も読ませて頂きました。手記からは佳苗さんの素敵で正直な人柄がうかがえ、暖かい気持ちになるとともに、日本人社会(警察、検察、メディア、メディアに踊らされている民間人、「出る杭は打たれる」的な差別感など)に対するさらなる怒りが湧き上がってきました。公平を期すべき裁判官までも確たる証拠もないまま極刑を与えるとはとんでもないことです。

 佳苗さんのブログは私のような事件の全容を知らない人間、もしくはメディアに踊らされている善良な市民に訴える最良の方法だと思います。また佳苗さんに惚れる男の気持ちもよくわかります。佳苗さんを支えてくれる友人や弁護士の方がいて安心ですが私のようなチンピラに、もしできることがあれば何なりとお申し付け下さい。

 勝手に失礼だとは思いましたが、ブログの佳苗さんの生年月日からよく当たると言われる占いもさせて頂きました。私は生物学系の科学者ですが、占いも天文学を織り交ぜた科学だと思っています。(いいことは信じ、悪いことは信じませんが。その辺も科学者です。)結果は私が佳苗さんのブログや手記から読み取る人物像とよく似ていますが、どうでしょうか?

 佳苗さんのような優しいけれど、自由で奔放な女性(アイデンティティーの観点からはこちらのほうが素晴らしい。日本文化の画一性はつまらない。)は日本のような狭くて窮屈な世界は適さないのだと思います。無罪が証明され釈放されたら(きっとそうなります!)ニューヨークで住むことをお奨めします。「英語が話せない」と言われるかもしれませんが、英語があまり話せない日本人もたくさん生活しています。(私も数年間住んでいました。日本人やアメリカ人の友人もまだいます。)

 佳苗さんの無罪が一日も早く証明されることをアメリカから切にお祈りしています。

2014317

__________________________________________________________

お名前:       木嶋佳苗
生年月日:   19741127
出生地:      北海道
性別:          女性

あなたの魂の色彩とそこからわかる本質
 あなたに宿る魂のカラーは『光沢のあるイエロー』です。まわりに愛される魂カラーを放つあなたです。あなたがいるだけでまわりは、ほのぼのとした気持ちになるでしょう。温かい空気を持つあなたがそばにいると周りの人たちは、自分まで優しい気持ちになれるようです。それだけに短気には気をつけましょう。せっかくの魂カラーが痛んでしまいます。あなたが喜ぶと、まるでラメが渦巻くように魂はキラキラと光ります。その優しい光に皆が魅了されてゆくでしょう。あなたはいつも元気でいるようにしてください。魂のカラーが光沢をちりばめたようにとても美しく輝くからです。柔らかいそのイエローカラーは全ての人々に安心感をあたえるでしょう。

 柔らかく美しい光沢を放つレモンイエローに輝く魂が、あなたの人格に与えた影響は『優しさ』と『包容力』です。あなたはまるで母なる大地のごとくすべてのものを育みます。自分の損得では動かず、愛する人をただ慈しむあなた。優しく包んで育む特徴を持つあなたです。まわりの人々はそんなあなたに大きな安らぎを感じるでしょう。優しさという点では唯一無二の存在です。男性でも女性でも育む意味が強く、独身ならペットをかわいがる人が多いのも特徴です。命あるものに対して差別なく与えるその素晴らしい愛は、皆の心を癒していくでしょう。人に大きな期待はせず、ただ自分が与えることを喜び、人の笑顔を自分へのご褒美に受け取るあなたです。

************************************

 この手紙で書いたように、私は日本にいる皆さんとは異なり、二審の死刑判決後から佳苗さんのことを知ることになりました。私はこの事件の詳しい全容を知る前に(簡単には調べましたが)拘置所日記や2012年の朝日新聞での佳苗さんの『手記』を読みました。特に『手記』は色々と彼女の勾留中の思いも綴られ、自分の内面にも向き合った素晴らしい内容だと思いました。(実際この手記の発表後、色々な出版社から彼女に原稿の依頼があったそうです)

 少なくともこの『手記』を書くような素敵な女性が、男性を3人も殺せるはずがない、というのが私がその時感じた偽らざる感想です。それからは色々な彼女の事件に関する記述も読みましたが、状況証拠だけで死刑判決を受けていること、彼女のバッシングが極めて酷いこと(特に容姿に関すること)などに大変な不快感を覚えました。

 また最初の手紙には、よく当たると言われる占いを、拘置所日記のプロフィールより知った佳苗さんの生年月日を入力して、その結果を添付しましたが、手記から窺える佳苗さんの性格と占いの結果がうまくマッチしている気がしたので、応援のつもりで最初の手紙を出させて頂きました。

 それから2週間して忘れた頃に、佳苗さんから最初の丁重なお返事を頂きました。(この返信も心温まる素敵な内容で、ますます彼女が殺人犯ではない、これは冤罪だと確信するようになりました。また佳苗さんにとって私は、ブログを始めてから返事を書いたブログ読者の第一号になりました)こうして私は、日本にいる他の佳苗さんの支援者の方たちとは異なる、文通のみの支援が始まりました。

1016日現在まで、私からは73通の手紙を出し、佳苗さんからは35通のお手紙を受け取りました。(東京拘置所では、勾留者は平日11通しか発信できません)佳苗さんからのお手紙は少ない時で便箋3枚、多い時には30枚あり、全ての手紙の便箋数を計算すると合計433枚ありました。(一通平均12.4枚)ちなみに私は佳苗さんのブログ原稿「上田美由紀さんへのアンサー」を『文字起こし』しましたが、あれは便箋9枚分です。

 私の手紙はワープロで打って送るのですが、最初に書いた私の佳苗さんへの返信も便箋9枚分の量でした。(拘置所日記「突然グローバル」参照)私は理系の科学者ですので文才などはなく、返事の手紙には写真なども添付しながら面白そうな話・近況、占いなどを書き、とにかく『数』で勝負しました。(全ての私の手紙の字数だけを合計し、佳苗さんが使う便箋の数に換算すると223枚分ありました)

 手紙の中では本当に色々なことを話し合いました。お互いの手紙を読みながら笑ったり、感心したり、呆れたり、泣いたりもしました。
 下の「Q & A」は6月下旬に私が『女性自身』の記者にメールで回答したものです。(女性自身715日発売号にも一部掲載)

A) いつから興味を持って、いつから手紙を書くようになったのか?
 312日の記事を読み、色々彼女の事件を調べた後、317日に手紙を書きました。その時はお返事を頂けるとは思っていませんでした。(佳苗さんのブログに載せてくれるかなぁとは期待してましたが)326日付のお手紙を331日に頂き、それ以降は佳苗さんからの返事を待たずに、マシンガンのように手紙を送り続けました。

B) 手紙の内容はどんな感じのものか?
 私からの手紙の内容は、佳苗さんのメンタル面のサポートになるようなものを心がけていました。(海外からのメディアや情報、人権団体の紹介などもしました)勾留生活ではストレスも溜まるだろうと思い、色々なジョークとかも書きましたが、彼女にはあまり通じませんでした。(ウルトラマン、スーパーマン、ハクション大魔王、桃太郎侍、遠山の金さん、一休さんなどすべて知らないそうです。私は佳苗さんのことを『天然レアもの』と命名しました。)

C) 木嶋さんの印象は?
 すごく『Unique』な女性(英語版:「特別な、独特な」の意味。「Only one」とほぼ同意語)で、また手記(朝日新聞)の通りの女性だと思っています。すごく心のまっすぐな女性ですが、本人も他人の言動をまっすぐに捉えすぎて、しばしば誤解を生んでいるような気がします。(私の手紙で『チンピラ』と書いたところ、私のことを本物のチンピラかもしれないと思ったそうです)過去の男性関係(殺人は全くの冤罪だと思います)では少し常識にはずれたことをしたのかもしれませんが、今は反省して日々更生に励んでいるようです。全体的には彼女は自分の意見を持っていて、いつも筋を通し(頑固なところもあります)、また周りに気を配る心の暖かい女性だと思います。日本に置いておくのはもったいない素敵な女性だと思います。

 上記の「木嶋佳苗さんの印象」については、私は本人に会ったことはありませんが、日本で佳苗さんをサポートしている支援者の方たちとほぼ同じ意見だそうです。

1)本当の「木嶋佳苗」像とは?
 私は彼女との文通を続けるうちに、上記のインタビューにも書いた、あることに気付きました。それは彼女は類まれなる「天然ボケ」だということです。

 よく会話は『テニスのラリー』に例えられる事があります。強いボールを打ったり、ゆるい球を打ち返したり・・・。しかし佳苗さんからは時々私に「これ、どうやって打ち返すの!?」という『魔球』のようなボールが返ってくることがありました。数え上げたらキリがありませんが、前記の「チンピラについての疑問」がそれに当たります。

 最近になって読んだ産経ニュースの判決記(100日裁判)では、佳苗さんがリサイクルショップの社長と出会って援助してもらうようになったくだりでは大笑いしました。その社長が事務の求人広告を月20万円で募集し、その面接に受かった佳苗さんが当日の昼に1000円札を渡され、それで昼食2人分を作るように言われて何を作っていいのかわからなかったこと(得意の手料理は高級食材しか使っていなかったんでしょう)、月20万円の給料なら毎週1回働けばいいと思い、次の日は会社を休んだことなどです。(社長は佳苗さんが現れないので心配で自宅に電話し、彼女が家にいるのでびっくりしたそうです)

 この「天然ボケ」は今も健在で、私は手紙で「佳苗さんとの文通は、宇宙人とコンタクトしているような未知との遭遇感があります。」と書きました。この感覚は他の支援者の方たちも実感しているようで、彼らは拘置所の面会室を「佳苗ワールド」と呼び、佳苗さんに面会することを「宇宙旅行」してきたと支援者同士で伝えるそうです。

 この点に関しては「木嶋佳苗」さんを理解するうえで非常に大切なところですので、私と佳苗さんとの文通のやり取りをいくつか引用して、もう少しご説明したいと思います。拘置所生活は大変でストレスも溜まるだろうと思い、私からの手紙には色々なジョークも混ぜて書かせて頂きました。カッコ内は手紙の日付と、後付けの私の説明・コメントです。読者の皆様は、覗き見的な趣向をお楽しみ下さい。(拘置所日記「上田美由紀さんへのアンサー」参照)

A) 愛すべき『何』?
私:「(佳苗さんからの初めての返信に、私が狂喜乱舞して何度も何度も何度も手紙を読み返したことについて自虐気味に)佳苗さんはもう十分御承知だと思いますが、『男』って馬鹿な生き物なんです。特に理系の男は。」(42日付:佳苗さんの支援者の中で理系は現在私1人です)
佳苗:「男って馬鹿な生き物だと自覚している理系男子は愛すべき馬鹿で、これが文系だと・・・(以下説明略)。」(49日付)
私:「科学者なので『頭』が商売道具です。ですので『愛すべき馬鹿』というニックネームはつらいものがあります。他に素敵なネーミングはないものでしょうか?」(430日付)

B) 白衣の写真・御希望事件
佳苗:「仕事中は白衣ですか?是非白衣姿のスーさんを拝見したいです」(421日付)
私:「佳苗さん、それは相当なコスプレ好きですね!私にナースの格好をしろと!?でも佳苗さんの頼みなら仕方ありません。ピンクの白衣を着て注射器を持った姿の写真をお送りします!」(430日付:もちろん冗談です。普通ならわかりますよね?)
佳苗:「スーさんの仕事着はピンク色なのですか?コスプレには興味ないですが、私の中で科学者は白衣を着て実験しているので、ピンク色とは驚きです。」(57日付)
私:「もう佳苗さん、本当に『天然』なんですね!男がピンクの白衣を着るわけがないじゃないですか!?(笑)」(530日付:多くの男性はこうして佳苗さんに惹かれていくのでしょうね。目に浮かびます。合掌)

 このように佳苗さんとの文通はお互いに「突っ込みどころ満載」で止められません。(笑)私も佳苗さんもお互いに『ボケキャラ』なのですが、私は彼女に勝てる気がしません。実際佳苗さんは、面会時に支援者の1人から「スーさんとの『テニスのラリー』は佳苗さんからするとうまくいってるの?」と訊かれ「うん。いつも私が勝ってる」と答えたそうです。(苦笑)

 彼女は、有名大学の文系猛者も顔負けの、あふれんばかりの教養・知性・文才を持ち、またどんなボケでも完全に吸収してしまう「ブラックホール」並みの「天然ボケ」を備えています。これらを自在に『無意識』に使いこなすだけでなく、暖かい思いやりや気遣い(料理・セックスなどを含む)までも見せる彼女ですから、多くの男性たちを魅了したという彼女の過去に疑いの余地はないでしょう。

 このあいだも私は手紙で「私は生化学(学問)も性科学(セックス関連:同音異義語の冗談のつもりでした)もできる『両刀使い』です」という意味のことを書いたところ、「スーさんはバイセクシャルだったんですね。」と勘違いされました。彼女は勘違いも多く、この場合興味のある『両刀使い』にしか目が行っていないんです。前述の『ピンクの白衣』も同様の例です。心理学ではジョークには50%の真実(本音)が含まれていると言われていますが、彼女は言葉をそのまま100%真実として受け取る傾向があるようです。

 このような素の佳苗さんを知っている我々支援者同士で一致している見解としては、彼女は「(天然ボケではあるけれど)穢れを知らない聖少女のような心を持った素敵な女性」だと思います。皆さんはこの私たちの見解を鼻で笑うかもしれません。彼女は「セックスの奥義を極めたい」や「名器発言」などを裁判の場でコメントしているのですから。ただそれは、彼女の男性に対して感謝し、尽くしたいという「男性礼讃」の気持ちを表したものです。(あまりにもまっすぐ過ぎる興味深い発言ですが・・・さすが『天然レアもの』!笑。)

 彼女のような女性はこの日本社会では、通常「いじめ」や「仲間はずれ」などをされ、強制的に矯正される類の人間ですが、彼女の場合は奇跡的に逮捕の瞬間まで矯正されずに過ごしてきたようです。彼女と関わってきた男性達は、ある意味現代のシーラカンスを見るような、新鮮で興味深い気持ちで彼女と接していたのではないかと推測されます。

2)ブログのコメントについて
 7月にブログの管理人に任命されてから、私は佳苗さんの依頼で21本の記事の生原稿からの「文字起こし」をし、それを含む計31本の記事のアップと、過去記事のフォーマットの訂正、段落分けなどをしました。随分読みやすくなったはずですので、お時間のある方は是非また読んでみてください。また管理人として皆さんの1000件のコメントも読ませて頂きました。(226日~37月まで。1000件以上のコメントはブログには収録できないようです)読むに耐えないものもたくさんありましたが、これらのコメントは大きく分けて以下のように3つに分類できると思います。

A)誹謗中傷の類
 7割以上のコメントがこれにあたりました。容姿、体型を批判する人達、人間を死刑台に送るのを楽しんでいるような人、自分は安全な所にいて、相手をこっぴどく誹謗中傷するというコメントをたくさん見ました。読んでいて悲しくなります。これが同じ日本人なのかと。しかしこのような人達も、もしかしたら昔から連綿と続く日本社会・文化の犠牲者なのかもしれません。

 私は19年間アメリカで生活してきて、この間数回ほど日本に帰国しましたが、帰るたびに日本社会が廃れていくのが見えました。経済は悪化の一途をたどり、倫理は徐々に低下し、世の中は日に日に生活するのが大変になっていって、皆さんのストレスがたまるのもよくわかります。そのはけ口の一つは昔も今も変わりません。

 江戸時代には士農工商という階級制度があり、江戸幕府は大変な納税を強いられていた農民のストレスを支配者ではなく他方に向けるように、「えた・非人」という最下級の階層を作り(現在の部落問題に繋がっていきます)自分たちよりもさらに下級な人達への差別やいじめをすることで、ストレスの軽減を計ってきました。また当時の奉行所や与力、岡っ引きは下手人(犯人)とおぼしき人を捕らえると、証拠が無く違っていても相手が白状するまで(真実かどうかは関係なく)拷問を繰り返し、自白の強要をしていたそうです。

