(7月1日)安全か景観保持かで住民を2分して対立が激化している北鎌倉トンネル(緑の洞門)について、一方の「北鎌倉駅裏トンネルの安全対策協議会」の骨格をなす主張が5年前に仕込まれていたことを示す記録文書の存在が明らかになりました。「北鎌倉緑の洞門を守る会」が情報公開制度に基づいて鎌倉市から入手した「北鎌倉素掘りトンネル対策面談の概要」と「JR北鎌倉駅沿いトンネルに係るA氏・B氏・辻会長との協議」で、内容に対する住民の反発から新たな対立の火種となりかねません。
DSC_1376封鎖前の緑の洞門(高木治恵撮影 2015.04.26)

 「面談」は2010年6月1日と8月6日、「協議」は2011年8月24日と11月8日の各2回にわたって行われた「地元懇談会」での発言を記録した文書です。4回の会合には市側からは当時の副市長、都市整備部部長と職員、地元からは山ノ内下町中会長の「辻氏」(現在の安全対策協議会会長の辻政治氏)と他の2名ですが、公開文書では氏名は、山ノ内の会合場所とともに黒く塗られています。「守る会」は「いつ・どこで・だれが話し合ったのか」という論評を中心に小冊子をまとめました。文書の原文と「守る会」の論評を紹介します。

(2010年6月1日の面談)
≪トンネルの崩壊≫
 副市長「前石渡市長は行政一本でやるわけにはいかない。地元とよく話をしろ。北口開設の話なども出ている場所である。切る(開削する)と景観が大きく一変してしまう。後で考えようということになり、今日に至っている」
 辻「あそこで子どもがオートバイに跳ねられた。老人も転んでけがをしている。下町町内会ではトンネルをとることについて反対はない。安全を考えないと。景観一本でいいわけはない。最近崩壊の具合が進んでいる」

 (論評)実際に崩落があったとしたら、大変なことであり、多くの通勤通学者の目撃をあることが想定され、市も駆けつけて記録を取るのが当然の行為であろう。しかし当会の公開質問状の回答によると、写真どころか詳細の記録が保存されていないと回答されており、危険だと刷り込むため造言であるとの疑いを払拭できない。

 その後の議論はたびたび使われる危険性の実例が列記されている。トンネル周辺での過去の単車自己、崩壊の進行、火災時の消火活動の不便さ、救急車が通行できないことによる地元住民の死亡などである。地元3氏によるこれらの指摘は、具体的な内容が示されていないことから噂話でしかない。しかしあたかも動かせない事実であるかのように装い、無理に市側に工事の必要性を訴えている。

≪安全をキーワードに≫
 しかk「安全についてはみんな賛成、景観が問題、あとしかk の件、町内会の役員会で出してみたいと思う」
 辻「キーワードが『安全』ならまとまると思う」
 山内(都市整備部長)「トンネル対策について何か新たな考え方を示せればと考えている。安全を全面に出すことになるが、景観が対立してくることになると思う」

 (論評)「安全」とは住民をまとめるためのいわば「方便」に使いたいととれる発言であり、科学的な解釈などは無関係に議論が進んでいる。この時に「危険ならばやむを得ない」として住民を説得し、利己的な願いを成就させる戦略が出来上がったことがわかる。安全がキーワードだとの意見に、同席した副市長は直接そのことには触れず、北口開設の問題や県道の安全性にすり替えて答弁している。(つづく)