2020年06月21日

みな月はふくびょうやみの暑かな

“みなづきはふくびょうやみのあつさかな”元禄4年 48歳の句

The heat of June is,
As bad as the high fever
Of a patient with a cold!
 (Translated by TOSHIHARU OSEKO)

6月30日は夏越の祓い。

昔からのお決まりは、小豆の乗った水無月というういろ菓子を食べて、
健康に夏を乗り切ろうという趣向です。

お約束の▲は、
氷を表しているとか。

だがしか〜し、いくらなんでも暑すぎる、と言う。

病人にはこたえるわ〜と言う。

今なら、マスクしての夏越。病人でなくともこたえるわ〜。
 
是非とも、水無月を食べて、免疫力アップで

厚さもCovid-19も乗り切りましょう!
水無月










In Kyoto, there is a long-standing tradition of summer.It's to eat this triangle candy on June 30th.This rice cake with red beans is very delicious,Not only that, but it is believed to have the power to alleviate the pain caused by the heat. That's why I eat this candy.Basho seems to have been unable to beat the heat, as in this phrase.


kikyou0123 at 22:56|PermalinkComments(0) 夏(summer) 

2020年06月20日

有難や雪をかほらす南谷

“ありがたやゆきをかほらすみなみだに”元禄二年 47歳の句(おくのほそ道)

How greatful I am to breathe
The holy air, snow scented,
At Minami-dani.
 (Translated by TOSHIHARU OSEKO)

やっぱり芭蕉さんは面白い。

真夏の句に、雪というワードを持ってきた。
“ひんやりと涼しい風”となるところを
“雪を薫らす風”なんてか。

下五にも、最初「風の音」としていたようですが、
後から、「南谷」に推敲した様子。

おかげで、思わず、羽黒山本坊南谷をグーグルで空から眺めちゃう私。

心はすっかり出羽三山の山中へ、雪風を浴びに 一飛びしてしまいます。

380年後の読み手のリアクションを、ここまで読んだか、芭蕉さん。

お菓子は粒餡 きんとん製です。
羽黒山中へ、お口の中に雪のかおりをどうぞ(笑)

南谷











The Dewa region of Yamagata Prefecture is a representative power spot in Japan. It has been worshiped since ancient times as an object of worship. You can feel the cool breeze even in midsummer. Basho says he felt the smell of snow. You may have felt the spiritual power in the smell. In this phrase, I found it interesting to express the midsummer breeze using the word snow. Even with sweets, I tried to express that image.

kikyou0123 at 17:12|PermalinkComments(0) 夏(summer) 

2020年05月19日

里人は稲に歌詠む都かな

“さとびとは いねにうたよむ みやこかな”元禄元年 45歳の句(存疑有)

Villagers singing
While planting rice, are as graceful
As poets in the capital.
 (Translated by TOSHIHARU OSEKO)

この句は、芭蕉の前振りが素晴らしいので、記しておきましょう。(存疑有だけれど)

「牡丹や蓮は都の風流人が詩に詠む対象であるが、稲は蓮同様泥からはい出していながらそれらよりもずっと清いものだ。しかも秋になれば米を実らせて富を運んできてくれる。稲は一つの草にして二つのものを兼ねている。こういう一物二草である稲を育てる里の百姓は、まさに稲を題材として詠む歌人であり、だから人里は都なのだ。」(そのまま芭蕉dbを引用)

美しいものの本質、尊いものの本質を見極める感性、がスゴイ。ステキ。

牡丹より稲が美しい、なんて、言い切っちゃう、揺るぎない感性は、
表現者としてのリソースの幅をもたらしていることでしょう、きっと。

さて、お菓子の方は、元禄歌人の舞台、棚田をイメージしました。
棚田そのものにも、造形美が満載です。
これをどう表現するか、ずっと考えあぐねていましたが、
ようやく、形になりました。これぞ伊賀の景観。