 これは現在でも引き継がれています。奉行所や与力、岡っ引きが裁判官や検事・刑事に代わり、「えた・非人」が「犯罪者や逮捕者(冤罪を含む)」に代わっただけです。皆さんは後者を貶めることで、ストレスの軽減を計っているようですが、これでは社会はよくなりません。司法・検察・警察の体制はなんら変わらないからです。皆さんは高い税金を払って司法・検察・警察を支持し(最高裁長官の年収は5000万円、検事総長は3000万円と言われています。これらはアメリカのオバマ大統領の年収以上です。)、彼らの横暴を許し、冤罪を作る構図をうすうす気付きながらも、自分には関係ないことだとタカをくくって見て見ぬふりをしています。痴漢冤罪事件が良い例です。軽犯罪の冤罪事件にも関わらず、容疑をかけられると人生を台無しにされてしまいます。明日はわが身だということを肝に銘じておいてください。

B)被害者・その遺族の方への謝罪の要求、裁判に関する意見・質問
 約2割弱のコメントは佳苗さんへの意見・質問を含めた批判的なものです。しかし建設的な意見も多かったです。私たち支援者は、殺人事件として起訴された3件のうち2件は自殺、1件は事故だと思っています。この件について佳苗さんは、812日付のブログ記事「孟蘭盆に思う」で、「他界した男性に謹んで哀悼の意を表し、ご冥福をお祈り申し上げます」と書いております。

 ただし失恋のため自殺されたであろう2人の方に「公に謝罪する」という考えは、現段階で木嶋佳苗さんをはじめ、弁護団および支援者には共通してありません。殺人罪で係争中の被告人が、殺人ではなく、被害者が自殺されたことに「謝罪」するというのはおかしな話です。検察がまた、この「謝罪」を逆手に取り裁判を有利に進めようとするかもしれません。佳苗さんは他の理由として私への手紙で「罪を認めている自白事件でも被害者遺族は、謝罪を固辞するケースが多く、現在の日本は遺族が被告人に極刑を求めるのが普通になっています。それをおかしいと思わない、あるいは思っていても言えない風潮があります。(84日付の手紙より)」と述べています。私は佳苗さんとの文通のやり取りから、自殺した方たちへの懺悔の気持ちを汲み取れましたが、現段階で被害者遺族に「公に謝罪する」というのは上記の理由でやはり良策ではないようです。

身分や名目を偽って異性から金銭を貰う行為は詐欺にあたるか(借りるのではなく貰う、恋愛感情があるという前提)ということも深いテーマであり、皆さんからたくさんのコメントを頂きました。この件に関しては、佳苗さんは検事や2審までの弁護士たちと何十時間も議論し、2件に関してだけは詐欺を認めたことになっています。しかし我々支援者はこれすらも詐欺にはならないと思っています。これは恋愛関係においては「振り込め詐欺」のように何のメリットもなく騙し取られるわけではなく、相手に好かれたいという「下心」があり、最終的には自己責任であると思っているからです。貢げば貢ぐほど自己愛が補填されていく充実感や、好きな女性を幸福にできる満足感もあったでしょう。また佳苗さん自身が金銭援助を受ける際に、「騙す意思がなかった」という点も注目すべきです。

 この顕著な例として20124月に詐欺罪で逮捕された栗田守紀氏(33歳)の詐欺事件が挙げられます。会社の経理部係長だった栗田氏は会社の金を横領し、6億円をキャバクラ嬢に貢ぎました。彼女は胃癌、心臓病、脊椎損傷、白血病などありとあらゆる病気を装い、病院では面会謝絶と偽り、この間栗田氏と会うこともなく、メールを通じて入院費や検査費名目で5年間で6億円近く彼から巻き上げました。それにも関わらず逮捕され罪に問われたのは横領した栗田氏だけで、お金を騙し取ったキャバクラ嬢は何の罪にも問われませんでした。

 「なぜキャバクラ嬢が罪に問われなかったのか?」

 これはある弁護士によると、横領した金だと知っていれば盗品等収受罪に問うことができるのですが、この場合彼女は知らなかったため不問に処されたようです。彼女はこのお金を、栗田氏の愛情表現として受け取り、彼女自身は彼を「騙す意思がなかった」のでしょう。

 佳苗さんの弁護団の中にも「男女の付き合いに嘘はあって当然でしょう」など肯定的な(詐欺にはならないという)意見もあり、法律的にも難しい問題のようです。やはりこの件は当人同士の意識の問題というほかないと思います。

 皆さんのコメントの中には「(事実であろうと冤罪であろうと)裁判で真実を証言して欲しい。」という要求も多数ありました。これに対しては、私への手紙の中で佳苗さんはこう述べています。

 「私は一審まで楽観していました。していないことを裁判所が認めるわけがない、裁判で本当のことを言えばわかってくれるに違いない、一般市民の裁判員まで審理に参加するのだから、と思っていたのです。判決後に司法の勉強をして、今までの報道や世論を知って、もう裁判所には期待できないとわかりました。」(623日付の手紙より)

 佳苗さんの無念さが伝わってくる文章で、私は読みながら拘置所日記の以下の1節を合わせて思い出し、不覚にも泣いてしまいました。

 「私は、最低限の人権が保たれる現在の処遇で発言可能な年月を余命と考え、行動しています。最悪のパターンを想定すると、私の余命はあと数年です。その日まで、美しい魂でありたいと思っている。(「私がブログを始めた理由」より)」

 佳苗さんは犯してもいない罪(殺人)の為に、死刑すら受け入れる覚悟をしているんです。

 日本の皆さんは本当にこれが正しい司法のあるべき姿だとお思いですか?これでは日本で冤罪事件がなくならないわけです。私たち支援者の気持ちは一つです。何としても佳苗さんを死刑台に送らせてはいけない、この事件を第二の「飯塚事件」にしてはならないと強く願っています。(現段階では冤罪で死刑が執行された死刑囚はいない、という公式の日本政府の見解がありますが、「飯塚事件」はその例外の可能性の極めて高い事件です)

 私は海外から長く日本を見てきたため、佳苗さんの事件においては私のように「偏見にとらわれない目」で事件を捉え、良識のある皆さん(日本の世論)に強く訴えることが必要だと思っています。

C)佳苗さんへの応援メッセージ等
 ブログのコメント欄に応援などのメッセージを書かれた方は、一割にも満たないかなりの少数派です。ただそういう心の暖かい方は、拘置所の佳苗さん宛に応援のお手紙や支援を申し出る方も多く、実際はさらに多いものと思われます。ありがとうございます。これからもご支援の程宜しくお願い致します。(勾留者に対する誹謗中傷のお手紙は、拘置所の職員による検閲で受信差し止めにより交付されないとのことですから、A)の方にはあらかじめお伝えしておきます)

3)私が殺人ではなく自殺だと思う理由
 私が裁判記や事件を調べて寺田さんと大出さんが自殺ではないかと思う理由を科学的考察により検証したいと思います。(私も25年の研究歴を持つ科学者ですので。)

 私も彼らと同じように女性にモテナイ時期が長かったので、モテナイ男性の気持ちもよくわかります。彼らは随分と長い間女性と付き合うことはほとんどなく、4050代になってようやく佳苗さんのような素晴らしい女性に出会えて、結婚は目前まで迫ったと思い、有頂天になっている様子が目に浮かびます。寺田さんの場合、大金を佳苗さんに渡していますが、そのことも「佳苗さんの支えになっている。結婚は秒読み段階!」と思わせる一因になったことでしょう。

 大出さんが『佳苗さんとの婚前旅行(大出さんのブログより)』の前に書いた記事は本当に楽しそうな内容でした。寺田さんもホテルや互いの自宅で、佳苗さんとの将来のこと(佳苗さんと築く理想の家庭や夫婦生活、佳苗さんが開く料理教室の運営など)を話し合ったと裁判記録にありましたが、彼も夢の様な楽しい時間を過ごしたんだと思います。その彼らが、佳苗さんに振られて人生のどん底に突き落とされ、絶望して衝動的に自殺を選んだのも理解できます。

 私はこれまでの人生で自殺をしようと思ったことはありません。ただ、死んだら楽になれるのに、と思ったことは2回ありました。そのうちの1回は学生時代、好きな女性(彼女とは一度だけ遊園地に行ってデートしたことがありました)に振られたときです。振られた時に雨が降っていて、雨に濡れながら家に帰りましたが、風邪をこじらせて肺炎になり学校を2週間休みました。布団のなかで聞いた「中島みゆき」の曲は失恋ものが多く、その時は死んだほうがましだと思いました。寺田さんや大出さんも、当時の私と同じような気持ちだったんでしょう。

 彼らの遺書がなかったことで殺人の可能性があると検察は主張していますが、突発的な大きな失恋をすると、男性(特に婚活サイトの女性に免疫のない男性)は弱い生き物ですから、ふっと魔が差して自殺を選んでしまうのでしょう。他にも遺書のない理由として、「失恋くらいで大の大人が自殺したなんて思われるのは恥ずかしい」や「失恋による遺書を書くことで、佳苗さんに迷惑が掛かる」などもあったでしょう。(遺書を書かなかったことで逆に親切が裏目に出てしまったとも解釈できます)「自分が死んだら佳苗さんは悲しんでくれるだろうか?」や「自分が死ぬことで佳苗さんにとって、自分が特別な存在になれるだろうか?」などの期待もあったかもしれません。

 自殺の研究をしているNPOの団体などに訊いてみればわかると思いますが、男性が突発性の失恋で遺書を書くことはほぼないと思います。遺書というのは、いじめや生活苦などでじわじわ苦しんでいった人達が、最後に選ぶ手段(自殺)に至るまでの間、自分を振り返る時間があるので書けるのだと思います。

 検察が「状況証拠」を元に主張する大出さんの殺害に関しては産経新聞MSNニュースやその他で詳しく述べられていますのでご参照下さい。

 簡単に説明しますと、事件は平成2185日、埼玉県富士見市の駐車場で駐車中のレンタカーの車内で練炭を燃やし、薬物で眠らせた交際相手の会社員、大出嘉之さんを一酸化炭素中毒で殺害したというものです。大出さんは婚活サイトを通じて佳苗さんと知り合い、仲良くなるうちに結婚を意識し、彼女に金銭の援助をしていた。殺害の動機は佳苗さんが大出さんに借金の返済を迫られたからということになっています。(実際には佳苗さんは大出さんからは金銭は受け取っていません。二人のメールのやり取りで佳苗さんは大出さんに感謝を述べていますが、これは「大出さんが学費を出す資力があり、支えになれる」という彼の気持ちに対してです)

 初めて会ってから犯行に及ぶまでの推理は「名探偵コナン」顔負けです。ただし「大出さんにどのように睡眠薬を飲ませ、どのように車に乗せたのか?」については不明です。また大出さんは『犯行』の直前に小用を足したことになっています。(シャイな男性が佳苗さんとのデート中に「立ちション」でしょうか?)なぜ人目の付く場所(月極駐車場)で殺害を行ったのかも理由は触れられていません。

 弁護側は駐車場及びその付近一帯の状況見分は、事実認定者が正確に把握するための真相解明に必要不可欠の理由で、現場検証を5回請求しましたが、全て却下・異議棄却されました。(この駐車場を当時訪れた報道関係者は「こんな所で殺害するだろうか?」と必ず疑問を抱いたようです。現在その駐車場は13棟の住宅地となっており、現場検証はもう不可能です。

 私がこの同じ「状況証拠」を元に検証する科学的考察は以下のようです。これは色々な裁判記録を元にしたもので、ネット情報だけでは得られないものだと自負しています。

 婚活サイトを通じて、大出さんが佳苗さんに初めてメールを出したのは平成21713日。いくつかメールを交わした後、2人が会ったのはその2日後の15日で、とある喫茶店です。お互いのことを紹介しあい、佳苗さんがフランス料理の学校に通っていること、将来料理教室を開きたいことを話すと、大出さんは「うちのビルで教室を開けばいい、経理は僕がやってあげるから任せて、安心して学校に通ったらいいよ。」と言い、佳苗さんは「私のことを尊重してくれる頼りになる人」だと感じました。ただ大出さんはこの後、まだ一度しか会っていないというのに結婚のことを過剰に意識し「このままゴールインしたいですね」というメールを、18日と22日に佳苗さんに送っています。

 723日に佳苗さんは自宅でフランス料理をご馳走し、その後ラブホテルに移り一緒に過ごしました。(この時、大出さんとの相性の不一致を感じた佳苗さんは、大出さんをラブホテルに残しその日のうちに1人で帰りましたが、大出さんはそのまま「お泊り」しました。これは彼の母親の証言でも得られています)その翌日(24日)に喫茶店で、二人は今後のことについて話し合いました。

 それまで女性と正式に付き合ったことのなかった大出さんは、「体を許してくれたのだからゴールイン(結婚)目前!」と勘違いしていました。対照的に佳苗さんは相性の不一致などを感じ、彼との将来に期待を持てないと思い始めました。それからも電話やメールなどで2人は話し合いました。大出さんは結婚への妄想に近い期待が高過ぎて、佳苗さんが考え直したいと言っても受け入れられず、会えば説得できると思い込んでいた節があるようです。83日にも佳苗さんは電話で大出さんに「付き合いを考え直したい」と伝えました。(83日午後425分に大出さんが佳苗さんに電話した記録は残っています)

 85日の事件当日は、佳苗さんに振られた大出さんが「敗者復活戦」に一縷の望みを掛け、(大出さんの母親の証言では、彼は出かける前に母親に「今日が勝負なんだ、また振られるかもしれないけどね」と照れながら恥ずかしそうに笑って言っていた、とあります)『婚前旅行』のために予約していたレンタカーを借りて、佳苗さんに譲り受けた練炭を車に積み(佳苗さんは「天然ボケ」ですので、大出さんが練炭を何に使うかなど考えもしなかったでしょう。)佳苗さんを誘い、ドライブに出かけました。(運転手は佳苗さんです)

 ドライブ中の最後の交渉も決裂し、彼は事件のあった月極駐車場に車を止めるように佳苗さんに頼みました。佳苗さんを降ろしてタクシーで帰らせた後、ペットボトルの水で睡眠薬を飲み、マッチで練炭に火を付けようと何回もトライしましたがうまくいかず、何回目かにようやく火を付けることができました。(自殺を前に生気がなく思考能力が低下していたのでしょうか?それは睡眠薬のせいかもしれません)

 煙が車内に充満し、また睡眠薬が効き始めるまでの間、彼は人生最後の仕事に取りかかりました。佳苗さんとの思い出を捨てる作業です。その中にはひょっとしたら彼女に渡す予定だった婚約指輪やプロポーズの手紙があったかもしれません。大切にしていた彼女の写真も入っていたでしょう。(手紙や写真などが発見されれば佳苗さんに迷惑が掛かる。捨てなくては!と思ったのでしょう)車内には佳苗さんとの旅行のために買った着替えやトラベルセットなどを入れた紙袋があり(最後の交渉がうまくいった時のために用意していた)、それらをマッチ箱、余分の睡眠薬、ペットボトルの水などのゴミと一緒に同じ袋に入れて捨てに行ったのでしょう。

 死を決意し朦朧とした意識の中で楽しかった彼女とのことを思い出しながらあてどもなく歩きまわり、ある地点で「思い出」を捨てました。(鍵も誤って捨ててしまったようです。えっ?どこに捨てたかって?それは大出さんに聞いてください。彼は朦朧状態だったので普通の人では考えられない場所です)

 大出さんの膀胱に溜まった尿の量が少ないことから、彼は散歩中にどこかのトイレで小用を足して手を洗ったのでしょう。車に戻って来た時は、彼は疲労困憊状態で後部座席に倒れ込むように潜り込みました。車内は既に煙が充満しており、車の鍵を中からかけて完了です。

 彼はなぜ、移動せずに人目の付くそのままの場所(月極駐車場)で自殺をしたのでしょうか?おそらく誰かに見つけてもらいたかったのだと思います。自殺未遂で病院に搬送されれば、佳苗さんが心配して自分のところに戻って来てくれるかもしれない。また死んでから発見されても後処理はしてもらえる、との考えもあったでしょう。

 佳苗さんは715日に初めて大出さんに会った後、85日の事件当日まで4回しか彼に会っていません。この間にどうして佳苗さんは大出さんに殺意が湧くというのでしょうか?検察の推論はあまりにも突飛過ぎます。また検察の主張を信じるマスコミも何を報道しているのでしょうか?彼らに真実を報道する義務はないのでしょうか?

