ということで、映像の3Dには、解像度と安定性が必要で、それ以外にも、ピントや見方などの問題が未解決ということが見えてきました。では、音の3D化についてはどうでしょうか。
映像では、左右の視線の違いによる差分を利用していましたが、音も同じように左右の耳に入る音の差を利用しています。ということは、音の世界でも3Dに必要な条件は、映像と同じようなことが言えるはずです。

喜びが感じられるレベルに至ったのは、映像がハイビジョンになったのと同じく、音の3D化は、CD(非圧縮デジタル)になってからだと考えます。

それまでのアナログソース時代では、安定性や分解能、周波数特性、歪みなどの点で、3D化を実現するのが非常に困難でした。アナログもいろいろと改善が進む中、それらの問題が解決レベルに達する前に、先にデジタルが登場してしまったわけです。

特に安定性では、LPやテープのレベル変動やドロップアウト、変調ノイズ、SN などの性能は、聴いていても分からない程度のものでも、オシロで見ると悲しいものがあります。その点、アナログでの一番安定した伝達方式はFM方式と言えるでしょう。もし、FM方式のレコーダーが登場していれば、また様子が変わったかもしれませんが、高周波記録が可能になったVTRが先行し、それならと、PCMプロセッサーが先に出来てしまいました。

VTRでは、FM記録を後に取り入れましたが、同時に映像を見るため、音への意識率が低いという前提がありました。先に出来上がっていたフォーマットの隙間を利用するしかなく、デビエーションの制約から、Dレンジが取れず、NRを併用した規格となったことや、映像では問題にならない、Vブランキング期間の信号の繋ぎ目によるスイッチングノイズなどもあって、単独ではハイファイ用としてオーディオでの地位を築くことができませんでした。