お菓子は浮島製です。
棚田3








Japan, where we live, has    very mountainous terrain. So we are making rice. In a village near the mountains, rice is grown in such stepped fields. The scenery isvery beautiful. In this haiku, Basho expresses great respect for the rice farmers. Basho says that rice is more beautiful than flowers. I feel that it is extremely individual and pure.


kikyou0123 at 06:37|PermalinkComments(0) 夏(summer) 

2020年05月16日

篠の露袴に掛けし茂り哉

“ささのつゆ はかまにかけし しげりかな”元禄六年 50歳の句

The dew of sasa
Has wetted your hakama:
The roadside thickets!
(Translated by TOSHIHARU OSEKO)

元禄バブルの頃ですから、藩士の参勤ものんびりしたものだったんでしょう。
“お帰りなさい、ご苦労さんでした。袴が笹の露でぬれちゃいましたよね”
って、ほっこりさせる句となっております。(多分)

これが、“麒麟がくる”の時代なら、おっとり構えてはいられません。

戦国時代の笹の露といえば銘刀“笹の露”

WIKIによると
「笹の露」とは、笹の葉にある露は払えば瞬時に落ちるがごとく、その刀で切り払えば胴が瞬時に落ちることを称えた表現…
この刀にかかれば、切られたものが、逃走中に突如裂けたというのです。
「斬味が余りにも凄まじすぎて、切った側も切られた側も気付かなかったのである」だって…

もうゴエモンの斬鉄剣だわ。

ということで、笹の露の表現は“切れ味”がポイント。
如何でしょうか、この練り切りのキレ味は…

ちなみに、当家に伝わる日本刀は、銘を“錆ノコギリ”といいます(笑)

薯つなぎ練り切り製こし餡巻き。



笹の露









Basho is aiming for a disciple who has returned from a trip. I'm sure it was wet with the dew on the bamboo grass. Good job. That's the situation.On the other hand, the dew on the bamboo grass can be instantly paid off. Therefore, it means a Japanese sword that cuts well.This Japanese confectionery is a design that shows the sharpness. The design of Japanese sweets is very interesting.





kikyou0123 at 18:43|PermalinkComments(0) 夏(summer) 

2020年05月14日

蛸壺やはかなき夢を夏の月

“たこつぼや はかなきゆめを なつのつき”貞享五年(元禄元年) 45歳の句

An octopus put
An ephemeral dream
Under the summer moon.
(Translated by TOSHIHARU OSEKO)

子どものころ、
暗くて狭いところに身を置いて、
瞑想するという癖がありまして(笑)

押し入れ、であったり、
浴槽の中にいて、自分で中から蓋を上にかぶせちゃったり(爆)

特に何をしてたということなく、
ひたすらぼんやりとしてただけだだったよなあ。
でも、そうすることで、なんとなくストレスが和らいでいたような気がします。

高校の頃、密教の瞑想法で月輪観(がちりんかん)というのがあると知りまして、
ただぼんやり、から、ちょっと月を意識してぼんやり、というのをやってみて、
これもよいストレス解消法です。

この句、蛸壺と夢と月。なんか散々としてよくわからん句じゃなあという評もありますが、
空海が伝えたとされる密教の、
阿字観ともいう月輪観を意識して表した句じゃないかな。

蛸壺の蛸体験をもつ、私の見立てでした。
ちなみに このタコ! は寅さんの口癖でしたね。


菓子は薯つなぎ練り切り製こしあん包み。
直球で、蛸壺ですが。茶席菓子で蛸を取り込んだ、
日本初の作品かもしれません(爆)

明石の茶人様、如何でしょうか。蛸茶会をひとつ。

夏の月










Octopus is often used in Japanese cuisine.The place where Basho made this phrase was near the sea where octopuses were caught.I think this way. I think Basho may have thought about the method of meditation, which had been passed down in Japan in the past, and linked it with octopus. This sweet represents an octopus. Probably the first attempt in Japan. Because it ’s an octopus. Hahaha.




kikyou0123 at 06:52|PermalinkComments(0) 夏(summer) 