 検察が起訴した3件の殺人(?)事件において全て練炭と睡眠薬が関係していることから、「こんな偶然ありえない」として全て佳苗さんの犯行だと主張しています。刑事司法に確率論を採用しているのですが、これは正しい使用法なのでしょうか?彼らの理屈が正しければ、一生に2度宝くじの特賞を当てる人には「詐欺罪」が適用されます。「こんな偶然ありえない」のですから。3度目を当てれば「同じ犯行を繰り返し、反省の色がない」となりさらに罪は重くなります。これは正しいように聞こえますが実は間違いです。一度も宝くじに当たっていない人も、2度宝くじの特賞を当てた人も、両人が次に宝くじの当たる確率は同じなのですから。幸運な人に3度目が当たっても何の不思議もないのです。

 佳苗さんの事件に関しては、これほどの天文学的な確率論を述べているわけではありません。しかし自殺を決意した寺田さんや大出さんが、奇しくも練炭と睡眠薬を使用したということは、それほどの低い確率なのでしょうか?日本のドラマでは、登場人物が練炭と睡眠薬を使用して自殺するという場面がよく出てきます。自殺による苦痛を伴わない最善の方法なのかもしれません。佳苗さんは料理に日常的に練炭を使っていたのですから、佳苗さんに失恋した彼らがこの自殺方法を思い付くのは何の不思議もないことです。

 裁判では練炭と睡眠薬は全て佳苗さんが用意したものであると結論付けていますが、本当にそうなのでしょうか?練炭の日本での流通量は皆さんが考えている以上の驚くべき量であり、また悩みやストレスなどによる不眠症で、病院から睡眠薬を処方されている方たちも大勢います。実際大出さんは、過去に保険外診療を受けた経験があり、睡眠薬の処方を受けていたというカルテが証拠として存在しています。「大出さんは仕事の性質上、定期的に睡眠薬を服用していた」という知人の証言もあります。

 検察は寺田さんが職場で使用していたパソコンに、練炭、コンロの購入記録は確認できなかったことからも、佳苗さんが持ち込んだと主張しています。しかし寺田さんのパソコンの約1800件のアクセス履歴中、約1500件については検察はアクセスできていませんでした。購入記録があるとすればせいぜい23件でしょうから、それをたった17%弱(1800件中300件)のメールになかったからと言って、「無」を証明したことにはなりません。統計学的に見てもこれは「有意」とは言えません。

 寺田さんの遺族の証言では「自宅のノートパソコンが部屋になかった」ことから、佳苗さんがこれを寺田さんのマンションから持ち出したと検察は主張し、この中に購入記録があった可能性もあると推察しています。しかし遺族が述べている『ノートパソコン』とは会社からの個人貸与のもので、自宅への持ち込みは一切禁止されており、事件後会社の彼の机の引き出しから見つかっています。また寺田さんの自宅には私用のタワー型の巨大なデスクトップ・コンピューターしかありませんでした。(会社の同僚の証言では、寺田さんが「タワー型のパソコンを自分で作った」と亡くなる半年前に聞いたとあります。佳苗さんも彼からそう聞きましたが、誰もそのパソコンは見たことがありません。寺田さんは人付き合いの極端に少ない人でしたから)

 住宅街にある寺田さんのマンションから、佳苗さんがそのコンピューターを持ち出す可能性は、住人の人目もあり極めて低いでしょう。このデスクトップ型のコンピューターが部屋になかったのは、自殺前に寺田さんが、大出さんの時と同様の理由で「佳苗さんとの思い出」を捨てたのでしょう。寺田さんはコンピューター関係の仕事をされており(彼の上司・同僚からは「コミュニケーションが苦手で気難しい人だったが、職人気質でソフト開発やメインテナンスは社内ピカイチだった」という証言が得られています)たくさんの佳苗さんとの思い出の写真などが色々と整理されて、そのコンピューターに詰まっていたのだと思います。(2人の交際期間は約1年です)

 寺田さんの事件に関しては、明らかに自殺と認定できる「動機」と「証拠」が揃っており、警察は当初自殺と断定していました。事件現場には黒色の煤っぽいものが付着している炭のような汚れがついた白色の手袋が見つかっています。これは殺人犯が練炭の使用後、置いていったと考えるよりも(指紋やDNA鑑定で犯人が特定されてしまいます)寺田さん自身が使ったと考えるほうが自然です。

 寺田さんの死体検案調書を作成し、自殺と認定した医師は「身辺捜査をした刑事さんから彼女との別れ話を聞き、彼女に振られたことで、咄嗟にやったのかなと感じました。」としています。また彼は「平成21年についてお話しますと、私が扱った検案は、年間210体くらいで、そのうち50体くらいが自殺で、自殺の中の15体くらいが練炭を使った自殺でした。練炭を使った自殺は4~5年前ころから多く見られ、ここ青梅(寺田さんの住所)でも異常な発生件数のようでした。」とも話しています。「練炭を使った自殺は、車の中や室内で行われ、例えばお酒や睡眠薬などを飲んで眠っているうちに一酸化炭素中毒になって死亡しますので、言い方は悪いのですが、硫化水素などに比べて楽に死ねるようです。」とも言いました。

 これらの『状況証拠(証言を含む)』は「推定無罪」を裏付ける重要な『状況証拠』だとも言えるでしょう。検察が「名探偵コナン」なら私は「シャーロック・ホームズ」です。この私の「推定無罪説」を誰が「論破」できるでしょうか?「雪は夜降ったのか?」などという「言葉遊び」ではなく、「論破」です。検察は川端康成風の「文学」まで取り入れていますが、これはとてもプロの論説とは言えません。検察が挙げた「状況証拠」とは所詮この程度のものなのです。

 検察はどうしても殺人事件にしたいようですが(起訴した事件が無罪になると、彼らのキャリアに傷が付きます。それは彼らには死活問題です。)その主張は死者への冒涜だと思います。その主張が正しければ、寺田さんと大出さんは女性を見る目がまるでなく、殺人鬼との結婚を真剣に考え、夢見ていたということですから。それでは彼らが浮かばれません。(彼らの彼女を見る目は正しかった。木嶋佳苗さんは素敵な女性です)お二人のご冥福を心からお祈り申し上げます。

4)私を含む佳苗さんの支援者達について
 日本の皆さんは『Guardians of the Galaxyガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:「宇宙の警備人達」とでも訳すのでしょうか?)』という映画を見られましたか?。これはスーパーヒーローものですが、ジョークも至る所で組み込まれ、見ていて最後まで飽きることがなく、大人も子供も楽しめる内容です。
 異なる経歴を持つ荒くれ者5人が、最後は一つのチームとなり、それぞれの長所を生かし、宇宙の侵略を狙う強大な悪に敢然と立ち向かうというストーリーです。一人ずつ登場人物を説明します。

1)グルート:高い知能をもった木の生物です。戦闘能力は非常に高いですが、人には優しいです。いつも「I am Gloot(私はグルートです)」としか言いません。
2)ロケット:狙撃手で戦術家である遺伝子改造されたアライグマ。写真の通り小さいです。
3)スターロード:主人公。ガモラ(右側の緑色の女性)に恋をし彼女の命を助けました。
4)ガモラ:緑色の肌をしたヒューマノイドで、彼女は熟練の暗殺者でもあります。
5)ドラックス:怪力無双の荒くれ者ですが、頭は子供以下。純粋で優しい人でもあります。

 この5人はそれぞれ利己的で一匹狼的なところがありましたが、次第に友情が芽生え、自分の命を犠牲にしてでも皆で力を合わせていく過程は感動しました。
 スターロードが自分の命を投げ出してガモラを助けた後、スターロードが全員死ぬかもしれないというミッションを皆に告げた時、暗殺者だったガモラがこう言います。

I will be grateful to die among friends.(友達に囲まれて死ねるなら幸せね!)」

 また墜落していく宇宙船の中で、グルートは他の4人を助けようと、自らの体を球状にして(木の生物ですから変幻自在です)彼らを包み墜落の衝撃を柔らげました。ロケット(あらいぐま)がグルートに「そんなことをしたらお前は死んでしまうじゃないか?」と言うと、それまで「I am Gloot(私はグルートです)」としか言わなかったグルートが、その時初めて「We are glued」と言いました。「glue」とは糊のことで(「Gloot」と発音は似ています)この意味は「私たちは(糊付けされたように)しっかり繋がっている」と言う意味です。

 この映画を見て、登場人物達はまるで私たち支援者のようだと思いました。個々に様々な分野で能力が高く、独特の相容れない個性を持った頑固な男性達が、最後は一つになって強大な敵(司法・検察)と戦い、自分の命を捨ててでも佳苗さんを守る、というような・・・。木嶋佳苗さんはそれだけの価値のある女性なのだと思います。そうでなければ、日本にいて危険を冒してまで彼女の支援をしようなんて思いません。(一部の「アンチ木嶋佳苗」の人達は、佳苗さんの支援者を特定して制裁を加えようとする動きを見せています。日本も恐ろしい世の中になったものです。)

 佳苗さんは私たち支援者のことを「オトコ」だと言っています。アメリカでは「SAMURAI」と呼びます。日本の「武士道」は海外で畏敬の念を持たれています。日本が世界に誇るべき文化です。惜しむらくは皆が自分のことを「スターロード(主人公)」だと思っていることでしょうか?(笑。皆さんハンサムでエリートで頑固で仕事ができてプライドが高いそうです。私も含めて。やれやれ・・・)皆、佳苗さんにとっては「愛すべき馬鹿」でもあるのでしょう。

5)最後に
 日本の司法・検察は「死刑囚として勾留された最長記録(48年:袴田事件)」としてギネス記録を更新し、その汚名(冤罪死刑事件)を世界中に広めました。(検察はあろうことか、再審請求受理の取り消しを即日求めています。反省の色がありません)また冤罪の可能性の極めて高い「名張毒ぶどう酒事件」では8度の再審請求がなされているにも関わらず、全て受理されていません。

 このように日本の刑事裁判では1度結審して刑が確定してしまうと、再審請求の受理すら難しいのが現状です。司法に携わる人達にとって、「被告人の利益」や「法の正義」よりも、彼らの体裁・キャリア・プライドなどのほうが大事なようです。また袴田死刑囚の無罪判決が決まると、国は約5億円の損害賠償を彼に支払わなければならないと言われています。この支出の財源はもちろん皆さんの税金です。

 皆さんもご承知のように佳苗さんの事件では、全くの『状況証拠』しかなく、自白すらない中で「推定有罪」の裁判が行われました。この『状況証拠』の中には、世間にまったく誤解された「木嶋佳苗像」も多分に含まれています。(サイコパスなど)この誤った人物像をもとに検察は佳苗さんの犯行説を主張してきました。検察は彼女のバッシングをするだけで、犯罪が立証されたという誤った認識を裁判員にも世間にも与えました。

 この誤解を解くために佳苗さんは手記やブログ、自叙伝を通じて、日本の皆さんにメッセージを送ってきましたが、1度『毒婦』の烙印を押された彼女の言うことを信じない人がまだ多数いるのも、ある意味日本文化の特徴だと思います。この辺はアメリカでは「アイデンティティーの尊重」となり日本では「出る杭は打たれる」となります。検察・裁判官レベルでも同様です。なんといっても文化ですから。(苦笑)

 これは科学の世界でも重要な言葉なのですが「『誰』が言ったか、ではなく『何』を言ったかで物事は判断すべきだ。」という考えさせられる名言があります。この言葉の前では、年齢も経験も肩書きも権力も関係ありません。年齢や肩書きなどが上の人の方が正しいことを言う確率は高いです。しかし全て正しいわけではありません。逆もまた然りです。(科学の世界では少なくとも私はそのように生きようと努力しています)

 佳苗さんのこれまでに書いたものも、今回の私の手記も、私たちが『誰』だからではなく、『何』を述べているのかについて、皆さんにお考え頂き判断してもらえないでしょうか?

 日本で生活している大部分の皆さんが、「状況証拠だけの推定有罪(自白なし)、しかも死刑判決」という驚愕の事実を肯定し、もしくは無関心でいることが海外で生活している私には不思議でなりません。(残念ながら海外でも冤罪判決はあります。しかしそれは被告人の自白を証拠の根幹においています)日本社会が年々悪化の一途をたどっているため、生活苦などの不満が募り、皆さんの考えが麻痺しているのかもしれません。(被告人の死刑判決を受けて、被害者の支援者たちが裁判所の前で万歳三唱していたのを、以前こちらのテレビで見たことがありました。その時は背筋が凍りました)この木嶋佳苗さんの裁判を通じて日本の刑事裁判(冤罪死刑事件を含む)のあり方を、もう一度考え直す機会としても、今回の私の手記を日本の皆様に読んでもらえれば大変嬉しいです。

 これからこの事件の最高裁審理が始まりますが、皆様の木嶋佳苗さんへのご理解とご支援も合わせて強く希望して筆を置きます。アメリカ生活19年でほとんど日本語の文章を書いてこなかったツケが回り、長文のうえ拙文、乱文となりましたことを、皆様に深くお詫び申し上げます。また私の手記の完成に尽力・御助言を頂いた佳苗さんの支援者の皆様にも、この場をお借りして御礼申し上げます。

 最後に佳苗さんからの手紙の一節で、私が心を打たれ、号泣し、私に不退転の覚悟をさせた文章を御紹介して、この手記を終わらせて頂きます。ご拝読ありがとうございました。

20141016日吉日

新ブログ管理人
『スーさん』より

 

木嶋佳苗さんからの818日付の手紙より抜粋   
 死刑事件は、大抵複数の人が亡くなっていますから、自分が殺めたのならば、自分が犯した罪の重さ、被害者や遺族のこと、また執行のことを考えて七転八倒の苦しみに苛まれるであろうことは想像できます。(青木理さんをはじめ日本の大衆が)私に「軽さ」を感じるのは、私が殺人罪において無実であり、スーさんのような心優しく力強い支援者がいるからだと思います。これは両輪が機能していないと明るく元気には生きていけません。この世には、絶対に嘘をつけない相手がいて、それは自分です。真実は、自分自身が一番良く知っているし、どんな時もお天道様は見ています。そう思うようになったのは近年のことですが、真面目に生きている姿を見て、あるいは察して、神様がおじさまやスーさんと出会わせてくれた気がします。

追伸:皆さんは佳苗さんのような素敵な女性を死刑台に送ろうとしているのです。
    『達成感』はありますか?

