2013年12月31日

福島県新地町のこと

見ての通り、ブログを更新するという習慣が全く無くなってしまったのだけど、年末とか節目になるとその年の書き残しておきたいことなどを書いておきたくなるのであります。
今回書くのは福島県新地町についてです。


2013年7月27日28日、俺は福島県に行った。目的は色々ある。まず、学生時代に5年住んだ福島には震災以後一度も行っていないので、どんな様子かこの目で見ること。友人に会うこと。そして、新地町に行くこと。

実は今回は新地町に行くことが目的のかなりのウェイトを占めている。
そもそも新地町とは、福島県浜通りに位置し、相馬市の北隣にある。

大学1年の頃のとある夏休み。割とハードにバイトしていた俺はバイト漬けの毎日に心が疲弊し、急に海が見たくなった。しかし、車は持っていないので電車での移動になる。そこで、地図を調べたところ、どうも常磐線の新地駅からは徒歩でも十分に海へ行けるようだった。

思い立って新地駅まで電車で移動。新地駅には駅員さんが一人だけいて、何とも平和な風景である。駅の周辺は家はさほど多くなく、田んぼが多い。そんな駅から海への道のりを歩きながら俺は既に新地が気に入ってしまった。なんて素っ気なくて平和で素朴な街なのだと。

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そして、海もまた穏やかで防潮堤、住宅街、港の全てが織りなす雰囲気がものすごく気に入ってしまった。何か
特別なものがあるわけじゃない。ただただ、全てがマッチする空気に酔いしれた。防潮堤の上を裸足で散歩したりしながら、すっかり満足して帰った。

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それから3年後、4年後にも俺は新地町を訪れた。福島県の中でも特にお気に入りの場所だった。2007年に一人で訪れた時には、「この風景を何十年後にも見たい。何十年後になっても同じ風景が残っていてほしい」と本気で願った。


そんな場所が、である。震災の津波によって街が流され、新地駅の駅舎や線路までもが流されたとの話を聞いた。
いてもたってもいられなかった。とにかくこの目でその様子を確認したい。震災から2年以上経ってようやく新地に行く目途が付いた。

レンタカーを借りて、カーナビの目的地に新地駅を設定する。目的地が近づく。辺りはほとんど建物がない。

カーナビ「目的地に到着しました」

冗談だろ…カーナビが新地駅と言っているところにはただの砂の山しか無いぞ…

現実を受け入れる以外になかった。新地は変わり果てた。好きだった駅舎や駅から海まで歩いた街はもうない。

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(新地駅前)
 
海水浴場方向に車を走らせるが、砂の山や瓦礫がかなり多い。俺が裸足で歩いたあの防潮堤は無残にも崩れていた。
もうあの新地の街並みは戻らない。もし街を作り直しても、以前とは全く違うものになるだろう。「何十年後も…」なんて思っていたことはわずか4年で崩れ去った。

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泣けてきた。自分が思い入れのある場所が無くなるというのはこんなに切ないものなのか。
しばし周辺を散策した後、俺は相馬方面に車を走らせた。


新地に行って改めて感じたのは、地域や街というものは不変ではないということ。当たり前のようだけど、ややもするとずっと同じだろうと我々は思いがちだ。
地域、そして今ここにある場所というものは不変ではない。だから「今」の姿が大事なのだ。このことを今一度噛みしめておきたい。

新地町の風景よ。永遠なれ。

kim at 00:15│Comments(0)TrackBack(0)clip! 

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