今年から各種申請用紙の書式が変わり、差入業者が2店あることが判明。私は今まで差し入れ物品の交付受領指印を押す時に、名前と筆跡しか見ていなかった。もしかしたら去年も売店名が表記されていたのかもしれないが、私は先月まで気付かなかった。

 拘置所内にある店が「両全会」。門の外にある東拘指定業者の店が「池田屋」らしい。私に差し入れして下さるほとんどの人が、両全会を利用している。おじさまだけは、なぜか絶対池田屋。
 年下の彼がまたもやカントリーマアムを差し入れてきた。羊羹と大福と共に。もう「餡こ」の事、忘れてくれないかなぁ・・・

 おじさまは、私の好きな桃缶を買ってくれた。サンヨーの国産白桃2つ割り缶詰。彼は優しい気配りの人であるからして、差し入れのチョイスが素晴らしい。昨日はちり紙と石鹼も買ってくれた。
 ちり紙と石鹼は、拘置所生活の必需品。拘置所では、今も昔も、ちり紙と固形石鹸しか売っていない。ティッシュペーパーや液体ボディーソープなんてありません。埼玉では、ちり紙は1種類しか売っていなかった。東京ではちり紙に上と下があるのだ。上は200枚で130円、高さ3cm。下は330枚で105円、高さはおよそ13cm。女子の未決者は週に4袋まで自弁で買える。ちなみに男子は2袋まで。自弁で買わない、あるいは買えない人には官物が支給されるのだが、130枚、と決まっている。女子が130枚のちり紙で過ごすのは大変です。しかも、無料の官給品ちり紙は、自弁購入する物よりかなり質が劣ります。官物ちり紙は、下の下みたいな粗悪品。

 最近世間ではめっきり見かけなくなりましたが、私の幼い頃は家庭のトイレにちり紙が置いてありました。ちり紙とトイレットペーパーの出荷量が逆転するのは1977年。和式と洋式トイレの出荷数が逆転する時期と符合する、という話を新聞で読んだ記憶がある。79年にはティッシュペーパーに抜かれ、家庭用衛生用紙の24%だったちり紙シェアが2002年には2%になったとか。
 介護やペットの排泄物処理に今でもちり紙を使うのは知っていたけれど、全国の拘置所と刑務所でこんなに需要があるとは思わなかった。ちなみに留置場は、埼玉と東京はちり紙で千葉はトイレットペーパーでした。埼玉と千葉は無料で、東京は有料。警視庁は所持金があると、購入を強要するのです。東拘の中にある差入屋のちり紙は、王子ネピアの1800枚入り、高さ12cm。私はこれしか差し入れられたことがないけれど、他の人の交付物で違う種類も見たことがある。

 私は上と下の両方を持ち、使い分けています。食器を洗う前に汚れを拭いたり、掃除に使うのは下ちり。肌に直接触れる用途には上ちり。差し入れて下さった人の名前を書いた付箋を貼り、目的別に35枚ずつ2つ折にして保管。1袋を何日で使い切ったかノートに記録。全国友の会の主婦みたいな几帳面さで、私の部屋は整然としております。
 ちり紙を折る際には、手が乾燥しないように、白い綿手袋をはめている。女たるもの、いつまでも手足はふっくらすべすべでありたい、と拘置所でも手足のケアは欠かさない。アロエ化粧水を小まめにつけるだけですが。

 年上の男性からの差し入れで、さきイカが届いた。確かに私は、「甘い物だけじゃなくて、しょっぱい物も食べたいなぁ」と伝えた。「スナック菓子は食べないから、お煎餅みたいな物が良いなぁ」とも言った。それなのに、彼が選んだのは珍味の「さきイカ」。東拘の独房が、カーセックス後の車内みたいな匂いになっちゃったよ~。これは何とかせねばと窓を全開にして、雨水も過ぎたとは言え、2週続けて大雪が降った寒い東京の冷たい外気を部屋に入れて、換気をしました。そして、年下の男性から届いたグリコのクラッシュポッキーとカステラで、お口直しとイカの匂い消し。

 今週は、差し入れに恵まれて毎日大喜び。心から嬉しい私の好物がたくさん届いた。りんごやみかん、レトルトパウチのさんま蒲焼きや缶入りコーンビーフなんて物まで。差し入れに来て下さった人たちは、全員男性だった。
 私は先月、ある食べ物を差し入れて下さった男性に感動し、「愛情が芽生えてきそうです。」と、血迷った御礼状を送りました。何と彼は、今日再び、同じ物を差し入れて下さった。その食べ物が何であるかは、また別の機会に。
 嗚呼!なんて幸福。男性礼讃。

2014220日記