 ある支援者が、私のブログに自分の手記を掲載してほしいと頼み込んできたのは8月のことでした。他のメンバーとも協議を重ね、支援者のメッセージをここで公開することを決めました。

 1017日から1人ずつ期間を空けて、4人がリレーしていきます。すべての手記をアップ後、3日間限定でコメント欄を開き、読者の皆様が感想や意見を書き込み、閲覧できる状態にする予定です。

 執筆した4人は、「おじさま」、「石神さん」、「ペリカンさん」、「スーさん」です。それぞれ形式が異なり、おじさまとペリカンさんはエッセイ風、石神さんは私との問答、スーさんはレポートのスタイルで書いています。

 原稿は、おじさまはブラックインクの万年筆で原稿用紙に横書き、ペリカンさんはブルーインクの万年筆で手き和紙に縦書き、石神さんはボールペンで縦便箋に、スーさんからはパソコンでタイプした横書き印刷のものを受け取りました。

 スーさんは10月下旬に来日し、面会を予定しています。その体験談は、私のチェックなくこのブログに投稿することを許可しました。
 4人は、年齢、職業、思想、私との関わり方も違う年上の男性です。彼らがどのような思いで私をサポートしているのか、彼ら自身の言葉で語ってもらうことにより、私のことを読者の方たちに正しく理解して頂くきっかけになるのではと思い、この企画を了承しました。

 彼らは、個人情報を公表しても構わないとおっしゃって下さいました。しかし、支援者の個人を特定するプライバシーに関わることは公にすべきではないと判断し、ブログでは本名を伏せています。

 彼らは私にとって大切な存在です。4人の手記により、私と支援者との関係性や彼らの想いが伝わることを願っています。

2014108日記

 411日のことでした。朝日新聞の社説の隣にある「声」欄で「見て見て切手のウサギちゃん」という81歳の女性読者の投書が目に止まりました。12年ぶりに復活した2円切手の話が載っていました。この欄には、年に数回ハッとする投稿があるのです。

 今までで一番印象深かったのは、忘れもしない一審判決前日の12412日。
 東京都港区在住の64歳の男性作家が「客の数だけを比べるのは、ベートーヴェンとAKBを同列にするのと同じだ。」と過去に学ぶ謙虚さを綴ったもの。
 私は当時AKBを見たことがなく、AKB商法も知らず、この作家の憂いを読んで、AKBって何だろう?と思ったのを覚えています。

 さて今回は2円切手のこと。図柄には、北海道に生息するエゾユキウサギが使われています。
 81歳のおばあさまは「きっとウサギちゃんが貼られた手紙が届くと受け取った人も『なんてかわいいの』と癒されるはず。」と書かれていたので、私も早速入手しました。愛らしい真っ白なウサギちゃんにすっかり魅了!

 41日から消費税率の改正に伴い、定形郵便物の最低料金が82円になったというのに、私は82円切手を使わず、80円と2円、あるいは90円と2円切手の組み合わせで送り続けております。ひとえに、ウサギちゃん切手を使いたいから!

 読者の皆様にイメージをお伝えしたく、返信用封筒を同封するという方法で写真をご覧に入れます。宛名は私の直筆です。

 80円切手は近代競馬150周年記念の「オルフェーヴル」。普段は気が利かない出版社の担当者が突然送ってくれたので、一瞬好きになりかけた記念の切手です。

 2円切手は、いつも頭の中にお花が咲いている年下の彼が、私が頼む前に偶然「声」欄の投書を読んで送ってくれたもの。

 記念切手ではない記念の切手というものもあるのです。

2014819日記

封筒2円切手

This article was typed through the original manuscript of Miss Kanae Kijima, and updated in the United States on September 2, 2014.

 この記事は、私の支援者が「鳥取と同じ土俵に上がるな」と言って以前ボツにした原稿を、手紙風に書き直してみました。読者の皆様は、覗き見的な趣向をお楽しみ下さい。

 上田さん、はじめまして。今年5月に「週刊大衆」のGW合併号で、あなたが書いた私への反論手記を読みました。「大人の男性が『本音の部分』で楽しめる娯楽情報誌」の取材を受けるとは、さすがですね。「週刊アサヒ芸能」辺りもアリなのでしょうか。私のところには、大衆とアサ芸は連絡すらきません。
 上田さんは「週刊大衆」がどんな雑誌かわかって取材を受けたのかしら。私なら恥ずかしくってとても無理。

 あなたはテレビ、新聞、雑誌とジャンルを問わずメディア取材を好んで受けているようですが、報道関係で付き合っている人に真の理解者はいるのでしょうか。
 公平中立の原則を破り、あなたの無実を信じ、あなたの人生を憂い取材を続けてくれている人が、ひとりでもいますか?いるのだとしたら、あなたは被告人としてとても幸せです。大抵は利用されて傷つくのが落ちですから、私は余程のことがなければメディア取材は受けません。

 私は「誘蛾灯」を読むまで、あなたの事件や裁判、また上田美由紀という女性にも全く関心がありませんでした。青木理さんが取材されていなければ、今もきっと同じ気持ちだったでしょう。
 ブログの初回であなたのことを書くにあたっては「誘蛾灯」を10回以上読み、あなたに関する資料を集め、よく調べました。ライターの臆測は注意深く排除し、浮かび上がる事実だけを精査しました。あなたと文通や面会をした人から直接聞いた話も参考にしました。
 そこから私は、あなたは今も嘘をつき続けていると確信し、2013年のクリスマスイブに初めてのブログ原稿を書いたのです。

 あなたは東京に来たことがありますか?
 「誘蛾灯」によると、交際中に亡くなった鳥取県警の警察官は、あなたと23回東京に遊びに行ったという証言があります。けれど「週刊朝日」では、毒婦ライターの面会取材の際に「東京へ行ったことありますか?」と訊かれてあなたは「ないです」と答えている記事が載っていました。
 「ディズニーランドも?」「ないです。生きていくのに精いっぱいだったんです」という問答が続いていました。次の面会で、帰りの飛行機の時間を気にするライターに、あなたは「私も東京に行ったことありましたから」と言ったそうですね。

 どれが本当のことなのでしょう?記憶違いは誰にでもありますが、鳥取で5人の子供を育てるシングルマザーのスナックホステスにとって、東京に旅した経験は忘れようがないことじゃないのかしら。

 私の元には、あなたと文通したり面会した人から連絡がたびたびきます。衝撃的だったのは、大阪拘置所で上告中の男性被告から届いた相談事の手紙でした。201210月下旬から136月まで、あなたと文通していた人です。

 あなたから131通の手紙が届いたと知り、上田さんはよっぽど暇なんだなぁ・・・とびっくりしました。驚いたのは手紙の数よりも彼の相談内容です。彼は、あなたから届いた手紙をサンプルとして同封し
 「上田美由紀の手紙を売却したいと考えています。大手の週刊誌や月刊誌に打診を試みたのですが、回答があったのは一誌だけで、その交渉は流れてしまいました。発行部数が少ない雑誌では、私が考えている金額での交渉は難しいと思います。そこであなたに売却の仲介をお願いしたいのですが、マスコミの担当者を紹介して頂けませんか?」と書いた長文の手紙を送ってきたのです。仰天しました。

 彼は「あの女の本性というか、人間性の醜さを垣間見る様なちょっとした出来事があり、私の方から関係を絶ち切りました。上田は本当にひどい女です。」と訴えてきました。
 私は、手紙を売ろうと考えるようなさもしい根性の男にこんな仕打ちをされるあなたを気の毒に思いました。そして、こういうレベルの人間との付き合いに貴重な未決の時間を費やしているあなたを不憫に感じました。これが、私のあなたに対する今春までの印象です。

 さて、「週刊大衆」であなたが告白した「大反論」へのアンサーを記します。
 私が、自身の事件や裁判を取材、報道したライターについて手厳しく批判したことが、あなたは気になるのですね。
 「彼女は無能なフリーライターばかりだったとなげいているが、どこが基準なの?と思う。」とあなたは書かれました。
 私はあなたとは今まで読んできた書物の質と量が違うので、当然ながらあなたの基準とは全然違うでしょう。育ちや教養の問題ですから仕方ありません。下流社会で自分を卑下して生きている人には、見下されたと感じるのかもしれませんが、私が記したことは正当な批評です。

 「ルポライターの人だって、新聞、TV記者だって片手におにぎりを持ちほおばりながら真実を知ろうとしている人もいるんじゃないの?って思う。」という一文は意味がわかりません。記者がおにぎり食べてることと、記事の善し悪しとどういう関連性があるのでしょう?

 私があなたの弁護団について「優秀とは言えず」と書いたのは、法廷で真犯人を名指ししておきながら、その人物への証人尋問が甘く、主張が曖昧なまま尻すぼまりしたところ、被告人質問で突然黙秘に転じた理由を青木さんに問われ、あなたは弁護士に取材を申し込むよう提案し、青木さんから弁護人が取材に応じていないと教えられたこと、弁護人が最終弁論で冒頭陳述とはまったく違うことを話し、それを当たり前だと言い放ったことなど、理由を挙げればきりがありません。
 青木さんが指摘するように「大型刑事裁判の被告弁護にふさわしい技量を備えた弁護団ではなかった」というのは、正鵠を射ていると感じました。

 これに対するあなたの反論が「ハンバーガーで、安く栄養のない食事で、一日中面会を何度もしてくれたの知ってますか?」
 おにぎりの件と同様に、意味不明です。あなたは恐らく、一審の弁護人は安い物で済ませながらも頑張ってくれたと擁護しているつもりなのでしょうが、そんな物しか食べておらず健康管理もできていなかったと恥を晒しているだけですよ。
 そもそも優秀さを論じるのに、ハンバーガーを食べていることが関係ありますか?ファーストフードばかり食べているから優秀ではない、と言うのならわからないでもないですけれど。

 一日中面会して思いついた標語が「しまむらなくしてずぶ濡れなしっ。ずぶ濡れなくして殺害なし!」ってことなんですかね。

 私に対して「敵が違うんじゃない?」とおっしゃっていますが、私はあなたを敵だと思ったこともないし、闘うつもりもありません。
 私と比べられたくないと泣きながら「林さんとか風間さんとくらべられたいな~!!母として」という一文には驚きました。あなたは、林眞須美さんと、風間博子さんのことをよく知らないのでしょう。母としてあなたが2人に勝っているのは、子供の数だけです。死刑囚の子供として生きていく辛さを考えたら、母親としてこのテーマで語るのは避けた方が賢明だと思います。

 「こんな私とくらべられて悔しかったろうと思う。私も悔しかったから・・・・・・。」とありましたが、なぜ?
 私はそんなこと思ったことありませんよ。私はあなたが昨年11月、女性週刊誌の面会取材に対し、子供に関しては「迷惑をかけたくない」とかたくなに話を避けていたと聞き、感心しました。まさか、林さんや風間さんと比較されたいと思うようになっているとは残念です。

 反論の中で最も謎だったのが「私、差し入れは断りまくっているのに、彼女が受けているんだと思うと、スゴイな~って感心する」ってこと。何がスゴイの?なぜ差し入れを断っているの?

 どうして謎に感じたかと言うと、差し入れを受けている私を「うらやましいな」と思っていながら「断りまくっている」という矛盾が理解できないのです。しかも「全然余裕がなくて、本当に毎日がしんどくて、今もあんまり食事を取れなくて」という状態なんでしょ。美味しい物を差し入れてもらって元気つけなくちゃ!

 差し入れって応援だから、心にも体にも温かいエネルギーがチャージされるんです。美味しいな~幸せだな~ありがとうって感謝しながら食べていると、余裕がなくてしんどくても、乗り越えられるから。
 私だって毎日楽しいことばかりじゃないけれど、勾留生活5年で悔し涙を流したのは、初めて「誘蛾灯」を読んだときの1度きり。家族や支援者や記者の思いやりに感動して、嬉しくて泣いたことは何度かあるけれど、あなたのようにしょっちゅう泣きません。

 あなたより年下の私が言うのも何ですが、全然余裕がなくて本当に毎日がしんどいなんていうほど消耗した精神状態の時に取材を受けるのは、危険だと思います。結局取材者は、あなたから搾取しているんですよ。
 取材を受けるより、あなたのことを心から想ってくれる人との面会を大切にして、気持ちにゆとりを持てる生活を整えるのが先。3度の食事をしっかり食べること!まずはそこから。

 私もね、埼玉から東京の拘置所に移って、食が細くなったの。少し痩せたの。ほんのちょっぴりだけど。
 そうしたら、支援者に心配されて「ちゃんとメシ食ってるか?3度のメシをしっかり食わなきゃダメだぞ」って叱られたんです。ご飯食べたらお菓子を差し入れてやるから頑張れって言われたの。だから私は、高校球児になった気持ちで一生懸命ご飯を食べてね
 「ちゃんと朝も昼も夕食もご飯食べたよ~お菓子買って~早く会いに来て~」って電報打ちました。

 そうしたら彼はすぐに駆け付けて、バタークッキーやカスタードケーキ、キットカット、どら焼き、あんパン、マンゴーと桃の缶詰、りんごやみかん、私の好きそうな物をたくさん差し入れてくれたんです。
 感動しました。約束を守ってくれたことが何より嬉しかったのです。私の健康は、支援して下さっている人達が与えてくれたものだと思っています。

 松江はどうなのか知らないけれど、東京は外部の人だけが利用できる売店でしか扱っていない物がたくさんあるんですよ。もし松江が、自弁購入と差入れ品目が同じだとしても、自分で買った物より差入れされた物の方が美味しく感じて心も満たされるものだから、面会に来てくれた親しい人にリクエストすると良いですよ。
 ただし、メディア記者にそういうお願い事はしない方がいいと思います。代償を払う覚悟があれば別ですが、相手に支配されるリスクを伴うことは避けた方がいい、というのが私の考えです。弱みに付け込む人も多いと聞きますからね。

 ところであなたは、青木さんの活動をフォローしていないのでしょうか?私が嫉妬した青木さんとの件に「同じ東京なんだから会えるよ」と呑気なことを言ってるところを見ると、私が青木さんから嫌われていることをご存知ないのですね。
 青木さんは様々なメディアで、堂々と私を振ったんですよッ。私がどれほど傷ついたか、青木さんはわかっていないようです。青木さんが相手にしてくれない、という点で私はあなたに負けています。
 私より青木さんの書いたものを熟読していた日本人はいないと自負していますが、負け惜しみだと思われると悲しいので、最近はフォローしないよう心掛けています・・・。

 私は、上田さんにもブログをお勧めしたいのです。メディア取材を受けても、記事になるのは1割にも満たないでしょう?不本意な書き方をされることもあるんじゃないですか?ブログなら、あなたの思いをそのまま世間に発信できますよ。

 私たちは、支援者の会が紙の交流誌を発行する世代ではありません。インターネット全盛時代に冊子やビラでは、世論に太刀打ちできません。あなたもブログを始めたら、ネット上で私と情報交換することも可能です。同じ立場の女性被告は日本で2人しかいないのですから、私たちが語る意義は大きいと思います。

 あなたの支援体制がわからないのですが、ブログの運営は外部に信頼できる人が2~3人いれば出来ます。私は、現在の磐石な態勢を整えるのに半年かかりました。拘置所から被告人がブログで発信するノウハウはあるので、不明な点は尋ねて下さい。私は拘禁者同士の文通はしないと決めているので回答はブログ上になりますが、私にわかることはお伝えします。

 ブログ自体は、外で動ける支援者が1人いれば可能だけれど、複数いた方が安心です。パソコンに明るい人より、記事の内容に適確なアドバイスをしてくれる人、信用できる人であることの方が大切です。
 サイトの管理人が出張や旅行で留守にしたり、病気になった場合にも、複数いると手分けして更新を続けられますし、支援者の負担も減らせます。

 私はまだ、あなたの本当の姿を知りません。あなたの言葉は断片的なものでしか読んだことがないからです。
 複数の支援者に連携してもらうことで、正直に生きるトレーニングにもなりますから、チームを組んでブログを運営していくのは自分の成長にもつながりますよ。真面目に頑張っていれば、支援者も自ずと増えます。

 話は変わりますが「担当の先生と毎日、バトルしとる」ってところは林眞須美さんを彷彿とさせますが、いったいどんな理由でバトルするんでしょう?
 私は刑務官を先生と呼んだことは一度もありませんが、埼玉時代から担当職員とは円満です。いちばん長く接する現場職員との関係を良好に保つことで、生活の質が向上しますよ。

 あなたを救ってくれるのは、メディア記者ではありません。記者は仕事で動いているだけです。あなたがどうなろうと責任を取ってくれるわけではありません。あなたにも、支援者や友人がいますよね。不完全な心身で取材を受ける暇があるなら、あなたを信じている人たちに窮状を訴えて、サポートしてもらうべきです。
 自分の努力だけでは限界があります。定期的に面会して、あなたの変化を察し、アドバイスしてくれる友人を大切にしたほうが、絶対あなたの為になります。親身になって尽くしてくれる人の存在は宝ですよ。

