昨日の日曜日も多くのご来場者をお迎えし、前日の土曜日に続いて200名様超のご来場者となりました。お陰様で売り上げも2日間連続で今年最高を更新しました。皆様、本当にありがとうございます。

さてその昨日は視覚障害ながら積極的に様々なスポーツに取り組んでいる塚本佳和さん(掛川市在住)をお迎えしました。塚本さんは7歳の時に病気治療のために使われた薬品の影響で徐々に視覚を失い、19歳の時に完全失明という境遇に置かれました。一時はその不幸と不運を嘆いたものの、漢方はり師としてプロとなり、持ち前の性格の明るさと意欲で多くのスポーツに取り組んできました。また海外旅行もニューヨークでの研修のほか、ハワイへは奥様と行くなどしばしば楽しんでいます。

今年は7月になんと富士山への登山に挑戦し、日帰りの強行軍ながら3776mの山頂に立つことも出来ました。これに備えて毎日スクワットを300回以上も繰り返すなど出来る限りの体力強化に取り組んでいたそうです。

「サポートをしてくれる方の持つロープを手にしながら登るのですが、上に行けば行くほど上り坂はきつく、また岩も大きくなって滑りやすくなります。2歩、3歩と進んでも滑りやすい石や岩のおかげで3歩分も下に交代することもしょっちゅうでした。サポーターのロープは進行方向を示すためのものですが、私が誤って転倒した時にそのロープにすがるとサポーターの方も巻き込んで事故になってしまいます。ですから転倒時にはそのロープを手放すのですよ。おかげで手足は傷だらけになりましたけどね」

健常者でも厳しい富士登山、足元を目で確認できないハンデは大きな壁となったようです。その往路は富士吉田口、一番傾斜がきつい登山道。復路は御殿場側に降りて来ました。

昨日のプレーはサポーターとしてこれまでのスポーツ活動を支えてきた中村さん、そして塚本さんのゴルフコーチとして数多く同伴したプロゴルファーの松浦さんが付き添いました。塚本さんにとっては菊川CCは初めての訪問。安全確保と今後の受け入れを想定して私と副支配人の柳君が同行しました。柳君は前任地の三木の里CCで受入れの経験がありました。

「全盲者のためのゴルフ競技会があるんです。うまくなったらそれに参加するのが今の目標です」と塚本さんは笑顔で意欲を語ってくれました。

左から指導に当たった松岡プロ、サポーターの中村さん、塚本さん。
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14:35に、途中までは打ち下ろしの10番からスタート。中村さんがティーペグとボールをセットし、打球方向を時計の文字盤(真っすぐ正面だと12時、やや右方向だと1時など)に例えて塚本さんに伝え、クラブフェースをボールの前にソールします。その際に松浦プロがさらに細かく左右のスタンスを修正、「顔を最後まで残して」とアドバイスを与えました。
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そして記念すべき菊川CCでのドライバーショットを放ちました。これは華麗なフォームですね!
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第2打も素晴らしいショットでしたが、惜しくも左のクロスバンカーへ。松浦プロのガイドで慎重にバンカー内のボールの位置とライを確認します。この時はスタンスはバンカー内でなく、スタンスとボールの位置にかなりの段差が出来てしまいました。かなり難しいショットでしたが、一発で外に出せました。
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アプローチショット前に、グリーンの方向を中村さんが塚本さんの左腕を取って教えます。
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13番でのアプローチ。松浦プロが旗竿でカップ底をカンカンと叩き、その音で方向を伝えます。
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グリーンに乗った後は中村さんが慎重にラインに沿ってパターをガイドします。
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16番H(Par 3) では第一打が右グリーンの真横に着弾。そこから正確なアプローチショットでボールはピン手前に寄り、さらにパットは狙い違わず、見事にカップインしてパー! 中村さん、松浦プロだけでなく、同伴した私たちも「やった! パー!」と大騒ぎ。

やりましたね、塚本さん! お見事でした!
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最終ホール(18H) は日も暮れ、照明塔が点灯、投光車も出動しました。
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9ホールを終えたところでプレーは終了。「次回はぜひ18ホールを回りたいですね」と意気軒高な塚本さんでした。根気のいるサポーターを務めた中村さん、そして的確な助言で指導に付き添った松岡プロ、大変お疲れさまでした。

「全盲の塚本さん(掛川) 富士登頂」(静岡新聞)
http://www.at-s.com/news/article/topics/shizuoka/mtfuji/384394.html