2020年05月13日

花あやめ一夜に枯れし求馬哉

“はなあやめ いちやにかれし もとめかな”貞享五年(元禄元年) 45歳の句

The flower of a flag
Has witherd overnight,
Just as Motome died!
(Translated by TOSHIHARU OSEKO)

人気の若衆役者、吉岡求馬が急死したことに
驚いた芭蕉、

句を詠んで、ふと浮かんだのは 彼のコメディアン。

ちょうど先週、遺影ともいえる、朝の連ドラの中での、
まったく新しい役者としての氏の挑戦を、
新鮮な気持ちで受け止めました。

このような死を迎えることさえなければ、
先輩リーダーがそうであったように、
無二の芸人として、円熟を極められただろうに。

今年の、凛として咲くあやめを愛でる間もなく、
一夜にして、逝かれてしまいました。

“はなあやめ いちやにかれし しむらかな”
合掌 



菓子は薯蕷製こしあん包み。
長らく使っていなかった焼き印に火を入れました。
白い肌に咲き誇る菖蒲を映そうとして、
なんとかなったかな。
菖蒲じょうよ













Basho is surprised and sad at the sudden death of a popular young actor. I feel Basho must have felt deeper sadness when he saw the purple flowers blooming in front of him. Don't you think beautiful flowers have the power to remind someone who passed away?




kikyou0123 at 00:51|PermalinkComments(0) 夏(summer) 

2014年04月18日

花をやどにはじめをわりやはつかほど

“はなをやどにはじめおわりやはつかほど”貞享五年 45歳の句

Making blossoms
My lodging for twenty days:
From beginning to end !
(Translated by TOSHIHARU OSEKO)

蕾から、咲き、散るまでを桜と共に過ごしていた、という、
我々からみれば、贅沢な過ごし方だな、と うらやましくもあり。

笈の小文を編む旅の途中。
“旅の途中である”と、芭蕉さんは言い張ってはいますが、
故郷伊賀上野への、“凱旋帰郷”ではありませんか。
きっと、相当のもてなし、アゲアゲっぷりだったはずです。

“静かに桜と共にゆったりと過ごした”とは思えない。
連日、芭蕉さんを囲んでの宴会宴会、句会、宴会宴会…だったのでは。
気がつけば、「もう20日もたってしもうたやんか。桜に付き合わされたなあ。」
と、照れ笑いの芭蕉さん、が浮かびます。

めくるめく享楽のひとときは花の咲き、散るがごとし。
浦島太郎の話なんてその戒めそのものなのですが。
私もそういえば思い出しますよ。あのバブリーな頃。
甘酸っぱい、さくらんぼうのような思い出です。

菓子は煉りきりの「花筏」。
春の思い出を凝縮し、散る花が水面を埋める風情です。
煉りきり花筏Cherry blossoms bloom, 20 days until fall. Basho was spent in Iga Ueno is home. It would be nice to say that it was back to home in just the right opportunity. To spend with friends and family of the home, you would have been 20 days that is substantial. As cherry, it was bittersweet time.




kikyou0123 at 15:28|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2014年04月12日

世に盛る花にも念仏申しけり

“よにさかるはなにもねぶつもうしけり”貞享元年 41歳の句

Even to the blossoms,
In full bloom, the aged man repeats
A Buddhist invocation!

There are some people who always chant or repeat Buddhist invocations to whatever they see ,
or at any opportunity. Bsho probably watched them with a smile.

(By TOSHIHARU OSEKO)

ちょうど昨日、仲間と花見の宴を催しました。
先だって急逝してしまった、二人の仲間への、追悼の宴でした。

桜の花は不思議なものです。
時には、子ども達の、未来への門出を祝う華やかな伴奏にもなり、
時には、亡き人に想いを馳せる、過去を覗く万華鏡にもなる。

昨日のそれは、
持参したあかりと、宵月の僅かなあかりに、
深く遠く漂う 思い出の余韻は、
彼の人の功績を偲び、
自分の生き様を振り返り、問い直す機会でもありました。