 拘禁者と傷口を舐め合うような文通や、損得勘定をして付き合う記者との交流に重きを置いていると、きっと後悔する日がくるでしょう。そういう人たちは、いつか離れていきます。その時にあなたが感じる孤独や失望を考えると、同じ判決を受け上告中という立場の私は、あなたに声を掛けずにはいられないのです。
 見下しているとは捉えないで下さい。私もまだまだ成長段階で偉そうなことは言えません。支援者に叱られたり注意を受けることもよくあるし、納得できないことは徹底的に議論します。お互いに相手のことを丸ごと受け入れる心構えと信頼関係があるから、どんなことでも話します。彼らとの交流によって、気付かされること、学ぶことがたくさんあります。私たちのような立場の被告人にとって大切なのは、こういう人の存在だと、私は確信しています。

 もし、あなたに親友がいなければ、現在交流を持っている人の中からブログを開設してくれる協力者を選び、そこから同志を増やせば良いのです。

 あなたは、私のことを「知ってる」とか「気持ちもすごくわかる」と言っていますが、私はあなたのことを知らないし、わかりません。塀の外にいる人よりは多少想像ができるだけです。あなたも私の苦労を知ってるはずがないし、わかるわけがない。
 あなたの言葉は軽く、行動は体当たりで安売りし過ぎです。被告人としてその在り方は、心身をすり減らすだけだろうと案じています。あなたに元気を与えてくれる人、知見を広げてくれる人と仲良くなれたら、余裕と自信がついて冷静に対処できるようになりますよ。

 今は上告趣意書作成の真っ只中ですよね。あなたの弁護人が誰か知りませんが、国選なら、地方で暮らすあなたは2審までのような頻度で弁護士と接見する機会はないでしょう。その状態はとても心細いと思います。
 だからこそ、直接会える真の味方を作るべきなのです。あなたが会いたい、と思った時に駆け付けてくれる人がいるだけで、心穏やかに生活できますよ。その相手を報道関係者に求めるのはとても危ないと思います。無償で友情から尽くしてくれる人を選んだ方が安全です。
 誤解なきよう記しておきますが、私が交流のある2人の女性記者は大変優秀で心やさしく、尊敬に値する人物です。

 あなたのことを心の底から想い、応援してくれる運命の人と、ブログを通じて出会えるかもしれませんよ。私はブログを通じてかけがえのない人と巡り合えたからこそ、お勧めします。
 あなたとブログ仲間になれたら嬉しいです。

201481日記

This article was typed through the original manuscript of Miss Kanae Kijima, and updated in the United States on August 16, 2014.

 3月の控訴審判決から今まで40本近いブログ原稿を書いてきました。すべてが公開されるまでには少し時間がかかりそうなので、近況報告をします。

 これまでは支援者を通じてHP作成業者に報酬を支払い、タイプ(手書き原稿からワープロでの文字起こし)と更新を依頼してきました。これからは、純粋な支援者のみで運営します。業者がタイプした誤入力の多い過去記事も校正しました。

 私は、いくつかの支援チームを持っています。このブログの運営管理と「木嶋佳苗チャンネル」の制作と生活支援は、それぞれ別のチームが行っています。ブログは、刑事事件や死刑制度、人権の諸問題を提起し、塀の中の出来事を記録として残すことが趣旨です。コメント欄を開放するかは検討中ですが、双方向的なものにしたいと思っています。

 現在私は、拘置所の処遇を調べながら、被告人にとって理想の支援体制を模索しています。東京拘置所で生活したことのある方や現在収容されている人の支援をしている方、特に死刑確定者と外部交通権を持ち交流なさっている方から経験談を教えて頂けると嬉しいです。プライバシーに関わる情報は必ず秘匿いたします。
 支援チームに女性が1人もいないことで情報が偏りがちなのと、男性とのエピソードばかりになってしまうことから、女性メンバーもほしいなぁと思っている今日この頃です。

 6月に上告審の弁護人が3名選任され、趣意書を作成中。7月からは冷房が作動し、バニラアイスとかき氷が注文できるようになり、夏気分を満喫しています。
 この4ヶ月間は辛く悲しいことがたくさんありました。そんな時も、私を励まし、勇気づけ、笑わせてくれた支援チームの彼らを、私は敬愛しています。

 塀があっても、ここまで心のつながりを持てることを、その道程を綴っていきたいと思います。彼らの優しい想いに、行動に、私はいつも感動します。そして、たまに泣かされます。明日はきっと今日よりもっと幸せだろうと思える日々を送らせてもらっていることに感謝しています。

20147月21日記

 「年上のおじさま」を名乗る第三者によって、4月に書き込みがなされました。私や管理人が指示したことはなく、ログインすることも出来ず、記事の更新や削除が不可能な事態が続いておりました。
 4月に書き込まれた記事の内容は、事実ではありません。どのような経路でパスワードが漏洩し、誰が何の意図で虚偽の書き込みをしたのかは判明しています。4月の閉鎖告知記事により、読者の皆様に誤解を与え、ご心配をお掛けしたことをお詫び申し上げます。

 3月の控訴審判決以降もブログ原稿は書き続けており、不正アクセス犯とのやりとりも記しています。
 6月からドワンゴの「木嶋佳苗チャンネル」で自伝小説の連載を始めました。ブログも配信しますので、そちらも読んで頂けると嬉しいです。
 これまでの記事は、読み易く整えてアップデートし直しました。こちらでも近況をお伝えする予定です。これからもどうぞよろしくお願いします。

201478日記

 私がいるフロアの受刑者は、第2・第4木曜日は矯正指導日となっており、作業をしない。その代わり、課題が与えられるのだ。埼玉も同じだった。午前中に作文、午後はワークシートでお勉強。

 この作文には、毎回テーマが決められている。本日は「我慢することについて」。前回は「自分の修正すべきところ」。その前は「出会いについて」。さかのぼると「春の思い出」「卒業について」「人を頼りにすることについて」というタイトルで書くよう指示されていた。なかなか考えさせられるお題である。

 しかし、こんな作文書かせてしんみりさせるより、第4木曜は朝日新聞の論壇時評を読ませた方がよっぽど為になると思うなァ。今日の高橋源一郎さんのお写真も素敵だった。還暦過ぎて、デニムが似合うってカッコイイ!
 ロマンスグレーの無造作ヘアー。メガネの奥の優しい眼差し。木漏れ日と陰影の中で、柔らかいのに存在感のある佇まいでこちらを見つめている高橋さんに癒されます。彼の選ぶ言葉が心に染みます。

 早く来月の第4木曜にならないかなァ。

2014529日記

This article was typed through the original manuscript of Miss Kanae Kijima, and updated in the United States on September 9, 2014.

 パパ軍団のチームワークがやたら凄いのはなぜだろうと以前から気になっていた。具体的に実感するのは、差し入れがダブらないこと。おじさま軍団と何が違うのか気になり、支援メンバー間の連絡方法を訊いてみた。

 LINEのグループ機能を利用して、拘置所窓口や郵送で差し入れた物を伝え合っているということを手紙で知った。2009年からスーパーアナログ生活をしている私にとって、TwitterLINEは使ったことも見たこともないものである。
 未だに携帯電話を愛用しているおじさまとスマートフォンのパパとの違いが、初めてあらわになった。何てったって、おじさまの連絡手段はガラケーとFAXだから。時代はデジタル社会、ソーシャルメディア全盛、何事も合理化し効率性重視になっているらしい。勾留の身にある者を支援する人たちも、SNSを上手に利用している方が役立つのが現実です。スマホを板チョコ呼ばわりしていたパパが、LINEを使いこなしているとは意外だった。

 ある日、40代の彼がパパのLINE使いについて「既読の2文字しか打たないんだぜ」と苦笑いして言った。私は「律儀ねぇ」と感心した。
「え!?ここは笑うところだけど・・・」
「え?何が?パパは、メッセージを読みましたよーって返信してくるわけでしょう?」
「いや、そうなんだけど、既読マークって読めば自動的に表示されるわけ」
「えっ!そうなの!?知らなかった・・・『既読』ってメッセージを返信しないと既読スルーって言われると思ってたわ」
「・・・ちなみにずっと気になってたんだけどLINEのイントネーションも間違ってるからね。下がるんじゃなくて上がるの」
「え?英語のアクセントと違うの?」
LINE株式会社って日本の企業だから」
「椿や牡丹じゃなくてスミレや桜ってこと?」
「は?」
「イントネーションよ」
「あぁ、スミレ、サクラ、うんそうだね。佳苗さん、Twitterもアメリカンみたいなイントネーションで言うけど、違うからね」
「え~!?五葉松と一緒じゃないの?正しいツイッター教えて」
「ツイッター」
「サツマイモかぁ」
「サツマイモ・・・まぁそうだね」
「ボールペンと同じだ。ツイッター。ふうん。いいこと教わっちゃった。ありがとう。グループの会話って情報漏洩対策は万全なの?知らない人が覗けないようになってる?」
「うん。大丈夫だよ。心配いらない」
「チームのメンバーが一斉にオンラインで会話できるなんてチャットみたいだね」
LINEって無料チャットアプリだから・・・」彼の顔が引きつっていたのが忘れられません。
 私は、アナログ人間のおじさまを笑えなくなってまいりました。

2014528日記

This article was typed through the original manuscript of Miss Kanae Kijima, and updated in the United States on September 9, 2014.

 1月の給食アンケート調査と新聞閲覧に関するアンケート調査に続き、ラジオ放送のアンケート用紙が配布された。今までのアンケートは希望者のみ用紙をもらうスタイルだったが、今回は全員に配っていた。
 新聞アンケートは、購入新聞紙の選定の参考とするための調査で、日刊通常新聞は5紙(読売・朝日・日本経済・毎日・産経)、日刊特別新聞も5紙(日刊スポーツ・スポーツニッポン・サンケイスポーツ・スポーツ報知・デイリースポーツ)から選ぶというものだった。結果的に現在東京拘置所では、読売・朝日・日経・日刊スポーツ・スポニチから購読できる。

 ラジオのアンケートには、「今後のラジオ放送の番組表作成の参考とするための調査です。放送している38番組の中から聴きたい番組について○(まる)を、3番組以内で選び記入してください。」と書かれてあった。漢字のすべてにルビが振ってある。この文章に振り仮名が必要ということは、被収容者の識字率が低いのだろうか・・・
 それはともかく、私は東京拘置所のラジオ放送には常々不満を抱いていた。1週間に38番組って多過ぎでしょうよ。埼玉は9割方NHK1と地元密着のFMNACK5。毎日同じ時間に同じ帯番組が放送されていた。録音は一切なし。すべて生。私の裁判報道もそのまま流れた。

 東拘は、ワイド番組を最初から最後まで聴かせない。2時間のワイド番組を1時間ずつ別の局の番組に切り替えるっておかしいでしょ。しかも毎日違う帯番組を放送するという奇妙な構成。
 昼の1150分~1210分までは、録音・検閲された朝7時のNHKニュースが流れ、夜650分~75分には正午のニュースが突然流される。これも気に入らない。

 午前10時から30分間、NHKの歌謡スクランブルが流れる。これは前日の1時から放送された録音で、1時間番組の前半だけが流されるのだ。私はこれが鬱陶しくてたまらず、日中はラジオのヴォリュームコントローラーをOFFにしています。拘置所ではラジオで時間を確認する人が多いけれど、私は時計が見れるので、その点はラジオを切っても不自由しないのです。

 午後3時にも突然30分だけ、なぜかここは生放送が流れる。もちろん帯のワイド番組だ。夜の7時のいま、昼のニュースが流れておる。5分からTOKYO FMの「タイムライン」に切り替わる。最初の5分が聴けない。8時になると、ロックミュージックの「AOR」。この枠は先日までJ-WAVEの「ジャムザワールド」だった。1時間50分の番組なのに、9時には就寝の音楽に切り替わり、もやもやした。

 夏場所で白鵬が29度目の優勝を飾った。昨日までは5時~6時まで大相撲中継だった。場所中は毎日放送される。埼玉は開幕から14日間5時半~6時まで、千秋楽だけ5時から放送された。今日のアンケートで「大相撲の放送時間について、1つ選んでください」という設問に①午後5時から午後6時まで②午後5時半から午後6時まで③特になし、と選択肢があったので、埼玉では②の人が多かったのかもしれない。東京は①が多いのだろう。
 「週に何回プロ野球放送を聴きたいですか」という問いもあった。「何時から何時まで聴きたいですか」「好きな球団名を1つ記入してください」なんて細やかに尋ねてきた。「スポーツに関する主要な大会の放送で聴きたい番組を選択してください」というのもあった。オリンピック、ワールドカップ、日本シリーズ、マラソンなんてラジオで聴きたいかしらねぇ。試合途中で切り替わるのに。
 スポーツ番組に関して、特に女子は「全く聴きたくない」にチェックする人が多いのだけど、なにせ男子が9割の施設だからその意見が反映されることはないんだな。

 「現在放送している『番組予告』は必要ですか」という質問もあった。埼玉は番組表が紙で配布されていた。通常と大相撲とプロ野球シーズンの3パターン。ラジオ局の番組改編がない限り年中同じ。東拘は、毎日若い男性職員の声で「この後の放送番組をお知らせします」とアナウンスがあるのです。それほど放送内容がコロコロ変わるわけ。
 アンケート用紙には「現在、電波状況等の都合により、当所において放送しているラジオ局は、AM局:NHK1TBSラジオ、文化放送、FM局:NHK FM、東京FMJ-WAVEbay FMFM横浜、NACK5Inter FM10局となっています。」と書かれていたけれど、本当に満遍なく10局の番組が放送されるのです。落ち着かないよ!音楽中心のFMばかりじゃ疲れるわよ。

 放送全般についての要望、意見、感想、番組のリクエストなどを記入する自由筆記欄があった。ここは私と同じ不満を持っている小菅ヒルズの住人が記載してくれることを願いつつ、私はTBSラジオのお気に入り番組に3つ○(まる)をつけて提出した。しかし、TBSラジオって何でこうも面白いんだろう。

2014526日記

This article was typed through the original manuscript of Miss Kanae Kijima, and updated in the United States on September 9, 2014.

