(6月9日)由比ガ浜の開発で市議会も巻き込んで大きな問題となっていたショッピングセンター建設計画は、住民の強い反対にもかかわらず規模縮小、共同住宅の建設という“妥協案”のままで押し切られてしまいかねない状況です。市議選でトップ当選した長嶋竜弘議員は、他市でのスーパー開設にかかわった体験から由比ガ浜にショッピングセンターを開設するのは困難と言っています。由比ガ浜開発の現状と今後の展望を聞きました。
ボランティアガイド中の長嶋さん
   市民や観光客の意見を聞く場でもあるボランティアガイドの長嶋さん(本人提供)

≪由比ガ浜開発≫

 3月末に事業者による住民説明会がありました。私も松中議員と上畠議員と一緒に商工会議所に聞きに行きました。やりとりがあったのですが、(株)大和情報サービスというショッピングセンター建設を計画している事業者は、ここまで反対が強烈だとは思ってもいなかったと思います。共産党から自民党の議員までいて、陳情などいろいろやってきました。 

 
(株)NTT都市開発が事業者の共同住宅は別ですが、ショッピングセンターについては、私は西友にいて、新店開設を2店舗で開発をやり、横須賀とか福岡とかで新しい店をやってきました。その経験からすると、近隣の住民が一番のお客さんですから、その人たちが猛反対している中で、ショッピングセンターやってもうまくいくとは思えません。大和情報サービスはショッピングセンターを作って賃料を取る側でしかないから、出店するわけではありません。

 出店する側のスーパーとかテナントにしてみたら、周りが強く反対運動をしているところは絶対に嫌だ、入りたくはないですね。揉めている案件には入りたくはないですね。よほどの好条件でもなければ、厳しいですよね。店の進出で出入りする車がかかわるような事故が起きたら、店としては責任をとらされます。大和情報サービスは関係ないですからね。出店する側にしたら、そんなところに入りたいかというと厳しいと思います。

≪半分は海の商圏≫

 私は商売ですからやはりそこはすごく気にするのです。私がいた西友でも近隣住民の合意というか取り込みを一生懸命やりました。まあ訪問してピンポンと鳴らして、お菓子なども持って行って、開店までは慎重に住民対策をやります。由比ガ浜の場合は事業者にはそういう姿勢も見られず、「もう取れないよ。帰ってくれ」と追い返されるような状況です。考えれば考えるほど厳しいですね。

 
テナントを募集しても入らないのではないかと思います。私は専門ですから最初から言っているのですが、半分が海なので、人は住んでいません。普通2キロといったショッピングセンターの商圏を円を描いて考えます。人口が何人で人口密度はどのくらいで、来店客数を弾いて客単価を掛ければ、年商は弾き出せます。それが最初から半分ないのですから条件はものすごく悪いのです。

 
それにこれだけ強烈に住民の反対運動が加われば、計画自体つぶれる可能性はあります。そして全部マンションになる可能性もあります。ショッピングセンター的に言うと、地代が高いので、入居テナントの賃料も上がります。企業は利益のためにやるので、反対運動がなかったにしても、そもそもの条件がよくないですよ。それによくわからない聞いたこともないような大和情報サービスみたいなところがやっているのです。

 
Sグループとは親しいので聞いてみたところ、大和情報サービスはいろいろなところの開発で揉めると言っていました。それで大和がやったあとはSグループで不動産もあるから「たとえば分譲でやるとか考えられませんか」という話をしてみたのです。「まず大和さんのやったあとというのは揉めるから、近隣住民はとにかくショッピングセンターはNGで、やろうと思っても全然手も付けられません」とのことでした。

 もうそうした状況は起きていると思います。今言ったとおりにテナントのオファーはしているはずで、私はYスーパーという情報は聞いています。テナントを決めるのにこれだけ時間がかかってしまって、住民の反対もあり目途が立たないとなると、「うちはいいですよ」といわれているのかも知れません。だから一流、二流のスーパーが手をつけないのはそういうことです。最初から条件が悪いですね。

≪撤退の可能性大≫

 (そのように考えるとこちらが考える以上に早く幕引き図る可能性はあるのでは)埋蔵文化財の調査も時間がかかりそうだし、一流、二流のスーパーは条件がよかったら絶対に出ているはずです。物件が大きいし値段も高いので、本当は三流の店が扱えるわけでもないのです。コーナンに入っているライフは三番手ぐらいですが、それでもそれなりに品ぞろえはしっかりしています。そういうところが出ないということは物件が難しいからです。これは私の仕事の経験に基づく見解です。最初の計画を聞いた時点で私は「これは難しいと思います。頓挫する可能性は大きいですよ」と言っていました。近隣住民が猛反対していれば、テナントはちょっとなあと腰を引いていると思います。近隣住民には「声を大にして、言い続けた方がいいですよ」といってきました。NTTのマンション開発は引かないと思いますが、ショッピングセンターの方は引く可能性は結構あります。

(コメント)

 長嶋議員はなぜ選挙戦で、ダントツの得票で再選されたのでしょうか。(トップ当選の長嶋竜弘市議に聞く1)で分析結果を語っておられますが、まだ実感としてつたわってきません。会見の合い間にときどき触れておられましたが、「鎌倉駅前ボランティアガイド」に10年かかわって11年目に入りました。会見記の最後にこのガイド体験について聞いてみました。

 「観光案内所的な活動です。市内各所への道案内、今日の見処、グルメスポット、お勧めコースなどの紹介をやっている定点ガイドです。勿論無料です。お気軽になんでも聞いてください。土・日・祝日、9時半頃から13時半頃までおります。現在普段はシルバーの植木屋さん、某大企業の元社長さん、元理容師さん、海外生活のほうが長いおじさん、中国語と英語が得意な大学生、特別職地方公務員と一緒にやっています。その他サポートメンバーが23人など個性的なメンバーです」

 ❶「ガイドとして立っていると市民の声を聞く機会が増えますか」とお聞きしたところ、「もちろん増えます。今回の選挙後益々増えています」、❷「日常的な活動として議員の方にもプラス効果が見込めますか」に対しては、「鎌倉駅前でガイドに立っていると様々な観点の世相がよく見えて大変役立ちます」との返事がありました。地方議員の場合、少しでも市民に顔を知ってもらうことこそ、活動の基本でしょう。それに個々の市民が抱えている問題を知ることもできます。そのために愚直に10年間ガイドをやってきたのでしょう。選挙での大量得票要因のひとつになったはずです。