追悼の宴、といっても、
特別に何があるわけでもありません。
周りから見れば、普通のお花見となんら変わらず映ります。
でもそこにある桜の花びら一枚一枚に、
それぞれの思いが反射するのでした。

歌うのもよし、唱えるのもよし、という、
芭蕉にとっても、それで よし の桜 でしょう。

菓子は薯藷製、コテ書きの桜。合掌…
上用さくらFor the Japanese, cherry blossom is the flower that illuminates the future. At the same time, it is also the symbol consoling the dead. Of cherry blossoms, a short life, you probably have a projected life. This clause, I bear witness for a variety of impression with cherry.



kikyou0123 at 11:11|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 花見 

2014年01月20日

初雪や水仙のはのたはむまで

“はつゆきやすいせんのはのたはむまで” 貞享三年 四三歳の句

The first snowfall!
Just enough to bend down the leaves
of the narcissus.
(Translated by TOSHIHARU OSEKO)

先日、伊賀上野にも 初雪がありました。
意外にも、伊賀の冬は決して雪深くないものですから、
“明日には初雪が積もるかもしれません”などという、
予報に一日を締めくくる、その夜明け、
窓を開ける 心にすこし急くものを感じます。

たいてい、真っ先に目に飛び込んでくるのは、
庭木の葉、であります。
たっぷりと雪を頂いた葉が、
深々とお辞儀をしているという図が、満足度大、なのですね。

景色に満足すると、次は耳を澄ませる…
漫画だと、シーン〜 と言う字が浮かんでいるような静寂の中に、
遠くで路線バスだか、が、
チェーンを付けて走り去る「チャラチャラ…」と走り去る音だけがかすかに聞こえるという、
これで私の、今年の初雪体験は完了、となります。
雪国でない、地方都市の町なかの、これが恒例の初雪体験なのでありました。

芭蕉さんにとっちゃあ これが、たわむ水仙の葉、ということでございました。
わかるわかる、その気持ち。

菓子は外郎製で、氷餅をまぶしてあります。
雪水仙In the winter, people will feel impatient for the day when snow piles up for the first time. Local people that are not accustomed to snow, so you should feel more strongly. I think Basho it was so. Landscape that represents the expectations of Basho, it was a leaf, the narcissus.



kikyou0123 at 22:59|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2014年01月07日

一とせに一度摘まるる薺かな

“ひととせにいちどつまるるなずなかな” 元禄七年 五一歳の句

Only once a year,
They are picked to be admired:
shepherd's purses!
(Translated by TOSHIHARU OSEKO)

1月7日、今日は七草の節句。
とはいっても、旧暦ではないので、
七草を集めるにはちょっと早いようです。

年に一度だけ、人々の関心を誘うこの日の薺、
普段はただの雑草なのに、この日だけは違うよ、という。

初稿はどうやら「若菜かな」と詠んだところを
あえて「なずなかな」と詠み変えたところに、
年に一度だけ関心を誘う物の、存在感の落差、を、
際だたせたのだろう、と思われます。

ちょっとこの文のオチを付けるのに、
ひととせにいちどだけのアゲアゲのもの、って、
考えてみたのですが、
思いつきませんでした。
なずなに変わるモノは、ない。

芭蕉は、では、なずなに何を投影したことでしょう。
元禄七年は、芭蕉にとって最後のお正月となった年。
その命を終える時まで、あと十一ヶ月となった、その時。
死を予期していたとは思えませんが、なにかこう、
ひっそりと地味に、小さな命を咲かせるなずなの花を、
手のひらでそっとすくうように
慈愛で包んだような味わいがあります。

今までの人生の中で、気づかず取りこぼしてきた素敵なモノはないか、
ちょっと考えて見たくなりました。

菓子はきんとん製の薺 です。

薺There is a flower called the shepherd's purse. I eat this, only once a year, the Japanese, the date of after one week from New Year's Day. , Because they are to be good for health. But, this flower, is only a weed usually. Basho and must have felt regrettable love this flower, I felt. For Basho, and it was with last New Year of life.

kikyou0123 at 20:24|PermalinkComments(0)TrackBack(0)