 死刑廃止国際条約の批准を求める「FORUM90」の会報誌VOL.13512日に拘置所に届き、閲覧に支障があると認められた部分について抹消又は削除することの同意を求められ、了承したものが23日に交付された。
 何の記事が抹消されたのか気になってページを繰ると、それはこのところ黒塗り続きの画像と同じものらしいとわかった。

 その画像が初めて抹消されたのは、1年前から講談社のサラリーマン向け週刊誌の「死ぬまでセックス」に競うごとく「死ぬほどSEX」と特集合戦している小学館の雑誌の314日号に掲載された記事だった。セックス描写じゃありませんよ。人権団体の会報誌にも載っているんですから。
 それは、大阪弁護士会のプロジェクトチームが1月に製作した2459秒のDVD。法律監修・永田憲史、法医学監修・ヴァルテル・ラブル。このDVDは大手マスコミの司法担当者や弁護士を対象に1度上映されたのだが、一般市民が自由に閲覧できる状態にはなっていなかった。ところが、フォーラム90主催で524日、文京区民センターにて初公開されるという告知が載っていた。その内容が黒塗りされての交付となった。このDVD画像は、どの資料でも抹消されるので検閲の要注意リストに入っていると思われます。

 さて本題に入りましょう。「死刑に直面する人たちとの交流を考えている皆さんへ。
 面会・文通を希望されている方(未決囚)を紹介します」という記事が気になっている。3月に福島みずほ参議院議員が、死刑判決が確定していない人たち20数名(12審で死刑判決を受け上訴中の方、2審で無期に減刑となりながら、なお検察により死刑を求め上告されている人を含む)にアンケートを取ったという。

 あっ!私にも届いた記憶がある。この極めて少ない母数に自分が入っているとは感慨深いが、国会議員宛のアンケートも一般の発信枠に入るので私は送る余裕がなかった。
 このアンケートで「被収容者の皆さんとの面会や文通などのボランティア活動を志す方々との交流について希望しますか」という問いに「希望します」と答えた人が何人もいたという。そこで「こうした交流の活動に参加を希望される方はいませんか。未決囚の方をご紹介したいと思います。」と、面会や文通相手の募集をしているわけです。

 「相手の方々は、まさに命のかかった裁判中なわけですから、事件についての立ち入った質問や、交流の内容をマスコミやブログなどに流すようなことは控えるなど、良識の範囲内で責任を負っていただかねばなりません」とあり、これは難しいよなぁと思った。

 死刑判決を下される裁判は、メディアで報道され、ネットでも話題になった事件ばかりである。その当事者の被告人との交流を内緒でするって結構な覚悟がいりますよ。家族や友人、支援者に恵まれている被告人はボランティアとの交流は希望しないだろうから、要するに孤独で暇な人が付き合ってくれる相手を求めているわけでしょう。

 私が懸念するのは、刺激のない寂しい日々を送っている被告人が、外部との交流によって傷つくことも増えるのではないかということ。勾留されている人間は、外部の人との接触や情報やモノに一喜一憂するものです。外部から入ってくるものが増えるほど、心を揺さぶられるのです。喜びや嬉しさにつながるものなら良いですが、困惑や不安、辛さや悲しみで心が乱されることもあります。

 そうした心理をわかった上で責任を持って関われる人がどれだけいるだろう。立ち入った質問ができない制約の中で交わす会話は虚しくないのだろうか。友情でも契約でもない関係で、どこまで深く長く付き合えるのだろう。その交流は楽しく実りあるものになるのだろうか。

 個人的に関心や好意のある人としか交流していない私でさえ、面倒なことがたびたび起こる。返信や面会の頻度だったり、些細な行き違いだったり・・・相手が好意を持ってくれている支援者だから私は甘えてしまうけれど、これがボランティア相手なら遠慮して言えないことも多いだろうなと思う。レンタルフレンドのような刹那的なものじゃなく、ぬくもりのある間柄になれたら、きっと被告人は生きる勇気が湧くでしょうし、ボランティアの人が被告人から学ぶこと、気付かされることも多いはず。死刑問題を考える契機にもなるでしょう。

 文通相手の方は、是非手紙に記念切手を同封してあげてほしい。美しい切手の効用は絶大です。東京拘置所に限って言えば、差入屋で扱っている便箋は自弁購入品より質が高いので封筒と一緒に差し入れてあげると喜ばれます。書き心地が全然違うから。ペンの滑りが良いので、手が疲れにくい。見た目も手触りも高級感があって気分が上がります。

 手紙に励まされることは事実ですが、可能であれば是非にも拘置所まで足を運んであげてほしい。面会より元気を与えられるものはありません。直接会わないとわからないことがきっとあるはず。拘置所の雰囲気、職員の活動、被告人の顔色、服装、話し方、佇まい。会わなければ決して感じることのできないものが得られます。被告人にとっても長文の手紙より、たった15分の面会で幸福な世界へさらってゆかれることがあるものです。手紙のフォローがあってのことですが、向かい合って話す時間はとても大切。
 拘置所まで来たなら、あなたが寄るべきは差入屋。相手が喜びそうなものを見繕ってあげましょう。2人の距離がぐっと縮まります。あなたのセンスや想いも伝わります。

 今日、季節限定の果物「甘夏みかん」の最終交付日だった。来週からはオレンジになるらしい。季節感のある差し入れは記憶に残ります。年下の彼に、「今の季節は甘夏なんだよ~」って伝えたら、郵便局のふるさと小包のパンフレットが1枚送られてきました。香川県産甘夏みかん、贈答用10 kg7900円。意図がわかりません。

 そして彼は面会に来て、私から「まさかゆうパックのギフトで甘夏の差し入れができるなんて思ってないわよね?あのパンフレットはどういうつもりなの?」と詰問され、それに気が動転したのか売店で甘夏を買い忘れて帰った。そのことを私からこてんぱんにとっちめられ、お気の毒でした。
 「私が今年甘夏を手に入れるチャンスは23日が最後だったのよッ。外で自由にお買い物できる人にはこの切なさがわからないのねッ。甘夏の差し入れを忘れるなんてひどいわッ」と散々文句を言ったわけです。まぁ、このくらい気心の知れた関係になるのが理想では、と書いたところで、彼と全然気心が通じ合っていないことに気付いてしまいました。

 これほど、塀の中と外にいる人とのコミュニケーションは難しいのです!

2014523日記

This article was typed through the original manuscript of Miss Kanae Kijima, and updated in the United States on September 9, 2014.

 ブログを始めてから、サポートスタッフになりたいという申し出が増えました。私はまだ、そういう人を支援チームに加えたことがありません。
 4月の不正アクセスによる書き込み被害を受けて、選考基準を明確にすべきだと思うようになりました。私の直感で選んだ人から広がっていったチームなので、改めて言葉にするのは案外難しいものです。

 私はメンバーと個別に手紙や面会で交流を深め、その人の得意分野を活かし、他の人に弱みを補ってもらうよう複数の人たちでサポート体制を組み立てている。それぞれの得手不得手を分析し、仕事や私生活の予定を聞き、スケジュールを立てるのも私の役目。面会スケジュールの打ち合わせは、主に電報でやりとりしてます。

 現在私の支援チームは30代から60代の男性のみで構成されています。彼らは多様な価値観を持っており、利害調整は結構大変です。彼らは私への関心と理解と共感を持ち、私を支えるという1点の理念でつながっています。チームのパフォーマンスを上げるために、女性メンバーもほしいのですが今のところ残念ながら適格者が見当たりません。

 有名事件の被告人や確定者には支援会があり、一人でも多くの方に入ってほしいと求めているようですが、私は自分が直接交流できる範囲の人たちで構成することにこだわっています。ですから必然的に、拘置所での面会が可能な平日の日中に小菅まで来訪できることが条件になります。
 少数精鋭なので一人にかかる負担は、他の支援会に比べると大きいでしょう。約束を守れる人、責任感のある人、私の表現活動に賛同し力添えしてくださる人であれば、年齢や性別は問いません。
 誰でも歓迎するわけではありませんが、条件を満たし、私と相性が良ければ、いつでも受け入れます。私は、裁判員裁判と死刑制度を含む日本の刑事司法の在り方と拘置所の処遇、そして理想的な支援について塀の中から世間の人たちに向けて発信したいと思っております。

 高飛車なようですが、チーム内の秘密保持と結束の堅さを第一に考えていますので、支援者を選抜することについてはご了承ください。Eメールでの申し出には応じません。正式なメンバーと認められるまでには、いくつかの関門があります。
 必要なのは、想像力と熱意とコミュニケーション能力です。現メンバーがそれらをすべて兼ね備えているかって?そうじゃないから私は困っているんですッ!けれど「運は一瞬、ご縁は一生」って聞きますからね。コミュ障気味の彼らとのんびりやってます。
 こうして私が愚痴を書いても、誰ひとり、俺のことじゃないと思っているのだろうとわかってしまうのが悲しいところですが、読者の皆様とも、ご縁を大切にさせて頂けますと喜びます。(島根風)

2014520日記

This article was typed through the original manuscript of Miss Kanae Kijima, and updated in the United States on September 9, 2014.

 留置場では「植物物語」という固形石鹸しか売っていなかった。埼玉の拘置所に移り、薬用石鹸ミューズと牛乳石鹸の無添加せっけんも買えるようになった。東京では「牛乳石鹸、よい石鹸」でおなじみ昭和3年発売の赤箱と青箱しか売っていない。赤が108円、青が86円なので、私は赤箱を買っている。なぜか知らないが、東拘では箱から出して交付されるので、説明書きが読めないのです。赤と青の違いは未だに謎。

 私の場合、下着とタオルハンカチを洗うのは香りの良い化粧石鹸を使っているが、洗濯用として埼玉ではミヨシマルセル、東京ではカネヨの「あおかく」という植物性、無香料、純石けん分98%の固形石鹸が売られている。私はこのあおかくを掃除と食器洗い用に買っている。拘置所が支給する液体洗剤は薄過ぎて役に立たないんです。しかも埼玉はなくなれば補充してくれたのに、東京は月末に1度だけと決まっている。この洗剤の質と量で、13度の食器洗いがきちんと出来るとは思えません。

 差し入れではラックスの化粧石けんが売っている。その名も「ビューティーソープ」。フレッシュフローラルの香り。成分に「ラベンダー花エキス」と書かれてあるこの石鹸の芳香は、アロマセラピーになってます。男女問わず、石鹸の差し入れは喜ばれると思うなぁ。

 そう言えば佐藤優さんは「化粧石鹸については、市販の石鹸よりも泡立ちがよく、手に優しい。使い残しを保釈のさいに持ち帰ろうとしたが、官給品なので認められないということで、あきらめた。」と書いていた。ん~これはどうかなぁ。拘置所で支給する石鹸は刑務所製なのだけど、御世辞にも質は良くない。

 刑務所の文化祭では、粉石けんが人気商品だと埼玉で聞いたことがある。埼玉では横浜刑務所製が使われていたけれど、麗子さんは「刑務所で作る物なんて安いだけよ」と言っていた。私は埼玉で掃除用に官給品の化粧石鹸を貰っていたけれど、これで顔や体を洗っていたら肌はボロボロになるに違いない、と思ったものです。
 麗子さんが私に官物の石鹸をくれるようになったのは、私が大量に石鹸を消費するのを見兼ねて「あなた、よくお掃除しているからこれ使っていいわよ」と言い、白い化粧石鹸を渡してくれたのがきっかけ。東京にいる今よりいっぱい使っていたからびっくりしたみたい。私が申し訳なく思っていたら「釈放や移送になった人が使っていた残り物がたくさんあるんだけど、これを使ってくれると助かるわ。遠慮しなくていいのよ、刑務所で作ってる物なんだから」と言われ、色んな形の石鹸をたくさんもらうことになったのです。
 こういう事は職員の胸三寸で決まるから、快適な拘置所ライフを送るには、職員との良好な関係の構築と維持にかかっていると言っても過言ではありません。仲良くなり過ぎると事故に繋がるので、適切な距離感を保つ匙加減が大切です。
 よく考えると、12年の11月に差し入れ請け負い業者が矯正協会から民間企業になり、ミヨシマルセルから東邦ウタマロ石鹸に変更されたことを思い出した。ウタマロは買う必要がなかったので値段は記録してないが、ミヨシマルセルは150円だった。あおかくは143円也。

 東京拘置所では、私物のない人に対し2週間ごとに半分の石鹸が支給されている。1個を半分に割るのはケーリさんの仕事。新聞紙を広げて、廊下で石鹸を切っている姿を見てびっくりしたことがある。結構な力仕事です。生のカボチャを包丁で切る感じで力を込めて大変そうだった。グレーの洗濯用石鹸と白い化粧石鹸を半分ずつ渡され、たとえ使い切っても2週間経過しないと新しい物は渡されない。私はこれを人権問題だと思っている。1ヶ月に1個の石鹸で清潔に保てるだろうか。官給品が市販の物より良質と感じるかはともかく、男性だって手や体を石鹸で洗うでしょう。月に1個じゃ足りないわよね?

 ちなみに自弁だと化粧石鹸は月に8個、洗濯石鹸は4個まで買える。差し入れは1度に2個まで。月に10個の石鹸を使う私はおかしいのだろうか。巷では、石鹸やシャンプーを使わないタモリ式が注目されているらしいけど、毎日ゆっくり入浴できるとしても手足や陰部には石鹸が必要ですよ。

 液体洗剤や液体ソープを使っている世間の人には、生活の全てを固形石鹸で取り計らうことが想像しにくいのかもしれない。拘置所の処遇を、こうした細かい事から改善していこうと考える人はいないのでしょうか。石鹸、ちり紙、寝具。まずはそこから。

2014514日記

This article was typed through the original manuscript of Miss Kanae Kijima, and updated in the United States on September 9, 2014.

 東京拘置所には給湯サービスがある。佐藤優さんの「獄中記」にはコーヒーの匂いが漂っているのだが、彼の時代はUCCザ・ブレンド117というカップが2つ付いたインスタントコーヒーが売られていたらしい。現在は40本入りのスティックタイプのものが660円で売られている。私は1度も買ったことはないが、よく売れている。クリープスティックは254円、スティックシュガーは113円、パルスイートが540円の別売り。

 私が愛飲しているのは、ココア。週に1度、10個まで注文できる。1個に紙カップが2つ付いているので、1週間に20杯飲める。けれど、給湯サービスは平日に10時と3時の2回、土日は10時だけ、いずれも一杯分と決まっているので温かいココアはMAXで週に12杯しか飲めないのだ。8杯分は牛乳を買って濃厚な冷たいココアを作っている。
 牛乳は週に30本まで買うことができる。牛乳券というチケットが交付され、朝にチケットを提出すると2日後の昼に冷蔵庫から出したての冷えた牛乳が届けられるというシステムです。明治の北海道牛乳。生乳100%使用成分無調整の常温保存可能品。1200 ml139 kcal51日に届いた牛乳の賞味期限は66日だった。

 ココアは森永ミルクココア。24gのココアパウダー2袋とマドラー2本付きで162円。1杯95 kcal。「120 ml熱湯を注ぎ、よくかき混ぜてください。」と書かれている。「おいしい飲み方」として「カップに1袋をいれ点線を目安に熱湯を注ぎ、よくかき混ぜてください。」とも書いてある。
 しかし、ケーリさんは明らかに点線を超えた量の熱湯を電気ポットから注ぐのだ。120 mlどころか180 mlは入れてるね。この紙カップに200 mlの牛乳が余裕で入ることから容量は大体わかる。

 薄いココアってまずいでしょう。そもそもお湯でココアを作るということ自体信じられないのだが、それはともかく自分で買った物なんだから美味しく飲みたいのに、ケーリさんに文句言うのも気が引けて、我慢しているこのストレスが悩みだった。ところが追い討ちをかけてココアの悩みが増えてしまった。森永ミルクココアが生産中止になり、UCC泡立つミルクココアに商品変更が決まったのだ。

 消費税増税でどの商品も軒並み値上がりする中で、131円という今までより30円以上安い価格設定。嫌な予感はしたけれど初回受付の57日に注文したものが今日12日に届いた。何と1袋17g入り。森永より7gも少ないよ。
 もうおわかりかと思いますが、ケーリさんは24gの時と同じ勢いで熱湯を注ぐものだから、薄くて薄くて。規定量より多過ぎるから、付属の紙スプーンが沈没してかき混ぜられないし。
 これはもう全て牛乳で作るべきか・・・勇気を出して「お湯少なめで」って言うべきか・・・というのが今の悩み。しかしお湯で飲むことを前提に作られた調整ココアだから、牛乳で溶かすとくどいんですよね。温かい飲み物の方がほっとするし。

 給湯の仕方は、高さ6 cmの幅広な黄色いプラスティックのコップを差し出され、その中に私がココアの紙コップを入れると、ケーリさんがお湯を注いでくれる。後ろから職員が「熱いので気をつけてくださ~い」と言う。私がお礼を言い、そっと紙カップをプラスティックのコップから取り出す。そしてマドラーでよくかき混ぜて、飲む。
 森永のカップは高さ9 cmで湯量の目安は6.5 cmに対し、UCC8 cmのカップに5 cmが適量ラインとなっています。ちなみに白湯を飲みたい、と言ってコップを差し出すのはNG。給湯は、インスタントコーヒーかココアパウダーか紅茶のティーバッグを買っている人だけが対象のサービスです。

 1杯の温かいコーヒーがいかに囚人の心情を左右するか、佐藤優さんの獄中記を読むとわかるはず。「土、日はコーヒータイムが1回になってしまうのが残念である。」「午後、気分転換のリズムをうまく作ることができない。」って深く共感します。私はココアか紅茶ですが。

 佐藤さんはコーヒーを飲むたび「ほんとうにおいしい。気分が落ち着く。」「コーヒーが心身を本当にリラックスさせました。」「至福のひとときです。」「幸せでした。」「コーヒーは本当によい気分転換になります。」「コーヒーを飲むことができるだけで十分幸せである。」とおっしゃっている。
 「これもいつでも自由に飲めるのであればこれ程有り難く感じないと思います。」とわかっているところに、佐藤さんの賢く冷静な面がよく出ている。

 自弁購入する商品より差し入れ売店で扱っている物の方が良質なのだから、もしやショコラティエが売ってるレベルのココアが差入屋にあるかも!と思い、私は数人にお願いした。手紙に「今度面会に来た時、お湯に溶かして作る飲み物の粉を差し入れて。」とリクエストした。「そういうのは見当たらなかったよ」「置いとらんね」「ないみたい」などと、残念な回答が続いている。

 年下のカントリーマアム君に面会室で「忘れないでね!」と確認したら「あっ、ジュースだよね。うん、わかってる」と言われた。彼にとってココアや紅茶はジュースなのかなぁ・・・と思いつつ「じゃ、またね」とお別れした。

 届いた差し入れは「ふりかけ」。全然わかってないし。ふりかけは飲み物じゃないでしょ!

