アメリカは太平洋上にある美しいビキニ環礁で何度も水爆実験を行いました。そのために多くの住民が被爆しています。
症状が出始めたのは9年後で、ほぼ15年後ぐらいになって一斉に発生し始め、多くの人が苦しんできました。腫瘍やガンが発生したのです。ガンはこれを取り除かないと生きていけません。手術で甲状腺を取り除きます。そうすると今度はホルモンが分泌できなくなるので、ホルモン剤を注射しながらかろうじて生きている人が報告されています。
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1983年のデータで言いますと、実に28パーセントの人がガンや白血病などのさまざまな、今までその島では絶対に見られなかった病気で死亡している。実に三分の一近くの人がガンなどの病気で死亡しえいるという統計が出てきております。
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日本の人口は一億2000万人ですが、ロンゲラップ島の住民と同じように死の灰を受ければ、その28パーセントですから3000万人以上がガンで死亡する。
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この核実験はもうひとつの不幸を招きました。それは核実験を行った方のアメリカの兵隊たち。アトミック・ソルジャーと呼んでいますが、彼らの間に、実に半数近くの人に今言ったようなさまざまな障害のあることが明るみに出て、全米で大きな問題になっています。
写真はビキニで被曝したアメリカの軍人、アトミック・ソルジャーのひとりであるジョン・スミザマンという人が来日したときのものです。彼は日本に来て広島などを訪れながら被バクの恐ろしさを訴えました。この写真ではちょっと分かりませんが、彼は両足を切断して、両脚がありません。それから左手がグローブのように腫れ上がっていました。ジョン・スミザマン(John Smitherman)さんはアトミック・ソルジャーの全米の被バク者の協会で会長をやっておられましたが、日本に来た翌年に亡くなられました。
この人の場合は、...自覚症状は被バク後一ヶ月くらい、かなり早くから出始めていましたが、きわめて長い間にわたって苦しみ、両脚を切断したのは31年目と32年目です。こういう長い間にわたって災害が起こってきます。
同じビキニのアトミック・ソルジャーのある人の場合は、自分の子どもが九人とも大変な重い障害を持って生まれたという例もあります。
それからもうひとつ、アメリカ本土のネバダ州というところで核実験がおこなわれました。西部の砂漠地帯ですが、その核実験のときの記録写真です。砂漠の真ん中で核実験をおこない兵隊たちはこうやって見ていました。日本人であればすぐ分かります。こんな問題にまったく関心を示さない人間でも、実は内心で広島や長崎のことをよく知っているものです。直感的にすぐ分かりますよね。これほど近い距離で見ていれば被バクして大変なことになると分かりますが、アメリカ人はそういうことさえ知らされていなかったものですから、ひとりの兵士は両耳を塞いだりしていますが、これで大丈夫だと思っていたのでしょうね。今の私たちが原子力発電を大丈夫だと思っているのも同じようなことです。こうして大被害が出ました。この兵士たちに一番多く出たのが白血病です。白血病の場合は二年後ぐらいから顕著に発生し始めます。ですからチェルノブイリの事故から二年後、1988年ぐらいから、ウクライナのまわりで白血病が出始めても不思議ではありません。
さらにこのアトミック・ソルジャーは、五年後くらいから八年後ぐらいで白血病がピークを迎え、ますます増えてきました。
これで終わるわけではなく、現在までずっと続いています。あるいは膀胱ガンが15年後から25年後という範囲に出てきます。つまり白血病、甲状腺障害、膀胱ガンあるいは肉腫など、さまざまなことがそれぞれの人にそれぞれの形で、あるいは自分の子どもに遺伝的な影響という形で、重なりあいながら被害が大発生してくるということが分かります。
ですから現在ニュースに現れるソ連の人たちが何でもないように見えても、逆に現在被害が静かに進行している状況にあります。
片瀬のひとこと
このお話を、現在の日本の放射能汚染状態に重ね合わせると、5年後以降がとても心配になります。