留置場ではブラジャーを着けて過ごせない規則がある。紐状の物は全て危険物。スポーツブラさえ許さないのが留置場。拘置所に移って嬉しかったのは、ブラジャーが着けられるようになったこと。ワイヤーとパッドが入っていない物しか許可されないが、昨今はオシャレで着け心地のよい高品質なノンワイヤーブラが売っているので助かります。

 私は「アーブラ」のMサイズを愛用中。胸の小さな私にLサイズは大き過ぎた。返品するのが面倒だったので夜寝る時にLサイズを着け、朝Mサイズに着替えています。ピンク色かミント色に黒を重ね着するのが好き。ワイヤーなし、タグもホックもなし、フィット感と伸縮性抜群、ノーブラでいるより楽という秀逸ブラジャーを「朝日新聞」と「女性自身」の広告で見つけまして、これも何かの縁と思い拘置所ではアーブラ一筋です。

 写真にある黄色のブラジャーはワイヤーもホックもついています。フランス製。これは、埼玉の留置場にいる時の公判前整理手続に出頭した際に着けたもの。留置場では、裁判所に出廷する時だけブラジャーの着用が認められているのです。
 201010月の公判前整理手続で、初めてさいたま地裁のつるっ禿裁判長に会いました。当時の主任検察官は恫喝嘘泣き男ではなく、白髪の目立つ暗いおばさんでした。私が東京や千葉を転々としている間に彼女も転勤になり、男性検事に交代したのです。
 この公判前整理手続は過熱報道の真っ只中で、期日を知ったメディアが非公開の手続で傍聴できないにも関わらず護送中の私を撮影するために警察署を取り囲む騒ぎとなり、914日の開催が108日に変更され非公表で行われた。

 この法廷で書面を読み上げた1審の主任弁護人の声が、私の皮膚と足元から震動してくるのには驚いた。初めて生でオペラを観劇した時の感動がよみがえった。音が空気を振動させ鼓膜に届いて伝わってくるのと同時に体を揺さぶる風格のある声。この人が、奇跡的な無臭の50代ロイヤーです。

 鞄には携帯用の歯磨きセットが入っており、ミネラルウォーターのペットボトルをいつも持参。おしぼりが出されたら耳の裏までしっかり拭きそうなタイプです。男としての現役感がむんむんします。コーチのレザーバッグが似合うニューヨークのビジネスマンのような彼は、いつも仕立ての良いスーツを着ています。ブルックスブラザーズのスーツを着ている日は特にドキドキします。接見室ではネクタイをしていません。第一ボタンを外したブルーのシャツがよく似合う。腕を曲げても、ジャケットの袖口からシャツが見える長めの袖丈がとてもエレガントでドレッシーな印象を与える粋な着こなしをする男性です。話をしているうちに熱くなるとジャケットを脱ぎ、内側を表にしてテーブルにふわりと置く。私はちゃっかり裏地に縫い付けられたタグを見る。奥様がセンスの良い人なのかも。

 1審の副主任は、ちょっとオシャレな公務員みたいなスーツを着ています。裁判員裁判対象事件の刑事弁護しか引き受けないお金儲け精神ゼロの人なのにスマートな装いをしています。私が拘置所に移管され、「先生!拘置所はブラジャーを着けられるんですよ!」と接見に来た彼に感動を伝えると、「えっ!今までブラジャーしてなかったの?」と返されあんぐり。取り調べ中は毎日会って、もう何百時間話したかわからないレオ・ヌッチ張りのバリトンヴォイスを持つダンディーな彼は、私のおっぱい事情に全く関心なし。私のおっぱい見ていない。どれだけ真面目なんですか。普通、男の人なら女子の胸に視線が行くものでしょうよ。
 この弁護士さん、私が「10畳の部屋に1人で入っているんですよ」って伝えた時も、「それは広いの?」って訊き返してきたんですよね。私は警視庁と埼玉の拘置所で10畳以上ある雑居用の大部屋を1人で使っていてそれはとても珍しいことなのに、弁護士さんたちにはこの喜びがあまりわからなかったらしい。

 ブログに写真がないのは寂しい、ということで、拘置所に領置されている私物を宅下げし、このようにご覧に入れることができるようになりました。(この画像は現在削除されています)「宅下げ」とは、外部の人に私物を交付する手続きで、施設の窓口で受け取ってもらうか郵送かを選べます。
 東京拘置所では、面会した人しか窓口で宅下げ物品を受け取ることができません。接禁に付されている場合、処遇や運用は変わります。面会後に立会職員から宅下げ証明書を発行してもらい、1階の窓口で宅下げ済みの物を交付されるシステムになっています。郵送に必要なゆうパックの袋や箱、送料は自己負担です。着払いは不可。
 私は衣類を買ってもらう際に今のボディーサイズの目安として、現在着ている服を渡したり、季節ごとの衣替えやクリーニングを頼む時に宅下げしています。東拘に移って以来宅下げの受取人は全員男性ですが、私はキレイ好きで清潔第一に暮らしているから、今のところ使用済み衣類の匂いに苦情はありません。
 「全然汚れてないけど何回着たの?いい匂いがしたよ」と言われ、えっ!クンクン嗅いでるの!?と微妙な気持ちになったりしますが、仕方ないわよね。私が逆の立場なら、やっぱり鼻をひくひくさせちゃうと思うもの。勾留中の洗濯事情については、別の項で詳しく書く予定です。

 下着の宅下げをしてから、彼らへの羞恥心がなくなってしまったように感じます。友というより家族のような。まさか私が男性に洗濯を頼む日が来るなんて・・・私はずっと、自分で洗濯せずに生きてきた男性としか付き合ってこなかったというのに・・・人生は何が起こるかわからないものです。

201431日記