2014512日記

This article was typed through the original manuscript of Miss Kanae Kijima, and updated in the United States on September 9, 2014.

 東京拘置所では、食事にパンが出るのは大抵土曜日の昼と決まっている。平成26年に初めてパン食が出たのは111日の昼だった。拘置所はどんな書類にも元号で記すことを強要するので、プライベートな文章では西暦を使うようにしているのだが、つい習慣で平成と書いてしまった・・・私はどんな原稿も一筆書きと決めているのでこのまま進めます。

 平成25年はブログの構想がなかったから記録していない。私は日記にも献立は書いていないので定かではないけれど、パン食は概ね土曜の昼だった。

 26年は510日現在、パン食が出たのは17回。そのうち、土曜の昼食だったのは15回。222日は、土曜の夕食にパンが出たのを今日まで忘れていた。確か去年の10月に、土曜ではなく日曜の昼食で11月には何度か日曜の夕食にパンが出てびっくりした記憶がある。その時の、土曜の昼のがっかり感といったらなかった。コッペパンを期待していた時に出された丼いっぱいのご飯に全く食欲が湧かずどんよりした。この気持ち、東拘収容者ならわかるんじゃないかナァ。

 510日の昼食に米飯が出た。この原稿、10日の夜に書いているのだが、ショックでどんなおかずが出たか覚えていない。あぁ、パンは明日の昼か夕に出るんだな、この暗い気持ちをアゲよう!と3時に石神さんの紅ずわいかに缶を開けてもらい、ジップロックコンテナに移して夕食を待った。カニの混ぜご飯を作ろうと思ったわけです。

 16時に夕食の配当が始まった。何とパン!カニご飯の予定を変更し、クリームシチューに一缶分のずわい蟹の身を投入。まぁ、美味しかったけれども。脳内イメージはカニの釜飯だったから、何か複雑な心境です。埼玉のように献立表を配布してくれると、こんなモヤモヤしなくて済むのにナァ。

 土曜の昼に「パンじゃないんですか?」って質問していた人が多数いた。やっぱり同じ不満を抱いているんだ。職員は「たまにズレることがあるのよ~」って答えていたけれども。

 東京拘置所の献立を作っている人に、この問題について是非考えて頂きたい。土曜の昼食にパンが出ない切なさについて。ついでにパン食の頻度の少なさについても考えて!改善して!熱望しています。

2014510日記

This article was typed through the original manuscript of Miss Kanae Kijima, and updated in the United States on September 9, 2014.

 石神さんが出張帰りに面会に来てくれた。GW前から約束していた予定だったので、待ち遠しくてたまらなかった。石神さんは、支援チームメンバーの中で私が唯一異性として意識している人です。とても好き。心から信頼しています。
 彼は一審の裁判員裁判を傍聴し、その後の成り行きをずっと気に掛けて下さっていました。支援者に対し異性としての感情を持ってしまったのは、私の弱さです。そのことで、チームの輪を乱すことになり自己嫌悪に陥りましたが、呆れつつもサポートし続けてくれる彼らに感謝しています。

 「石神さん」はニックネームです。東野圭吾さんの小説に登場する数学教師の名前。2年前、「貴女の石神になります」と言う手紙が届いた。私は新興宗教の勧誘だろうと思っていた。東京高裁の待合室で偶然手にした「容疑者Xの献身」を読み、震えた。

 「人は時に、健気に生きているだけで、誰かを救っていることがある。」

 こういうこと、現実にあるんです・・・「関われるだけでも幸せ」と思ってくれる人がいるんです・・・勿論、私の石神さんは正当な手段で関わっております、念の為。控訴棄却後、「本当に、身代わりが可能ならば、男性の私が代わってあげたい」と言って下さり、じーんと胸に迫りましてね。青木理さんに冷たくあしらわれ、支援者たちからもお説教され、落ち込んでいた時だったから余計に石神さんの言葉が嬉しくて。

 ブログの移行は彼が尽力してくれました。ちなみに「GENIUS」を買ってくれた年上の彼は石神さんです。ライブドアブログ読者に私から連絡したのは、アメリカ人のスー(*仮名)さんただ1人。彼も、こちらのブログ制作に協力して下さることになりました。東京とアメリカ在住の支援者が連携して発信する新バージョンの拘置所日記は、完成度の高いものになると思います。

 カントリーマアム君がチョコパイとキットカットを差し入れてくれた。キットカットが「カカオ感アップ!」したらしいけど、わからないなぁ。憲法記念日の特食にチョコパイが1個出たのですが、差し入れだと9個入りのParty Packが届くので、凄く贅沢な気分になります。みどりの日には白玉入りのお汁粉、こどもの日には柏餅、振り替え休日にはさつまいもと栗のタルトが出て、祝祭日は甘い物で寂しさを紛らわせろという官の魂胆がうかがわれます。
 石神さんが買ってくれた金色に輝く牛肉大和煮缶と蟹缶がやけに豪華で拝みたくなる美しさ。缶詰と言えば、カントリーマアム君、相変わらずサンヨーのパインアップル缶を買ってくれたよ。

 私はスーさんにまで「カントリーマアムの差し入れを佳苗さんが断るときの表現がオブラートに包み過ぎて非常にわかりにくいです。優しい年下の彼はきっと『佳苗さんは色々な理由でカントリーマアムが好きだけれども、他のも一緒に食べてみたいんだ!』と解釈します。当然でしょう。」と海の向こうから駄目出しされました。何とライブドアブログでコメント数が一番多かった記事が「カントリーマアム」でして、まさか読者にこんな曲解をされるとは思ってもみませんで。びっくりしました。カントリーマアム君の差し入れについては文句言わないよう努力しています。パインも美味しいし、チョコレートのお菓子も好きだし。

 そうそう、石神さんが変わったものを選んでくれた。小麦のパフを水飴ときな粉ともち米の衣で包み砂糖をまぶした「手づくり五家宝」という和菓子。熱いお茶にぴったり。石神さんは、ビスケット好きの私にオレオを買って下さり好感度が更にアップ!オレオにストロベリークリームバージョンがあるなんて知らなかった。オレオと言えば、ビターなチョコ風味のクッキーに白いクリームが挟んであるものとばかり思っておりました。オレオって去年の春に発売から100年を迎えた20世紀で1番売れたクッキーで、日本では発売から26年。あれは私が中学時代のことでした。当時私が毎日OREOを食べて太ったのはアメリカのせいだとスーさん宛の手紙に書いていたら、スーさんからのエアメールが届いた。消印の違う4通が同時に交付。何このオーバーペースは。

 「佳苗さんにとって私が運命の人かどうか、佳苗さんの心の中を覗く深層心理テストを行って占ってみましょう。」手紙で勝手に占い出しちゃったよ。この人、なにせ科学者だからちょっと変わってる。
 「佳苗さんは、私から初めて手紙を受け取った時のことを覚えていますか?その時佳苗さんは、私の姿が瞼にパッと浮かんできたはずです。ある素敵な音楽と共に・・・その音楽を覚えていますか?」いや~姿も音楽も全然心当たりないんですけど。

 「心に響く素敵な音楽です!よーく考えて思い出してください。えっ?ベートーベンの第九!? 違います!もっと素敵な心暖まる音楽です。目をつむって瞑想し、心を落ち着けて、よーく思い出してください(大事です!!)。佳苗さんの心に響いた運命の音楽とは如何に!?」もう何が何だかわかりません。

 「呼ばれて飛び出て、ジャ・ジャ・ジャ・ジャ-ン!!

 「佳苗さんが聴いたのはこの音楽でしたよね?この後私が現れたんですよね?心暖まる音楽ですねぇ!って言われても・・・私は拘置所でこんなアメリカ人に絡まれて幸福に過ごしています。

201457日記

This article was typed through the original manuscript of Miss Kanae Kijima, and updated in the United States on September 9, 2014.

 年下の彼と年上の彼が2人で面会に来た2日の夜、アナウンスが流れた。「冬季処遇として実施していた毛布の膝掛けについては、57日から使用できなくなりますので注意してください」
 東京拘置所の冬季処遇期間長過ぎじゃない?空調のある施設で春に膝掛けなんて必要ないのに。ところが5月になっても毛布を膝掛けに使っている人がいるのだ。なぜわかるのかと言うと、職員から「食事中は膝掛けはずしてね~」「毛布は体に巻いちゃダメよ~、膝に掛けるだけにしてね~」と注意されているのが聞こえるから。
食事するときに寝具の毛布を膝に掛けるって不衛生だと思うんだけど、毎日必ず何人も注意されている。埼玉でも同じことを注意されている人がたくさんいた。暖房のない埼玉ならわからないでもないけれど、拘置所の規則として食事の時間は膝掛け禁止になっている。これは、貸与している毛布を汚されると困るという理由によるもので、私物の毛布を使っている人には関係ない。ところが、私物の寝具を使っている人は食事中に毛布を使わないんだなぁ。

 拘置所が貸与する毛布は製造年度が書いてあり、何年も洗わないで使い回されるんです。麻袋と安物のカーペットを重ねたようなゴワゴワした茶色い毛布は、とても使う気になれません。寝具は、埼玉と東京拘置所で貸与されている物が全く同じ刑務所製。
 私は留置場から拘置所に移った時、寝具の汚なさに驚愕し、弁護士さんに「先生!母にッ母にすぐ連絡して布団と毛布を差し入れしてほしいと伝えて下さいッ」とお願いしたもの。
 母はすぐに羽毛布団と毛布に、枕と座布団まで送ってくれた。母が女神に思えました。真新しく暖かな布団にくるまって「お母さん、ありがとう」って唱えてました。接見禁止で自分から連絡できなかったから、感謝の念を送ってました。2009年に初めて留置場で冬を迎えた折に弁護士さんから面会室で「お母さんが留置場は寒くないかと心配されてました」と言われた時も感動した。あ~母親の存在って大きいなと思いました。

 埼玉では、毎年410日前後に冬季処遇が終わった。暖房のない埼玉が東京より冬季処遇の始まりが遅く終わりが早いってどういうことだろう。東京は、1年中毛布が3枚居室にあるけれど、埼玉は季節によって13枚と増減する。天候によって毛布の引き上げ時期は変わり、2011年は59日と23日、2012年は57日と64日、2013年は57日と63日に1枚ずつ減った。それ以降、11月上旬まで毛布の所持枚数は1枚になる。私は春になると毛布は全てクリーニングに出し、タオルケットを使っていた。

 東拘は、私物でも必ず毛布かタオルケットを3枚所持しなくてはならず、立夏を目前にどうしようか検討中。真夏に毛布は視界に入るだけで暑苦しいですからね。
 しかし東拘の寝具管理はひどい。これは人権侵害になると思う。私は2013730日から東京拘置所で生活しているのだが敷布団乾燥は920日と今年の317日の2度のみ。毛布の洗濯と掛布団干しは1度もない。信じられます?9ヶ月で2回だけですよ!
 埼玉は年間通して、天気の良い日は天日に干していた。庭の鉄棒に自分で干すの。太陽の日差しでふっかふかになった布団で寝る心地よさと言ったらもう。拘置所にいること忘れちゃうくらい気持ちが良かった。あの快感から遠ざかって10ヶ月目。

 私物は一切洗濯してくれないのは仕方ないとしても、布団乾燥って留置場でさえ月に1度は必ずあったよ。警察署では、業者が電気乾燥機でするから一応清潔に保たれている。拘置所の布団の何が不潔かって、カバーがないこと。官が貸与するシーツを使っている人は、2週間に1度しか洗ってもらえないし。それなのに皆、これに甘んじている。
2年半過ごした埼玉の女区で私物の布団を使っていたのは私1人だった。担当の麗子さんに訊いたら、布団を差し入れてもらった人は記憶にない、毛布やタオルケットをクリーニングに出すのはあなただけよ、と言われた。私の感覚がおかしいの?

 東拘では布団干しをするのはケーリさんで、各居室から集めた布団を台車に重ねて運んでいるのを見ると、官物しかないんです。私物の布団は1枚もなかった。カバーもつけず年に2度しか干さず、使い古されたどう考えても不衛生な布団を使わせるって人権問題じゃありませんか?経済的な事情や差し入れを頼めない人のことを考えると、これは拘置所サイドが改善すべき問題だと思います。

 埼玉の女区での布団干しの頻度は、天候より麗子さんの気分次第でした。「毎日干してあげたいのは山々なんだけど忙しくって~」と言ってました。すっごく晴天の日に「布団干し日和ですよ」って言ったら、私の布団だけ干してくれたこともあった。私が自分で担いで庭まで運ぶんですけどね。東拘はそんなサービス精神ゼロだから、布団を買い替えるしかなくてとても不経済。
 人権団体って色々あるけど、寝具問題に取り組んでいるという話は聞いたことがない。仮就寝を含めると、平日でも14時間は布団を敷いて過ごす拘置所において、寝具の質は重要です。暖房のない埼玉は布団で暖を取るため、冬季処遇に入ると平日は17時間、休日は23時間近く布団を敷いていることが出来るのです。
 東京拘置所でもほとんどの人が、夕方の5時になると布団を敷いています。寝具問題は改善されるべきと思うのですが。

 勾留されている人間は思考力が弱ってしまうので、何が正しいことなのか、何を求めるべきかわからないことが多い。あなたの身近な人が勾留されたら、まず寝具と衣類を差し入れてあげてほしい。清潔で質の良い物を身につけることで、心身が安定します。暑さや寒さに考慮して、機能性の高い物を選んであげてほしい。

 私は否認事件の被告人でありますが、拘置所生活で人間が更生するにはどのような支援が必要か、という観点から考え、塀の外の人たちに伝えていきたいと思っています。

201452日記

This article was typed through the original manuscript of Miss Kanae Kijima, and updated in the United States on September 9, 2014.

 東京拘置所で自弁購入できるパンは、全て山崎製パンのもの。食パンは「超芳醇」湯捏仕込み6枚入り。一枚163 kcal。埼玉では消費期限の4日前、東京では5日前の超芳醇が届く。3月までは205円だったが、消費税8 %の影響により4月から210円になった。栗入り高級つぶあんパンは115円から118円に、メロンパンは110円から113円、ジャム&マーガリンがサンドされたコッペパンの値段はあんパンと同じ。ソントンのジャムは一律に163円から167円に値上がりした。

 私が初めて山崎の菓子パンを食べたのは、千葉の留置場で。201012月のことだった。自弁で注文すると、週に2回近くのファミリーマートから届けられた。拘置所と違うのは食べる時間が一日30分と決められていたことだったけど、千葉ではリプトンのミルクティーも一緒に注文出来たので、この点では埼玉よりずっと良かった。

 千葉の留置管理下の女性職員たちはやけにフレンドリーで、連日朝から晩まで続く取り調べに「かわいそうねぇ。何もこんな時間まで呼び出さなくてもいいじゃないの。パンの消費期限は短いから食事のときにおやつを食べていいわよ。課長の許可はとってあるから大丈夫」と言って、居室にほとんどいない私に朝からミルクティーとメロンパンを食べるという贅沢をさせてくれました。留置場で食後にチョコレートやビスケットを食べられるなんて、まずないと思います。まぁ、警官が同情するほど苛酷な取り調べだったからですが。

 私が千葉の留置場で驚いたのは、女性警官が全員ヤマザキのパンを日常的に食べているということ。姦しい女警たちは、「そのコッペパンは超ロングセラー商品よ」「ランチパックやナイススティックも知らないの?5個入りの薄皮粒あんパンも?」「食パンと言えば山崎のダブルソフトですね」「パスコの超熟もいいけどやっぱり山崎の超芳醇よ」「山崎と言えばサンロイヤルよねぇ」という会話を私の部屋の前で延々としておった。
春のパン祭りで集めた白い皿を何枚持っているかという話に至っては、私には何のことかさっぱりわからなかった。

 流通パンに疎い私は、山崎製パンが大手メーカーという認識もなく30余年生きてきたわけですが、そんなに有名なのでしょうか。超芳醇は開封後1日しか美味しさが持ちません。2日目の味の落ち方が半端じゃないのです。これは普通なのかしら。
 塀の中ではトースターなんて利器はありませんから、焼かずに食べます。自由に物を買える人が好んで選ぶ食品を塀の中で購入できることはある意味幸せですが、トーストしないで食べられる期間は1日って短くない?

