● 前提のダイナモとして

 内部だ外部だと騒ぎ立てずに、まずはなんで20年以上も経過して皆がいまだグダグダいうかということについて整理したい。何が悪いといって、事故原因究明を行うことにより、より安全な航空運営を目指すための組織・事故調査委員会が、その報告書に疑念紛々でありながら「二度と調査はしない」と明言しているというところがどうしようもなく悪い。何のための事故調か。2005年には、事故後20年の節目を迎えて再々度、関係者から調査要請が出たが却下されている。
 そもそも、相模湾に落下したと考えられる垂直尾翼を含めたJAL123便の残骸を探すのにも、事故調査委員会は非常に消極的であった。くだんの海上自衛隊護衛艦「まつゆき」が、落下した生存者がないかどうか相模湾を検索中、「たまたま」相模湾に浮いている垂直尾翼一部を確保、回収したのが相模湾で得られたほぼ唯一の大きな証拠品である。
 火のないところに煙は立たぬが、煙はもしかすると火ではなくてバルサンによるものかもしれぬ。調理中の煙によるものかもしれぬ。きちんと調査して「調理中の煙でした」といえば納得するところもあろうが、グダグダな調査をするから痛くもない腹を探られるのである。
 なお、この事件で墜落したB747型機は「世界のベストセラー機」とでもいうべき機体で、もしJAL123便に特有の事故原因ではなくB747一般に存在する事故原因であった場合、一気呵成のリコールでボーイングが偉いことになるから隠し隠しお手盛り調査したんだという説がある。アメリカのゴキゲンとりに終始せざるを得なかった当時の日本および中曽根政権(※註1)を鑑みるに、陰謀説よりよっぽどありそうな話ではあるが、もしそうだとするとそれら内部統制意識はせめて改善していると思いたいものである。
※註1について
当時の日本は今と比べものにならぬくらいアメリカに対する影響力があり、カネがあり、そして巨額の対日財政赤字に苦しむアメリカに対する、一種の「負い目」のようなものがあった。当時の首相・中曽根康弘は「日米は運命共同体」と発言し、アメリカ製品を一人百ドル買いましょう運動を行った(あとから考えてみると、元々「ものづくり大国」といわれていたアメリカにとってこんな屈辱的な運動はない)。


●内部要因説

[ 調査委員会説 ]

▽ 考察が必要な点
  どのくらいの内圧で垂直尾翼が破損するのか
 この論点如何で、急減圧が必要かどうかが判明する。事故調の報告書では、およそ4psiで垂直尾翼が破損するという。むしろ、だから事故調は、機体の後部に2m^2なんという巨大な穴が開いたと推察したわけだ(先に言及したように、機内気圧は24000ftにて8.66psiに保たれる。一瞬で4psiの圧力をかけるには2m^2の穴が必要になるという判断か。しかしそんな単純な問題? )。ところがそんな巨大な穴が開いたとなると、急減圧がどうしても発生する。これはつまり、「垂直尾翼破壊は急減圧で発生した」という前提から導出した、いわば演繹的情報処理なわけだ。それでいろんなところに無理が出てしまうということになる。

▽ 疑問点
 生存者の証言、またボイスレコーダーの様子から、一時的な減圧はあったにせよ、「急」減圧はなかったのではないのか?また、機体には気圧差により機体に決定的なダメージが発生しないように安全装置が複数ある。気圧の急激な変化があった際、1psiで先に壊れ、空気を逃がすようにできている後部プレッシャー・・ドアもその一つであるが、これが壊れずに発見されている。

[ フラッター説 ]

 何らかの原因で、後部圧力隔壁に小さな孔が開いて、それが垂直尾翼に影響を与え、細かい揺れつまりフラッターを惹起する。フラッターは垂直尾翼接合部分に大きなダメージを与え、飛行の風圧および経年劣化と相俟ってその力に耐えきれなくなった尾翼が爆砕する。

▽ 疑問点
 垂直尾翼はそんなにヤワなんか、という誰でも思いつくような疑問点。

●外部要因説

[ ミサイル説 ]

※一般的な艦対空ミサイルはシースパロー(発射重量250キログラム)。炸薬(40キログラム)が入っていれば命中した段で後ろ半分が吹き飛んでなくなる。幾ら陰謀説に悪のりしても炸薬はまず入ってない。