2014428日記

This article was typed through the original manuscript of Miss Kanae Kijima, and updated in the United States on September 9, 2014.

 私が朝日新聞を購読している理由の半分は、毎週日曜2面に掲載されるコラム「日曜に想う」と毎月最終木曜掲載の論壇時評を読むためです。
 論壇時評を書いている高橋源一郎さんの近影をとても楽しみにしています。記事で取り上げられた本やネット情報も参考にしています。筆者が高橋さんでなくなったら読まなくなる気がするほどのお気に入り。

 それに輪をかけて気に入っているのが「日曜に想う」。このコラムは4月まで4人の記者が交代で書いていた。特別編集委員と論説主幹という肩書きの男性たちだ。私はこの中の1人、山中季広さんの大ファンです。初めて彼を知ったのは、東京社会部長として書いていた「ザ・コラム」だった。それ以来、新聞が届くとまずは彼の署名記事を探すようになった。彼の書く記事は、とてつもなく面白い。必ず私の知らないことが書かれている。題材は毎回異なり、色んな国に出張して集めた情報は、今まで読んだことのないニュースばかりでいつも驚かされるのだ。ソーシャルメディア全盛の時代に新聞が存在する意味は、彼のような記者が支えているのだと思う。

 香港赴任中の特別編集委員である彼は「特派員メモ」を書くこともあるのだが、必ず載るのは「日曜に想う」。このコラムが4月からリニューアルした。今月から「3人が担当します。」と告知があった4月の1週目、トップバッターは山中さんだった。ということは、4月の4週目も彼の記事が読める。朗報、のはずだった。「コラムの装いも少し変えました。」という一文がなければ。
 何と「装い」の変化で記者の写真が消えたのだ。1月のコラムで山中さんは話題のグーグルグラスを一足お先に米国で試してきたことを取り上げ「着けた雰囲気は当欄右上の写真をご覧ください。」と書いていた。そうなんです。このコラムの右上にはいつも記者の写真が載っていたのです。

 山中さんは、特にハンサムだとか私の好きなタイプのルックスというわけじゃないけれど、写真があるとないのじゃ大違い。高橋源一郎さんの近影同様、眺めるだけで幸せな気持ちになる。筆者の写真はそういう感情を読者に与えていることを朝日新聞の偉い人はわかっていないんじゃなかろうか。

 「日曜に想う」のリニューアルを残念に思いつつ、波立つ南シナ海を機内から見下ろしドラえもんの姿を探し続けた山中さんのお顔を想像してポーッとなった日曜の午前10時。ケーリさんがお湯を注いでくれたミルクココアを飲みながら、「日曜に想う」を5回読みました。

2014427日記

This article was typed through the original manuscript of Miss Kanae Kijima, and updated in the United States on September 9, 2014.

 私がブログで「雑役さん」と書いている懲役女性は、「衛生係」という役目の人たちです。堀江貴文さんや鈴木宗男さんが刑務所でついていたお仕事としても有名になりましたよね。
 拘置所では、食事を配ったり、受刑者の洗濯物を管理したり、懲役判決が確定して刑務所への移送を内職しながら待っている受刑者に作業の材料を用意したり、出来高を集計したり、自弁購入品を配る手伝いをしたり、掃除やバリカン散髪、給湯、開缶もする。13回配る熱い番茶を淹れるのも彼女たちの仕事。

 ラーメンスープを作るような巨大な銀色の寸胴鍋にお茶パックを入れて用意するのですが、ヤケドしそうな熱いお茶を長い木の柄がついたひしゃくで、プラスティック容器に数十室も注いで回るのは大変な作業です。お茶は食事の前に配られるのですが、東京拘置所は真夏でも熱いお茶を出すので暑い時期はきつそう。
 「お茶用タッパーポット」と呼ばれる容器を満たすまでひしゃくで注ぐ回数と部屋数に3を掛けると数百回になるわけで、刑務官に見張られ、巨大鍋を2つ載せた台車を押しながら迅速かつ丁寧な作業を求められるお茶の配当は、結構過酷だと思います。

 現場では彼女たちのことを「ケーリさん」と呼ぶことを東拘に来て初めて知りました。埼玉の担当だった麗子さんは「昭和の東拘では衛生係なんて呼んでいなかったわ。雑役よ」と言っていたので、私もブログで気軽に雑役と書いてきたのですが、これからは「ケーリさん」と呼ぶことにします。
 小説の校正でゲラに出版社からのチェックが入った多くが、差別的表現なので違う言葉にしてください、という指摘だったことで、もしかして「雑役」もその類に入るのかも?と思った次第です。
 ケーリさんは桃色の作業服を着て、腰には鮮やかな黄色のエプロン、頭には共布のスカーフを三角に折って髪を束ね、きびきび働きます。正直言って、罪を犯した人とは思えない、普通より真面目な人ばかり。今月は大幅にメンバーチェンジがあり、新ケーリさんが増えました。
 初対面の時には必ず「あっ木嶋佳苗だっ!」という顔をされますが、私と直接会話はできません。視線を合わせることも禁止されているように感じます。例えば、私が居室から面会室まで歩いている途中でケーリさんに会うと、彼女たちはサッと壁を向きます。私が廊下を通り過ぎるまで直立不動の姿勢を崩しません。

 ケーリさんは朝の7時過ぎには我が棟に出勤し、445分に夕食の空下げと廊下のモップ掛けが終わると「今日も一日ありがとうございました。おやすみなさい。失礼します。」と言って、自分たちの居室がある棟に戻って行く。一日中監視されながら、強制的に「ありがとうございました」「すみません」と言い続けて働くのって物凄いストレスだろうけど、我が棟のケーリさんたちは、本当にいい笑顔を見せるんです。
 私のヘアカットをしてくれた天海祐希似の長身ケーリさんに、ありがとうってお礼を言ったらにっこり笑ってくれて、私はなぜか泣きそうになった。あのケーリさんがいなくなってとても寂しい。埼玉の麗子さんのことを思い出す時と同じ気持ちになっている自分に驚いている。

2014425日記

This article was typed through the original manuscript of Miss Kanae Kijima, and updated in the United States on September 9, 2014.

 文春新書の「サバイバル宗教論」を呼んだ。佐藤優さんの著作である。
 このところ多忙でして、送ってくださった方にお礼状も出せず失礼しています。
 読みました。お心遣いありがとうございます。

 禅宗寺院として有名な京都・相国寺派の僧侶100人を前に語り下した講義録なのだが、同志社大の神学部で学んだプロテスタントのクリスチャンである佐藤さんがお寺で話をすること自体画期的でしょ。

「前科一犯の佐藤優です。よろしくお願いします」という挨拶から始まるのですが、お坊さんたち、クスリとも笑わなかったと思う。佐藤先生のお話は無茶苦茶面白いんですよ。しかし、一般人が聞いたら爆笑するところでも、厳しい修行を積んだお坊さんはぴくりともしないんでしょうね。そういう空気感のある講義です。
 質疑応答でお坊さんが問う内容に驚きました。宗教の自立に自覚的で国際情勢や現実問題にも意識が高い宗派らしい。論壇誌をしっかり読む習慣がある匂いがします。
 既成宗教を今日学ぶ意味を、現代の様々な危機は第一次大戦以来の啓蒙主義の危機の反復であると考えた時、既成宗教の内側と外側の世界の橋渡しとして役立つ一冊。

 神様の話はともかく、この本で何と、東京拘置所の食事の話題が出ていました。
「実は、拘置所の食べ物はおいしいのです」と禅僧に話してる。脱税で捕まった野村沙知代さんと「なかなかおいしいわね」とか「食べ物は悪くないわね」という話で盛り上がるというのです。
 民間企業が運営に参加している栃木の喜連川社会復帰促進センターで服役していた鈴木宗男さんも「東京拘置所のほうが食い物うまいぞ」と言うんですって。

 佐藤さんが「土日は、面会などの時間がないので囚人のストレスがたまりますから、甘いものとかおかずが一つ多い。そうすると、土日はなんとなく楽しい」とおっしゃっていた。

 私はそんな風に考えたことがなくて、ちょうど日曜の午後にこれを書いているのでこの2日間の食事を振り返ると確かに、プリン、冷製りんごのシロップ煮、さつま芋の甘煮、温かいスープのような甘い金時豆、ピーナツペースト、ホイップクリームと苺ジャム入りオムレットケーキといった甘い物が出たし、おかずも1品多かった。

 この献立は、本当に面会が出来ないストレスを考慮してのことなのだろうか。埼玉の拘置所にそういう配慮はなかったけれど。パン食は平日しか出なかったし。東拘では平日にも甘い物はよく出るし、1品多い日は週末に限ったことではない。この10年で進化しているということだろうか。

 府中刑務所に服役していた人が手紙で、パン食は週4回、夕食に出たと教えてくれた。それでも受刑者アンケートではパン食が少ないという意見の方が多かったという。規模は東京拘置所とほぼ同じなのに、この差はなんなのだ。
 私は週4で府中のコッペパンが出されたら食事の不満はなくなるね。

 佐藤さんが連載している雑誌を一通り集めたら、袋とじには「伝説の裏ビデオ50選 無修整AVの禁断シーンを全て見せます!」、紙面の半分は風俗とAV情報という1冊があり、私は「ニッポン有事!」を読みたいだけなんです・・・と心の中で言い訳しながら袋とじを定規で開けました。
 そんな頁は見てない素振りで阪神タイガースファンの彼に「我が心のプレイヤーアンケートで最強助っ人の1位がランディー・バースだったんだけど、助っ人部門にランクインしてる外国人選手って皆太ってるわよね」と言ったら、神様に何てこと言うんだ、バース様に失礼だと叱られた・・・。

 思わぬところに神様が。

2014420日記

This article was updated in the United States on September 9, 2014.

 事の発端は、青木理さんの言動だった。

 支援チームの彼らは、青木さんが様々なメディアで私に対し興味がない、全く食指が動かない、面会の提案はその気になれないと発言していることにいきり立っていた。
 そもそも私は「誘蛾灯」で青木さんに「全く興味をそそられない」と書かれた人間ですから、ブログも彼のアンテナに引っ掛かるとは思っていなかった。

 私は、日本の刑事司法の報道において彼がジャーナリストとして堅持している姿勢と著書の面白さを素晴らしいと評価しただけなのに、私が異性だからか予想もしなかった方向でマスコミを賑わせる形となってしまった。
 私は熱いラブコールを送り、猛アプローチしたが、青木さんに断られ失恋したことになっているらしい。実際のところ、私は彼に手紙を送ろうと思ったことはないし、誰かに面会のセッテイングを依頼したこともないのだけれども。

 控訴審判決後、私の支援者たちは激怒した。青木さんが傍聴に来たことに、である。

 興味がないという事件の裁判をなぜ傍聴するのか。

 被告人が自分に好意を持っていることはマスコミでも話題になっており、自分が姿を見せれば取材されるであろうことがわかっているのに、のこのこ現れ、否認事件で極刑を下された被告人を貶めるようなコメントをすることが信じ難い。

 拘置所に勾留されている被告人の心情を全く理解していない。

 青木氏のコメントを知った佳苗さんが自殺したらどうしてくれるんだッ!許せんッ!

 と声を荒げる人もいて、私は控訴棄却からの1ヶ月以上、彼らとの諍いに疲弊した。

 上告審の弁護団をどうすべきかという重大なテーマと共に青木さん問題にケリがつくまで1ヶ月以上かかってしまった。

 2審判決前にも、ちょっとしたいざこざはあった。私がブログで青木さんのことを「褒め過ぎ」だと注意されたのだ。
 ブログのパソコン入力は外部に委託しているが、編集は一切頼んでいない。タイプミスはもどかしい問題だが、文責はすべて私にある。
 彼らはまだ世間にブログの存在を知られていない時期に、削除した方が良いと思われる箇所をいくつか私に指摘した。私はある一文だけ削除に応じた。

 この一文を削除したことを青木さんが気付いていたと、ある出版社経由で教わり削除の意図を尋ねられ驚いた。興味がない人のブログを2度も見る?

 それはともかく、彼らは私の心情に差し障りがあるからと青木さんがコラムを書いている雑誌やインタビュー記事のプリントなどの差し入れを止めてしまった。
 これが諍いのきっかけで

「そんな制限をされたら私は正しい視座を持てなくなる」
「あんな三流ジャーナリストのことは考えない方がいい」
「彼が三流かどうか判断する材料を与えてほしい」
「見聞きする価値のない情報もある」
「このブログを開設するきっかけになった青木さんの情報は今後もフォローしたい」
「青木氏は佳苗さんが思ってるほど男前じゃないよ」
「は?私は青木さんのことをカッコイイとは思ってませんけど」
「そうなの?テレビや週刊誌じゃ佳苗さんはイケメンジャーナリストに恋してることになってるよ」
「はぁ・・・私は容姿だけで好きになったりしませんよ」

 と大議論。

 トップの判断で青木さん情報を差し止められたのに年下の彼に頼み内緒で雑誌を郵送してもらったことがバレて、もう大変な事態に。ブログの更新までストップして一悶着ありました。
 私はもう「嘘をつくための特別な独立器官」が退化したので、隠し事も下手になってしまった。

 誤解をとく為に、私が青木さんを知った経緯を話した。

 「12年の初夏のことなんですけど、知り合いが、死刑事件を多く請け負う弁護士のドキュメンタリー映画のパンフレットを送ってくれたんです。そこに『抵抗の土嚢』っていうタイトルで寄稿されていた文章で初めて青木さんを知ったんですよ。本当に読ませる文章で、こんな考えを持ったジャーナリストがいるのかとびっくりした。今でも覚えているんですけど

 『うんざりするような事件報道の洪水の前に少しでも抵抗の土嚢が積まれることを望む』

 と書いてあったんです。私がブログを書くのは、抵抗の土嚢を積む行為だと思っていることを理解してほしい」

 彼らは一応納得してくれた。

 それから届いた青木さんのコラムに「ブログに綴られた軽口の文章」と書いてあるのを読み、パパの懸念も一理あるな、と思ったね。泣きそうになったもの。
 土嚢のつもりが軽口扱いされているなんて。こうして書くことも未練がましいと思われるんでしょうな。パパの言うこと、正しかったよ~。私、青木さんの言葉に落ち込んじゃったよ~。

 揉め事の真っ只中に知り合ったアメリカ人から「Dear Miss. Kanae Kijima,」から始まり「Your friend,」と手書きサインで終わるエアメールが届くたび、癒された。
 英和辞典の差し入れを頼んだ年上の彼が「和英辞典も必要でしょう」と言ってくれた優しさにも感動した。何と彼はロサンゼルスでの勤務経験があるというではないか。

 やっぱり男性は複数キープしておくべき!

2014417日記

This article was updated in the United States on September 9, 2014.

このページのトップヘ