▽ 疑問点
 250キログラムのシースパローはマッハ4前後で飛翔する。射角ありの状態で垂直尾翼に命中すると機体挙動として大きく左右にぶれる(下手をすると尾部もろとも欠損する)はずだが、爆発の瞬間のフライトレコーダーを見る限り、上下5度前後の振れはありつつも、左右のぶれはほとんどない。
 また、当時の日本が所有していた艦対空ミサイルは24000ftにある飛行機をピンポイントで撃墜することができない(無論100%の蓋然性は存在しないので言葉を改めると、極めて難しい)。シースパローがまさにその典型だが、上昇能力に極めて難があるのである(実際、それが原因で数度の改良が行われている)。
 それらを考慮する限り、艦対空ミサイルによる撃墜説はほとんど可能性がないだろう。石を投げてカラスに当てるような話ではないということだ。

[ 標的機衝突説 ]

 自衛隊が使っているミサイルの標的機が衝突したのではないか。それにより、自衛隊が焦ったとは考えられないか。

▽ 疑問点
 自衛隊が焦った、ということを前提とした論点先取の錯誤ではなかろうか。ミサイル標的機を飛ばして撃墜試験を行っているとして、先に述べたようにミサイルの性能上、高度的に24000ftなんという高空まで標的機を飛ばす必然性がない。ただフラフラと糸の切れた凧のように高度を上げていってしまった、ということならばなくもないかもしれん。でもそういうことってあるんか。

[ 中性子爆弾説 ]

 わっはっはっはっは。中性子爆弾て。


● その他語り残したもろもろ

[ いろいろな疑問点について ]

・ いきなり「スコーク77」?タイミング的に早すぎやしないか?パイロットはもしかして、墜落原因(ミサイルとか、自衛隊機とか)を視認していたのでは?

 ▽爆発音→機首上下5度+ の揺れ→ブザー吹鳴、があった時点で「スコーク77」。明らかに異常事態で、特に早すぎるということもないし、パイロットがスコーク77を出し惜しみする理由は全くない。

・ 海に行けば助かったんではないのか!何故右旋回で山のほうへ向かった?(陰謀説だと「南から自衛隊機に誘導されたのではないのか?」という説もある)山に向かったのは極めて不自然である。

 ▽プールの縁から飛び込むような話ではなく、時速500km前後の高速で海に突入すれば非常な衝撃がある。また、着水に成功しても、後部に異常が発生している以上、即時沈没する可能性も考えられる。海上は複数の航空航路にもなっており、右旋回にて羽田を目指したのは不自然ではない。

・ なんで途中で「山行くぞ」となったんだ。オレだったら滑空して横田にでも何処にでも降りる

 ▽できるか莫迦。油圧オールロスで、スロットルだけで機体制動をしていた状態で、ほとんどアンコントローラブルである。横田近くの住宅地にでももし落ちたら、まるで戦時中のような二次災害が発生していたはずだ。

・ 自衛隊が、なんかオレンジ色のものをコソコソと吊り出していた。標的機ではないのか!

 ▽それはオレンジ色したフライトレコーダーだと思われます。

・ 墜落直後、御巣鷹山の尾根の林道深くで、モトクロスバイクにて捜索に入りつつあった地元の人(本では実名が出ている)が、背広の二人組が乗った2000ccクラスの乗用車を見た。事故当日12日の22時とか23時頃である(米田憲司『御巣鷹の謎を追う』より)。極秘裏に調査に来た自衛隊関係者ではないのか。

 ▽UFOとMIB的な話になってきたが、たまたまヤクザが死体を捨てに来ていた、とかいう可能性もなくはないですね。

 なお、この日航機墜落前後に、「三倍速の軍事ヲタ」こと吾らが田岡元帥(朝日新聞編集委員・田岡俊次)は防衛庁に乗り込んで、当時の広報室長佐藤守に対し「お前の首なんざ飛ばすのは簡単だ!」とか暴言を吐いたとして問題になっている。これはJAL123便日航機事故の話ではなくて、雫石事故報告に関しての怒りであるらしいが、よくこの日航機墜落事故のつけあわせで出て来るエピソードである。いずれにせよ、さすがだとしか申し上げようがない。